稲庭岳(岩手,青森)
2026年10月4日 (日)日帰り
七時雨山から安比川を挟んで北北西に位置する、御山、稲庭岳。
ここ最近巡った火山を年代順に振り返ってみると、
・約300~260万年前:稲庭岳
※約210~190万年前:荒木田山(未踏)
・約110~90万年前:七時雨山
・約100万年前~:八幡平火山群
・約70万年前~:岩手火山
・約50万年前~:秋田焼山
・現在~
八幡平:約7,000年前
岩手山:1919年
秋田焼山:1997年
今回登る稲庭岳は、この中で最も古い火山ということになる。
この山の成り立ちをたどってみると、稲庭岳は約300万~260万年前に活動した成層火山で、複数回の火山活動によって玄武岩から安山岩の溶岩などが幾重にも積み重なり、火山体が形成された。
その後、長い歳月をかけて風雨や河川による侵食を受けながら、幾多の季節を越え、現在の美しい山容へと姿を変えてきた。
こんな感じだろうか。
七時雨山から、毎度の仕事先でもある稲庭岳へ向かう。
稲庭岳キャンプ場駐車場に12:25着。七時雨山登山口駐車場から約35分の道のりだった。
12:35、稲庭岳キャンプ場を出発。
ホオノキ、サワグルミ、マダノキ、カエデ、ナナカマド、トチノキなどが点在する静かなキャンプサイトを抜け、登山道へ入った。
すぐにブナやダケカンバの森となり、穏やかで幅の広い登山道をジグザグに登っていく。チシマザサも刈り払いされており、軽トラックほどなら通れそうな道だった。
標高900m辺りからはダケカンバが主体となり、980mを過ぎると木々も疎らになった。
標高1015mでブナ林コースとの分岐に着く。そのすぐ上部には南側が開けた場所があり、先ほど登った七時雨山や田代山、西岳などを見晴らせる。
足元の石を割ってみる。260万年前の中身が現れる。
26年前、260年前、2600年前、26万年前──。
人の頭では、時間のスケールをもう……。
26年後、260年後、2600年後、26万年後──。
もう、「空(くう)」の世界感……。
13:20、山頂に到着。立派なモニュメントのような二等三角点が建っている。
東側にある稲庭稲荷神社へ詣でた。御神燈、石祠、お稲荷様の祠が建ち、杉の木が2本自生していた。
なぜか足元にはクマのフン。そして空には雁が渡り、天候もどんよりとしてきた。
(あぁ、今日は雁が渡る日だ)
東側には折爪岳、久慈平岳、階上岳、名久井岳が眺められる。さらに北部北上帯の平庭岳、遠別岳、安家森、遠島山、木に遮られた七時雨山の頭、岩手山、八幡平へと眺めが続く。
北には岩木山、八甲田連峰、戸来岳、そして、むつ市の恐山山地まで眺められた。
山頂から下り、ブナ林コース分岐手前の七時雨山を望める場所でスケッチした。
山と山の閒(あいだ)
そこには、稲庭岳と七時雨山を隔てる約200万年という長い時間がある。
それだけでも、千年ですら遠いのに、何百万年だなんて、もう頭がついていけない。
だが、その二つの山をはるか底辺で支えているのは、何と一億五千万年もの、さらに途方もない古さで眠る付加体、それが北部北上帯だった。
もはや数字の意味すら見失いそうな時間の記憶の上に、いま、目の前の美しい風景が、季節の移ろいだけが、ただただ静かに広がっている──。
ブナ林コースをたどった。
美しいブナの木に話しかけた。
わたくしは森やのはらのこひびと
宮沢賢治「春と修羅」一本木野より
【参考資料】
・産業技術総合研究所 地質調査総合センター
「第四紀噴火・貫入活動データベース」
稲庭岳
https://storage.repository.aist.go.jp/1103/v/204/007.html
※地質については、上記資料を主資料とした。