稗畑山・七面山・大野山
秋高し。 この日は快晴に恵まれ、北九州市小倉南区にある稗畑山・七面山・大野山の三座を歩いてきました。 今回の起点は、西大野八幡神社。 神社を起点に、稗畑山、七面山、大野山と巡る反時計回りの周回コースです。 西大野八幡神社は、北九州市小倉南区山本に鎮座する古社。 静かな境内を後にして、まずは稗畑山を目指します。 境内横から山中へ入ると、登山道はところどころ分かりにくくなります。 明瞭な道を外さないよう、周囲を確認しながら慎重に進みます。 しかも、稗畑山への道はかなりの急坂。 低山とはいえ、なかなか手強い登りが続きます。 この稗畑山には、かつて豊前稗畑山城が築かれていました。 山頂付近に築かれた中世の山城で、戦国時代にはこの一帯をめぐる争いの舞台となった城でもあります。 現在、城跡を示す案内板などはありませんが、山中には堀切や竪堀、土塁、曲輪などの城郭遺構が残されています。 急坂を登りながら、「この山の上に、かつて城があったのか」と思うと、単なる低山歩きとは違った趣を感じます。 足元の道だけを見て歩いていると、何気ない山の中にしか見えません。 しかし、そこに残された地形や遺構に目を向けると、戦国の時代へとつながる歴史が静かに息づいていることに気づかされます。 稗畑山の山頂付近を越えると、次は七面山へ向かいます。 稗畑山では、道の分かりにくさや急坂に苦労しましたが、七面山から先は一転して、比較的分かりやすい登山道が続きます。 七面山の山頂には、法華経・日蓮宗信仰の御堂があったと思われる残骸が残っています。 長い年月の中で建物は姿を失っていますが、ここにもまた、この山と人との関わりを感じさせるものがあります。 七面山を越え、そのまま登山道を進んで大野山へ。 大野山の山頂は、いかにも「山頂」という雰囲気ではありません。 木々に囲まれた登山道の途中に、静かにピークがあるといった感じです。 それでも、三座目のピークに到達すると、今回の山歩きも終盤に入ったことを感じます。 この日は朝から快晴。 空は真っ青で、山歩きには申し分のない天気です。 ただ、このコースは全体的に樹林に覆われているため、眺望が開ける場所はほとんどありません。 青空の下、遠くの山々を眺めながら歩くというより、木々に囲まれた静かな山の中を歩く時間が中心です。 それでも、暑さの厳しかった時期を少し越え、季節は確実に秋へ向かっています。 以前に比べると、飛び交う虫も少なくなりました。 「これはありがたい」と思っていたのですが、今回の山歩きで悩まされたのは、別のものでした。 それは、クモの巣。 登山道のあちらこちらに張られたクモの巣が、顔や身体にまとわりつきます。 そのたびに立ち止まり、クモの巣を取り除きながら進みます。 虫が少なくなったのは嬉しいものの、今度はクモの巣の多さに閉口しました。 三座を歩き終えて感じたのは、今回のコースは眺望を楽しむ山ではないということ。 青空の下で遠くの山々を眺めるというより、静かな樹林の中を歩きながら、山そのものを味わうコースといった印象です。 わずかな標高の山でも、急坂があり、道が不明瞭な場所があり、そして山城の歴史がある。 何気なく歩いている低山の中に、かつて人々が築いた城跡が残り、信仰の跡が残されている。 そんなところに、低山歩きならではの面白さがあるのかもしれません。 眺望には恵まれないコースでしたが、快晴の青空を頭上に感じながら、静かな樹林の中を歩くことができました。 そして、稗畑山に残る山城の遺構や、七面山に残された御堂の跡を目にしながら、この山々が長い歴史の中で果たしてきた役割に思いを馳せる――。 そんな、静かな秋の山歩きとなりました。





