馬渡島大山西壁 初登攀
佐賀県馬渡島(まだらしま)大山西壁200mを初登攀した。 「5/30-6/1九州で辺クラ行きませんか?」とけんじりから写真付きで連絡が来た。 予定も空いていたのでリゾートクライミング気分でOKした。 場所は佐賀県の馬渡島とのこと。地形図を調べてみると大山のピークは202mほぼその高さから西壁が海に切れ落ちている。 200mの未踏壁… これはなかなか凄い。リゾートクライミングとは程遠いガチクライミングになるなと気合いが入る。カム、ナッツ、アブミにペッカーなどなどあらゆる状況を想定して装備を整えた。 前日の最終便で馬渡島に入り前泊。午前4時半に宿を出発した。1時間ほど車道を歩き西壁が見渡せる場所まで来た。 「凄い!!!」 海からピークまで聳り立つ200mの岩壁は写真から想像していた以上の迫力で、テンションが上がるとともに、本当に登れるのか?という不安も込み上げてくる。 ひとまずドローンを飛ばしてラインを偵察してみる。2人であーだこーだ言いながらラインを探る。 大山ピークで装備を整えて下降開始。今回は懸垂下降でアプローチする。100mロープ2本でちょうど取り付きに降り立った。 一度海に降りて岩壁に取り付く 1P(20m):けんじり 出だし数mの脆い岩壁を登りブッシュと岩のミックス帯を登り立木で切る。 2P(20m):taneku→けんじり スッキリとした岩壁で出だしはプロテクションもいい。下から見ると傾斜も緩そうに見える。カムを決めながら5mほど上がったが中盤以降はプロテクションが脆弱すぎるし、緩そうに見えた傾斜もなかなか立っていて登れるイメージが湧かない。取り付きに戻りけんじりにバトンタッチ。けんじりは5mほど直登後大きく左にトラバースするラインを選択。そこからブッシュ帯を目指して登るが厳しいようで進まない。フリーでは無理と言うことになり、アブミを荷上げ。z4の0,0.1番にアブミをかけてじわじわ上がり1時間ほどかけて中盤のブッシュ帯に到達。そこから上はプロテクションが全く取れず、どう行く気なのかさっぱりわからない。 右や左にルートを探っているが、やはりどちらも悪いようで進まない。しばらくして左のラインを選択し、意を決して3mほどのトラバースに成功。あと数m上がればブッシュ帯だが悪いようで進めない。やばすぎると言うことで投げ縄で突破を試みるがなかなか成功しない。敗退がよぎり始めた時に投げ縄に成功。それを使って残り数mを上がってブッシュ帯に入った。20mほどではあるがこのピッチのリードに2時間を要した。 3P(30m):taneku とりあえずしばらく登り左手に明瞭なクラックが見える。ただクラックは岩が割れたもので信用はできない。どうするか迷ったが右手のブッシュ帯に入りその上の3番サイズのクラックのある岩場を乗っこして進む。一段上がると傾斜が緩み15mほど先に大きな立木の生えるテラスが見える。そこまで簡単なラインを選びながら進みピッチを切る。けんじりは次のピッチの繋ぎを考えてやや離れた位置でセルフを取り一旦そこへ移動した。 4P(30m):けんじり 登りやすいスラブから始まり、やや傾斜の急な岩場を進む。ホールドは豊富でプロテクションも立木で取れるので登りやすい。最後はアプローチに使った100mロープをフィックスしたポイントまで進みピッチを切る。これで下部100m終了で残り半分。 5P(65m):taneku 残りは100m 傾斜は緩むので登りやすい。一気に行けば2ピッチなので出来るだけロープを伸ばすことにする。出だしを一段上がると岩と草混じりの斜面に出る。前半はカムでプロテクションは取れたが立木は全く無い。後半はプロテクションが取りにくくランナウトが激しかった。かなりロープを伸ばしたのでそろそろピッチを切りたいが切れる場所がない。けんじりが何か叫んでいるがよく聞き取れない。おそらくロープの残がないのだろう。スリングをかけられそうなピナクルまで進みピッチを切ろうとしたが、ピナクルはぐらつき使えない。ハーケンも打ってみたが岩が割れて決まらない。5mほど先にクラックらしきものが見えるがそこまでロープがあるのか? 祈るような気持ちで1mほど進むとロープがいっぱいになる。くそっ! けんじりのいるビレイ点は安定した場所だったのでセルフ外してなんとかしてくれるだろうと願う。少し待って、一歩を踏み出すとロープが出る! クラックの見える岩場になんとか到着。0.75がなんとか決まった。土に埋まっている岩の合間にある怪しいクラックだがここで切るしかない。少し離れた箇所にもハンマーで掘ると0.4番が決まるクラックが出て来た。さらに0.75と同じクラックに1番も強引に決めてなんとか終了点を作成。あまり信用はできないので、出来るだけ支点に荷重はかけないようにビレイする。幸いけんじりも問題なく上がってきてホッとした。なんでもけんじりは自己ビレイを解除して5mほど登っていたとのことだった。 5P(35m):けんじり 4Pで距離を稼いだので残りは35m。傾斜も緩みビクトリーロードだ。プロテクションは相変わらず取れないが技術的に問題はない。けんじりが中間支点を一本も取らず登り切った。登攀時間7時間で200mの岩壁を完登。2人とも精魂尽き果てしばらくギアの整理に取り掛かれなかった。 これだけスケールのあるカッコイイラインをこの時代に国内で登れることは、とても貴重で贅沢なことだ。ついつい凝り固まった考えになり、情報の多い中央のクライミングにばかり目を向けてしまうが、柔軟な思考を持てば、地方には素晴らしい楽しみがそこら中に溢れている。 これからも自分らしく充実したクライミング人生を歩んでいこうと思う。 馬渡島大山西壁 200m F.A. 2025年5月31日 @kenjiri @taneku






