取立山での遭難救出にかかった費用の総決算をしてみました。写真はピークから滑走し始めた遭難前のシーン。 山岳救助の費用ですが、自然の雪山で滑落転落した事故で公的機関である警察消防に助けていただいた今回のようなケースは、交通事故や火事などと同様に過失の有無を問わず救出者の費用負担は求められないようです。実際には、搬送された箇所から自分の車に戻るタクシー代、失ったグローブ、ストックの購入、壊れたゴーグルの修理、スキーを回収していただいた救助隊の方や地元勝山市への御礼寄附など諸々含めて十万円以上の出費にはなりましたが。 捜索当初に遭難者の位置が特定できない場合は、ココヘリに加入し発信器を携帯していれば同行者や家族からの通報によって発信器の直接探知をヘリやドローンを用いて行い警察消防と情報を共有するようです。これはココヘリの保険でカバーされますし、救助活動は通常と同様に警察消防が行います。ただ遭難の事実を知るまでに時間が相当にかかりそうです。やはりスマホと電波は重要です。 もし遭難場所の特定が難航したり天候不良等によって捜索が長期化した場合に公的な捜索が打ち切られると、遭難対策協議会(遭対協)など民間ボランティア救助隊が動くことになりますので、これには多額の費用が発生します。YAMAPでかつて白馬大雪渓での遭難救助例が紹介されましたが、そのケースでは遠い山麓の警察消防ではなく、より近くの小屋に控えていた遭対協を選択されたので費用が発生したという内容でした。 https://yamap.com/magazine/29646 他にも、スキー場のリフトを使い管理区域外に出てから救助を求め、スキー場が費用負担ルールを決めている場合(例:ニセコ、西武系など大手スキー場)や、地方自治体が山岳遭難の救助に関する条例で費用負担分を制定している場合(例:埼玉県、野沢温泉村)では、警察消防が関与した公的救助であっても一定の費用負担が求められるようです。 私も一律に一定の費用負担ありで良いのではと思いますが、例えば高額なヘリ出動を断って地上からのアプローチを求められ、逆に救援隊が危険に晒されること等がないよう、意思決定プロセスや責任の所在など、行動の多様化とともに制度は深く考えて作る必要がありそうです。実際、日本の山岳救助組織は任意で業務を行っているのに、救助活動中の事故について訴訟が起こされたりしているのが実情です。 制度をどうすべきかの議論に関心をもちつつ、私たちは様々な山のリスクと遭難救助の実情を理解した上で、自力でできるだけ生還に繋がる装備や万が一の事故に備えた保険に加入しておくべきなのでしょう。今回いろいろと勉強になりました。皆様のご参考になれば幸いです。 (これと関係ないけど)確定申告すませねば〜。定年退職するとタイヘンです

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