【島崎三歩の山岳通信】第333号(令和6年3月14日)<3月4日~3月10日遭難事例> ■~山岳遭難の現場から Mountain Rescue File №3~ 今回は、2月中旬の三連休初日に天狗岳周辺で相次いで発生した山岳遭難を事例に取り上げ、冬山での行動計画の基本やビバーク装備の重要性について考えたいと思います。 長野県警察 山岳情報  https://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/mountain_rescuefile.html 山と溪谷オンライン 編集・転載  https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=3041 YAMA HACK 編集・転載  https://yamahack.com/6087 ◎山岳遭難発生状況(週報): ・3月10日、単独で中央アルプス中岳に入山した男性(34歳)が、木曽駒ヶ岳から千畳敷に向けて下山中、バランスを崩し、滑落、負傷する山岳遭難が発生しました。 ・3月10日、単独で北アルプス霞沢岳に入山した男性(50歳)が、霞沢岳から上高地に向けて下山中、スリップし、滑落、負傷する山岳遭難が発生しました。 ○令和6年3月10日現在の遭難状況は 40件(死者7人、行方不明1人、負傷者10人、無事救出30人)です。 前年比は、発生件数が-3件、遭難者が-3人です。 内)バックカントリーは、発生件数が+5件、遭難者が+6人です。 内)単独登山は、発生件数が-6件、遭難者が-6人です。 ★長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス 3月2週は、2件の山岳遭難が発生しました。 2件とも単独登山者による遭難で、下山中に発生しています。 この時期は、寒暖差が大きいため、気温の上昇によって溶けた雪が、気温の低下とともに一気に凍ってアイスバーンになっている箇所が複数あります。 歩行中は雪の状況をしっかりと確認するとともに、急斜面の下りやトラバースの際は、特に慎重な行動に努めてください。登山時と下山時では、雪の状態が変わることも忘れないでください。 また、アクシデントにより救助要請をしても、時間帯や天候状況によってすぐに救助ができない場合があります。非常時に備え、寒さに耐えられる防寒着やツエルトなどの装備品、予備の食料・飲料水を必ず携行しましょう。 これからの時期は、周期的に天候が変わり、午前と午後では、天候が大きく変化する場合があり、標高の高い山域では日中の寒暖差が大きくなり、それに伴い積雪が不安定になる傾向にあります。ビーコン・ショベル・プローブの雪崩対策装備の携行はもちろんのこと、入山前の天候状況や当日の積雪状態の確認は、誰もが心掛けていなければならないことです。入念な計画を立てた上で入山をお願いします。 帰りを待つ御家族から、「登山に出掛けると言ったまま連絡が取れない」といった問い合わせもありましたが、結果的には、ご本人は登山中で無事が確認されました。 登山へ行く前に、家族等に登山計画を共有する場合は、「○○山へ行ってくる」だけではなく、詳細な行き先と登山日程を確実に共有しましょう。あなたの帰りを待つ家族等は、連絡が取れなかったり、下山予定日なのに帰宅してこないといったことがあると、何かアクシデントがあったのではないか心配になります。お互いに登山計画の内容を共有しておくことも大切なことです。