四国八十八か所お遍路参り 10日目〈徳島編〉 H28.11.29 「徳島から高知へ」 あれから、ほとんど一睡もできなかった。 辺りが明るくなったであろうタイミングを見計らいシュラフから、恐る恐る顔をだす。 目の前にはのどかな風景と、近くには海がみえた。 昨夜の得体の知れない不気味な公園のイメージとはうってかわって、太陽に照らされたこの場所は、とても静かな気持ちの良い公園であることを今更ながら認識した。 連日連夜の修行のような夜を越えて、心に筋肉が付き、少しだけハートが強くなれた気がした。 それにしても、疲れたー。 身を削った怒涛の2日間が終わり、すでに体力も気力もゼロに近い。 どこかでガソリンを補充せねば、本気でお遍路旅を断念しそうな勢いだったので、今日は宿に泊まってゆっくり体を休めることに。 現在地から約25キロ先の民宿みちしおに予約のTELをした。 本日の目的地も決まり、いざ歩き出す。 森を抜けてお遍路道に戻る際、お猿と遭遇。その後も別のお猿と遭遇する。 ふと、もしかして、昨夜の正体はお猿だったのではないかと脳裏によぎる。 きっとそうに違いない。 そうおもうと、心の底からほっとした気分になれた。 さて、今日からいよいよ徳島から高知に場所を移すことになる。 ここから24番、最御崎寺は室戸岬のちょうど先っぽの部分に位置し、距離にして今の現在地から約60キロの道のりだ。 高知は一つ一つのお寺の距離が遠く、別名、修行の道場と言われる異名が少し分かった。 ちなみに、余談だが、高知でお遍路旅を断念してしまう人が一番多いらしい。 海沿いの一本道を歩き始めて数時間、最初は海を眺めながらワクワク歩く楽しさを感じていたが、次第に一向に移り変わりのない単調な道に飽きが生じてきた。 あまりにも、同じ道が延々に続くので、前進しているのか不安に思えてくるほどであった。 昼過ぎ、睡魔に襲われ防波堤でお昼寝。 ふと足に目をやると、靴下に大きい穴ができていた。 15時、民宿みちしおに到着。 ちょうど目の前にビーチがあったので、チェックイン前に少し立ち寄ってみると、サーファー達が波と戯れていた。 どうやらここはサーファーのメッカらしい。 民宿のエントランスにはさまざまなサーフボードが展示してあり、いたるところに、南国感を感じさせる置物が配置されていた。 フロントにいくと、小麦色の肌をした、いかにもサーフィンしてますお姉さんが対応してくれた。 この宿を利用するほとんどの客がサーフィン目当てらしく、お遍路スタイルの僕の姿はこの民宿には風変わりに思えた。 やや浮いている感は否めなかったが、正直、気になるほど気力は残っていなかった。 部屋に到着後、携帯を充電し、真っ先に横になった。 しばらく眠ってしまったようだ。 時刻を確認するため、携帯の画面を開くがうまく充電できていなかったみたいで電源が落ちていた。 何度か差しなおしてみるが、全く充電中のマークが表示されない。どうやら充電ケーブルが断線している可能性が高い。 携帯が使えないことは死活問題でもあるため、フロントのお姉さんに相談しにいくが、この周辺には充電ケーブルを買えるようなお店はないとのこと。そして、これから僕が向かおうとする室戸岬方面に行けば行くほど、人工物はなくなり、海と山しかないとの情報をいただく。 悩んだ挙句、来た道を戻ることも頭によぎる。 少し渋っていると、サーファーお姉さんが私物の充電コードを貸してくれた。 明日のチェックアウト時にフロントに返してくれたらいいとのことで、有り難く使わせていただく。 明日から少なくとも2日間は今日の充電したバッテリー残量で過ごさなければならない。 バッテリーの消耗を抑えるため、明日からナビと音楽鑑賞は諦めることにした。 室戸岬に続く単調な道を音楽を聴きながら歩くことができないと思うと少し憂鬱な気分になったが、これも自分自身と向き合うチャンスだとポジティブに捉えることとした。 夜ご飯のカップラーメンを食べ、9日ぶりに布団で眠れる喜びを噛み締めながら22時時就寝。 ⭐︎トータル歩行距離 約200キロ 高知編へつづく

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