船形連峰縦走(定義山〜小栗山) せんせいあのね
船形山(御所山)・泉ヶ岳・蛇ヶ岳
(宮城, 山形)
2025年11月08日(土)〜09日(日)
2日間
https://yamap.com/activities/35182330
のつづき。
船形連峰の最高地点である1500m峰。
このピークが船形山と呼ばれるようになるずっと前から、「船形山」の名を冠していた端山がある。
加美郡色麻町の小栗山(599m)である(竹内利美「山名と信仰ー栗駒山と舟形山」、『東北民俗』第21集、1987;深野稔生『天翔ける船紀行』、2000)。
小栗山の山頂に建つ船形神社(704年勧請)は荒神山詣りにおいても要所であり、ここに行かずして死ねないと思っていた場所だ。そのはずだった。
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【11月8日~9日】
定義口から出発し、去年の縦走では端折った荒神山詣りクラシックルートの未踏部分(定義口〜大滝口)を歩きつつ、船形山山頂避難小屋に一泊。
船形信仰に所縁の深い神社や石碑を見てまわった。
翌日は船形神社を参拝し、念願だった原初の「船形山」に登ることができた。
ついに!とかヤッタ!とか、そんな感情は一切わかない。ただ、一人は寂しかった。
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【10月24日】
その2週間前、私は色麻町にある船形山登山道の小栗山コース入口にいた。
ここから船形神社へ詣で、大滝野営場に泊まる計画だ。
歩き始めてまもなく、一台の車が止まった。
乗っていたのは御年90才(!)の大先生。地元の山岳会の方で、デカいザックを背負った私を気にかけてお声がけくださった。お言葉に甘えて、途中の石碑がある場所まで乗せていただく。
目的地に降りると、そのすぐ横に立派な看板が立っている。「小栗山七不思議」…?
これって何ですか?と先生に尋ねると、この地区に伝説が残されている巨石群の案内地図だという。彼の教え子さんが中心となって最近建てたものだそうだ。
「おーーい!うおおおーーーい‼︎」
と叫びながら、先生が田んぼに向かって走っていく。ちょ…どうした⁉︎と追いかけていくと、その先には稲刈り中のトラクターが。その教え子さんがたまたま近くにいらっしゃったのだ。
そして、まさかの事実が発覚。彼こそが船形神社を管理する別当だというのである。え…マ⁉︎
大興奮で思いの丈をお伝えし、船形連峰を背景に記念写真をパチリ。うれしい~‼︎
予想外の僥倖だったが、大幅にタイムロス。先を急ごうとする私に、なんと先生が「神社を案内するから乗っていきなさい」とおっしゃる。
「あなたを一人で行かせたら教師の名が廃ります」と。
ありがたいご厚意に恐縮する反面、内心では大丈夫か…?と心配がむくむく込み上げてきた。
先生はこのあとご来客の予定がおありということで、シャンとしたスーツに革靴を召されている。
船形神社への参道は、短かくも険しい。
麓の石鳥居から往復2km弱、標高差約250m。踏み跡はあるがその大半は急登で、鎖場をいくつも越えなければいけない。
丁重にお断りしたものの、かえって先生の正義感に火をつけてしまった。ズボンの裾が泥だらけになるのもお構いなしに、参道をずんずん進んでいく。
最悪の事態が頭をもたげる。疲労、滑落、熊の襲来……。
もういい。神社とかもうどうだっていい。
先生と無事に帰る。二人で絶対に帰ってくる!