07:16
9.1 km
452 m
岩菅山(BC)
岩菅山・寺小屋峰 (長野, 群馬)
2026年03月09日(月) 日帰り
信州バックカントリーツアー三連戦の最後を飾るのは奥志賀の名山、岩菅山だ。二年前の夏に一度登っているが、そのときはアライタ沢の左岸をたどる一番メジャーな夏道で登った。今回は、奇しくも二年前にも一緒に登った親友と、季節と道具を変えてスキーで山頂を目指すことになった。 今回のコースは、寺子屋スキー場のリフトトップから寺子屋峰に上がり、そこから岩菅山の基部まで弧を描くようにのびるすっきりした尾根を歩く。ここは登山道はなく、冬だけ歩かれている。地形図を見たときから雪庇が予想されたが、稜線上はずっと見事な雪庇が続く美しい尾根だった。 予想を超えて晴れ渡った青空のもと、まずは樹林帯のなかを寺子屋峰まで上がる。そこからはノッキリまでひたすら尾根歩きになるが、尾根の南東に発達した雪庇を避けながら、尾根通しと北西側の斜面を織り交ぜながら進んでいく。途中、雪庇の大きくないところについては雪庇の下を抜けられるところもあるが、基本的には北西側を巻くのが正解だろう。 尾根は美しく、天気はよく、言うことはないのだが、尾根の北西側の斜面が基本的に針葉樹で藪が濃く、脛くらいのラッセルと相まって意外と時間がかかる。尾根が大きく北に向きを変える地点まで進んだところで休憩をとり、ノッキリまで行ったところで山頂をどうするか決めることにする。 振り返れば抜けるような青空の下に歩いてきた尾根が見えている。この山域は尾根の北側は針葉樹、南側はチシマザサに覆われていることが多いが、見るとチシマザサに覆われた南東面はすでに全層雪崩が見られている。笹の斜面は全層になりやすいとはいえ、やはり雪が少ないのだろう。 ノッキリの時点で時間を考え山頂は諦めることにしたが、岩菅山東面にあるという幻のオリンピックコースを一目見ておこうということで、ノッキリからさらに150mほど標高をあげてトラバースし、開けた斜面を探す。 ところがここからが大変だった。岩菅山東面は一面が濃い針葉樹の藪に覆われており、いったいどこを滑るのやら皆目見当もつかない。しばらく頑張ってトラバースを続けたが、埒が開かないので今回は幻のオリンピックコースは諦めて、当初だどる予定だった東面の中央を貫く薄い尾根まで、標高を下げながら藪を漕いでいく。まもなく今日我々以外には唯一の入山者と思しきトレースとも合流し、徐々に樹幹も広くなってくる。 それなりに滑走が快適になり始めた1850m付近から、ルートは尾根を外れて谷に入る。ここから標高差150mがこの日一番のご褒美RUNだった。快適な斜度と適度な樹間、そして谷間に残ったパウダー。あっという間に終わってしまったが、終わりよければすべてよし、という気持ちになるくらいのいい雪といい斜面だった。 最後にかなり細くなった谷の出口を注意深く抜けると、林道に出る。先行者が僕らのことを待っていてくれた。いわく、「自分の他にもこんなところを滑る物好きがいるんだと思って見ていた」とのこと(笑) ここでシールをつけて林道を歩く。振り返ると、岩菅山の東面にはくっきりと二本の無木立の斜面が見えていた。あれか!!あれが長野オリンピックのときに企画され、立ち消えになったという幻のオリンピックコースか!正直、ちょっと思っていたのと違っていた。調査で一部木立を切り払っていて快適な箇所があると聞いていたので、樹幹の広い箇所がある程度かと思っていたが、そうではなかった。その部分だけ完全に森が伐採されて、それがそのまま放置されいるのだ。あれはよくない。スキー好きとしては忸怩たる思いがあるが、スキースロープの開発というのは本当に大きな自然破壊なのだと感じる。今後、スキー場の開発は、植生の復元やリフト敷の完全撤去も含めて、完全な原状回復とそのための資金の事前準備を義務付けるべきではないだろうか。 そんなことを話しながらここからの長い林道歩きに備えていたら、なんと先ほどの先行者の方が車に乗せてくれると言う。正直、非常にありがたかった。良いパートナーに、良い山。そして良い出会い。今回も良い山行だった。
