【二日目】広島から出雲へ──海と風と、家族の記憶をたどる旅
広島市(広島)
2026.05.18 (月)日帰り
二日目は、前夜にレンタカー返却場所の近くに停めていた駐車場から始まった。 駅のすぐそばなのに、一本裏通りに入っただけで夜間料金が1,500円。 旅の朝に、こういう小さな“当たり”があると気持ちが軽くなる。 今日は出雲へ向かう本番の行程。 広島からおよそ3時間の道のりだ。 広島インターから少し南下し、広島自動車道へ乗り換えて広島北JCTへ。 ここから中国自動車道に入る。 この道は、出雲へ行くたびに通っているので勝手知ったるルートだ。 長距離トラックが避けるほど交通量が少なく、 日曜の朝でも“静かな高速道路”が続く。 トンネルは山陽道ほど多くないが、その分カーブが鋭い。 運転には気を抜けない道だ。 中国道に入ってすぐ、安佐SAで休憩を取った。 というのも、この先は出雲までコンビニすら一切ない。 弟夫婦のことを考えると、ここで一息入れておくのが賢明だった。 休憩を終え、車を走らせると、石丸伸二氏の話題で一躍有名になった 安芸高田市を抜け、三次市へ。 広島から三次東ICまでで高速料金の7割がかかるというのも、 この道を走るたびに感じる“山間の距離感”だ。 三好東ICまでで2,150円 出雲インターまで3,090円 三次から松江自動車道へ入ると、空気がまた変わる。 松江道は“新直轄方式”の高速道路で、三刀屋木次までは無料区間が続く。 九州の東九州道や三陸道と同じ仕組みだ。 新直轄とは。 https://car-premium.net/magazine/13771/ 松江道をしばらく走り、道の駅たかので休憩。 ここは中国山地の内陸部で、冬には積雪5mにもなる場所。 雪室があるほどの豪雪地帯だが、今日は穏やかな空気が流れていた。 売店を覗くと、弟が美味しそうなおにぎりを発見。 「田舎のお米は絶対うまいに決まっている」 そんな言葉に全員が頷き、イートインで小さな腹ごしらえ。 こういう素朴な時間が、旅の記憶をやさしくしてくれる。 ここからは弟が運転を担当。 方向音痴の弟だが、シエンタは職場でも乗り慣れている車。 レーダークルーズコントロールを使いながら、 私がしっかり案内して出雲の稲佐の浜まで走ってくれた。 中国地方の高速は慣れない人には難しいが、 今日は迷いようのない一本道。 安心して任せられた。 出雲に入る前に、まずは稲佐の浜へ。 青い海、白い砂浜、弁天島。 風が心地よく、海の色が深く澄んでいて、 歩くだけで心が静かに整っていく。 家族で海辺を並んで歩きながら、 「今日も良い旅になるな」と自然に思えた。 昼食は「出雲そば おくに」で三段割子そば。 出雲そばはパサつく印象があったが、 ここのそばは香りも水分も程よく、驚くほど食べやすい。 家族全員が「美味しいね」と笑顔になり、 旅のテンションが一気に上がった。 食後は出雲大社へ。 出雲大社は珍しく“参道を下っていく”神社で、 歩くほどに心が静まっていく。 大国主命の銅像前では、いつ来ても背筋が伸びるような気持ちになる。 ここで家族写真を撮り、旅の記念がまた一枚増えた。 拝殿、本殿を参拝し、本殿の外周も丁寧に歩いた。 空気が澄んでいて、場所ごとに風の温度が変わるのが分かる。 御朱印とご縁守をいただき、 このタイミングで御朱印帳がちょうど満了。 次は、あ〜ちゃんママ(妹)遺した御朱印帳を使うと決めている。 これからの参拝は、妹と一緒に歩くような気持ちで続けていきたい。 最後に、福山に住んでいる未来を見てくれた先生が勧めてくれた三歳社へ。 この先生は昨年急にお隠れになったが、教えてくれた場所を訪れることで、 今もどこかで見守ってくれているような気がした。 弟夫婦と共に静かに手を合わせ、心が落ち着く時間となった。 参拝を終えて駐車場へ戻る途中、 母はサクサクと前を歩き、弟は「アイス食べたい」と言い出す。 「キララ多伎でゆっくり時間取るから」と伝えて移動。 こういう家族のやり取りも、旅の温度を上げてくれる。 ここでナビが急に現在地を示さない緊急事態。 仕方なくスマホナビで走っていたら自然復旧したから良かったが…。 新しいナビは、ディスプレイオーディオのタイプで技術が枯れていない。 なのでこの様な事もあるのであろう。 キララ多伎へ向かう海岸線では、風力発電の大きな風車がいくつも並び、 海の青さと風車の白さが美しく映えていた。 道の駅では会社用にしまねっこのお土産を購入。 私は、ゆるキャラには目が無いし、島根に行った事が分かる お土産が良いので…。 弟の嫁さんは串唐揚げを買い、弟に少し渡していたが、 ボディビルが趣味の弟は油脂制限があるので嫌な顔。 それでも私は「旅の時くらい少し緩めてもいい」と思っている。 普段の習慣がしっかりしていれば、すぐ戻せるものだ。 これが言えるのはまさに山行をして、休んでも意外と何とか なるのを知っているからである。 ここから出雲多伎ICへ入り、山陰道を浜田方面へ南下して広島へ戻る。 山陰道も松江道と同じく新直轄方式で無料区間が続く。 出雲多伎から広島までの高速代は3,180円。 ただ、ここからが“山陰の難しさ”だった。 過去に、母の知り合いがナビ通りに走って 山道へ降ろされてしまった話を聞いていたので、 私も慎重に走ったのだが── 嫌な予感は当たるもので、湯里ICで降ろされてしまった。 9号線を南下しつつ「いや、まだ行けるはず」と温泉津ICから乗り直し、 石見福光ICまで南下。 しかし今度は江津インターへ向かいたいのに、 国道261号線へ誘導される。 地図を見ると、江の川の上流へ向かっている。 「これはマズい」と直感が警鐘を鳴らし、 ナビを江津インターに設定し直してリカバリー。 山陰の道路は、油断するとすぐ山へ連れて行かれる。 江津インターを越えた時には、思わず「助かった」と胸を撫で下ろしたほどだ。 だが本番はここから。 浜田自動車道で中国山地を越えねばならない。 レーダークルーズコントロールを使いながら慎重に走り、 寒曳山PAで一度休憩。 自販機とトイレだけの静かな場所だったが、疲れた頭には ちょうど良い静けさだった。 千代田JCTまで来れば広島はもうすぐ。 無事に山地を越え、ガソリンを満タンにしてレンタカーを返却。 予定より1時間早い17時半過ぎに広島駅へ戻ることができた。 駅弁と最後のお土産をゆっくり選ぶ時間ができたのは、 今日の“ご褒美”のようだった。 ただ、18時過ぎなのに駅弁の種類が少ないのには驚いた。 博多駅は19時を過ぎても豊富なので、 広島駅は元々種類が少ないのかもしれない。 それもまた土地の個性だ。 新幹線に乗り、新岩国を過ぎた頃に駅弁を食べ終えた。 暮れゆく高速道路の灯りを車窓から眺めながら、 博多へ戻り、今回の旅は静かに幕を閉じた。 二日目は、海と風と、家族の記憶をたどるような旅だった。 そして、亡き人の気配や、家族の未来をそっと感じる時間でもあった。 おしまい。





