【島崎三歩の山岳通信】第334号(令和6年3月22日)<3月11日~3月17日遭難事例> ■~山岳遭難の現場から Mountain Rescue File №3~ 今回は、2月中旬の三連休初日に天狗岳周辺で相次いで発生した山岳遭難を事例に取り上げ、冬山での行動計画の基本やビバーク装備の重要性について考えたいと思います。 長野県警察 山岳情報  https://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/mountain_rescuefile.html 山と溪谷オンライン 編集・転載  https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=3041 YAMA HACK 編集・転載  https://yamahack.com/6087 ◎山岳遭難発生状況(週報): ・3月13日、単独で北アルプス白馬乗鞍岳に入山した男性(27歳)が、バックカントリーを滑走中、技量不足により、行動不能となる山岳遭難が発生し、無事救出しました。 ・3月13日、北アルプス八方尾根に入山した男性(31歳)が、スキー場を滑走中、管理区域外へ迷い込み、行動不能となる山岳遭難が発生し、無事救出しました。 ・3月13日、単独で中央アルプス木曽駒ヶ岳に入山した男性(59歳)が、木曽駒ヶ岳周辺に入山し、行方不明となる山岳遭難が発生しました。 ・3月14日、2人パーティで北アルプス小日向山に入山した男性(26歳)が、バックカントリーを滑走中、雪崩に巻き込まれ、負傷する山岳遭難が発生しました。 ・3月16日、2人パーティで北アルプス西穂高岳に入山した男性(15歳)が、下山中に雪で足を滑らせ、滑落、負傷する山岳遭難が発生しました。 ・3月16日、単独で北アルプス西穂高岳に入山した男性(56歳)が、登山中バランスを崩して、滑落後、技量不足により行動不能となる山岳遭難が発生し、無事救出しました。 ・3月17日、単独で中央アルプス木曽駒ヶ岳に入山した男性(20歳)が、木曽駒ヶ岳に入山し、行方不明となる山岳遭難が発生しました。 ○令和6年3月17日現在の遭難状況は 47件(死者7人、行方不明3人、負傷者12人、無事救出33人)です。 前年比は、発生件数が+3件、遭難者が+3人です。 内)バックカントリーは、発生件数が+8件、遭難者が+9人です。 内)単独登山は、発生件数が-3件、遭難者が-3人です。 ★長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス 3月3週は、7件の山岳遭難が発生しました。バックカントリーの滑走中の遭難やスキー場管理区域外へ迷い込み行動不能となる遭難が3件発生しています。 スキー場を滑走する場合は、各スキー場のルールを守り管理区域外に迷い込まない、故意に立ち入らないようにしてください。スキー場管理区域外での救助要請は全て山岳遭難となり、民間の救助隊員が出動した場合は救助費用が発生します。スキー場の管理区域外やバックカントリーエリアは、厳しい自然環境となるため様々なリスクやアクシデントに対応できる装備の携行が必要です。特に、『ハイクアップ道具や雪崩対策装備、ビバーク装備や食料関係、携帯電話のモバイルバッテリー』などを携行し、何かあった場合に使える装備品を携行しましょう。整備されたスキー場と同じような感覚での滑走は大変危険です。自然を相手にするスポーツですので、準備と計画は事前にしっかりと行いましょう。 中央アルプスでは、単独で入山後、行方不明となる山岳遭難が2件発生しています。単独登山は、他人を気にせず自分のペースで登れ、行きたい山に登れるなどの魅力がありますが、トラブルやアクシデントがあった場合、一人で判断することとなり仲間の助けを借りることができません。過去の行方不明事例も、家族や職場の同僚から「○○山に登山に行ったまま帰ってこない。」といった通報がほとんどです。登山中にアクシデントやトラブルがあった場合、通報できる状態であれば助けを求めることができますが、「携帯電話の故障や紛失。」「通話エリア圏外。」「怪我をして動けない。」等の理由で通報ができない場合があります。単独登山は、ハイリスクな登山となることを理解し、御自身のレベルに見合った計画や山域に見合った装備の携行をお願いします。