四国八十八ヶ所お遍路参り 3日目〈徳島編〉
H28.11.22
「不思議な体験」
9時起床。
昨夜は夜更かししたせいでまだ寝足りない。
眠たい目を叩き起こすため、トイレの水で顔を洗う。
今日は徳島でもっとも多くの歩き遍路が挫折を経験すると言われる12番、焼山寺の山越えが待っている。
フジオさん情報によると、この先の道には飲食できる場所が全くないらしい。
今買っておくのが得策との助言を頼りに2日分の飲み物や食料を確保するため、近くのスーパーへ買い出しに行く。途中、すき家の看板の誘惑に負けて、お腹に牛丼もチャージした。
フジオサンの助言により、難所への道のりに対する危機意識と覚悟を持つことができた。
まさにフジオさん、さまさまである。
昨夜の宿泊場所の鴨の湯に戻ると、ひと足先に買い出しから戻ってきたシモさんが、おにぎりとコロッケの差し入れを皆の分買ってくれていた。
つくづく優しい人だ。
それぞれの目的地へ歩き出す前に3人で記念撮影。
ボクとシモさんはいざ難所の12番焼山寺にむけて。
フジオサンはバイクで徳島の残りのお寺を巡り高知へ。
おそらくフジオサンとは会えるのが今日で最後だろう。
出発が名残り惜しいが、いつか会う約束を交わし歩みを進める。
まずは山の麓にある11番藤井寺を目指す。
途中までシモさんと一緒に歩いていたが、相変わらず歩くスピードが鬼の如し早かったため、先に行ってもらうことに。
11番藤井寺到着。
その脇道から登山道に入り、いよいよ山越えの12番焼山寺へ。
多量の汗をかきながら、山の中腹にある無人小屋にたどり着く。
風がひんやり冷たかったが、周りは山に囲まれとても自然豊かな静かな気持ちのいい場所だった。
時刻は15時半すぎ。
先へ進むかこの無人小屋で一泊するか迷いどころだ。
近くにシモさんの姿はなかったのでおそらく1日で山越えをしにいったものと思われる。
僕は結局、足裏の豆の状態も心配だったので無理せずこの無人小屋で一泊お世話になることに。
今日は1人か。
やや寂しい気持ちになる。
時間は経ちあたりも薄暗くなってきたころ、無人小屋にまさかの来客者が、、、
シモさんだ。
どうやら道に迷ったらしい。
シモさんらしい笑
無人小屋にて2人で夜を明かす。
今日の朝スーパーで買った食材を並べ、へッドライトの灯りを頼りにプチ宴。
シモさんの奥さんの話や、人生観について熱く語り合った。昨日はじめて会ったとは思えないほど、ディープな話もした。
今宵も大いに語らいシュラフに包まり眠りにつく。
真夜中、物音で目が覚める。
仏説摩訶般若波羅蜜多心経南無ーナムダミナブツー
お経のような音がうっすら無人小屋に響く。
ふと、怖くなりシモさんの方に目をやるとシモさんも僕の方を恐る恐る見つめていた。
アイコンタクトでお互い何が言いたいのかすぐ伝わった。
一人じゃなくてつくづくよかった。
シモさんがいなければろくに外に設置してあるトイレ場もいけなかっただろう。
本当につくづくよかった。
とても不思議な体験だった。
つづく
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