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鷹ノ巣山・石尾根縦走路(奥多摩駅🔃)の写真

2024.05.02(木) 07:38

登山口までのロード

この写真を含む活動日記

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21.1 km

1762 m

鷹ノ巣山・石尾根縦走路(奥多摩駅🔃)

雲取山・鷹ノ巣山・七ツ石山 (東京, 埼玉, 山梨)

2024.05.02(木) 日帰り

鷹ノ巣山というと「奥多摩の奥座敷」というイメージがある。 「奥多摩駅」という人里からバスを経由せず直接アクセスできて、石尾根を伝って登る時、日帰りで往復できるおそらく最遠の頂だからだ。 もちろん石尾根縦走路のその果てには雲取山という最高峰が鎮座することは知っているが、それはもっと気高くて遠い、「奥座敷」とは違った表現が適しそうだ。 GWの合間の平日、私が挑むのはその「奥座敷」こと鷹ノ巣山だーー。 今回はトレーニングとして目標とする明確な「仮想敵」がいる。 登りの仮想敵は、6月に予定する百名山・大峰の弥山だ。八経ヶ岳を経由して弥山小屋に到達するまで1800mほどの標高差を登る必要がある。 下りの仮想敵はその大峰の2日目だ。弥山小屋から山上ヶ岳を経由して下山すると総下り標高は2000mを超える。 今回は1800m登り、同じだけ下る必要があるため、大峰の非常に良い予行演習になると思えた。 石尾根縦走路で鷹ノ巣山を目指すとき、標高ごとに4区間に分けて語るのが良いかもしれない。 1区間目は、奥多摩駅から絹笠山までになる。 麓はロードであり、途中で登山口から石尾根縦走路に乗る。 正直言うとこの区間を歩いているとき、私は登山をやめて帰りたい気持ちが勝っていた。 累積標高1800mを超える登山は人生で初めてで、無事完歩できるのかという心配で少し神経質になっていた。 勾配を登ってもいつもより息の上がり方が急であるようにも感じられ(多分気のせいだ)、体調不良という言い訳を脳内で考えていた。 しかし、鬱蒼とした杉林を絹笠山まで登ると、その気持ちは少し払拭された。 その付近で尾根が平坦になっているが、あたり一面鮮やかな新緑に包まれていたからだ。 視覚から気分の明るさを取り入れられたのもそうだし、もう少し新緑の中を歩きたいと思った。 2区間目は、三ノ木戸山までだ。 この区間は新緑の尾根と、暗い杉林が入り混じっている。 三ノ木戸山に着くと、ありがたいことに、帰りたい気持ちは完全に吹き飛んだ。 東京の尾根は狭いものが多いが、石尾根は両側がかなり開けていて、空間の広がりと鮮やかな緑色のにぎわいが、さながら庭園のようだ。 その美しさをこの三ノ木戸山から味わえるとは思っていなかった。 ちょうど登り標高も半分くらい経過して、残り体力的にも登山への懸念は払拭されていた。 3区間目は狩倉山までで、踏ん張りどころだ。 距離こそ短いがしばらく平坦な道を歩いたあと狩倉山までは急登で一気に標高を稼ぐ。 斜面にへばりつくようなジグザグの登山道で、振り返ると先日登った御前山の美しい姿が正面に見えた。 4区間目は、狩倉山からの長い尾根道で、鷹ノ巣山へ至る尾根歩きのハイライトと言える。 標高差は他区間と同等だが水平方向への歩きが長いので、最も時間がかかる。 新緑は標高が高くてまだ遅れているようだったが、尾根は相変わらず庭園のように広く美しく、新芽のわずかな緑が彩りを添えていた。 季節柄、鳥たちの囀りも賑やかで、とても楽しい尾根歩きを堪能できた。 いよいよ鷹ノ巣山が近づこうというとき、私の登りの脚は水根山の手前で顕著に失われていくのを感じた。標高にして1400mくらいだろうか。 逆に言うと、このくらいまでペースを乱さず登れたことに成長も感じるが、残り200mほどは全てを絞り出して登ることになった。 鷹ノ巣山の頂上はベンチなどはなく、具合の良い岩場からちょうど先客が捌けたのでそこで昼食にした。 奥多摩湖の側が刈りばらいされていて眺めがよく、御前山が下に見えることで改めて鷹ノ巣の標高の高さを感じることができた。 振り返ると樹々の合間に、雲取山に至る石尾根のその長きを眺めることも出来る。 平日とはいえGWの合間の晴天にほとんど登山客もおらず、その「奥座敷」はひっそりと、山の美しさだけを湛えていた。 下山はほとんど下りだが、一部の登り返しを経て累積標高が1800mを超える。 鷹ノ巣山の今回のルートは、私見だが、1800mを超えるコースの中では格段に簡単な方ではないかと思う。 長い尾根歩きに飽きたりしなければ、多くの区間で勾配は比較的なだらかで、ベタ足で地面を踏み締められる時間が長い。 その簡単さの分、余力は下りペースを上げることに割り当てられたし、実際、ロードに降りてから調べてほとんど無理そうな時間の帰り電車に向けて、奥多摩駅まで疾走する余裕もあった。 1区間目で嫌がっていたのがもはや嘘のように、美しい新緑と良いトレーニングで充実の山行だった。 いつかまた来たい、と言うか、毎年登山シーズン直前の定点観測トレーニングで利用したいと思った。