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剱岳(早月尾根)の写真

2023.09.17(日) 07:35

早月尾根へ

この写真を含む活動日記

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19

15:34

15.1 km

2384 m

剱岳(早月尾根)

剱岳 (富山)

2023.09.16(土) 2 DAYS

前々から行ってみたかった早月尾根ルートから剱岳へ登ってきました。 北アルプス三大急登の登山道は前評判どおりきつかったですが、憧れの剱岳へ一直線に登るシビれる登山道でした。 事の起こりは、登山始めて1年目の2020年の8月1日に白馬岳テン泊登山を終えて蓮華温泉に降りて、野天風呂の黄金の湯にビール片手に入っていた時のこと。偶然居合わせたお兄さんに剱岳の早月尾根の話を聞き、漠然といつか行ってみたいと思ったことでした。 https://yamap.com/activities/7105063 しかし当時は、岩と雪の殿堂である剱岳に行けるほどの実力はなく夢物語でした。それから三年が経ち、飯豊山や平ヶ岳、皇海山などロングコースもこなせるようになったので、ここで行くしかない!ということで当時の白馬岳遠征メンバーに声をかけて、早月小屋でテン泊して剱岳を目指すことになりました。 計画としては、雪が無く、なおかつ猛暑が収まるであろう9月中旬から下旬にターゲットを定めました。10月になると雪が降る恐れがあり、ここを逃すと来年になってしまうので、天気予報に一喜一憂、とてもやきもきしました。直前のヤマテン情報ではなんとか持ちそうだったので決行しました。 今回は、食事はアルファ米、テントではなくツェルト(ヘリテイジのクロスオーバードーム)を45Lのザックに詰め込むようにして、初めて装備の軽量化を意識しました。また、早月尾根には水場がないので水分は調理用含め5L用意しました。 飯豊山や皇海山でご一緒させてもらった柴犬氏の別荘に前入りさせてもらい乗り合いで向かいます。山行記録や地形図、グーグルアース、映画「劔岳 点の記」を見て予習はばっちりです。金曜夜に友人の家の前が大雨で冠水して車が出せないトラブルなどに見舞われましたが、なんとか8時に馬場島へ到着。 さくっと準備をして登っていきます。試練と憧れの石碑前で記念撮影して、早月尾根に取り付きます。いきなりの急登に音を上げそうになりますが、じっくりと登っていきます。松尾平からはしばらく平らですが、またすぐに急登になります。 天気は薄曇りですが、気温と湿度が高く汗が蒸発しないので、ダラダラ汗が止まりません。パンツまで汗でビッショリという状況のなか、3時間ほど歩いたところで両足が攣りえらいことになりました。 発汗量が多かったので、スポーツドリンクなどの水分は意識的に取っていましたが、出る汗の量と比べ飲む量がかなり少なかった(3時間で1.5Lくらい)のが原因と思われました。同行の二人には迷惑をかけてしまいましたが、満身創痍になりながらもなんとか早月小屋に到着。到着時点でテント場は6割くらいで、設営できる場所が空いていたのでホッとしました。 テント場の受付を済ませ、設営をしはじめたところで大雨になり、びしょ濡れになりながらテント場の真ん中くらいのところにツェルトを張り、もぐりこみました。少し雨が弱くなったタイミングで水を2.5L、ビール一缶、山バッジ、カップヌードルを購入しました。 ツェルトに戻ると再び滝のような大雨になりました。雨量が多かったので、クロスオーバードームのフロアの下に水が流れているのが透けて見え、フロアから染みてどんどん浸水してくるので、テントはステラリッジにすればよかったと後悔しながらも、下にタオルを引きなんとかやり過ごしました。 ツェルト内部で夕食を取って、翌日の準備をしたところで寝袋を出して、翌日の天気が良くなることを祈りながら就寝しました。 果たして翌朝、午前3時の過ぎにツェルトの外に出てみると満天の星空が広がっていました。オリオン座も出ており季節が秋や冬に足を進めていることを実感します。気温は12℃くらいまで下がったようでした。 朝食をとり、荷物を準備して外に出ます。足の状況は芳しくありませんが、なんとか歩けそうです。4時半前に出発し、ヘッデンの明かりを頼りにゆっくり進んでいきます。 序盤ははしご、その後ザレた登山道を進み、岩場に到着します。ストックをここでしまい岩場との格闘が始まりました。2800m地点まではよく整備されており、ひりつくようなところは殆どありませんが、いかんせん急登なので時間がかかります。同行の友人にペースを落としてもらいなんとかついていきました。天気は晴れていますが冷たい風がそこそこ吹いており、風があたるところでは少し肌寒い感じでした。 2800m地点を過ぎると断崖絶壁の痩せ尾根を抜けます。ここが一番怖かったかもしれないですが、落ち着いていけば大丈夫でした。 大きな岩場をいくつも超えていきます。鎖があるので通る場所はわかりやすいですが、場所によっては谷底への滑り台みたいになっているところもあるので、慎重に慎重に進みます。体感気温に振り幅があるので長袖をまくったり戻したりしながら調整しました。 カニのハサミの手前で、岩盤にボルトが打ち込んであるところがあり、ここが地味に嫌な感じでした。右ストラップに一眼レフを装着していたので、少し通りにくかったです。 ここをやり過ごすと、カニのハサミですが、ここは難しいところはありませんが(ただし落ちたら死ぬ)、一歩一歩確実に行きます。ほどなく別山尾根からの登山道と合流。急に道幅が広がり歩きやすくなります。 6時半過ぎに憧れの山頂に到着。超快晴のいい天気で、室堂平、立山連峰、後立山連峰、鹿島槍ヶ岳、富士山、薬師岳、槍ヶ岳などが一望できる素晴らしい景色が広がっています。息を呑む絶景にしばし見とれていました。 友人のKさんに山頂でコーヒーを淹れてもらいましたが、張り詰めていた緊張がほぐれてリラックスすることが出来ました。しばらくゆっくりしていましたが、続々と剱沢方面から来た人たちがやってくるので、身動きが取れなくなる前に撤退を開始します。 カニのタテバイ、ヨコバイを遠目に見ますが、とんでもないところに人の姿があり、明治期にはここからはとても登れないと評されたのがよく分かる景色でした。我らが早月尾根のカニのハサミも遠目に見ると怖くみえます。今からここを降りていくので、再び気合を入れ直します。 登ってくる人たちとの離合や、まちあわせが発生することや落石させないように降りていくので神経を使います。カメラは一旦しまって降りていくことに集中します。ひりつく現場が続きますが、なんとか2800m地点まで降りました。ここからは命の危険のある岩場は少なくなるので、少しペースを上げて降りていきました。 早月尾根のオアシス早月小屋がだんだん大きく見えてきて、ほどなく早月小屋に到着。小屋でコーラを買い登頂を祝いました。そそくさとツェルトを片付けて、下山を開始します。 下りの水の量は2.3Lと登りのときの半分以下なので、荷物が軽く感じます。しかし急登を降りていくので、足の踏ん張りが必要でだんだんつらくなってきます。ストックを活用して膝や太ももへの負担を軽くしますが、本調子でない両足が辛くペースが上がりません。同行の友人に迷惑をかけてしまいましたが、なんとかついていき、3時間で馬場島まで下山しました。 試練と憧れの石碑通り、初日の超急登と豪雨の試練を乗り越えた先にある憧れの剱岳の姿。最高に痺れる素晴らしい山行となりました。 同行の頂いたKさん、柴犬氏ありがとうございました。その節はへばり過ぎてご迷惑をおかけしました。鍛え直しますので次回も宜しくお願い致します。