05:28
8.9 km
789 m
雨上がりの播磨で石仏の道を歩く☆鎌倉山他
鎌倉山 (兵庫)
2025.12.14(日) 日帰り
予報ではこの日の天気はあまり芳しくなかった。山は諦めて買い物からの昼呑みにするつもりだったんですが、前日に天気予報を見ると、雨は前日夜半から朝まで。朝の7時頃に雨が止んだら、その後天気は一気に回復傾向だとか…おーっ!それなら山に行けんじゃん!というわけで、冬用にストックしていた播磨の低山を訪れることにします(^^) 訪れたのは兵庫県加西市にある鎌倉山。 鎌倉山はその美しい山容や近郷の水源だったことから、古より神の古里として信仰された山。江戸時代には近郷で修験道が盛んになり、明治時代には麓の普光寺によって行者道が開かれ、播磨の修験道の中心地となりました。 今日はその行者道を辿り鎌倉山を目指す周回コースを歩いてみたいと思います!しかもこのルートは「石仏の道」であるという。 石仏ってのはいいですよ!もちろんお寺の本尊の立派な仏像も素晴らしいですけど、山の中にひっそりと佇む石仏ってのは、人々の素朴な願いが込められているような気がするんですよねー。 石から仏様を削り出し、それをこの山の中に置いた人々の思い…そういうものをしっかりと感じながら歩いてみたいと思います。 起点は麓の河内町公民館。7時に到着。ここまでの移動の間は終始雨だったんですが、予報通り7時に雨は止みました。もう雨は降らないはず!7:20、出発します! 集落を抜けて行者道の始点へ向かう。防獣ゲートを抜けて山へ入る。ここが行者道のスタート地点。穏やかな坂道を登るとすぐに護摩堂に辿り着きます。いきなり護摩堂ってとこが修験の山だなぁ(^^) 護摩堂の横から急斜面を登る。露岩が多いですね。岩は…泥岩か…この辺りだと播磨特有の流紋岩質の火砕岩か、丹波帯のチャートかな?と思っていたんですが泥岩ですねー。チャートは見られない。 泥岩かぁ…マイッタなぁ…何しろ30分前まで雨が降っていましたから…濡れた泥岩はめちゃくちゃ滑りますからね! 少し登ると大きな岩に囲まれて立つ小さなお社に辿り着く。道標には「◯◯神社」と書かれているんですが、文字が消えていて神社の名前がわかりません!(>_<)どなたかご教示ください。 社は小さいですけど岩の迫力がスゴい!整備されたものか?それとも元々磐座祭祀霊場だったところに社が建てられたのか?とにかくお参りしておきます(^^) すぐ近くには二体の石仏。いずれも役行者です。こちらにも手を合わす。さらにその先には不動明王の石仏。やはり修験道や密教に関わる石仏が多いですね。さらに普賢菩薩の石仏。普賢菩薩は密教では菩提心の象徴とされます。 緩急織り交ぜた道のり。森は低山ならではの低木が多いですがとにかく樹種が豊富です!いい森なんでしょーね。 しかしそこには滑る岩以外にも難敵が待ち構えていた!それは…落ち葉!山全体を覆い尽くすような大量の落ち葉。これがまたとんでもなく滑る!(>_<)おそらくアベマキの落ち葉だと思うんですけど、葉が厚くて硬くてツルツル!それが靴のアッパーを隠すほどたくさん積もっている。めちゃくちゃ歩きづらい。できるだけ岩を踏もうと思うんですけど、踏んだ岩がまた滑る!難儀な道やなぁ! 道自体は本当によく整備されていて、森も美しいし決して悪い道じゃないんですが…季節が悪かったか…(ー ー;) さらに弥勒菩薩、釈迦如来に手を合わせ、いよいよ最初のピーク、大天井への急登を一気に駆け上がる!いや、一気にじゃないな…ズルズル滑りながら登る(^_^;)登り詰めた先に役行者の石仏。 さらにもうひと登り。出発してからおよそ1時間40分、大天井山頂に到着です! さらに下って登っておよそ10分、小天井山頂に到着。いずれのピークも木々に囲まれ展望はありません。 小天井からは小さなアップダウンを繰り返しながらひたすら標高を下げて行く。小天井から下ることおよそ20分で、今日のルートでは数少ない岩場の展望スポットに辿り着きました。「東ののぞき」です。 南側が大きく開けています。点在する街と低い山々を眺めることができます。まだ雲は厚いですが、ところどころ明るい部分も見られます。気温が上がって来たんでしょうか?近くの斜面からは湯気のように霧が沸き立っています。これはこれでいい眺めです(^^) 気持ちのいい景色を楽しんで先へ進もうと思ったんですが、ふと気になって足を止める。ここは岩場の展望地なんですが岩が違うな…泥岩じゃない…これは…まさに流紋岩質溶結凝灰岩! 実は帰宅してからめちゃくちゃ難しい地質図とにらめっこしたんですよ。今日歩いたルートは基本的には泥岩と砂岩ばかりなんですね。実際歩いた印象は9割泥岩、1割砂岩という印象…なんですが、地質図を見るとところどころにほんの少しだけ流紋岩類の岩脈があるんです。その流紋岩類の露頭なのかもしれません。 さらに標高を下げ、展望スポットからおよそ15分、柳峠に到着しました。標高は300m。小天井から160mも下っちゃいました(~_~;)歩いても歩いても標高が上がらない…低山あるあるです。 柳峠からはおよそ150mを一気に登り返します!ここはまさに「一気に」ですね。 お助けロープの張られた急斜面をガシガシ登ります!いや、ゴメンナサイ。嘘つきました。ズルズル滑りながら登ります!(^_^;) でも正直上りにロープは必要ないですよ。下りはさすがにこれだけ滑ったら危ないですから、ロープの助けを借りた方がいいでしょうね。 登り詰めたら石仏です。ここには孔雀明王の石仏がありました(^^) 孔雀明王は密教特有の尊格で、孔雀は害虫や毒蛇を食べることから「人々の災厄や苦痛を取り除く功徳」があるとされ信仰の対象となりました。 孔雀明王からさらにもうひと登り…柳峠からおよそ30分、出発してからはおよそ2時間55分、10:15鎌倉山山頂に到着です*\(^o^)/* 思いの外狭い山頂は南側が大きく開けています。南側はほとんどが平坦地で高い山は一つもありません。明石海峡大橋や淡路島も一望でき…るはずなんですが、今日はちょっと霞がちで遠望はあまり効きませんでした。観光地ではおなじみのコインを入れて覗く双眼鏡もありますよ!コインを入れなくても見ることができます(^^) 山頂で45分間の食事休憩をとって、11:00に下山開始。行者道は山頂から「西ののぞき」を経て最短距離で登山口に下るのですが、河内城跡に行ってみたいので、行者道ではない一般登山道を下って行くことにします。 この下山ルートが荒かったなぁ!(^_^;)よく整備された行者道とは全く違う印象です。 基本下り基調ですが、急なアップダウンがとても多い。特に下りはかなりの区間でお助けロープが張られています。傾斜もかなりキツいですが、これくらいの急坂下りはどこにでもあると言えばある。しかし問題なのは靴が埋まるほどの深い落ち葉。これがとんでもなく滑る。そして落ち葉で地面が見えないでしょ?踏んだら落ち葉の下に浮き石があって、それ踏んだらゴロッと転がってバランス崩して…そういうことが何回もありました。しかも土も滑る土なんだよなー…(ー ー;) とにかく掴める木があれば木を掴んで、木がないところではロープを握って、慎重に慎重に下って行きます。 小さなアップダウンをひたすら乗り越えながら下って行く。50m下って20m登り返して、また50m下って20m登り返す…そんな感じです。上りも下りも距離が短いので体力的にはそれほどキツくはありませんが、道が荒いので精神的にはかなり疲れます。 鎌倉山を出発してからおよそ1時間、今日最後のピーク、小鞍掛に到着しました。ベンチが一つと四等三角点があるだけの小ピークです。 さらに10分ほど下ると分岐に行き当たる。左に折れるのが下山ルート。真っ直ぐに丸太階段を登った先が河内城跡です。真っ直ぐ進みます。 急な丸太階段を上り詰めると広大な平坦地が広がっています。河内城跡です。ちょうど東郭に当たる部分ですね。 現地の説明板には、「河内城は室町時代(1400年代)に赤松氏の一族別所頼清によって築城された」とありますが、別所頼清は平安時代末期の人物なので時代が合わない。おそらく赤松氏庶流の在田氏の居城ではないかと考えられています…とか何とか知ったかぶって書いていますが、なにせ私の歴史好きは筋金入りの古代史専門なので、はっきり言ってちんぷんかんぷんです(^_^;) 山城ってのは見張りの役割りがあるので、当然ですが見晴らしがいい!鎌倉山から南に伸びる尾根先なので、特に南側は大きく開けています。南側には高い山が無く、大きく広がる平地からその先の瀬戸内海まで見渡すことができる。背後には急峻な山を背負っており、敵から攻められるリスクも少ない。城を築くにはもってこいの立地です。 東西に長く伸びる平坦地。西の方を見ると…おー、さすがにこれはわかります!堀切の跡がありますね。さらに奥にももう一つ。この堀切に挟まれた部分が中郭です。 せっかくなので西郭まで行ってみる。西郭まで来てふと思い出した。おやつがあるんだ!休憩しよ(^^) 景色を眺めながら15分ほど休憩して下山することにします。丸太階段を下り、分岐を右に折れて登山口を目指す。この下山路は「河内ふれあいの森」の敷地内です。鎌倉山からの下山路とはうって変わって完璧に整備された遊歩道。気持ちよく下ることおよそ15分、防獣ゲートのある登山口に到着。登山口からは集落を抜けて公民館まで戻ります。 鎌倉山からおよそ1時間50分、無事に駐車地である河内町公民館に戻って来ました☆ それでは本日の総括を… 石仏を巡りながら歩く修験の山、ということで興味を持ってブックマークしていた鎌倉山。とっても楽しく歩くことができました(^^) 特に行者道はよく整備されていますし、低山ながら歩きごたえもある。ほどよいアップダウンも多く、傾斜の変化や登山道の変化も多彩で飽きることはありません。そして森は低山ならではの低木が中心の雑木林ですが、樹種がとっても豊富で自然も豊か。落ち葉さえなければなぁ!なんて思ったりもしますが、この時期の播磨の低山で落ち葉地獄を避けることはできません!去年登った西脇妙見山で経験済み(^_^;) https://yamap.com/activities/36316982 そして石仏なんですが…やっぱり石仏はいいですねー!☆石仏巡りの山は今までもたくさん歩きましたが、この山の石仏はまた印象が違います。数は多くはないですが、一貫したテーマに則って石仏が置かれていますね。それは修験と密教。 急登を登り詰めた先の石仏にはホント救われました。頑張って登るのを見守っていただいてたような気持ちになって、思わず手を合わせて感謝しちゃいます。 道中展望は多くはありませんが、東ののぞき、鎌倉山山頂、河内城跡からは爽快な景色を眺めることができます。これもまた一服の清涼剤です(^^) 鎌倉山から河内城跡に向かう一般登山道はかなり荒かったです!城跡に興味がなければ、あえて歩く必要はないかと思います。荒れた道は歩きたくないけど城跡には行ってみたい!という方は、鎌倉山から行者道で一旦下山してから、ふれあいの森の遊歩道で城跡をピストンする方がいいかもです。 石仏もあるし冬の里山歩きにはちょうどいいかなぁ?くらいの気持ちでストックしていた鎌倉山でしたが、実際歩いてみると全く想像とは違ってました。もちろんいい意味で。 実はこの山は播磨修験の中心地なんですね。歩けば歩くほど、登れば登るほど、この山の持つ歴史と信仰を肌で感じることができた…これはいい収穫だったし、いい経験になりました。 下山して思うのは、知らないだけでこのような深い歴史と信仰に溢れた山がたくさんあるんだろーなぁ、ということ。まだまだ貪欲に山探しをしなくちゃいけませんね! 鎌倉山…とってもいい山でした☆