【福井県境】三周ヶ岳分岐~美濃俣丸
美濃俣丸・笹ヶ峰
(福井, 滋賀, 岐阜)
2026年02月14日(土)
日帰り
「今日は最高級についてなかったの」から、ちょうど一年。
今回はアイゼン、脱落せんかったよ。
過去に三周ヶ岳までは踏んであったので、その途中の県境分岐点から美濃俣丸までを今回歩いてきました。
14日は仕事の予定が入ってたんですが、捨てる神あれば拾う神あり。
あれよあれよと休みが取れた。素直に嬉しい。
こりゃ「逝け」って事やなと、一年待った美濃俣丸計画、始動。
【広野ダム〜県境稜線分岐点】
夜間の放射冷却で、取付きの雪が締まるのを期待しての4時スタート。
しかし、広野ダムに着いた時の気温は1℃。
気温高すぎや。ガバガバんなるわ。サービスしすぎやわ。もうあかんで。
昨年、病み上がりが徘徊してたルートを参考に、湖周道路から黒谷山へ取り付く。
嫌な予感通り、早朝にしては雪が緩過ぎて登るのに苦戦。
下に薮や倒木がある場所では、腰までガボッ。
スノーシューは一度ハマると抜くのが地獄。これは経験者なら分かるはず。
どこがピークか分からない黒谷山を越え、やがて広いブナ尾根へ。
ここまで来ると一転、快適でした。
ブナの切れ間からは、モルゲンロートに染まる三国岳や上谷山が映えてたよ。
【〜三周ヶ岳分岐地点】
県境稜線に合流して最初に思ったのは、「広い」。
街から眺めていたあの稜線は、こんなにも広かったんや。
まずは三周ヶ岳へ軌跡を繋ぎに行く。
地味なアップダウンはあるけれど、青空の下、ノートレースの雪をパタパタ歩く喜びは格別。
県境を繋ぐ。
この行為が俺の山歩きをしんどくしてるのは間違いない。
でも、こんな景色と経験ができるなら、歩き続けてきて良かったと思えた。
ヒールリフターを上げて急斜面をよじ登り、夜叉ヶ池からの分岐点へ。
ここまで約6時間。
過去と、今が繋がった。
ここから、今日の県境歩きが始まる。
夜叉ヶ池から藪漕ぎして来た記憶が蘇る。
偽ピーク、また偽ピーク。延々と続く藪。
思い出に浸るのもそこそこに、元来た道を戻る。
おっさん、腹減ったわ。
【~美濃俣丸の手前まで】
分岐まで戻り昼食。
ザックを下ろし、スノーシューを外して座る。
……ツボ足でも沈まんやん。
「これ、アイゼンの方が早いんちゃう?」
結果。
“ご飯食べた場所の雪だけ”が固かった。
足首〜膝下ラッセル。
運が悪いと腰まで。
スノーシューのままの方が断然早かったのは言うまでもない。
それでもズボズボ進むのが楽しくなって、そのまま突き進んだ。
今思えば、ここで体力と水を相当削ってしもてたんやと思うわ。
ほんまアヤやわ。
【美濃俣丸チャレンジ】
最後のピークを超え、美濃俣丸の鞍部まで辿り着いた。
見上げると約200m位の登り。
尾根に連なる成長中の雪庇がやけに大きく見える。
こっちからは降りる人は居ても、登る人ってあんまり居ないんやろうな。
アイゼンのまま登り始め、半分ほど来た時――
ふと、立ち止まった。
ここで滑落する自分のイメージが、はっきり頭の中に浮かんでしもたんや。
「あ、あかんわ。怖い。」
足がすくむ。
怖くて歩けないなんて、初めてやった。
理屈では全然問題ない尾根。
特に狭いわけでも急登な訳でも無く、最悪転倒しても大丈夫な地形。
風も強いがバランスを崩すほど強くもない。
でも、目に入るまわりの景色全部が恐怖に変わる感覚。
進むしかない。
かっこ悪く、へっぴり腰で、前もろくに見れず、それでもトレポにしがみつきながら、気力で雪庇ゾーンを抜けた。
山頂直下の広めの場所で膝立ちになり、ノートレースのビクトリーロードを見上げた。
あかん。やっぱり怖い。
俺、きっと腹減ってるんやわ。やからや。
2026年バレンタインで唯一もらった、神棚に飾るべきギリギリのチョコを一気に口へ放り込む。
うまい。
なぜか「助かった」と思った。
そして――
チョコをモグモグしながら、美濃俣丸山頂を踏みました。
この時には恐怖感とか既に忘れてた。
やっぱり腹減ってただけみたいやったわ。
一年待った場所。
・女神様はお隠れになり見つからず。
・笹ヶ峰への豪華な稜線に少しチビった。
・朝、綺麗に見えてた荒島岳も行方知れず。
・能郷白山はええ加減見飽きた(ヒドイ)。
・遠くに日野山が見え、なぜかホッとした。近過ぎてあんま登らんけど。
あの得体の知れない恐怖を越えて踏んだ俣丸山頂。
きっとこれは、俺の財産になる。
そう思いたい。
【下山】
標高を下げると雪は緩み、踏み抜きが増える。
急斜面を下り切ってからスノーシューに換装。
遅いんじゃ。
男子はツボ足に憧れるもんなんですよ(俺だけ?)。
下山途中で水が切れる。
3リットル担いでいたのに、高温と無駄なアイゼンラッセルで消費したんやろか。
やっぱり俺は、水に苦労するタイプらしい。
尾根から降り立った林道は倒木・藪・雪崩で大荒れ。
凍った雪崩を越えながら、本気で後悔した。
「黒谷山ピストンの方が楽やったな」
陽が落ち、ヘッデンを灯す。
広野ダムの外灯の下に着いた時は、心底嬉しかったです。
満身創痍。
ここまで疲れた山行は初めてかもしれん。
でも、
美濃俣丸で感じた、あの謎の恐怖。
それを越えて踏んだ山頂の景色は、間違いなくこれからの俺の山歩きを支える財産になる。
怖さを知った。
それで、今回は十分や。