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このプロジェクトの概要
- スギの人工林をすべて伐採した跡地が、自然林に戻る過程を調査・データ化し、高千穂峡の水源の森を再生する今後の取り組みに活かしていきます
- クレジットカード(日本円)または2,000 DOMO でプロジェクトを支援できます。支援金は専門家の調査費、測定機器などの購入に使わせていただきます
- 多種多様な生物からなる「奥山」の保全活動を行う公益財団法人奥山保全トラストが、本プロジェクトを実施します
活動報告
ご支援のお礼と、今後の活動について
高千穂峡の水源の森、人工林の伐採跡地が自然再生していく過程を明らかにするために
神話と伝説の町として知られる、宮崎県高千穂町。
高千穂町には、V字形渓谷で有名な五ヶ瀬川が流れる高千穂峡(別名:五ヶ瀬川渓谷)、天照大神(アマテラスオオミカミ)が隠れたと言われる「天の岩戸」をご神体として祭っている天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)など、多くの観光スポットがあります。
観光スポットでは賑わいをみせる一方、高千穂峡を流れる五ヶ瀬川源流の山々には、戦後の政策によって植えられた広大なスギの人工林が広がっており、手入れされていない山からは、台風や豪雨発生時に流木や土砂が川に流れ込むなど、山の荒廃が進んでいるという現実もあります。
そのため、2004年から地元団体(高千穂森の会等)が中心となり、山林の管理・保全や希少植生の保護を実施し、災害に強く豊かな水源の森にしていくための活動が展開されています。
当財団(当時はNPO法人奥山保全トラスト)も、「この場所を、元の保水力豊かな広葉樹の森に戻そう」との思いから、水源の森を再生させる運動への協力を申し出て、五ヶ瀬川の源流にあたる人工林のスギを皆伐(*)した後の裸地(1.85ha)を地元の方からご紹介いただき、2009年に購入・保全することとなりました。
土地購入後、さっそく皆伐跡地に保水力の高い広葉樹を植樹しましたが、苗木の成長を見に行くたびに、植えた覚えのない多様な樹種が、苗木よりも元気に育っている様子が見られました。
植樹をした苗木の生長を待つよりも早く、自然に森が戻り始めたのです。
そこで、この地域では新たな植樹をやめ、高千穂で水源の森となる天然林再生が進むように、当トラスト地(*)の自然林の再生過程を調査することにしました。
森の自然再生スピードや再生に至る過程は、地域の気候や土質、斜面の向き、シカの生息状況など様々な条件によって、場所ごとに大きく異なります。また、地球温暖化などの気候変動が進む昨今、皆伐跡地が本来の森に再生していく過程は、これまでと違ってきていると言われています。
本活動は、高千穂のトラスト地において、専門家に指導いただきながら、気温や湿度の自動測定記録器(データロガー)、野生動物たちの生息・活動を調査するための自動撮影カメラなどを設置し、森がどのように再生していくのか、そのプロセスを調査し、今後のより適切な再生方法の研究に役立てていきます。
神話と伝説の町、高千穂峡の水源の森を調査するための専門家の調査費用、導入機器の購入費用などをご支援いただければありがたいです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
公益財団法人奥山保全トラストについて
私たち公益財団法人奥山保全トラストは、多種多様な生物からなる奥山水源域の天然林が開発されることのないよう土地を買い取り、保全・復元する活動をしています。
多様性の保たれた豊かな自然を守り、人が自然と共存できる社会を実現することを目指し、2006年に「NPO法人奥山保全トラスト」を立ち上げ、2015年に財団法人化しました。
これまで保全するに至った山々は、全国19か所2,346ヘクタール(2022年10月現在。東京ドーム約500個分)で、山林のトラスト団体としては日本最大級です。
当財団の所有する森は、そのほとんどが豊かな天然林で、地元の水源地としても重要な場所となっています。土地購入の際は、一部に人工林が含まれることもありますが、将来的には野生動物も広く利用できる広葉樹の森に復元していけたらと保全活動を進めています。
人工林の天然林化を進めていくために何をしていかなければならないか。トラスト地のデータを集めると見えてくることがあるかもしれない。そのような思いから、今回の「神話と伝説の町・高千穂峡の水源の森再生プロジェクト」を計画しました。
神話と伝説の町・高千穂峡の水源の森再生プロジェクトについて
今回のプロジェクトでは、購入当時、トラスト地の中で自然林が残されていたエリアと皆伐されて自然の植生が戻ってきているエリアの2か所を対象に、温度、湿度、どのような樹木が育っているかを記録し、また、自動撮影カメラを使って動物の生息状況を調べ、データ化します。
約3か月に一度、温度や湿度を計るためのデータロガーや自動撮影カメラのデータを回収し、1年に一度ボランティアを集めてエリア内の植物・樹木の生長を記録します。
2022年10月に初めて実施した調査(方形区法調査)では、山の中に杭を打ちながら、紐で5メートル四方の方形をいくつも作り、その中に生えている直径2センチ以上の樹木の名前と太さ、高さ(目測)を記録していきました。
調査結果として、12年以上たったトラスト地の人工林皆伐地は今、風散布(*2)のハンノキや、鳥散布(*3)のアカメガシワ、タラノキ、カラスザンショウなどの落葉広葉樹の先駆種(*4)が優先して育っていることが分かり、やがて頂上部のような常緑広葉樹の照葉樹林に遷移していくものと思われます。
今後は、レーザー距離計や気温や湿度の自動測定記録器(データロガー)を使用し、より精緻なデータを取得すると共に、方形区法調査では明らかになっていなかった、野生動物が森再生にどのようにかかわっているのかを自動撮影カメラによって見える化し、調査結果を今後の森づくりに活かしていければと思っています。
支援金の使い道
【目標金額:25万円】
- ・自動撮影カメラ…6万円
- ・レーザー距離計…3万円
- ・データロガー…3万5千円
- ・専門家調査費…10万円
- ・YAMAP FUNDING運営費…2万5千円
最後に
かつて日本の奥地には、多種多様な生物にあふれる鬱蒼とした森が広がっていました。そして、この森から湧き出る滋養豊かな水は、あらゆる生き物の生命を育み、農業、林業、漁業、工業、全ての産業を支えてきました。
しかし、私たちの祖先が「奥山」として大切に守ってきたその森は、戦後数十年の間に、開発やスギ・ヒノキの拡大造林のためにその多くが姿を消しました。このため、様々な野生動植物が絶滅の危機に瀕し、また、生物の多様性を失った日本の「奥山」は、放置人工林の増加や地球温暖化の影響、また近年大きな問題となっている大規模な再生可能エネルギーの建設などにより、荒廃の一途をたどっています。
今、わずかに残る「奥山」の自然林を保全し、広範囲にわたり荒廃した森の再生に早急に取り組まなければ、近い将来、生命と文明の基盤である水源の森は失われてしまうと、私たちは危機感を募らせています。
失われつつある奥山の豊かな森を残し、保全、復元するための活動へ、ご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
支援の流れ
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プロジェクトを支援する(DOMO支援は1回限り)
クレジットカードによる現金支援(複数回支援可)、または2,000 DOMO(1回限り)にて、神話と伝説の町・高千穂峡の水源の森再生プロジェクトを支援することができます。
支援金は、専門家の調査費、測定機器などの購入費用に充てられます。
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プロジェクトの活動開始
2022年10月より、神話と伝説の町・高千穂峡の水源の森再生プロジェクトがスタートしています。
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活動報告のお知らせ
プロジェクトの進捗報告や調査結果を、公式アカウントとYAMAPのダイレクトメッセージにてお知らせいたします。