四国八十八か所お遍路参り 12日目〈高知編〉
H28.12.1
「マザー・テレサに出会ったお話」
早いもので、12月に突入。
12月といえば旧暦の呼び方では師走。
調べてみると、「師走」の由来は、僧侶のような普段落ちついている人でも、この月は多忙で走り回るようになるという意味から名付けられたという説があるらしい。
世間とは対照的に、人生の寄り道をしている僕にとっては、今年の師走はのんびり自分自身と向き合う季節となりそうだ。
朝9時起床。外に出てみると、夜中、雨が降っていたのか地面とテントが濡れていた。
テントのおかげで雨に濡れることなく快適に眠ることができた。早速テントに助けられた1日となった。
食料が底を尽きたため、朝ごはんを調達しに周辺を散策するも買えそうな場所はなく、結局、朝ごはんは食べれずじまいだった。
テントを片付けたりしているうちに時間はあっという間に過ぎてしまい、11時からようやく歩き出す。
24番最御崎寺、25番津照寺を打ち終わり、小高い山の上にある26番金剛頂寺を汗だくになりながら打ち終わる。
今日は歩きはじめたのが遅かったこともあり、ここから数キロ歩いた、道の駅で寝泊まりする予定でいた。しかし、26番を打ち終わったあたりから、何故かハイカーズハイになってしまったため、約30キロ先の漁業の盛んな奈半利町まで一気にむかってしまおうプランに切り替える。
一心不乱でノンストップで歩き、18時に奈半利町に到着。
日帰り温泉施設で入浴後、脱衣場で小休憩していると、今まで感じていなかった疲労感が一気に襲ってきた。
ふと思えば、今日は朝から何も食べていないことに気付く。どうやら歩きに集中していたせいで、空腹であることすら忘れてしまっていたようだ。
夕食を食べるため、近くのスーパーへ立ち寄るが弁当は全て売り切れであったため、仕方なくコンビニで焼肉弁当と、ファミチキとイカフライを購入。駐車場で食べようとした時、40代後半ぐらいの女性(Aさん)に声を掛けられる。
「今日はどこに泊まるの?」
と聞かれたため、まだ未定ですと答えると、
「うちにきなさい」と言っていただく。
非常に疲れていたこともあり、お言葉に甘えAさんの車に乗車。約10分後とても立派な一軒家に到着。
汚れていた衣類の洗濯をしていただいたり、手作りの食事の用意もしてくれた。
まさに至れり尽くせりのおもてなしを受ける。
久々の健康的な食事を、Aさんと会話しながら食べた。
話せば、歩き遍路の人をみると、ついつい助けたくなっちゃうのよねと、笑いながら話されている姿を見て、その瞬間、僕が僅かながら抱いていた若干の不安は全て消え去った。
明日、目指す予定の27番神峯寺の話題になる。神峯寺は名前の由来の通り、真っ縦と呼ばれる急勾配な山道の頂に建つお寺で、高知県の難所の一つとされている。
ふと、僕のザックに目をやると、Aさんは言った。
「ザックを背負って登りきるのはとても大変だから、Bさんを尋ねなさい。Bさんの自宅にザックをデポして登るといいわよ。今から電話で伝えておいてあげるから。」
と、とんとん拍子に話が進み、Bさんの自宅の地図が記載された手書きの地図を渡された。
つくづく優しい人だなと思った。
Aさんは、きっとマザーテレサの生まれ変わりに違いない。日本のマザーテレサだ!
そんなふうに感じたのを鮮明に覚えている。
その後、布団を敷いてくださり、温かい布団に包まりながら、改めてAさんの優しさについて考えた。
もし、僕が逆の立場だったら、見ず知らずの者に対してここまで優しくすることができるだろうか、、、
考え出すと、改めてAさんの偉大さを再確認した。
Aさんに少しでも恩返ししたく、いま、僕にできることはなんだろうと考え、せめて明日の神峯寺はAさんの今後の幸せだけを願って登ろう。
そんなことを想いながら眠りについた。
つづく
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