春の兆しに誘われて。大和三山・歴史散策ウォーキング
大和三山(天香久山・畝傍山・耳成山)
(奈良)
2026年03月21日(土)
日帰り
一月の「奈良まほろばウルトラウォーキング」では、凍てつくような暗闇の中、ただひたすらに前を向いて歩いた藤原宮跡。あの時の厳しい寒さが嘘のように、今朝の橿原は柔らかな春の気配に包まれていました。
今日は、JR畝傍駅を起点に大和三山を巡る、心豊かなサンデー・ウォーキングの様子をお届けします。
■移ろう季節を肌で感じて
出発の合図は、少し肌寒い空気。長袖シャツにレインジャケットを羽織って歩き出しましたが、お日様が高くなるにつれ、春の陽光が背中を温めてくれます。いつしかジャケットを脱ぎ、シャツ一枚で歩く体には、じんわりと心地よい汗が。
午前中の静かな道すがら、耳を澄ませば鳥たちのさえずり。
ふと池のほとりに目を向けると、一匹の三毛猫が。
春の光をいっぱいに浴びて、うとうとと日向ぼっこをしているその姿。あまりに幸せそうで、見ているこちらの心まで、まぁるく解けていくようでした。
香具山の麓でふと目に留まったのは、万葉集の一首でした。
「ひさかたの 天の香具山 この夕霞 たなびく 春立つらしも」
まさに今、目の前にある景色そのもの。「あぁ、本当に春が来たんだな」と、胸がいっぱいになる瞬間でした。
■歴史と民話が息づく風景
藤原宮跡に到着すると、そこには見事な菜の花の絨毯が広がっていました。
その広大な野原に、ポツンポツンと立つ朱色の土管のような建造物。これはかつての大極殿を支えていた巨大な「柱」を再現したものなのだそうです。見上げるほど太く鮮やかな柱の跡を辿っていると、かつてここにあった日本最初の巨大な都のスケールが、肌に伝わってくるようでした。
鮮やかな黄色が揺れる向こう側には、桜の並木道。開花まではあと少しのようですが、「次はお弁当を持って、このベンチでゆっくりお花見もいいな」なんて、早くも次の計画が頭をよぎります。
天香久山では、少し不思議な伝説にも出会いました。
「月の誕生石」という石があり、そこから生まれた赤ん坊が月になって山頂から昇っていった……という民話です。まるで『かぐや姫』を彷彿とさせるようなロマンチックなお話に、いにしえの人々の想像力へ思いを馳せました。
■祈りの灯りと、古道への誘い
散策の終盤に立ち寄った「おふさ観音」では、ちょうど『提灯まつり』が開催されていました。
境内に掲げられた1,000個以上の提灯。世の中を明るく照らしたいという願いが込められたその光景は、夜にはさぞ幻想的な姿を見せてくれることでしょう。
また、道中で見かけた「下ツ道」の道標。調べてみると、奈良から五條へと続く古代の官道なのだそうです。足元に続く歴史の糸を辿って、次はどの古道を歩こうか……。新しい目標も見つかりました。
旅の終わりは、甘い幸せとともに
最後は自分へのご褒美を忘れずに。
少し寄り道をして、大和名物「だんご庄」さんのお団子を手土産に帰路につきました。
暗闇の中を必死に歩いたあの日とは違う、一歩一歩に発見がある優雅な日曜日。
(あとがき)
今回のコース:JR畝傍駅 ~ 耳成山 ~ 藤原宮跡 ~ 香具山 ~ 橿原神宮 ~ 畝傍山 ~ おふさ観音 ~ JR畝傍駅