奥只見湖→檜枝岐縦走|丸山岳を越えて只見を横断
丸山岳・倉前沢山
(福島)
2026年03月20日(金)〜22日(日)
3日間
奥只見湖から檜枝岐まで丸山岳を越えて横断。久しぶりに魂込めた山行になりました。
【山行のきっかけ】
「奥只見湖から檜枝岐まで縦走できるじゃん。」
山に登ると、そこから別の行きたい山リストができるもの。この途方もないルートは、2024秋に平左衛門山を踏破した時から脳裏にあったんだったかしら。それとも昨年の春分の日の連休で檜枝岐ー戸倉の尾瀬横断を果たした時だったかしら。どちらも数年来思い描いていた自分の登山史に残るような個人的ビッグルートだったんですが、それに飽き足らず次のルートが派生してしまうなんて、人間の欲深きこと。でも、痺れる山をやりたいじゃないですか。この“次の高み“を目指す原動力が、なんていうかfeel aliveだなと思う訳ですよ。
ちょっと壮大な話になりましたが、なんて事はない、先駆者はいます。その点創造性には欠けるのかもしれません。でも、そんなのは良いんです。今回は「このルート取りなら行けるかも」という妄想を、実記録を参考に答え合わせした感覚です。するとやっぱり予想通りで、ここちゃんと歩けるんだ!と過去の記録を投じた先人達と想いを共有できた気がして嬉しくなります。先人達、と敬意を評するのは、マイナー12名山の一角、丸山岳を越えるルートだから。これもまた、このルートをやりたい理由の一つでした。
【丸山岳】
会津百名山にしてマイナー12名山。人里離れた会津のさらに奥に控える秘峰。マイナー12名山は、「四季を問わず創造的登山をしなくては登頂できない名山」という知られざる激渋ピーク達ですが、選定から20年以上経ち、ネットの進展で山の記録も格段に入手しやすくなり、その登頂価値は相対的に薄れているとは思います。その環境で光る登頂を果たすには、やはりマイナー12名山の原点に立ち返り、山頂に至るルートの創造性をいかに構築するかが肝でしょう。
自分にとってマイナー12名山は3座目。一座目はマンダ沢の沢旅で通過した羽後朝日岳、二座目はマイナー12名山を踏むために企画したネコブ山。創造性の問われるマイナー12名山ですが、これまでの登頂はどちらかというと受け身でした。まぁ、山の記録で価値を競っても仕方がないですが、今回のルート取りはまず自分の中の着想が発端だったという点で、結果的に他の方の記録を参考にしたとしても、自分の中での絶対評価的には創造性のあった山をやれたのかなと思っています。地図でルート組みをして現地で実証する、そんな雪深い山ならではの登山スタイルを久々楽しむことができました。それだけで自分にとっては十分です。
登山道がないだけあって、丸山岳の登頂ルートは自由です。中でも1番メジャーなのが、窓明山からひたすら尾根伝いに目指すもの。メジャーとはいえ、その距離ほぼ往復40km😱 さすがマイナー12名山です。こちら電波や登山者もそれなりに期待できそうなので下山路として利用。
次に記録を見るのは会津朝日岳からの北ルート。こちら山頂から火奴山方面に抜ければ周回ルートとなるのですが、いかんせん会津朝日周辺が細尾根すぎて辛そうなのでパス。アプローチも車前提ですしね。ということで火奴山方面の尾根ももれなく記録はあります。使う予定なかったのであんまり見てませんが、地形的には歩きやすそう。
スキーであれば沢ルートも考えられます。西実沢-梯子沢-安越又川と繋ぐのがスキー下山だと1番楽との声も聞き、エスケープ用に考えてましたが、今回は雪面ガチガチで電波も人も期待できなかったのでパス。かつ今年は雪が続いてなさそうなので微妙かもしれません。
そして自分の歩いた西尾根。縦走するならまず筆頭候補に上がります。ルート概要でも記載しますが、一部痩せ尾根はあるものの全体的には歩きやすい尾根。渡渉が必要なので橋を使える倉前沢山経由で行きましたが、袖沢さえ突破できれば1090点に上がる枝尾根伝いなんか登りやすそうなので痩せ尾根をだいぶカットできます。(場所定かではないが、そんなルート取りのトレースあり)
どういうルートを組むか含めてあれこれ考えるのがこういった山の大きな魅力ですね、その分思い出深い山行を楽しめると思います。3連休は天気に恵まれたので何名かとすれ違うと思いきや、3人程度?のトレースを見たほかはずっと1人の静かな山行を楽しめました。
【ルート概要】
山鮪スタイルの歩く山スキー。でも活躍できる区間が限定的で、時にストレスフルなシートラもあったのでスノーシューでも良いのかも…笑
○奥只見丸山スキー場〜倉前沢山
あまりにも雪深いことで有名な丸山スキー場はオープン初日。ただ、今年は雪がかなり少ないので、この三連休がベストタイミングだったかも。浦佐駅から無料バス(要予約)があるのが本当にありがたい。
第二リフト(リフト券も回数券2枚=760円と手頃でありがたい…!)から歩き出し、かうのき沢沿のゆるやかな尾根を1070三角点付近まで目指します。昔のコースだったのか、途中までBC勢と一緒に滑走(スキー場は推奨してません)。その後1125点に登るためシールを付け、1070点手前から744点経由で大鳥ダム最上流部の橋に向けてドロップ。
この区間はブナ林に囲まれた気持ちの良いBCが楽しめますし、村杉半島のアプローチ車道のネックである雪崩の巣を回避できるので結構良かったです。唯一橋の直前が急斜面で雪が切れかけていたので、そこだけ要注意。記録が少なすぎて例年が分かりませんが、直接橋に降りるのはあんまりオススメしません。雪崩or雪切れです(かといって妙案もないですが)
川を渡り、倉前沢山に向かいます。こちらも序盤は雪崩が懸念される角度かつ雪もないので、やや北回りに登ると吉。それでも山頂手前は急斜面で雪崩要注意です。登り切ると倉前沢山。公園かというくらい広い山頂でした。
○倉前沢山〜丸山岳
予想はしてましたが、痩せ尾根あり。前半戦は1196点から1211点にかけて、後半戦は1115点付近が劣悪でした。残雪期は藪の痩せ尾根とのことですが、雪があってもダメです。前半は大きく口の開けたクラックや細い足場に恐れをなしながら慎重に通過。後半は自分至上過去一のナイフリッジだったかもしれません…。まだ雪が安定していたので、あえて雪庇を利用するソリューションもありましたが、これからはより難易度が増すと思います。
金曜夜に寒冷前線通過による悪天が予想されたので、西側に山肌を控えた風の凌そうな1226三角点東で雪洞泊。雪洞泊、じつは初めてでしたがやってみるもんですね。組立作業のない分イグルーより楽かも(それでも深く掘る必要があるのでかなり疲れます)なお、2日目の午前中は前線通過の影響であまり天気が望めなかったのでゆっくりスタート。それもあって初日結構粘ってます、どうせ雪洞作るならヘッドライト確定ですし。
痩せ尾根区間を除くとシール登行できるくらいの尾根ですが、丸山岳直下は急なのでシートラアイゼン。寒冷前線通過でカチカチだったので、結構神経使いました。なんならシートラ前にシールで登っていたところ、リッジが効かずに足を滑らせ30mほど滑落。いやーカチカチでスキー履いて頭逆さまになると止められないですね。運良くザックが灌木にぶつかり、なんとか止まってくれました。それなりにスピード出てたと思いますが、ザックのおかげで怪我もなくすみました。しかし正直かなり危なかったです、反省&天に感謝。
凍てつく斜面を登り切ると対照的にたおやかな丸山岳トップ。自分の組んだルートでのマイナー12名山登頂はかなり嬉しく、できることなら長居したかったですが、前線が尾を引いていて凍えそうな風だったのでそそくさと次に進みました。丸山岳、丸い山+険しい山を示す岳という名前ですが、そのまんますぎる名前ですね笑。いやー、厳しかった…!
高幽山の区間まで共通して言えますが、奥只見丸山スキー場の駐車場が見えれば電波あります(docomo)。斜面じゃなくて駐車場です、そこに電波塔があるので。具体的には倉前沢山、1226三角点、1147点、梵天岳、高幽山などLINEが送受信できました。
○丸山岳〜坪入山
緩やか区間。当初は悠々スキー旅のつもりだったのですが凍結バーンにつきそのままシートラ。1617点付近が若干西に山肌があり風が弱かったのでC2としました。とはいえ高気圧直下でそこまで風の心配もなかったのでツェルト泊。さすがツェルト、設営が楽ちん…笑 この日もゆっくりスタートの遅れを取り戻すべく結構遅くまで歩きました。
翌日は4時半歩き始め…くらいのつもりが放射冷却のツェルト泊がなかなか寒くダラダラしてたら出発が5時を回ってしまった…。終バスは12:45、まだ高幽山にすら登れていないのに間に合うのか…。
ということでスキーで快調に進みたかったですが、相変わらずカチカチなのでシートラ。1712点への登り返しは辛かったです。1754点から坪入山にかけてはやや細めの雪稜で、下を見ると結構怖いですがスキーでも滑られている斜面だから最悪落ちてもなんとかなるやろという心持ちで通過。そこまで急ではないですが、万一を考えると神経を使います。樹林を抜けると坪入山、東側はある程度風除けできました。
○坪入山〜巽沢登山口
窓明山までの鞍部までは引き続きシートラ😂 ピーカンですがウィンドクラストで雪は緩まず…雪波もそこそこあったのできっと滑るより歩くほうが早いと信じたいです。鞍部からはさすがにシートラ疲れが限界に達しシール登行。序盤は良かったですが、1775点手前あたりから凍った雪波でスキーだと歩きづらかったですね。
窓明山から待望のドロップ。あっという間に1436点の鞍部、このためにスキーを担いできたと思える会心の一本。その後再びシートラで家向山の肩まで登り返し、そこから巽沢山まで滑走。段々雪が少なくなってきますが斜面の雪を使うなどで強引に突破。巽沢山のわずかな登り返しはスキーを腕で担いで通過。そこから再び滑りましたが、1006m付近でついに断念。いやー今年雪少なすぎるって、3月やぞまだ…!と文句を言っていても仕方ないのでそそくさと下山。何とか終バスに間に合いました。
【山行を終えて】
今回の山行は、結果だけ見れば「繋いだ」というシンプルな話ですが、その過程はやはりシビアなものがありました。危ない場面もあり、決して余裕のある山行ではなかったと思います。
特に感じたのは、このルートが「ただ繋がっているだけでは成立しない」ということ。雪の量や質、タイミングによって難易度は大きく変わり、条件が揃って初めて成立する、そんな繊細さを持ったラインでした。今年の雪の少なさもあり、終始どこか綱渡りのような感覚があったのは印象的です。
一方で、今回の山行で一番面白かったのは、やはりルートを“組み立てる”過程でした。自分の中の発想を起点に、記録を参照しながら現実的なラインに落とし込み、最後は現地でそれを確かめていく。この一連の流れは、雪深い山域ならではの遊びであり、改めてその魅力を感じました。
スキーも思ったほど機能せず、効率だけを見ればもっと良い選択もあったはずです。それでも、このルートを自分の足で繋げたという事実には、十分な手応えがあります。
また一つ、自分の中の基準が更新された山行でした。