ふぃ~。登り切りました。しんどかった!
ガッスガスで視界があまりききません
天気が悪いのは残念だけど、おかげで春合宿中は冬毛の雷鳥さんを4度ほど見かけてハッピー!
この日もつがいの雷鳥さん、すーっと目の前を横切っていきました
尾っぽをぴこっとあげてて本当にかわいかった…! 戻る 次へ

白馬岳→日本海 Summit to Sea|残雪の栂海新道を往くの写真

2022.05.01(日) 07:58

ふぃ~。登り切りました。しんどかった! ガッスガスで視界があまりききません 天気が悪いのは残念だけど、おかげで春合宿中は冬毛の雷鳥さんを4度ほど見かけてハッピー! この日もつがいの雷鳥さん、すーっと目の前を横切っていきました 尾っぽをぴこっとあげてて本当にかわいかった…!

この写真を含む活動日記

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38:11

43.9 km

3504 m

白馬岳→日本海 Summit to Sea|残雪の栂海新道を往く

白馬岳・小蓮華山 (長野, 富山)

2022.04.29(金) 5 DAYS

※ド長文警報⚠️用途に応じてご覧下さい 《登山道状況》 ※危険個所…犬ヶ岳付近、両側が切れ落ちている痩せ尾根(鎖場あり)白馬岳の急斜面の下り(ザイル着けました) ※下駒ケ岳への登りは非常に急で、鎖場もあります ※雪崩地帯…天狗原〜白馬乗鞍。左側が比較的安全 ※大池〜小蓮華間は風強く、テント張れる場所もないため、悪天時は突っ込むと危険 ※白馬乗鞍〜大池間雪なし、白馬以北(特にサワガニ山以降)雪とザレ・岩のミックス ※吹上のコル(朝日岳より少し下ったところ)以降は広かったり嫌な場所があったり。視界不良のときは吹上のコル直後で行動終了すべし ※電波…小蓮華山周辺、白馬岳、朝日岳、吹上のコルの先(弱) ※水場…黒岩平、北俣ノ水場、黄蓮ノ水場、白鳥の水場・シキ割(両者夏涸れるもよう)。今回いずれも出ておらず 《追想》 【序】 北アルプス最北部。 そこには、標高2,418mの朝日岳から標高0mの日本海・親不知海岸まで続く、長大な縦走路があるという。 「栂海新道…?」 その名を知ったのは、雪山講習を受けてきた山岳ガイド『風の谷』山田さんの計画書だった。 3000m級の山から海抜0mにかけて、高山帯より低山帯まで多種多様な植物を有する道。 地層の年代を見れば、白馬岳の古生代ペルム紀(約2億5千年前より古い)から海岸の中生代白亜紀(約1億年前)まで、地球の生きてきた時を旅するような道。 白馬岳から親不知へ4泊5日。 雪山テント/避難小屋泊の雄大な縦走プラン。 対する私は雪山一年目。 とても挑戦出来るような技量も、体力もあるとは思えなかった。 それでも吸い寄せられるように文を追い、白妙の白馬、碧い峰々、そして若草色へと変化していく美しい稜線を想い、焦がれた。 (もし、 もしもそんな稜線を歩けるなら…) だから。 『春合宿、来ない?』 そう聞かれたとき、既に答えは決まっていた。 【壱】曇り、昼から雨のち雪 前夜、道の駅・池田で張ったテントを撤収してやってきたのは、栂池高原。 ゴンドラとロープウェイを乗り継いで身支度を整え、12時頃からの雨天予報に背を押されながら雪面を行く。 視界はお世辞にもよいとは言えず、雪崩の危険性のある地帯に至っては真っ白で、息をひそめて這い上がる。 白馬乗鞍への登りをこなしたあたりで小雨がちらつき始め、 雪のない白馬大池への道をアイゼンでガリガリ言わせながら乗り切ったら、直ぐにテント2つの設営に取り掛かった。 予定の半分も歩けなかった初日。 厳冬期より遥かに作りやすくなった雪解け水を使って、昼から宴会をした。 予報通り激しさを増してテントを叩いた風雨は夜半に雪へと変わり、まどろみながら除雪を繰り返す。 天候の悪い日はほんの少しの前進を。 天候の良い日は遅れを取り戻すべく、懸命に歩いて。 自然の恵みを受け、自然に沿って生きる、春合宿の幕開けだった。 【弐】晴れ 群青の空に、煌々と太陽が昇る。 夜通し降り続いた雨と雪はテントとデポしたギアを凍らせ、暫し足留めをされた。 嵩の増した荷物をなんとかザックに押し込んで、小蓮華岳から白馬岳へと延びる白銀の尾根へ。 夏は白と緑のコントラストが美しく、足元では花々が咲き競う極上の稜線だ。 (いつか絶対、夏に…) 夢想しながら歩く今、頭上にはあまりにも完璧な青空。 輝く雪が荒々しい山肌をくっきりと浮かび上がらせる様は、既に視界が滲むほどの美しさである。 それでも直下の急斜面を慎重に上がった白馬岳の、その頂きからの景色は。 「………」 言葉を尽くしても足りない、というべきか、紡ぐべき言葉が浮かばないというのが正しいのか。 ただただ、圧倒的な美しさを前に息を呑み、射すくめられたように身体が動かなかった。 歩いてきた小蓮華から、目指す雪倉へ。 ゆっくりと視線を移し、ひと際輝くのは、唐松や五竜の稜線。 憧れが憧れを呼ぶのは、山の常だ。 『じゃー降りるよー。今日はまだ長いからね』 山田さんの声にはっと引き戻され、漸く足を踏み出した。 三国境に戻り北へ進路をとれば、いよいよ本格的に日本海への旅路が始まる。 白馬岳まではかろうじてあった人の気配は、この先5日目までついえることとなった。 鉢ヶ岳の長い長いトラバースは、雪崩を誘発せぬよう、互いの間隔を大きく開けて慎重に。 先頭でない分気は楽なはずだが、休憩時に相当気を張って疲れがたまっていることに気が付いた。 そんな時は甘いもの! 行動食を口にして、眼前に広がる雲海や、うねるように続く山々を眺めて充電。 雪倉岳に近づくにつれ地面の露出が増え、アイゼンのままの足元にも負荷がかかるが、 ひたすらに贅沢な景色とハロ、環水平アークの広がる空に励まされては笑顔になれた。 とはいえ、辿り着いた雪倉岳からの眺望に息をついたのもつかの間、 赤男山への砂利道を下って藪を抜け、その日の宿を張った時にはへろへろ。 そっと心身を癒してくれるのは、 温かい夕餉を食べながらテント越しに見えた雲海と遠い白の山、 そして雨の気配のない、静かな夜だった。 【参】ガス、12時から雪 『今日は5時間くらいしか行動できないね』 電波の入ったメンバーの情報と外の気配を探って、山田さんが言った。 『とにかく朝日岳を越えよう』 テント場から登山道へ復帰するために長いトラバースを行うと、その先に恐ろしいほどの質量を持った斜面が現れた。この山行一番のまとまった登りである。 フラットからはじまりキックステップ、ダイアゴナルとどんどん歩き方を変化させ、黙々と白い世界に向き合うこと数時間。 効かぬ視界の中、飄々と前を横切ってゆく冬毛の雷鳥に癒やされ、朝日岳の山頂で一息ついて降りるとき、ついに上下左右の境目が分からなくなるほどのガスにまかれた。 『とりあえず休もーう』 長めに休憩し、視界の回復を待ってから少し先の樹林帯でその日の宿を作った。 時は朝の9時。 「9時!?」 思わず時計を二度見する時間である。 それでも判断は常に安全が最優先… 再び白く烟った景色を眺めて思った。 ゆっくりお喋りしながら雪を解かしお茶を淹れ、非常食2パック分のごはんをお昼に皆で分けて過ごす。 明日の宿は、避難小屋。 この天候で3日目もテントとなったため、久しぶりの建物での一夜である。 栂海山荘までか白鳥小屋までかと予報と照らして話し合う。 『皆を白鳥小屋に泊めてあげたいんだけど』 日本海が大きく見えて、窓が沢山ある明るい小屋。布団だってあるし、本当にいい小屋なんだよ―。 『そこにいけばなんであんなに小屋にこだわったかわかるよ』と語る山田さんの言葉に期待が膨らみ、瞼の裏に青い海を思い描いた。 はじめは本当に遠く小さかった、日本海のかけら。 明日になればいよいよその姿が大きく地平に広がるのだと思うと、待ち切れない気持ちだった。 【肆】晴れ、夕方より雷雨、霙、雹 自然というものは、いつも容易く想像を超えてゆく。 白馬岳からの景色が、きっとこの旅のハイライトだろう…そんな考えはこの日、次々覆えされる景色の連続だった。 微かな夜明けの気配のなか、テントを撤収するとき。 絶えず変化する雪面を、黎明の光が染めるとき。 青の世界が橙の光に包まれて、歩いてきた跡がはっきりと見えたとき。 濃紺の空、果てしなく続く雪原、ふとラッセルを止めて振り返り、ぽつんと続くひとの小ささに、 歩く世界の果てしなさを知ったとき。 このために歩き、登り、下界で身体を休めてはまた、ここにかえってきてしまう…そんな山登りの魅力を濃縮したような、素晴らしい眺めだった。 この日、山は雪山から春山へ、表情を変えつつあった。 事故の多発する犬ヶ岳周辺はその大半を夏道を歩くこととなり、アイゼンを着けての歩行に体力を消耗する。 一方で視線をあげれば木々は緑で装い、時折マンサクの黄色の花が鮮やかだ。 足元にはショウジョウバカマ、イワウチワ、そして足の置き場がないほど一面に咲くカタクリ。 辿り着いた栂海山荘は可愛らしい配色の小屋で、その先に続く核心部、白鳥小屋まで大きく波打つ稜線を前に身の引き締まる思いだった。 『みんな大丈夫ー?』 の声にドキドキしながら「大丈夫です」と答えた身体はそこそこ疲労を訴えていたけれど、 これを乗り切れば日本海、その希望が背を押した。 急斜面を時に滑るように駆け、時に後ろ向きで怖がりながら降り、壁のように立ちはだかる下駒ヶ岳の夏道を、 息を切らして詰める。 今日頑張った分明日の行動時間は短く、避難小屋泊で時間に余裕がある分、ゆっくりと歩けたのが幸いだ。 重い足を引きずるようにして這い上がるは、白鳥山への木々が突き出た急斜面。 不意に視界が開けた先に千草色の小屋を見た時の、心からの安堵と達成感といったら! へにゃへにゃの身体で屋上に上がって眺める360度の大展望、とりわけ日本海の輝きは、最高のご褒美だった。 【終】晴れ 外では雷雨に雹、霙と嵐のような様相を見せる中、ランタンの明かりに囲まれて過ごした、最後の夜。 久しぶりに小屋で休んだ身体は翌朝、嘘のように軽くなっていた。 朝陽に照らされて出発した先には、堂々と横たわる海の姿。 長い旅路、最後の雪を楽しみながらブナ林へと降りていけば、春に飛び込んでいくように景色が変わる。 激坂を下って坂田峠の車道でアイゼンを外し、赤土の滑り台をやりすごしながら熊笹の子を頬張っていると、 あんなに山で過ごしたのにやっぱり、離れがたい気持ちに襲われて困った。 夢見心地で親不知の駐車場に降り立つと観光客ばかりで、浮世離れした出で立ちの7人はさぞかし奇妙に映るだろうなあと愉快な気分だ。 山田さんにご馳走してもらったコーラに少しずつ現世に引き戻されつつ、ザックをデポした軽やかな身体で海へ。 「…!海だァー!」 『海だ!』 はしゃぎながら飛び降りた石の海岸は、眩しさとお腹に響く波の音で迎えてくれた。 日本海に着いたらどんなにか感動するだろう…と想像していたのとは少し違って、実際にはなかなか実感がわかない。 打ち寄せる波をぼんやり眺め、はるか遠くの空と海の境に視線を滑らせて。 あっ、そうだそうだと動画を撮っていたら、不意に胸が詰まった。 「白馬岳から日本海、 達成しました~…」 小さく口に出して録画停止のボタンに触れれば、 ポン。 ピリオドの音は、旅してきた世界から、現世に戻る合図。 (ああ、ほんとに終わったんだ…) やっと、いまに心が追いついた。 無事に、ここまで歩いてこれた。 まるで映画の世界を旅しているような、濃密で、鮮やかな5日間。 深呼吸とともに見上げた空は、 どこまでも高く青く、澄んでいた。 ~後日談~ 5日間も山にいたので何気なく爪を見た時のこと。 「(ちらっ)…? …!??(二度見) 全く…伸びていない…!?(驚愕でガン見)」 どうやら摂取したエネルギーはまるまる全部『生きる』『行動する』ことに捧げられていたようです🤣 ほんとギリギリだったんだねえ。ありがとう、我が身体よ。おつかれさん。 ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△ 【ご参考】 ⛰夏の栂池自然園~白馬大池レポ 白馬大池&栂池自然園|お花見&岩トレ https://yamap.com/activities/12352198 ⛰栂海新道HP:小屋の予約など https://tsugami.info/ 【覚書】 ・前夜泊する場合、ザックの一番上にシュラフ類入れておく! ・雨天(1時間でも危険)や視界不良の場合遭難の危険があるため、早急に行動停止すること ・夏用フライ=通気性なし:雪に埋もれると酸欠になるので、適宜払うこと。冬用=通気性あるが、かなり重い。 ・雪山は燃料を必ず倍持つ:停滞してもシュラフ濡れても乾かせる ・雨天時はL1L2にレインで丁度いい ・ワカンは結局一度も使わず。例年であればアヤメ平あたりなどは必須だったらしい ・アイゼンと鉄の格子階段の相性はとても悪いので注意 ★行動食 ・レーズンマーガリンパン6個…完食 ・チョコドーナツ8個…残り3 ・チョコフレーク1袋(80g)…残り1/6 ・ラムネ1本…残り3粒 ・柿ピー・ドライフルーツ(ナルゲンボトル1本分)…残り1/4 →やはりミニパン類が一番手ごろかも。ジップロックに全部詰めて持っていくのが◎ ★おつまみ類 ・425mlなっちゃん1本、430mlアセロラ1本(お酒の代わり) ・チータラ2袋(定番) ・アルフォート3種(ウイスキーにあうので意外と人気、1泊より長期山行に好まれた) ・ポテトと料理(デミハンバーグ) ・ピーナツ入りあられ6袋(すぐはけた) ・みなさまのお墨付きシリーズの『海鮮ミックスせん(大袋)』が美味しかった! ★服装 ・上半身:L1(長袖)L2(冬用)L3(秋用)、下半身:L1(冬用)山ズボン(冬用)+レイン(雪より雨のため) ・行動中…L1L2L3 or L1L2+レイン ・睡眠時…L1L2(寒ければ+L3)で3期用シュラフ+シュラフカバー。朝方はダウン(上) ・前半2日はニット帽+L1L2手袋(稀にオーバーグローブ)、後半は夏用ハット+モンベル軍手で十分 暑くても目出帽をした場所は日焼けを抑えられて助かった ★食糧 朝/夜 29日:ー(各自コンビニ調達)/ 炊き込みゴハン+ビーフシチュー 30日:うどん(細麺) / 五目寿司+豚汁 1日:日本蕎麦 / クリームシチュー+二種類のパスタ(ツナマヨ、バジル) 2日:味噌ラーメン / カレー 3日:醤油ラーメン