【山岳医療のひと①】
みなさん、こんにちは。
シリーズ「山岳医療のひと」では、不定期で山岳医療に携わる方々を紹介してまいります。
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今日は秋田県で活躍されている山ナースの熊谷久美子さんをご紹介させて頂きます。
熊谷さんは、日本登山医学会 国内山岳看護師であり、日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージⅡスキーガイドⅠ、危急時対応講師、秋田県認定 あきた白神ガイドといった資格を有し、病気、視覚障害、車椅子、高齢者向けの山や森イベント「ガンと歩こう」や、小学生から高校生を対象とした自然体験塾、野外観察イベントガイド「白神体験塾」、乳がんヨガセラピストと山ヨガイベント、さらに講師活動として登山者に向けたユニークな登山教室「熱中症教室」「雪洞体験教室」など多岐に渡って活動されています。
熊谷さんは、『「病気」「障害」「年齢」「役割や属性」「子育て」「介護」「忙しさ」は時に「山に行かない理由」になります。行き詰まり、生きづらさから抜けたい時、そんな時こそ「ヤマ活の効き目」は絶大!「山の力」を全力で借りてまずは自分ファースト!次は友人や家族、大切な人と分かち合えるようにしたい。』
そんな思いで活動をされていらっしゃいます。
熊谷さんの、山岳医療に携わるきっかけから今後の展望まで、熱い情熱をお聞きできましたので、下記ご紹介いたします。
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初めまして 熊谷久美子と申します
岩峰、高山がひしめく信州でもない、憧れの北海道にも及ばない、登山人口もはるかに少ない東北の秋田県から皆様へご紹介させていただきます。
私は今から6年前に24年間勤務した総合病院の看護師を卒業し、北アルプスの山小屋や派遣看護師として何足もの草鞋を履きながら、日本山岳ガイド協会の「登山ガイドステージⅡ スキーガイドⅠ」、翌年に国内山岳看護師の認定を修了。気がつけば日本では2人目の「山ナースガイド」今だから言えますが、山に喩えるとごつごつと歩きにくく道標も少ない暗い登山道でした。
東北は秋田県在住の私が、山岳医療に飛び込んだきっかけは2005年、地元で行われたアドベンチャーレース2日目のこと。川を下っている時に、チームの仲間が突然消えてしまったことでした。 目の前で起きた事故を前に、救急でも勤務する医療者でありながら、圧倒的に無力な自分がいました。幾度もその光景を思い出し非力な自分自身を戒めるように始めた登山。野外の事故を二度と起こしたくない、助けたい、野外救護を広めたいといったやや空回り気味な気持ちを抱えている中で意外にも「山」には人を再生していく一面があることを体験しました。
仲間と山岳レースをつくり「山岳医療」に出会い「山岳看護師」を目指す階段を上がり始めた時、運命とも言える言葉に出会います。それは田部井淳子さんが地元のがん治療に関わる医療者に向けた講演でした。がん末期とも思える田部井さんが力強く「私の場合、山が病院よ」と言い放った時、急に目の前の「世界」が変わりました。田部井さんがお亡くなりになる3ヶ月前でした。
「山は人を強くする」と確信を得てから3年目の夏にがん体験者や仲間、家族を山に案内する「ガンと歩こう お花見ハイク」が誕生しました。 恐る恐る開催したイベントでしたが、たった一度の登山で「達成感に自信が湧いた」「山に人に癒されて涙した」「生きていてよかったと心から感じた」「同じ病気の人の姿が励みになった」「自分には無縁だった自然の強さ、厳しさに心が満たされた」という嬉しい感想をいただきました。
つまづいたとき、苦しく辛い時、駆け込む場所が「山」や「森」だっていいはず、そしてがんでも、障害があっても、高齢でも、初心者でも多くの人が「山の力」を全力で借りて自信を取り戻したり、仲間を得て生きる力を受け取っていく、そんな循環を山になじみのない方へ届けたいと思っています。
~山が人を強くする~ 「ガンと歩こう」「〇〇とあるこう」イベントを、皆様の住んでいる都道府県で開催できたら…そんな夢を持っています。
皆様の街に良い風が吹くことを願って。
熊谷さんのHP
http://touhoku-yama-nurse-guide.com
お問い合わせURL
https://touhoku-yama-nurse-guide.com/contact/
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熊谷さんのお話から、自分自身健康に山を歩ける幸せを改めて感じました。病気や障害、高齢であっても山を楽しむ事ができる機会を作ってくれている人がいます。生涯取り組める趣味として、今後も登山をより安全に楽しめる環境作りを、全国の山岳医療の仲間達と共に形作っていきたいと思いました。
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