大岳山・御岳山・御前山(東京,山梨)
2026.08.30 (日)日帰り
二人旅行
やまなし2026「風林火山」のデジタルバッジと、その特典の手ぬぐいを得ることを目的に、山梨県を旅行した。解禁されたばかりの新鮮なバッジ。手ぬぐいは全部で6個あるバッジのうち4個の獲得でよい。組み合わせはどうしようか。ハンターたる者、必ず何かを狩らねばならない。手ぬぐいは持ち帰りたいと練りに練った。
金曜日の夜。8番出口の独特なストーリーに、ランドマーク情報を調べる手は止まり、砂浜に佇む小松菜奈の美しい姿は八ヶ岳を思い出させた。土曜日に施設を回り、日曜日に瑞牆山と金峰山を縦走するという夢の計画を枕の下に入れて眠った。
土曜日の朝、雨が降った。週末は晴れない週が続いている。夢の中もどんよりと曇っていた。車のドアを優しく閉めて、まとわりつく湿り気にサヨナラを告げた。
①「まち歩き」:道の駅甲斐大和
市場で売っているのはぶどうやマスカット、プレーンなど。甘そうで、なかなかに安い。気分は旅行。何を買おう。施設の中を一周して逡巡したが、喉から手は出なかった。
②寄り道:酒蔵櫂
勝沼はぶどうが盛りを迎えていて、ぶどう狩りの看板が道の両脇を賑やかにしていた。立ち寄ったパン屋もぶどうやブルーベリーを使ったものばかりで、夏の真っ盛りではなくこの時期に旬を迎えるのだと知った。
甲州味噌を使ったものを食べたいと決めたランチ。築200年の酒蔵の屋根裏を使った古民家カフェ「櫂」。腹六分目でも満たされた。小鉢も鮭の粕漬け焼きも美味かった。おでんのように分厚い大根は箸で割ると、粕汁の中にじゅわっと旨みが溶けた。野菜の出汁をすべて出し切ったあとに、粕汁そのものを飲んだ。
傷がついて売り物にならない桃を一つ100円で購入した。熟れることに伸び代があった桃は、この旅の中で色が変化した。車の中は桃源郷。トランクに積んだ荷物を整理するたびに、桃の香りが気持ちを高揚させた。
③「クリーンハイカー」:ゆうのう敷島
道の駅のように、地元で採れた野菜や果物などが売られていた。ミニトマトが小袋にぎゅっと詰まったものを250円で購入した。見た目だけで判断すればゆうに50個を超えている。桃と同じように、旅行中に赤色を帯びるようになった。
④寄り道:昇仙峡
気分は旅行。羅漢寺山を登る択を選ばずに観光客として訪れた。昇仙峡を開拓した、円右衛門(Enemon)をエネモンと読み間違える相方と笑いながら、日本の滝百選の仙ヶ滝などを見て回った。850万円の玉が売られる水晶博物館で雨宿り。偽と本物の見分け術を身につけて暇つぶし。
山宮温泉で汗を流して、瑞牆山荘駐車場へ。外を数百歩。中に戻ればずっと雨音。屋根に守られて、明日の天気を祈った。予報は曇り。雨寄りの曇り。雨だけはどうかご勘弁を。
⑤「風」:湯村山
日曜日の朝、雨が降った。夜よりも大きな音を立てていた。諦めた。せっかく来たからと、おにぎりを外で食べた。澄んだ空気を口の中に一緒に放り込み、咀嚼して飲み込んだ。主目的は手ぬぐい。悲壮感はない。
湯村山。緑が丘スポーツ公園駐車場からピストンで、距離は3キロメートルと獲得標高は150メートル。朝の散歩にちょうどよく、実際に散歩している人が何人もいた。みなさんもバッジ獲得が目的だったかもしれない。
不安なことに山ビルがいるらしい。湿った落ち葉が撒かれてあり、そこに光が当たって蒸されていた。案内板を見たあとは歩道を怯えながら歩いた。会わずに安堵したが、噛まれても血が止まらなくなるだけでも、あんなに気持ち悪くて不気味な生物にまた憑かれたら屈辱だ。
⑥「火」:たいら山
荒川沿いを駆ける車。窓から山が仄かに見えた。薄らとしていたが、圧倒的だった。
たいら山は虻だらけで、途中は何もおもしろくなかった。なぜYAMAPはここを選び、行かせようとしたのだろうか。その微かな理由は頂上にあった気がする。
眺望はそれなりに良く、八ヶ岳や鳳凰三山が藍色だった。やまなしを代表する山をたくさん見た。下りは虻に追われて走りながら大量の汗をかいた。汗を大量にかきたい人には最適な山かもしれない。サウナスーツを着て湯村山を登っていた人に教えてあげたかった。
寺尾の湯で汗を流して、まったりと休憩した。水風呂の冷却装置が故障中で、ぬる湯になっていた。ぬる湯に浸かって、明るい外を眺めた。露天は風が心地よく、今回の旅行で最も天気に恵まれていた。
⑦手ぬぐい:ぶどうの丘
勝沼はぶどうの盛りが続いていた。天気が良くなって、土曜日よりも活気があった。窓からは金峰山を象徴する五丈岩や、乾徳山の神々しい岩の塊が見えた。未踏の山。挑もうとした山。櫛形山はたいら山よりたいらそうだった。またの機会にまみえたい。
ぶどうの丘は昨冬にワインを試飲した以来だった。まだ高山を知らない時期。日光白根山が最高記録だった。今見ているものは圧倒的で、そのときは近寄れない山々だった。相方が仲を取り持ってくれて、ようやく近づけるようになった。未踏の山がたくさんある。ゆっくりと時間をかけて、歩ききろう。
手ぬぐいをもらい、目的を達成した。その満足感よりも、桃を早く食べてみたい気持ちが勝っている。
「道草を楽しめ 大いにな ほしいものより大切なものが きっとそっちにころがってる」
たしかにそうかもしれない。