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鳥小屋尾根-光岳-信濃俣-大根沢山-大無間山の写真

2019.08.04(日) 06:14

怖かった〜

この写真を含む活動日記

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38:36

44.9 km

4936 m

鳥小屋尾根-光岳-信濃俣-大根沢山-大無間山

聖岳・大沢岳・光岳 (長野, 静岡, 山梨)

2019.08.04(日) 5 DAYS

四泊五日なので、長文失礼。 南ア深南部に行きたくなり、未踏の百名山を含めてちょっとひねったルートを考えた。 まずは毎日アルペン号で沼平へ。相変わらず寝づらいが仕方ない。恐怖の畑薙大吊橋を渡り、鉄塔1060mから鳥小屋尾根に取り付く。急登は覚悟していたが、軽くしたとはいえテン泊装備が重い。登りだし無理して踏跡を追わず、登りやすいところを選んで行けば良い。畑薙山手前の崩落斜面はど迫力だ。畑薙山1835mからは一旦90mほど下り、後は2604m茶臼岳山頂まで一気に登る。この日は茶臼小屋テン場泊なので水は最低限の2リットルだが、足が重い。そして、頂上右手に到着する予定が、詰めを誤り山頂直下に向かってしまった。すると、窪地の手前辺りから凄まじい密集ハイマツ帯の急斜面と格闘するハメに。搔き分けるのが無理なら上を泳いで突破し、なんとかダンゴ標識のある茶臼岳山頂にとびだした。7時間もかかって、体力は使い果たした。初日から厳しい、今回の山行だ。茶臼小屋では、前回同様、越冬ビールでまったり。 2日目は南ア最後の百名山光岳までのんびり縦走。四泊5日の今回山行では一番ユルイ日だ。茶臼岳を降りて仁田池から樹林帯。仁田岳へは南尾根を偵察しに行ったが、今回山行で一番良い景色が見られた。上河内、聖、兎がみごとだ。茶臼はオマケだな。また、明日目指す深南部の怪峰信濃俣が印象的で、更に遠く大根沢山、更に奥に大無間山。本当に行けるのかな?縦走路は、その後、三吉平からのガレ場に閉口したが、静高平の水場で生き返った。イザル分岐にはNHK のドローン番組の西田がまさに撮影中だった。この日はさらにサプライズがあった。光小屋に着いて頂上と光石を回ってのんびりしてたら、なんと田中陽希がやってきた。トレランのようないでたちで、総勢六人。とても気さくで、番組通りの気の良い兄ちゃんだった。サポートにも見たような顔がいたような…。彼らは明日池口へ行くそうだ。また、富士山の夕景を、すいませんを連発して、撮影してた。 三日目、自分的に最難関日。そもそも2つある水場の状況が気になる。小屋の親父に、手前のブナ沢は判らないと聞いていたが、アザミ沢のコルまで1日で行くのは厳しい。夏場の難路二日分だと5リットル。そりゃ厳しい。心のどこかにブナ沢をアテにしていて、やってはいけない水分調整をしてしまい、3リットルにとどめてしまった。とはいえ晴天の下、素晴らしい尾根歩き。百俣沢の頭からは基本的に樹林帯だ。痩せ尾根の崩壊地は恐怖だが、展望だけは良い。踏跡は無いが、あると言えばたくさんある。下りなので、GPSと首っ引きで行けば、踏跡は気にならない。歩きやすいところを選べば、自然と踏跡に乗っている。信濃俣までは…。ここからは、更に厳しくなる。今まではバリエーションといってもルーファイのみで、危険は無かったが、ここらからは格段に地形が厳しくなった。特に2107mの崩壊地は足が震えた。そんな恐怖が次から次へとやってくる。それなりの経験はあるが、こう次々と恐怖が来ると神経がすり減る。ブナ沢の頭の通過も最悪。写真撮ってる余裕が無い。ようやく最初の水場、ブナ沢のコルに到着。さて、水を求めてブナ沢源頭を下る。急斜面ではあるが何とか下れる。と、地面が濡れて黒くなっている。しめしめ、これなら大丈夫か?期待を胸に更に下る。しかしなかなか流れが現れない。石が濡れているだけだ。距離にして100m下ったが、ダメだ。それでも、耳をすますと下からは水流の音が聞こえ出した。もう少しもう少しと思って危険な沢下りをしている。はたと、このままではやばい事に気がついた。斜面は更にきつくなり、しかも、この下は崩壊地がある。もう、諦めよう。一般的な水場では枯れているということだ。足を滑らす前に水場は諦めた。事故は回避できたものの水が足りないという現実がある。この時点での残は1.5リットル。今夜を過ごすには問題無いが、こうなると、もう1つのアザミ沢も保証が無いという不安が頭をよぎる。今日は行けるとこまで行こう。力は尽きかけているが、大根沢山を登って、万が一アザミがダメでも明日中に田代へ降りられれば良い。そのためには今日は行けるとこまで。しかし、精神をすり減らした上にさらに水場ショックが重なり、さ〜ら〜に大根沢山の驚愕の登坂が待っている。予想を遥かに上回る難度で…。こんな崖に道なんて無い!岩場も有るが、足だけでは立てない急斜面のザレバが多い。手足総動員で2時間格闘して、やっと頂上台地に出た。もう限界、水も節約している。精魂尽き果てた。平らな場所を選定する気力もなく、この日は終了。テントの中では、アザミがダメだった時の対策を綿密に計画した。明日は、大無間への登りで、どのくらい水を消費するかが問題だ。さっきの大根沢山登りは節約しつつも500ml消費した。残りは1リットル。今夜もあるし、どう考えても無理じゃね?しかし、アザミがダメな事は当然有る。アザミだが、地形図からはブナ沢よりは等高線が広い気がする。こうなったら水があるまで下るしかない?崩壊地ではなさそうなので、可能な気がする。という結論を混乱した頭で導いて、不安な夜を、水を我慢して過ごした。他にも、アザミは最初から諦め、大根沢山北尾根を進み白樺荘を目指す事も考えたが、どちらが良いか判断出来なかった。 喉が渇いて目が覚めた四日目。朝食も摂らず、アザミ谷のコルへ。小さい起伏はあっても1800mまで一気に下る。コルはどこも痩せていて、アザミも同様。さて、水目指して降下。斜度はブナ沢と変わらない感じだが、アザミ谷はすぐ左から小谷が合流しておりそちらに水流がある!チョロチョロだが、これならコップで汲める。高低差が無いのでプラティパスには直接汲めないが、充分である。良かったー、これで無茶な事をしないで済んだ。汲めるだけくんで、コルで食事して、1時間以上腑抜けていた。さて、出発だが、荷物が異常に重い。それもそのはず、今まで水は1リットル無かったのが、5リットルになったので、4キロ以上増えた。体重もガブ飲みで朝より1キロは増えてる。マッタリしちゃったこともあり、今日中の下山は頭から消し飛び、大無間のどっかで張る事にしよう。三方嶺まではなかなか厳しい地形で、登った時は、やっと一般ルートだと安堵した。三方嶺は大崩落谷のテッペンの倒木に標識があった。周囲は気持ちの良い笹原。大無間まではもうひと登り。大無間ピークは、見た目テン場だ。水場は無いが…。時間は13時。まだ早いのでそのままタラタラ歩いていたら、中無間のすぐ先に一張り分の平地があった。14時と早いが、本日の幕場に決定!明日は15時のバスまでに田代に下るだけだし、楽勝。残ったアルコールとつまみで盛大に(でもないが)宴会だ〜 五日目、昨夜は早めに寝たら、夜23時頃目が覚めてから寝られず、3時までゴロゴロして、やっと寝付いたと思ったら5時起き。眠いけどまあ、良いや。で、鋸歯だ。小無間を下り始めてすぐ、結構いやな感じの斜面を下ってたら、突如崩壊地に飛び出した!今までもこの程度の斜面はあったが、崩壊谷に向かって急斜面のザレ場を下るのは視覚的に怖い。下りきったと思ったら例の10センチのナイフリッジ!怖!ロープなんて無視して走り渡った。その後、小ピークが続き、小無間小屋からはガンガン下る。南側へ下るようになると、急斜面のザレ場のトラバースとなり、滑ったら地獄行き。何気に緊張する。雷段は直角に左に曲がるが、直進する道もあり、間違えやすいなと思う。と思った矢先、送電鉄塔の後、道を間違えてしまい、鉄塔保全の林道にでた。林道の向かう先が田代と方角が違うので、元の道に戻って、諏訪神社に下れた。11時。四泊五日の深南部縦走が終わった。この後、風呂を探すが、民宿ふるさとは誰も電話に出ない。キャンプ場の田代温泉は13時から。猛暑の中、てしゃまんく広場で呆然としてたが、キャンプ場の向かいに営業中の食堂を見つけ、ビールとつまみと静岡おでんとおばちゃん達とのおしゃべりで、13時迄過ごした。キャンプ場の田代温泉はかつて経験したことが無いほどツルツルで濃厚な温泉。洗った後にお湯をかけたら、石鹸が流れてないと思ったくらいだ。そして、15:30の毎日アルペン号で新宿帰還した。超お疲れ様でした。 やっぱり人間は水だねー。無いと心が不安になる。縦走スタイルだと、光岳からのルートは厳しい。極力軽くして、一泊で駆け抜ければ良いが、それじゃあ深南部に浸れないし、虫だらけなので、ツェルトよりテントで寝たい。沢登りとセットでルートを考えるのがいいかも。道なんてどこにでもあるしね。