日本コバ
日本コバ
(滋賀)
2026年05月30日(土)
日帰り
どこに行こうか?
まだ滑り足りないけど、雪ある所に行く時間と経済力にもんだいあるしなあ、と悩みながら地図を見る。まだ足を運んでいない山、「雷倉」とか「冠山」が気になる。ウーン、でも鈴鹿も蛭の出る前に登っておきたい、と思って県境稜線からはずれた「日本コバ」に気づいた。気にはなっていたが登ってないし、「日本」という名がついているのもおもしろい。
本棚から「鈴鹿の山と谷」の「3」を抜き出す。「日本」は「二本」でありこの山は「二本」立てれば登れるということからでは、という説があるという。最近は「一本立てようか」という言い方をするのだろうか。山の荷、例えば山中で焼き上げた「炭」を背中いっぱいに背負って歩く。休むたびに荷を下ろすと次に担ぎ上げるのに力を使うので、荷の下に杖を地面との間に立ててそこに荷を預ける。と、肩と背が軽くなるという、これが「一本立てる」の語源だと昔先輩から聞いた。
お次は「コバ」であるが、同書に「憩い場」のつづまった言葉だと紹介がある。鈴鹿のいろいろな場所に「コバ」はあるが、休憩によい平地であることが共通点であるので、この説には納得できる。
この二つが合わさって「二本コバ」から「日本コバ」へと変化したのかもしれないとのことである。
その「コバ」地は急登を終えて800mを過ぎたあたりからそこここと現れる。衣掛山への分岐あたりは二次林の間の典型的な「コバ」が広がっている。このあたりは山頂からの尾根がぐるりと囲んだ平地の出口にあたるので、流水もあって、ビバークには最適な場所である。山頂からの稜線を「外輪山」と称しているが、用語としては火山地形のものであるゆえ、本来的にはふさわしくないだろうが、「外輪山」的ではあるのでむつかしいこといわねばいいんかな。
そして、この山は展望が全くといっていいほどにきかない。ピークから「白山」の白い頭が確認できたくらいで、あとは琵琶湖が一度ちらりと見えただけである。しかし、山そのものを味わうことができる。一歩一歩が山との対話であり、春ゼミにウグイス、そしてホトトギスも語りかけてくれる。山の中にいる、あたりまえのことがからだ全体にしみわたる。
ひっそりと、とけこむことができた「日本コバ」であった。