諏訪大社上社~守屋山ピストン往復
守屋山
(長野)
2026年03月16日(月)
日帰り
【前口上】
今日もひと際長い一席にお付き合い願います。
今回の山行の事の起こりは、日・月で仕込んでいた旅程の山行が、前日の晩になって自分の凡ミスで全部ご破算になったことである(キャンセル料は痛い勉強代になった)。
あまりの凡ミスに、これを書いている今でも引きずり気味なのだが、ご破算になったとはいえ、月曜にせっかく有休を取ったので、日曜はどこかへ、せめて温泉くらいは行きたいと考える。
とはいえ、温泉に行くとなると入り倒したいタイプなので、早めにチェックインして、夕食前に1度は入り、夕食後も何度か入りたいので、夕食なしで外食というの避けたい質なのである。
1週間前でも、夕食なしプランばかりとなり、前日の晩ともなれば、あちこちと旅行サイトで検索をかけてみたものの、どこもかなり難しい。
そんなこんなで見つけたのが、信州は上諏訪温泉の1件の宿。口コミもそんなに悪くない。ここにしてしまおう。よし、これで予定した山行は行けなくなったけど、温泉で癒されてこよう。
「…で、近くに歩くに適当な山はないですかね?」
温泉入って帰ってくればいいだけというに、病膏肓に入るとはこのことである。諏訪からなら霧ヶ峰、入笠山、北横岳と知られたところはあるのだが、自分的には雪山はやらないと決めているので、これらの山は個人的に今の時期はNGである。
となると…実は諏訪近辺で以前からもう一つだけ行けてなかった山がある。それが今回のこの守屋山である。
この山に目を付けたきっかけは長くなるので、脇に置いておくが(のちのち追記するかも)、この山が、これまで行けてなかった最大の要因は、公共交通機関で行くのが面倒くさいからである。最近の前々から目をつけていたけど、登れていない理由はだいたいこれである。
守屋山は、車だと非常にアクセスが良く、諏訪から伊那に抜ける昔からの街道沿いに、登山口が2か所あり、いずれからも1~2時間で登頂できるというとてもいい山なのである。ところが、公共交通機関の場合、この2つの登山口へと日常的に通るバスは存在しない。
で、どうなるかというと、諏訪大社上社を起点に守屋山の登山口まで、標準的なタイムで140分ほど登って行かなきゃいけないわけである。そこからようやく守屋山に取り付き、この山は双耳峰なので東峰と最高地点の西峰まで登り、あとはピストンして上社まで戻ることになる。トータルだと往復で標準的なタイムだと6時間30分~7時間のコースである。
その上で、上社までどうやって行くか問題が発生する。諏訪大社でも下社は下諏訪駅から徒歩圏内だが、上社は本宮にしろ前宮しろ、とにかく公共交通機関での便が悪いのである。一度、観光でやってみたことあるので身に染みて分かってる。
ちなみに、あまりに便が悪すぎて、初めての上社に参拝した時は茅野駅から本宮までタクシーを飛ばした(後で茅野でレンタサイクルを借りればよかったと気づいたが、それこそ後の祭りだった)。
どうでもいいのだけど、上社本宮へは上諏訪駅からと茅野駅からだと、茅野駅からの方が距離的には半分くらいなのだけど、バスが一切走っていないのは、茅野駅が茅野市で、上社本宮が諏訪市という市域をまたぐことになってしまうからなのだろうか…。
閑話休題。ただ、上社本宮までは、かろうじて下諏訪駅からコミュニティーバスが走っている。とはいっても、このコミュニティーバスが曲者で、本宮周辺にバス停はあるものの、あくまでコミュニティーバスなので市内を走る複数路線が行き交っており、駅からにしても本宮からにしても、バスのコースによって所要時間に大きく開きがあるのである(公式にもバスによって30分の差があるのを認めている)。
もちろん以前にも、上社本宮発での守屋山の登山を検討したことはあったのだけど、前泊して平日の朝早めに走るバスが使えないと、下山時間まで考えたら無理、という結論だった。
それで話は戻り、んん?前泊?平日?…今回じゃん!と宿を押さえてから気づく。出発日の前の晩は、なんとなくそこまで考えて、コミュニティーバスの時刻表をチェックして、やっぱりなんとかなりそう、ということが分かったところで、まずは就寝。
【前泊から一苦労】
翌日の前泊する日は、前の晩に慌ただしかったのでゆっくりと起き、目的が変わるので当初の目的用に詰めていたパッキングを一度バラして、今回用に組み替える。そして再度、複雑なコミュニティーバスの時刻表でベストそうなのを時刻表をにらめっこして、よくよく調べる。
検索にかまけていたら、おいー、JR中央線が人身事故で運転見合わせ、それも復旧までかなり時間がかかるというニュースが。んもう、当初の予定がご破算になったことといい、今回の旅行は、いろとケチがつきそうだ。この予感は最後まで引っ張ることになる。
それでも上諏訪までの特急乗車駅にしていた立川駅までたどり着き、遅れに遅れたがために、再開後初の特急となった便に乗れそうなので、指定席の予約を変更する。結果的に、90分遅れに立川駅に着いた1本前の特急に乗れたことで、当初の旅程から30分程度の遅れで上諏訪駅に着。
徒歩で前泊のお宿にチェックインして、風呂に入り倒し、夕食でお腹も一杯である。食後も温泉入ったりしつつ、さらに翌日のバスを検討。幸運なことに泊まった宿が、朝食は6:30~ということなので、宿近くのバス停7:26発→上社8:02着か、別のバス停7:50発→上社8:15着かなと思いつつ、夕食で満腹になったこともあって早めに就寝。
【出発して上社参拝ののち山行へ】
上で書いた通り、温泉に行けば入り倒さないと気が済まないので、夜明け前に起きて朝食前に温泉に入り、荷物をまとめて最終的なバスの行程を考える。ぶっちゃけ、出発が24分違うのに、到着は13分しか違わないんだったら、帰りは早めにしたいと思っても、ゆっくりと朝食を摂って時間があった方がいいんじゃね?という結論で、上社着8:15で行動し始める。
当初は時間が気になったので、上社への参拝は下山してから時間があれば…くらいに思ってたけど、やはりご挨拶なしには登れないと考えを改めて、上社に参拝。その後、守屋山登山道の道標に従いつつ山肌沿いに横移動で、前近代の神仏混交時代の神宮寺の跡を辿りつつ進む。
神宮寺の伽藍の跡を過ぎたあたりで、いったん舗装道路に出るが、道標に従いつつ進んでいくと、いよいよ守屋山方向へといよいよ登山道らしき道を登っていく。横移動しているというのも意味があって、諏訪上社は神社すぐ後ろの山が御神体とされており、立ち入りは許されていない。だから御神体を避けつつ、後ろの方の山へ取り付いていくわけである。
そのうちにいったん舗装道路に出て、そのまま登っていくと、武居城跡森林公園という大きくも倒れた看板が目に入り、その後ろに小さい看板でこの公園と「守屋山」と入った道標の矢印が見える。
【登ってすぐケガをする】
いよいよ山道かなと思ったら、しばらく登ってすぐ林道に交わる。ここは道標に従って、横断してそのまま登っていく。
そして、ここでやらかしてしまった。今回は熊鈴を持ってくるのを忘れてしまったな…と思って気が逸れた瞬間に、目の前の木段に見事に足を引っかけ、とっさに右手を前に出してコケる。右手のひらを出した木段が木の幹を活かしたもので、枝を払った突先に運悪く手のひらを付いてしまって、あっと思うまもなく手のひらの皮を破って出血。
手のひらが土まみれた形で出血してしまい焦ってしまう。飲み物としてお茶は持ってきたものの、水は持ってきておらず、傷口は水で流せないものの、まずは応急で処置して絆創膏を貼る。
実は持病の関係で、血がサラサラになる薬を服用していて、出血してしまうとなかなか血が止まり難いというのもあって、あらかたは止まったので、再び歩き出したものの、完全には止まらない。
【鳩ヶ峰を経て水吞場山荘へ】
ケガしてテンション低のまま、ひたすら山道を淡々と歩く。おまけに朝から晴れ予報だったのに薄曇りで、山道も薄暗く、止血も気になって、気分は最悪である。今回はあまりにいろいろ上手く行かないので、正直ここで登山止めて、日帰り温泉でも入ってさっさと帰ろうかなという思いもちらっと。
とはいえ、応急処置の時間があったもののコースタイムはけっこう巻けていた。予定より早く下山できるのであれば、行っても良いかなという気持ちだけで登っていく。
正直、出血やテンションは別にしても、このコースは地味にしんどい。本当に淡々と登りが続き、時折に急というのがひたすら続く。平らな場所はほぼないに等しい。あってもホッとする間もなくすぐに登りが始まるという具合である。
それでも登り続ければ、なんとかなるもの。「峠のくぼ」「牛くび」で少々痩せ尾根の鞍部を通り抜けると分岐に至る。右手の登り方向に進むと、この近くの鳩ヶ峰のピークに至る。そのまま進めばこのピークを巻いて守屋山方向へと進める。
ピークまではほんのひと登りという程度なので、さっきの出欠は気になっているものの、鳩ヶ峰へ登るとすぐに山頂。そのまま稜線を進むと、程なく先ほどの巻いた道と合流する。
ここからは守屋山への登山口への下り基調となる。下っていくと、ポンと林道に出る。けっこう道幅は広く、脇には沢が流れている。下って行ってゲートを避けて進んだところに分岐があり、ここがようやく守屋山登山口にようやく到着。
なんとか辿り着いたものの、上社からここまでは守屋山へのオードブルに過ぎないのである。
【水吞場山荘からいよいよ守屋山へ】
道標に従って少し登っていくと、広場のように開けたところに出る。ここが水吞場山荘。とはいえ、冬季なのでやっていないし、キャンプ禁止と書いてあるし、そもそもここは夏季でもやっているところなのかしら?
バイオトイレは冬季で閉鎖中のため、仮設トイレがある。トイレで用を済ませつつ少し休憩。再び登山道の続く方へちょっと歩くと、この広場の一番奥に鳥居が建っていて、その先に鎮座する石製の小さな祠は守屋山諏訪社。特に説明版等がないので由緒等は不明。
参拝の後、いよいよ守屋山へと取り付いていく。水吞場山荘は杖突峠からのルートと交わるところなので、先ほどまでのルートとは変わって、時おり登山者の姿が目に付くようになる。
すぐに行き当たる林道を横断して、目の前の木段を登っていく。水吞場山荘近くの林道に下りるところでも、日の当たらないところに少しばかり雪が残っていたが、守屋山への登山道では、登山道近くに雪の融け残りがそこかしこに目立つようになる。
そのうちにさらさらと風花のようなものが頭上から舞ってくる。良く晴れてはいるんだけどなあ…と思いつつ登っていると、その風花のようなものが登山道に少し積もっているのが目に入る。そしてまたバサバサと降ってくる。バサバサ?これは風花じゃない。見上げると木の上の方が樹氷になっていて、それが風に揺さぶられて落ちてきているのだ。
そう言えば、昨晩の諏訪湖畔は、かなり強めの風が吹いていた。今日の風も諏訪湖方向からのものなので、昨晩に諏訪湖の水分を含んだ風が山を駆け上って、樹氷になったのではないかしら。
山荘よりずっと登りが続き、登山道にも少しだけ残雪があったりして、少し登りづらくなってくる。雪が残っている上に、急なため鎖で登るところも一カ所ある(迂回できるっぽいけど)。一歩一歩と登ってくると、立石登山口からの登山道と合流。この辺りになると、日当たりの悪いところには雪が残っている。とは言え、チェーンスパイクや軽アイゼンをはめるほどではない(というか持ってきてなかった…)。
【守屋山東峰から西峰の山頂へ】
そのうちに上が開けてきて、もう少しだろうと思ってたら東峰山頂の手前からでも、すごく見晴らしが良い。もうちょっと登ったところが守屋山東峰。おおお、景色がマジでいいじゃないですか。南西には中央アルプス、そのまま西には木曽御嶽からの北アルプス、正面の足下には諏訪湖、その奥には霧ヶ峰、北東方向には八ヶ岳が良く見える。山頂標の後ろ方向の南には南アルプス。いやあ、途中で出血してへこたれずに来てよかった。
しばし景色を堪能ののち、守屋山の主峰である西峰の方へと進む。東峰山頂を下りたところには、策に囲まれた守屋神社奥社が鎮座している。なおも進んでいくと、登山道は真っ白になっている。これは残雪というより樹氷が落ちまくって残雪っぽくなってるという感じなのかな。ふわふわではないけど、ちょっと新雪のような踏み心地。
西峰へはいったん下って登り返していく。東峰からはけっこう近いんだろうと、勝手に思っていたが意外に遠かった。なかなか着かないなあと思っていたら、目の前に掘っ立て小屋のような建物が目に入る。ここが避難小屋のラビットハウスで、通り過ぎたところが1,651mの西峰山頂。
1,631mの東峰より少しばかり高く、東峰でも十分に良い景色だったが、西峰は東峰で見えた山々がさらに良く見えて、ほぼ全方位の眺望。景色の見え方は、県境越えてすぐの南アルプス前衛の入笠山に近い感じかな。
初っ端っからテンションダダ下がりで始まった山行だったけど、ホント来てよかった。どの方向の山にも、今年のシーズンに初めて登ってみたいと思っている山々が見えて、自分的にモチベも爆上がりである。
どの方向でもよかったのだけど、昨晩泊まった諏訪湖が目に入る北アルプス方向のベンチに腰かけてお昼ごはん。景色が良いとコンビニおにぎりも実に美味しい。このままずっと居座っていたいくらいだが、また同じルートを引き返して上社まで戻らなければならないし、今日中には帰京しなきゃいけないしで、後ろ髪を惹かれつつ下山開始。
【下社へと一気にピストン下山】
同じルートで戻るだけなので、未知な部分がなく安心して歩ける。東峰でも名残の景色を楽しむ。一か所だけ立石登山口との分岐で、往復40分くらいで行ける守屋山前嶽にピークハントに行こうかと思わないでもなかったのだが、立石方向は観た感じけっこう道は下ってるようだし、雪も残ってそうなのと、やっぱり手のひらをケガしたことで弱気気味だったのでパス。こういう時は余計なことはしない方がよい。
登りでもケガしてもそれなりにコースタイムは巻けていたのだけど、下りはそれより調子が良くて、残雪やら樹氷が登山道に残っているところ以外は、ポンポンと下りていける。
登ってくる人と行き会いつつ、体感的にも思ったよりも早く水吞場山荘に着。トイレ小休憩をして、上社へのルートを下っていく。けっきょく、上社から水吞場山荘のコースは平日ということもあって往路復路ともに、誰にも会うことはなかった。
登って来た時は、ケガした上に太陽は雲に遮られた薄日ばかりで陰鬱な雰囲気だったのに、ちょうど真後ろから日が差してくる時間帯で、すっかり登山道の雰囲気が明るい。こんなにも変わるものかと、気分も軽くなってスタスタと歩いていく。
【時間短縮しようとして失敗する】
往路ではケガした直後だったのでパスした、武居城跡(眺望なし)にも寄ったりして下りて行く。その先辺りのもう少しで神宮寺の近くというところで、YAMAPを確認しながら下りて行くと、上からだと分岐っぽいところが目に入り、YAMAPを見ると道はありそう。ただ人が歩いている形跡はない。ただしここを通れば、少し時間が短縮できそうだ。
実は、調子よく下りてきてるうちに、上社のバス停16:26発の上諏訪駅に乗れそうな感じになってきたという事情もあって、時間短縮できるならちょっと行ってみるか…と思って進んだら失敗だった。最初こそは道ははっきり分かったものの、切り株が転がったりしているうちに不明瞭になり、YAMAPの地図に見える道に相当するところが分からなくなってしまった。こりゃ誰も進んだ形跡がないわけだ。
しょうがないので、元の道に近い感じでわしゃわしゃと斜面を下り、そもそもの登山道へと近づいていく。元の登山道には鹿ネットが張られてい、こっちは完全に不正解だった。鹿ネットが崩壊しているところから、登山道に復帰する(鹿ネットは破壊してません。念のため)
そのまま進んで、再び神宮寺の各種跡を進んで上社まで戻る。時間はけっこう迫っていたが、ケガもしたこともあって、再度お参りしておいた方が良いなと上社へと朝以来の参拝。
【上社から片倉館を経て帰京】
上社の大鳥居の前に、客待ちっぽいタクシーがちょうどいたのだけど、お金はかかってもバスより早く着くんだよな、とちょっと躊躇しているうちに、あえなくタクシーは走り去ってしまった。あそこは声をかけておくべきだった。
当初の予定通り、諏訪市博物館前のバス停へ向かう。時間は間に合いそうだ。歩いているうちに、諏訪大社の駐車場越しに見事に雪をかぶった八ヶ岳が目に入る。雲もすっかり取れていて、下手したら今日一番よく見えてませんかね、これ?
定刻より少し遅れて来たバスで上諏訪駅の近くまで。今日の山行は全体的に時間が巻けたので、この辺に来た時のいつもの定番で、諏訪湖畔の片倉館で日帰り入浴に入って帰ることにする。ケガした部分をしっかり洗い流し、傷口を確認したいということもあり。
上諏訪駅に向かう途中のバスで帰りの特急の指定席を予約。約1時間で温泉を入って出て、駅に急ぎ目で向かえば、タイミングの良い特急だ。片倉館の湯は熱めなのと、分かる人には分かる千人風呂の構造で、あまり長く浸かってられないというのも織り込んでの計算である。
片倉館で手早く汗を流して、ケガした箇所もファーストエイドで改めて消毒して絆創膏を貼る。うん、大丈夫そうだ。
本当ならいつものように片倉館2階の食堂で下山ビールの儀をして、テラスから多分見えているはずの諏訪湖畔越しの山並を見たかったのだけど時間がない。やっぱ上社前でタクシーに乗るべきだった…。急いで荷物をまとめて上諏訪駅へ向かい、発車予定時刻15分前くらいに何とか駅に着。職場への土産の他に、下山ビールやつまみを売店でしこたま買い込んでいると、乗る予定の特急は5分遅れとの校内アナウンス。結果的に4分遅れで到着した特急で、下山ビールの儀プラスで呑みつつ、帰京しました。
【やっぱり最後まで…】
やっぱり今回の旅行というか山行は、いろいろとケチがつく。最寄り駅まで戻り、夕食に入ったラーメン屋で、見事にジャンパーを忘れて帰ったあげく、気づいたのが翌日の晩という…(数日内に無事回収)。景色が堪能できたとても良い山行だったけど、全体的に何かがおかしかった。