この山葡萄の蔓が曲者。 戻る 次へ

2021_09 樺戸三角山(中小屋川遡行~南東尾根ルート)の写真

2021.09.05(日) 14:10

この山葡萄の蔓が曲者。

この写真を含む活動日記

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08:22

10.7 km

667 m

2021_09 樺戸三角山(中小屋川遡行~南東尾根ルート)

神居尻山・ピンネシリ (北海道)

2021.09.05(日) 日帰り

山に登り山頂から見える新たな山を見て「次はあの山に登ろう」、こうして登った山の数を積み重ねて来た。 去年助さんと樺戸山から隈根尻山に向かう途中あるいたコルから南西を望むと尖ったトンガリがあった。 下山後気になって地図で調べると三角山という山だった。 当然登山道は無い。縁あって、その山の登頂経験者であるS-JYOさんと話す機会があり、樺戸の三角山に登ってみたい旨を話すと「行くならご一緒しますよ」と言って頂いた。 その話をしたのが去年の11月、ついにその計画を実行する。 S-JYOさんをアドバイザーとして迎え千代志別の時に参加してもらったオールラウンダーの先輩達3名を加えた5名のパーティーで計画する。 【記録・メモ】 ■中小屋川と平行にのびる林道を車で入れる場所まで進め下車。ここをスタート地点とする。 ■計画では林道の最終地点まで歩く予定だった。しかし林道は廃道と化しておりイタドリの森になっていた。 ■林道は川と何度か交差して、徐々に道路という形状が曖昧になり形跡が消えた。 ■林道歩きを諦め沢遡行に変更する。 ■中小屋川自体は傾斜も緩く歩きやすいのだが次から次へと砂防ダムが現れる為、これを巻いて交わさなければならないのが面倒だ。 ■最初は余裕もあり砂防ダムの数を数えていたが、この砂防ダム越えがボディーブローのように体力と時間を奪い10基を超えたあたりで数えるのをやめ、写真にだけ撮影してやり過ごすようになる。 ■下山後に写真から数を追うと砂防ダムは全部で19基あった。 ■二股まで約4kmの道のりを2時間かけて到着、一息休憩をして三角山に向かう左股に入る。 ■S-JYOさんが登った11年前と沢の様相は変わっており倒木で荒れた沢を遡行していく。 ■難所と踏んでいたF2の大滝に到着する。NHTさんとSTKさんが偵察で登る。 ■途中までは何とか登れそうだが、その先が手がかりも足がかりも無い、岩盤も脆くちょっと進むだけでポロポロ砂礫が落ちてくる。ロープを確保して引っ張り上げるにしても時間が掛かると判断して右から大巻することにする。 ■しかし、この大巻も大変だった。急勾配の崖斜面で何とか登れそうなところから取り付くのだが草付きで手がかりが少ない。後続者の為に極力草を抜かないように尾根に向かって慎重に登る。 ■尾根に到達したのが12:00だった。滝を巻いて又沢に下りるか、このまま尾根伝いに山頂を目指すかCLとして選択を迫られる。 ■ここまでの沢の荒れ方をみるとこの先沢がどうなっているか分からないのと結局山頂手前は藪漕ぎになる。 尾根も藪が濃くて時間が掛かりそうだが、このまま尾根を進んだ方が無難という判断が妥当か、、、。 ■日没までの下山を考え14時までにピークを踏めなければ撤退とい前提で尾根伝に進むルートを選択する。 ■尾根に生えている植物はカヤの木とシャクナゲが多く、思っていたより藪漕ぎに苦戦はしなかったが一部山葡萄の蔓が這っている箇所があり足や体に蔓がからまり難儀した。 ■12:40低木の藪を抜け山頂直下の草地に出た。ここからであれば1時間以内には確実に山頂を踏むことが出来ると確信するとメンバーの顔に安堵の表情が浮かんだ。 ■草地で歩きやすいと言えども勾配が急で、なかなか楽に登らせてくれない。振り返ると登ってきた尾根越に黄金色をした空知の田園風景が広がる。 ■草地の急登をはぁはぁ言いながら先頭で登る。 ■13:17山頂到着。山頂には久々の珍客を出迎えるように三角点がひっそりと建っていた。 ■山頂の木に目印のピンテを結び、後続メンバーを待つ。 ■思っていたより山頂からは眺望は良く、樺戸山に隈根尻は勿論のことピンネシリ山も良く見えた。少しガスっていたが阿蘇岩山も確認できた。 ■昼食を兼ねて山頂で休憩を軽く取り下山に入る。 ■当初計画では南尾根を下る予定だったが計画の時間より遅れていることもあり、上りと同じ南東尾根を下ることにする。 ■藪山のスペシャリストS-JYOさんが先頭でリードしてくれる。下りやすい東側の尾根に引っ張られそうになるところを修正しながらのルートファインディングはさすがだ。 ■不安視していた藪漕ぎも下りは早い、川のせせらぎが聞こえるあたりになると藪も薄くなり鹿道も現れ14:52二股に着いた。 ■ここからは来た沢を戻るだけだが「また砂防ダムを越えなければならないのか」と思うとうんざりする気持ちを押し込めて黙々と下る。 ■往路では出会うことが無かったカワガラスが水浴びをしている。 ■アドバイザーという立場で迎えたつもりが、すかっりS-JYOさんに頼ってしまった為、持病の腰痛が出始めたようで腰のストレッチをしているS-JYOさんを見て恐縮し自分の不甲斐なさを痛感する。 ■車を停めた林道のスタート地点に着いたのが16:57、なんとか日没前の明るい時間に戻ってこれた。 ■下山が遅くなったこともあり、温泉には入らずにヒクタ峰同様、ここも現地解散となった。 【後記】 快く同行して頂いたS-JYOさんと、こんな物好きな計画に賛同し参加してくれた頼れる先輩方には感謝しかない。 今回の樺戸三角山については積雪期での登頂記録は結構みつかった。しかし無雪期となると情報量が極端に少なくなり、みつかった情報も古い記録だった。 S-JYOさんが登頂したのも11年前で、沢の荒れように少し驚いていた。 道なき道を行くということは、なかなか計画通りには行かない。そうした場合にどう対処するかを考えどう行動するかは難しい。それは高々700mしかない低山であってもだ。 しかしこの考えるという楽しさは、自分の中でこれまでの登山では味わったことが無い感覚だった。 少し大袈裟だがパンドラの箱を開けてしまった感じだ。 今回は学ぶことも多く色々反省点も多い内容だった。 知識や経験は増えたが山頂から見える新たな山を見て「あの山に登ろう」というスタイルは登山を始めた頃と変っていないし、登りたい山のストックもまだまだ底を尽きることは無さそうだ。 不思議なもので、こうやって登りたいと念じているとふらっと協力者が現れたりもする。 これを偶然と捉えるか必然と捉えるかは、その人次第だが、どちらにしても念じることは必須条件となる。 この楽しさに味をしめた自分は、「あの山に登りたい!」と念じつつ、また計画を企んでいる。