二度あることは三度ある、いや四度も⁉ 「川上岳」
林道歩きを含めて長丁場になることは覚悟の上のお山。 中腹を過ぎてやっと尾根に乗り、道も広がって一安心。と、何でもない石を踏み右足首を軽くひねる。右足首は何度も何度も捻挫を繰り返していて、靭帯はゆるゆるでぐらぐら。山に入ると二回に一回はひねってしまうので、右足の着地には気をつかっているのに、こうした気が緩んだ時をねらって地面が罠をしかけてくる。ただ、これくらいのひねりはしばらくすると普通に足を運べるまで回復する。だが、これを山中で二度繰り返してしまうと痛みも出てくるので避けたい。 足元に注意を払いながら進むと、水場がある。山中とは思えないほどの水量でざぶざぶ流れている。地図を出し確認すれば、あと200m弱登れば頂上である。さあ、と意気込んだところで現れるのが背丈を超える笹藪。彼らは一度は鎌にやられた形跡はあるものの、その後勢いを取り戻したようである。ストックを持った腕を前に突き出し足元を見ながら進むが、斜度が緩いため尾根の合流点近くまで長く藪に苦しめられる。もうやめて戻ろうか、と弱気の虫がささやくが「弱気は最大の敵」と津田恒美の言葉を思い出し前を向いた。 ピークで持ち上げたお昼は「おはぎ」と「コロッケ」、組み合わせとしては失敗に近かったが、お山の上のナツアカネが乱舞する中で口に入れれば十分うまい。 ピストンの下りは、ルートの様相もわかっているのであまり苦労はしない。わかって突っ込む笹藪は「こんなもんよ」と鼻で笑って突破してしまうほど。中腹まで下り、ジグザグ続きのルートを右足に注意を払いながら行く。と、左足を地面に置いた瞬間にからだが宙に浮き気づけば一回転、もう一回転している。ぐるりと体が意に反して回る感覚はおととしの自転車以来である。頭を下にして薄い笹の斜面に止まる。体を入れ替えて、はずれかかった眼鏡をつけなおし、3mほど上になったルートを見上げる。笹をつかみ這い上がり、踏み抜いた箇所を見てみる。雪庇のごとくに枯れ葉が重なっていたようである。腕や足を動かすが問題はない。ただ、額から血が出ているため、スマホの自撮り画面で見てみると3cmくらい皮がめくれている。血はにじみ出る程度なので頭に巻いたタオルを止血用にしてそのまま下ることにする。 登山口直前の沢を飛び石伝いに超えてやれやれと安堵のため息をついた。と、腐りかけた木に右足を滑らした。あ、これはいかん、と思わず声を出した。登りの時よりも深くひねって痛みも強い。近くの石に腰かけてしばらく様子を見る。じんわりとした痛みは残るが歩けそうだ。慎重に足の置き場を探しながら登山口まで下りていった。 登山口に流れる沢水で額を洗う。ビリっとした痛みがくるが想定内、ザックからカットバンを探すが出てこない。あるものと思い込んでいただけのようで、車に戻っての処置としようとザックを担ぎ始めて、ゴロゴロの林道を進む。と、左足が石を踏み外して内反する。「なにやっとんや」と思わず叫ぶと、がけの上でガサガサ音がする。真っ黒なカモシカがこちらを一瞬見て駆け上がっていった。熊でなくてよかった、と思いながら左足を回してみる。痛みは出ないので、こっちもよかったと思う。途中で常備している右足首のサポーターをつけて、両ストックで林道を歩く。少しでも段差のないところをみつけながら、ようやく車に着いた。 単独で歩くということは、こうしたケガ等のリスクが増えることではない。身動きできなくなったときに対処が難しいということだ。しっかり肝に銘じておく!






