カタクリ。 戻る 次へ

烏帽子岳・時山コースの写真

2024.04.13(土) 12:52

カタクリ。

この写真を含む活動日記

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04:44

4.7 km

640 m

烏帽子岳・時山コース

三国岳・烏帽子岳・ダイラの頭 (岐阜, 滋賀, 三重)

2024.04.13(土) 日帰り

 4月13日はてんくらAの予報のもと、先週6日と同じ鈴鹿の烏帽子岳を歩きました。ただし、今回は花で知られている時山コースの往復です。  往路は6日と同じく鞍掛峠(駐車場は滋賀県側も三重県側も先週末同様満杯でした)経由でしたが、長命寺への左折ではなく、そのまましばらく直進して左折、烏帽子岳の美しい山容を眺めながら走ったのち、養鱒場手前の道路脇路肩に駐車しました。ここまでグーグルナビで45.6km、1時間2分でした。駐車は己を含め4台で、予想外に少ないとの印象でした。ともあれ、まだ4~5台は駐車可能な空間でした。  1) 登山道  歩き始めは10:14です。橋の入口の赤い欄干には、「烏帽子岳・西北尾根新コース。約7割が鉄塔道。上り2時間、下り1時間半」との案内表示がありました。  橋を渡ってすぐ左折すると、登山道の表示が現れました。  ここから山頂までは、途中の2~3回の緩やかな登りと、やはり数回の中小のアップダウンを除けば、総じて厳しい急登の連続でした。そのことは、地図の等高線から、またなによりも、烏帽子に似たというより、ハワイ・オアフ島・ダイヤモンドヘッドに似た画像1番目(3月10日鍋尻山から撮影)の烏帽子岳の山容からも、予め予想できていました。狗留尊山を経るなだらかな傾斜を基調とする長命寺コースとは対照的に、西北尾根(時山)コースは、長く切れ込んだ急斜面によって形作られているからです。  この急斜面のうち、2箇所、とくに厳しい急登がありました。その1つは、八合目を過ぎた前方に、登り詰めればそこが山頂への横移動となる県境稜線分岐ではないかと期待したほど眼前に立ちはだかる急登でした。ところがここをやっと登り詰めたかと喜んだのもつかの間、そこは三国岳への分岐点であって、その先に、二つ目の、県境尾根分岐までの最後の急登が控えていました。  また、欄干の案内版に記されていたとおり、道の過半がプラスチック階段による鉄塔道だったことは、私にとってはプラス・マイナスでした。階段を歩けるので、安全度は高かったのですが、中には大きい段差の階段も少なくなく、それらの場所は一般の階段路を登る以上に疲れやすいでした。さらに、鉄塔下の階段は押し流され、ザレガレの急登を歩くことになり、滑らぬよう慎重に登る必要がありました。  以上の急登では、おおよそ30歩前後登っては止まり、息を整えるという行動をずっと繰り返しました。私の年齢では、それ以上の無理は利かないという感覚でした。 記述はやや前後しますが、最初の頃の大きなつづら折れのトラバースでは、滑って落ちたらどこまで下るかわからない急斜面となっていて、このことを意識しつつ慎重に足を運ぶ必要がありました。  下山では、途中休憩の頻度はぐっと少なくなり、下山にかかった時間も案内版に記載されたのとほぼ同じ1時間半程度ですみました。しかし、長い階段の鉄塔道の下りは、全体として私には段差が大きすぎました。このため、プラスチック階段を下る際、しばしば膝の負荷を感じて、膝を痛めぬよう小幅歩きを続けたことも、これはこれで筋肉に負荷をかけました。さらに、鉄塔付近のプラスチック階段の崩れたザレガレ下りでは、滑るリスクが登り以上に大きく、それだけより慎重に下る必要がありました。このため、下に降ろした足をその場で踏ん張り、そこが滑らぬのを確かめた上で、次の足を下に進めるという動作を繰り返しましたから、これがまた、全体としての膝や足の筋肉に相当の負荷を重ねることになりました。  登り降りでは、水分.・塩分補給をコマ目にやっていたにも拘わらず、下山後両足に足攣りが生じたことが、この日の山行で足に過度の負荷をかけ続けたことの証左です。ツムラ68を服用して落ち着きはしましたが。 2)花  一週間で再訪した大きな目的は、周知の時山コースの花を見ることでした。前回は県境稜線分岐から時山コースを少し下がってイワウチワなどを見ただけで、カタクリの咲く5合目付近を含むコースの大部分を見ていなかったからです。また、前回蕾が多かったイワウチワはほとんど開花しているはずで、その様子を見たいとの期待もありました。  花として特筆に値するのは、このコース最大のイワウチワの群生を目にしえたことです。  群生としては、8合目手前から三国岳分岐前後あたりまでで、その多くを目にしました。6日に下って最初に見たイワウチワの群生ポイントは、登りの群生の最後の地点だったこともわかりました。今回は、その下に多くの群生がかたまっていたことを確認しえたことになります。  しかも、イワウチワは、前回と違い、蕾のものは予想通り少なくなっており、概ねが開花状態でした。また、白とピンクの花がほぼ同程度に開花していました。  次に目に付いたのが、カタクリでした。6日には5合目の下あたりに開花していると聞いていましたから、5合目手前付近を注意して見回してみましたが、カタクリの葉は散見されたものの、花は見かけませんでした。このため、ひょっとすると時機を失してしまったのかも、と思いましたが、五合目を過ぎたあたりで、2輪の開花するカタクリを発見。マダニが気になっていたものの、発見時には、枯葉の上に膝をつき、肘をついて、下からの撮影を試みました。立ちあがってから、体の付着物を落としましたが。  カタクリはその後も、見晴らし台まででさらに2輪一箇所、1輪一箇所、山頂付近で1輪ひとつを目にしました。ところが、見晴らし台で話し込んだ79才のベテランハイカーさんは、見晴らし台までで9つ見つけておられ、そのどれもが登山道のそば、とのことでした。やはり山での経験の差が大きくものをいうことがわかります。  もっとも、下山途中には、往路で目にしえなかったタカクリを、6つも目にすることができました。負荷の少ないゆっくり下山中は、登山道付近を見回す余裕があったためでしょう。 そのほか、山道では、スミレ、ショウジョウバカマ、タムシバ、ミツバツツジ、ヤブツバキ、馬酔木、を目にし、駐車場と登山口までは、桜、ヤマブキ、ムラサキケマン、シャガ、などを目にすることができました。  時山コースには花が多いとの情報には、間違いがなかったことになります。  途中、見晴らし台付近で話をした79才のベテランハイカーさんによれば、長命寺コースと違い、時山コースに花が多いのは、地質の違いが大きい由。時山コースには石灰岩質の岩が多く、そこに多くが開花するというのです。そう言われてみれば、イワウチワは8合目付近から三国岳分岐前後の石灰岩質のあたりに集中して咲いており、他方、長命寺コースでは石灰岩質の道は多くなく、また県境稜線分岐に至る最後の登りでは、長命寺コースも時山コースもともに石灰岩は少なくなっており、これに照応して時山コースのそのあたりでも、イワウチワを僅かしか見かけませんでした。湿気の多寡の影響もないとはいえないようですが。  時山コースはシャクナゲが有名といわれるように、確かにシャクナゲの木が多いでしたが、79才のベテランさんのご指摘どおり、花芽が殆ど付いておらず、今年は、開花時期になっても、シャクナゲの花を楽しむのは難しそうです。花芽の少ないのは、降雨量が少なかったためらしいですが。 イワカガミは、その葉すらよくわからぬままでした。6日に掲載した画像のひとつをイワカガミの葉としたのは私の間違いで、実際は、イワウチワの葉だったようです。ともあれ、ベテランさんによれば、イワカガミはイワウチワが終わった後に出てくる、同時に、ということはない由。 3)人  この日は、予想より人出が少ないでしたが、それでも、複数の人々と交流することができました。  私の駐車直後に黒い車で駐車され、私より少し遅れて取り付かれた中年ご夫婦は、私が歩き始めた40分後に5合目手前の急登で先行されましたが、私が79才のベテランさんと見晴らし台で30分以上も長話していた間に、もう山頂から下山してこられました。あとでその記録を拝見した「ひろあき」さんご夫妻でした。  8合目かそれを過ぎたあたりで、さっさと私を追い抜かれたソロハイカーさんとは、見晴らし台にて30分以上も長く、あれこれ会話しました。79才という高齢にも拘わらず私より足取りが軽く、かつ周辺の山々を知悉なさっているお人のようで、それらの山々の開花情報を詳しくお聞きしました。お話の中身が濃く、それぞれ興味深かったのですが、情報が盛り沢山すぎて、いまの私の記憶容量を上回ってしまったのが残念です。  ひとつだけ、ヤマシャクヤク情報を挙げれば、霊仙山の山小屋から汗拭峠への下りの北側等に多数開花すること、茶野などに咲くベニバナヤマシャクヤクを含め一帯のヤマシャクヤクはどれも白いこと、紅いベニバナシャクヤクは学能堂山に咲いていること、が耳寄り情報でした。春夏の花のよいところとしては、白馬五竜高山植物園が素晴らしいとの情報も戴きました。  私からは、この時期からの横山岳、大御影山、赤兎山などが、花を見るのに適しているとお話しました。しかも、大御影山ではイワウチワもイワカガミもイワナシもカタクリもシャクナゲも同時に見られますよ、とも。その大御影山には大いに興味を示されたようでした。さらに、こつぶり山・取立山もいいですよと話すと、取立山は登りがたいへんと聞いているとのこと。私は、横山岳はたしかに大変でしたけれども、取立山はさほど大変だったとは記憶していませんが、と応答。  ベテランさんは、今日の目的はイワウチワなどの花の様子を確かめに来ただけで、見晴らし台までで下山なさるとのことでした(ご当人はyamapは情報入手のために利用しているが、自らは記録を挙げていないとのこと)。そこで、私は、ベテランさんの後ろ姿を撮影させていただき(掲載許可も頂戴し)、一人山頂に向かいました。  山頂では、食事を終えられた、一宮からの、後期高齢が近いご主人、ならびにもうすこし若い奥さんと、山情報の交換をしました。お二人は細野コースの往復で、ご自宅から登山口が近いためと仰います。私はもう少し進めば花の多い時山ルートがありましたよ、とお伝えしました。  また、お二人にも、歩きやすく花の多い大御影山の情報を、画像含みで紹介したところ、大いに興味を持たれたご様子でした。4月下旬に歩かれる可能性が高いです。  4) 眺望  この日は、天気が良く、北側の伊吹山、霊仙山、鍋尻山、髙室山がよく見えました。一方、鈴鹿の方は僅かに霞がかかっていたため、くっきり感はいまひとつでした。また北側でも、冬場は金糞岳、能郷白山、白山、乗鞍岳、御嶽山、などが見られるようですが、この日はやはり霞のせいか、それらを目にすることができなかったのが、残念です。  5) ヒルやマダニについて  ベテランさんによると、夏場のこのヤマは石灰岩質のためもあって、ヒル地獄の由。そういう時期には近づかないようにします。また、pumpkinさんの最近の活動報告に接したことで、マダニを意識しつつ、なるべく山道にせり出す枝葉に触れないように歩いたのですが、山頂にて一宮のご夫妻に伺ったところ、ここではマダニはあまり聞かない、とのことでした。そこで、下山中の激下りでは、いわば安んじて両手ともそばの木につかまりながら下山しました。そうでなければ非常に降りにくかったはずです。ただ念のため、下山後は、マダニがくっついている可能性を考えて、衣服の塵などを払い落としましたが。  6) 帰路:保月廃村・杉廃村  帰路は、往路を戻るのではなく、林道時山多賀線を西に登って行きました。鍋尻山登山口近くの保月廃村の福寿草の場所を確かめるのが目的でした。3月10日に権現谷歩きでたいへん怖い思いをしたので、その怖い場所を通るつもりはなかったのですが、権現谷林道のおそらく途中からとなる保月までの林道なら、当日歩いた時落石はそれほど多くなかったとの、強い確証バイアスのかかった記憶を頼りに、行ってみようと考えたのです。  ところが、五僧峠手前の岐阜県側ですでに道がいくらかの落石などで荒れていたのが、峠から滋賀県側に入ると、林道が一段と荒れた様相を呈していました。さらに林道時山多賀線の(おそらく権現谷林道との)ヘアピン分岐まで進むと、そこから左への時山多賀線線は落石等により通行止めでした。そこでヘアピン分岐を北向きに少し下ると、再び分岐に到達。分岐の白い標識には時山多賀線と記載されていたので、すこし首をかしげました。少なくとも、ここを右に進めば、この道こそが二度と通りたくない恐怖の権現谷林道本体のはずでした。そこで、この分岐から保月へ向かう左の林道に入りました。ところが、権現谷からアサハギ谷を経るこの林道は、3月10日とは似ても似つかぬ、落石だらけのとんでもない、そして記憶する限り最悪の酷道でした。というのも、保月までの行程中、4~5回は行く手を阻む岩の前で停車して、そのつど岩を除去して通る必要があったからです。また、そうでない場合でも、ずっと大小の落石をタイヤで踏んで走ることが避けられず、その度に車体下部のあちこちに跳ね返った石などが当たり、そのつど、ごりごりガツンガツンと嫌な音を立て、さらに、タイヤ4輪ともが前後して小さな落石を踏むことにより車体が振動で震えるなどの状態を繰り返す道だったからです。  なんとか保月に辿り着くと、福寿草の葉の茂る平面、斜面をいくつも認めました。なかには福寿草の名残の開花も僅かにありました。そして、保月廃村から、冬期閉鎖の解除された林道を栗栖に向かって進んだところ、途中の杉廃村にも、福寿草の群生する平面や斜面があるのを確かめました。冬期閉鎖中は、保月から結構距離があるので、杉まで足を伸ばして福寿草を探すハイカーさんはおそらく殆どいないようで、その意味で、ここは保月とは別の穴場といってよいかもしれません。  杉からは、かつて複数回通った細いクネクネ道の林道を県道多賀醒井線まで下りました。道の細いのは要注意ながら、落石の懸念のない道でした。  帰宅後に、山道で付着した車体の泥を水ホースで除去しようとして、車体左後部下に、かなり目立つ傷が付いていることに気づき、びっくりしました。おそらく、保月までの落石だらけの荒れた林道を走行する間、目測を誤って、比較的大きな落石に車体後部を結構強くこすり当ててしまったためのようです。  もともと車体の傷にはさして神経質ではないのですが、露出した黒い下地は結構目立つので、ここだけ目立たぬよう、翌14日朝、専用シルバー・タッチペンで上塗りしておきました。  7) 予定  去年は、4月28日に大御影山を歩きました。今年は、4月下旬に高知への家族旅行を予定しており、またそれを過ぎれば大御影山では花季を終えるものが出てきそうなので、場合により4月20、21日の週末のいずれかに大御影山に出かけるかも知れません。烏帽子岳時山コースより遙かに多様な花々に再び逢えるのを期待して、です。