鶏冠山滑落事故について
5月25日に静岡と長野の県境にある鶏冠山付近で滑落し長野県警山岳警備隊の方々に救助していただいた記録を、登山する方の参考にしていただきたいと思い掲載します。 日本300名山の熊伏山に行こうと他の方の活動日記を参考に観音山、鶏冠山から熊伏山の周回ルートを計画する。 観音山登山口から急登を経て観音山に登頂。 観音山から鶏冠山に向かう途中に「2020年滑落死亡事故あり」の注意喚起の看板があり「気をつけよう」と気を引き締めて前に進む。 今から思えばここで引き返せばよかったという後悔の念もある。 注意喚起の看板通り、南アルプス特有の崩落地帯、細尾根が多い。岩場も点在しその岩も脆い。さらに登山道は迷いやすく気が抜けない。 何度もルートから外れ、YAMAPの地図と睨めっこしてルートを修正。 気を引き締めて鶏冠山に到着。 鶏冠山から熊伏山に向かうが、相変わらず気の抜けない登山道が続く。鶏冠山から少し進んだところでルートが不明瞭。YAMAPで地図を確認するとわずかにルートから外れている。岩場にいるが数メートルトラバースすれば登山道に復帰できそうなので、3点支持を意識してゆっくりトラバース。 安全と思ってつかまっていた岩が突然割れて崩れ、岩と一緒に滑落。ヘルメットを被っていなかったので咄嗟に頭を守って受け身をとる。崩落のザレ場なのでスピードが上がり「このままでは100メートル以上下の底に落ちてしまうと必死に手に当たる岩に掴まろうともがきスピードを落とす。その甲斐あって10メートルくらい滑落したところで踏みとどまることができた。 右手を見ると、人差し指はブラブラで取れかけ、中指の先は削れてない様子。すぐに自力で這い上がるのは無理と諦め、警察に電話し救助要請をする。電話した時刻は11:34 途中、静岡県警、長野県警の方たちから何度か電話があり連絡を取りながら待ち、14時頃にヘリコプターが近くに来てヘッドランプで合図をおくり所在を確認してもらう。 しかし滑落した場所は樹林が茂っており、直接ヘリコプターで救助できないためピックアップできる場所から山岳救助隊の方が入り歩いて救助に向かっていただけることになる。実際に救助隊の方が到着できたのが15時近く、滑落してから3時間以上経過。その間の自分の行動については以下のように過ごしました。 出血のひどい右手人差し指と中指を手拭いで巻き止血。残っていたスポーツドリンクを飲み、ザックの中の水筒に入った湯でファーストエイドの中のロキソニンを服用。スマホにモバイルバッテリーで充電し連絡に備える。時間が経つと少し寒くなってきたのでレインウェアを出し着用。エマージェンシーシートは携帯していたが使用せず。食べ物はカレーメシと菓子パンがあったが、空腹を感じないため摂らず。崩落地帯のため動くと更に滑落するため、じっと座って救助を待ちました。 15時頃に救助隊の方々にロープで引き上げてもらい、まずは登山道に戻る。幸い足は擦過傷はあるものの歩け、救助隊の方々にサポートしてもらいながらヘリコプターのピックアップポイントまで歩き、16時頃にヘリコプターに救助され飯田市立病院に搬送されました。 この救助されるまでの問題点と良かった点を以下にまとめました。 <問題点> ・登山ルートの情報収集が不足し、危険な登山計画だった。 ・ヘルメットを携行していなかった(頭を守れたのは運が良かっただけ) ・ルートを外れた時は戻るのが鉄則だが、無理にトラバースして戻ろうとしてしまった。 ・注意喚起の看板を見て、無理せず戻るべきだった。 <良かった点> ・スマホにネックストラップを付けポケットに入れていたので、滑落時に落とさずにすんだ。 ・直ちに警察に救助要請したこと。 ・家族に登山計画を共有していたこと。 ・動かずに救助を待ったこと。 ・モバイルバッテリー、ヘッドランプ、ファーストエイド、レインウェア、水分食料など携行していたこと。 ・偶然だが、天気は薄曇りで昼前の滑落であったなどの運に恵まれた。 救助搬送後について 飯田市立病院で消毒応急処置し、破傷風ワクチン接種、抗生剤点滴の対応をしていただき入院。 翌日、家族の迎えで名古屋に戻り紹介状をもらった病院に救急受診。すぐに人差し指の縫合等の手術が行われ、そのまま入院。 人差し指の血管・神経の結合、骨移植、皮膚・組織の移植など4回の手術を行った後に3週間余りで退院。 現在は週に2回受診とリハビリで通院し経過をみている。患部の状態が落ち着いたら靭帯結合、ワイヤー抜去等の追加手術が実施される予定。 私の事故経験を参考に登山事故が減ることを期待してこの活動日記を公開します。






