2007.07.26 (木)4 日間
紫のアーカイブス(18)剱岳 北方稜線 2007.7.26~29
1986年に八つ峰Ⅽフェースクライミングから欅平にテント縦走してから25年ぶりに剱岳、北方稜線に行って来た。
7.26(木)夜9時過ぎ出発し、6時間ほどで、立山駐車場到着し、仮眠する。小雨。
7.27(金)一番の6時のケーブルに乗る 室堂から真砂沢経由、仙人池 行動時間 9時間半
7.28(土)仙人池出発 池の平、小窓、北方稜線、三の窓コル、長治郎右又、真砂沢
行動時間9時間 三の窓より雨
7.29(日)真砂沢から剣沢を登り返し剱御前より室堂に下る 行動時間 7時間半
剱御前より雨降ったりやんだり・・。
初日27日
8時室堂出発、12時前、剱沢で山岳警備隊に計画を出し、稜線の状況を聞く。計画では真砂沢にテントを張り、空荷で長治郎雪渓を詰め、剱岳頂上より、北方稜線、小窓の雪渓を降り、池の平から真砂沢に回る予定だった。
警備隊員がこの、周り方は死亡事故が多発しているので、逆のほうが安全と言われたので、押し切るまでもなく、従う事にした。
ところが、距離がある上に、仙人池から回るとなると、登りばかりで、私の足ではどう考えても自信がないので、しんに真砂沢にテントを預かって貰い、空荷で仙人池に上がりたいと申告し、真砂沢の小屋から仙人池ヒュッテに電話を入れてくれる。
真砂沢を13:40分出発するが、二股までの道が暑く、体力を消耗する。仙人新道の延々と続く登りで、老体を鞭打っての二人はよれよれで仙人池に到着する。
只、この仙人池ヒュッテはいつも通過ばかり、朝日、夕日の、仙人池に映る剱岳の八峰の姿をじっくり眺められると思うと、私は心だけ、ルンルンだった。
小屋に到着すると、すぐお風呂を勧められ、びっくりしたが、汗を流しすっきりした。最近の小屋はお風呂のあるところが多くなったが、まさか仙人ヒュッテで入れるとは!
残念ながら、折角のご馳走なのにあまり食べられず、ご飯をおにぎりにしてくれ、おかずを行動食にまわすことにできた。シチューのスープが美味しかったし、小屋のオーナー達のご親切には感動した。ここはNHKの人間ドキュメントに取り上げられた名物おばさんのおられるところだが、今回はお見えではなかった。
食後、仙人池の写真を撮りにでたが、ここは朝日が八つ峰に当たると、素晴らしい写真の撮れるところ・・。腕がよければいいのだが、ピンボケが多かった。
私達のコースを聞き、オーナー達に励まして貰ったが、ロートル二人、心配されるかと思ったけれど、私のことをギャルですよと言ってもらい、気分はホントに若返ってしまった。他に宿泊は8人ほどだったが、みなさん劔沢に戻られると言う。
翌日の天気はお昼ころから雨らしい・・。何とか核心部を雨に遭わずに抜けたいと思いつつ早く休むが、夜行で走ってきて、9時間半の行動は正直こたえた。
劔沢から見た劔は源次郎の頭あたりに、雪が見える。稜線の雪はやはり、多いようだ。劔沢を下り、真砂沢までも滝のあたりから下はすべて雪渓で覆われていた。そして、長次郎の出合いの大きな岩も見えなかった。
下りはアイゼンなしでルンルンで行けたが、登りはアイゼンつけるほうが、楽だろう・・。でもこの時点では、まだ梯子段乗越から帰るつもりだった。
28日
仙人池での快適な夜を過ごし、翌朝陽が当たり始めた八つ峰の仙人池に映る姿を写真に撮り4:45出発する。真砂沢への道の分岐のピークで五竜か、鹿島の稜線より登るご来光を見て池ノ平に下る。八つ峰がとても美しいが、お昼から雨の予報、ぼちぼち雲がかかり始めた。
池の平小屋は、昔は下の池がテント場、沢通しに上がってくる道を登ってきたが、今は崩れもあり使われていないようだ。ここから、小窓雪渓にニッコウキスゲの斜面のトラバースを繰り返し降りて行く。草付きの道、こんなところで不用意に足を置くと転落するなと思いながら降りる。
小窓の雪渓でアイゼンを付けていると、4人パーティが降りてきたが、ザイルで結ばれている。ここからザイルを使っていると時間がかかるだろうと思いながら、トップを見ると、あの黒部の主のガイド、志水哲也さんだった。
去年11月に横尾右又を登った時お会いしたが、志水さんの厳冬期、黒部川完全遡行の時河口で泊った方は私達の山の会でおられた方、今は転勤で和歌山にはいないが、その方の事を言うと、私達も覚えて頂いていた。
志水さん曰く、草付きのトラバースは危ないところだと説明されていた。成程、不用意に歩くと怖い道・・。ここから、暫くは志水さん率いる4人パーティと、抜きつ、抜かれつ、でなく、抜かれたまま・・進む。ザイルつけたり、アイゼンつけたりされるとき、追いつく程度。ガイド山行でもこのコースなら、体力ないと無理だと感じる。
25年前、最初で最後の岩登り、八つ峰Cフェースを終え、5.6、のコル上部でテントを張り、北方稜線を今回とは逆に歩き、小窓のコルにテントを張った。そして、小窓雪渓を下り、滝のところから池の平のこの道に入る予定が、早くに逃げてしまい、熊笹の藪こぎをして、池の平山の途中に出て、苦労したことがあった。その時は欅平の最終に乗れなかった。
今回はその滝が雪渓の向かいに見える。ここからコルまで1時間50分の雪の登りだった。コルの直前、左に良い水場があった。予備の水を補給する。
ここから、尾根を登り、雪渓をトラバースするが、アイゼンつけずに行くと、急傾斜の固い雪で、やはり慎重になるので、却ってアイゼン付けるほうが早いだろう。
又、そこからも幾つも踏み跡がある中、一番歩きやすいところを選びながら、最後に捲き気味に左に回り込むと又雪渓にでる。この頃から、ガスに包まれ、視界が悪くなってきた。
今度はアイゼンを付け、長いトラバースをしたら、渡ったところで、志水さんに追いつく。聞けば、ルートが分らないと言う。地図を出し、上に下に一緒に探すが、僕を信用しないで下さいねと言われた。やはりガスで視界がないのと、雪が例年より多く、ルートが難しい。結局少し下がった所に道があった。志水さんがいるだけで、安心、私達もラッセル泥棒みたいになってしまった。
ここでひとつ失敗、雪から、岩の上に乗る時、向きを変えた際、雪の上に座ったお尻が滑った、ピッケルで止めたが、くわばら、くわばら、しんに油断するなと叱られる。
ここから志水パーティに続いて岩稜を登ると北方稜線上に出たようだ。反対側は切れ落ち、ガスで見えないので怖くはないが、深く切れ込んでいる。志水さんとみんなで記念撮影。
ここから、小窓の王の裏になるのだろう、記憶のあるトラバース気味に下る。ガラガラの岩屑の道で、落石に注意し三の窓のコルに降りる。10:00着。
三の窓のコルで小休止していると、雨が降り出した。対向に若い男性が来たと思ったら、おばさん3人がザイルで結ばれている。ガイド山行だ。三の窓のコルは盛り上がるような雪渓が上部まで来ている。
ここから、池の谷(イケノタン)ガリーを登るが、今回一番危ないと思った。先行パーティの男性が岩を落とすのだ。岩が跳ねる様は怖いものだ。ここで又対向者3人あり、今度は自分も岩を落とさないで歩くのだが、足元が崩れほんとに歩きににくい。前は下りだったので、人もいないのがわかったからどうってことなかったのに・・。杖がわりになってしまったピッケルがなければ歩けない・・。
雨も強くなり、八つ峰上部の見覚えのある隙間、を過ぎ、長治郎右又のコルに到着、その前に剱山荘まで行く志水さんにお礼を言い別れた。もう追いつくことはないだろう。
ほんとは剱頂上を踏んで戻り、左俣を下りたかったのだが、雨と、疲れと、前に立ちはだかるピークを見て、安全に帰る策をとる。11:15
右俣は昔八つ峰縦走した時、何度も登下降しているので、不安はなかったし、傾斜はあるが、踏み跡もあった。10分ほど降りたら、が~ん、雪渓が切れ、クレバスとなっている。うわ~、又戻るなんて、体力がない・・。
降りられないかと、覗きに行くとラッキーなことに、2Mくらい下は雪で覆われていた。もし雪がなければ、左の岩のところにバンドのような棚があったが、あれでいけるだろうか?兎に角、降りた跡もあり、登る斜面もあったので、良かった。ザイルを出すほどでもないだろうと降りるが、苦労した。
ここから、延々と、雪渓の下りが続くが、熊の岩もガスで見えない。もし左俣を下るなら、熊の岩の上から、右俣に入るように警備隊から聞いていた。
あとはクレバスはないが、大きく抜けそうな色の真ん中を避け、おととしは岩場を通過したところも雪で覆われていたが、源次郎尾根よりを下降する。
ここで、又失敗。水筒の蓋を落とした・・。ガスの中、転がって行く。あ~あ、私の湯たんぽになる水筒が・・・。いつもみんなに注意するのに、怒られるしまつ・・。諦めきれず探しながらおりるが、ない・・。当たり前と思い、いいわ、あきらめるわ・・と言った途端、目の前に可愛い蓋が・・。まだきずなで結ばれていたよ。
5.6のコル付近の岩の下にテント二張り、それから、若者二人雨の中を上がってきた。もうすでに二人とも足が痛くて、休憩ばかり、でも剱沢から上がる上昇気流が素晴らしい!真砂沢にやっとの思いで到着する。13:45。
テントを預かって貰ったし、雨だし、素泊まりしようかと言ったのだが、オーナーに本日は1畳に二人だから、テントの方がゆっくりしますよと言われた。幸いにもテントを張る時は止んでいたが、夜中までかなり降った。
時間は早かったけれど、前日の疲れと、両方で、疲れたが、満足度200%、志水さんと同行できたので、300%だった。13:45到着、9時間行動だった。
29日
下山というのに、結果は登る羽目となる。私達が、真砂沢に入る時は剱沢から降りるのと、黒4ダムから梯子段乗越で入る方法とある。
入る時は剱沢からだと、雪の下りが大半で、楽なのだが、帰りは下山と言いながら、登るので辛い・・。車の都合もあり、今回梯子段から入り、帰る事を検討したが、ここは梅雨明けの状況で、道の整備ができていない場合が多い。結局楽な剱沢から入り、二日目の大雨で、迷うことなく又剱沢に戻ることにした。
真砂沢小屋のオーナーが朝、夕べは申し訳なかったと、声をかけて下さり、シャッターを押して頂いた。そして、天気は前日と同じくお昼から雨になると言われた。何とか雨に遭わずに帰れるかと思ったが、諦めていた晴天に気持ち良く真砂沢を後にする。
長治郎雪渓の出合で、八つ峰の岩に登るというパ-ティと話すが、熊の岩でビバークするつもりらしい。お天気が持つといいねと、別れる。右俣のコルが見えていたが、亀裂も下からわかるので、教えてあげた。上まで見えただけで、満足としよう。
荷物は入山はしんは19キロ、私15キロ、でも帰りは一泊小屋に泊ったので、食糧も減ってないし、しんが17キロ、私13キロ(あとで、室堂でカンカンした)くらいかな?
飲み物は初日二人で、2.3L飲んだ。二日目は2Lくらい、そしていつも家から非常用に伊右衛門さん0.5Lを各自を持ってくが、最後まで手をつけない。最終日はこの二本と、仙人池で貰ったドリンク、ダカラ(去年のだから、無料にしてくれたラッキー)で1.5Lで収めた。テルモス二本と、水筒1本は空にした。
夏の晴天は、行動中の飲み物の配分が難しい。いくらでも飲めるならいいが、その分重くなるし、途中での補充はあまり当てにしない・・。常に最終日まで非常用は使わずにおくように心がけている。その代わり、テント場では、しっかり水分補給するようにしている。
途中で水場があっても、私は冷たいのを飲み過ぎるとごろごろとするので口を潤す程度だ。暑い時でも、必ずテルモスに暑いお茶1L(しん)と、午後の紅茶0.8L(私)が基本である。
平蔵谷を過ぎ、滝の所でアイゼンを脱ぎ、剱沢まであと少しというところで、ちんぐるまの群生があったので、剱バックに撮ろうと、寝転がったら、最後、動く気がしなくなった。大休止だ。でも歩かないと帰れない。剱沢に戻り、警備隊のお兄さんがいたので、下山報告をした。転落死亡事故で前日は大変だったらしい。
あと、剱御前目前にして、雨が降り始めた。もうちょっと待ってほしかったけれど、ゆっくりしすぎで、仕方無いな・・。 結局、合羽を脱いだり、着たり、でも本降りにはならなかったので、助かった。もう写真はいいと思ったけれど、足が痛いので、花を見ると写真を撮って、休憩になる。コバイケイソウの群落が奇麗だった。
忘れないうちに北方稜線のルートを書いてみた。但し、私の記憶なので、思い違いもあるかもしれないので悪しからず・・。 写真を見て、歩いた所は?と線を入れたかったが、やはり自信がない・・。小窓の王のコルまでは写真に見えてるところだと思うが、王からは写真の裏手を歩いている。