05:06
7.2 km
713 m
【三方岳・厳冬】霜柱10cm、-8℃の朝。静かな稜線で自分と向き合う山歩き
三方岳 (宮崎)
2025.12.27(土) 日帰り
「今日はきっと、静かな一日になる」 そう思わせるほど澄みきった冬晴れの朝。 宮崎県・三方岳の登山口に立った時、気温は-8℃。吐く息は白く、足元の大地は霜柱でふわりと浮いていました。 一歩踏み出すと、ザクッ、ザクッ。 10cmほどに育った霜柱が、冬の始まりを音で教えてくれます。冷たい空気の中、林の隙間から差し込む朝日が、凍った地面をやさしく照らし始めました。 根っこが張り出した道を進み、やがて稜線へ。 ここからが三方岳の本領発揮です。急登の階段は土砂で崩れ、凍ったザレ場に変貌。 「これは慎重に…」と思った次の瞬間、ツルッ。 何度も足を取られながら、心の中で小さくつぶやきます。 “今日は転ばない登山がテーマだったはずなんだけどな”。 それでも、ツツジの群生帯に入ると気持ちは一変。 冬枯れの枝越しに広がる稜線はどこか優しく、ところどころに現れる見晴らしの良い場所が、ご褒美のように現れます。 風は冷たいけれど、陽だまりはほんのり暖かい。五感がゆっくりと目を覚ましていくのを感じます。 吹き溜まりには、まだ名残の雪。 狭い稜線を慎重に進み、再び根っこの道を黙々と登る。 山頂まで残り20分――この「あと少し」が、冬山では一番長く感じる時間です。 そして到着した三方岳山頂。 展望は木々に遮られていましたが、不思議と残念な気持ちはありません。 この静けさ、この寒さ、この一日を無事に歩けたこと自体が、何よりの景色でした。 下山路で振り返る稜線。 派手さはないけれど、厳冬の三方岳は、静かに登山者の心を試し、そして包み込んでくれる山でした。 また季節を変えて、会いに来よう。 そんな約束を胸に、ゆっくりと山を後にしました。