投稿日 2022.04.26 更新日 2022.05.13Sponsored

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岐阜の尾瀬 『池ヶ原湿原』|5月が最盛期、ミズバショウが咲き誇る湿原の魅力

岐阜県飛騨市に『岐阜の尾瀬』と言われている湿原があるのをご存知ですか? その名は『池ヶ原湿原』。正直まだそれほど有名ではありません。でも、その湿原の素晴らしさを守り、広めるため地元で活動している熱い人々がいます。今回は、池ヶ原湿原の魅力とそれを守る活動についてアウトドアライターのユーコンカワイさんがご紹介します。YAMAPユーザー対象の『湿原保護活動ツアー』についても紹介していますので最後までじっくりお読みください。

目次

「岐阜のミステリーハンター」がキャッチした噂…

「岐阜に尾瀬に匹敵する場所があるらしいぞ!」という噂を、私、ユーコンカワイはキャッチした。尾瀬といえば、群馬、福島、新潟の3県にまたがる高層湿原で、多くのお花が咲き乱れる中、美しい木道をのんびり散策する…、なーんて“素敵”を絵に描いたような場所だ。一度は行ってみたいと思っていたが、正直、岐阜県民の私にとってはあまりにも遠く、会いたいけど会えない大女優さん的な存在。でもそれに匹敵する場所が、いつでも会いに行けるアイドルのように岐阜にも存在していたというのである。しかもその場所は、あの大ヒットアニメ映画『君の名は。』のモデルになった場所ともいわれており、ファンの間では密かに隠れ聖地となっているらしいのだ。

なんだかやたら凄そうな場所だが、一体どこにあるのか? どんなところなのか? 周囲には何があるのか? 岐阜のミステリーハンターと言われている私、ユーコンカワイがその謎に迫ってみた。何やら、面白いツアー企画もあるらしいので、そちらも是非チェックしてみてほしい。

池ヶ原湿原ってどこにあるの?

岐阜の最北端、豊かな自然と趣のある古い町並みが魅力の飛騨市。自然との共生の中で魅力的な文化が保たれており、日本の原風景が多く残る街だ。

その飛騨市の北部、富山県との県境近くに奥飛騨数河流葉(おくひだすごうながれは)という名前の県立自然公園が広がっている。その中の標高960〜980mに位置するニコイ高原の中央部にあるのが『岐阜の尾瀬』と噂される『池ヶ原湿原』だ。

実はその場所を衛星写真で見ると、大ヒットアニメ映画『君の名は。』の宮水神社のご神体の地理的位置にピタリとハマっていることがネットで話題となり、以来ファンの間では隠れ聖地となっているのだ。私もその画像を見てみたが、本当にバッチリ合致していたことと、そんな細かいところを見つけ出したファンの根性に若干引いたほどだ。

映画の中でも似たような小川を渡るシーンがある

池ヶ原湿原へは車が便利。ただ、JR高山駅発着のタクシープランも濃飛バスから発売予定とのこと。行く前に濃飛バスのサイトなどをチェックして欲しい。国道360号沿いのJR高山本線打保駅(うつぼえき)近く、塩釜金清神社付近から舗装された林道を車で約20分登ると、70台収容可能な広い駐車場がある。トイレも3つあり、そのうちのひとつは車椅子でも利用可能な多目的トイレ。雪深い冬期は閉鎖期間となっており(11月下旬~4月下旬まで)、ミズバショウが見頃を迎える5月の連休ころには多くの人が訪れるという。

池ヶ原湿原の魅力を教えて! 岩佐先生!

さあ、場所がわかったところで、いよいよその魅力に迫ってみよう。お話を聞いたのは、池ヶ原湿原自然保護センター所長で、飛騨の森ガイド協会の会長も務める岩佐勝美先生。この地で長くガイドや自然保護・保全活動に尽力され、今も池ヶ原湿原の「先生」として地元の方から慕われている。

湿原の麓の宮川町出身。生粋の飛騨人である岩佐先生

ユーコンカワイ(以下、「ユ」)「先生ッ! ズバリ! 池ヶ原湿原ってどんな場所なんですか!」

岩佐先生(以下、「岩」)「お、いきなり前のめりだね。まあ焦らずに聞いておくれよ。まず岐阜県には“岐阜の宝もの”として6つの場所が認定されているんだけど、そのうちのひとつが『天生(あもう)県立自然公園と三湿原回廊』なんだ。三湿原回廊ってのは、同じ飛騨市内にある天生湿原(あもうしつげん)、深洞湿原(ふかどしつげん)、そしてこの池ヶ原湿原のことをいうんだよ」

(ユ)「ほほう! そんなすごい場所を知らなかったとは、岐阜県民として恥ずかしいです。ちなみに広さはどのくらいあるんですか?」

(岩)「およそ5ヘクタールで、東京ドーム1個分くらいの広さだね」

ミズバショウと周りを黄色に彩るリュウキンカ

県の天然記念物「ミズバショウとリュウキンカの群生地」

(ユ)「広いですね! 岐阜の尾瀬だなんて言われているそうですが、やっぱりお花はすごいんですか?」

(岩)「よくぞ聞いてくれました! 池ヶ原湿原にはさまざまな植生があるんだよ。まずはなんといっても、群生地として岐阜県の天然記念物に指定されているミズバショウとリュウキンカだね。4月下旬から5月中旬になると、湿原いっぱいに白いミズバショウが咲き誇って、その数はなんと40万株ともいわれているんだよ。そしてその主役を引き立たせるように咲くのがリュウキンカで、黄色い絨毯のように広がる風景は忘れられないほど壮観なんだ」

サワオグルマも咲き誇る県内では最大規模の低層湿原だ

(ユ)「ああ…、なんか聞いてるだけでメルヘン指数が急上昇してきました! 他の季節はどんな感じなんですか?」

(岩)「6月になるとサワオグルマとカキツバタだね。特にサワオグルマの群生っぷりは本当にすごくて、新緑と黄色い花のコントラストがまた最高なんだよ。夏は夏で、湿原に吹き渡る風がさわやかで、可愛らしいミズチドリの群生や、清流を泳ぐイワナに癒されるよ。10月中旬にもなると白樺の紅葉がまた美しくて、森林遊歩道を歩くと、カツラの木のハート形の落ち葉からキャラメルのような甘い香りが…」

(ユ)「先生、まって! 僕のメルヘンが大洪水を起こしてます! ちょっと…、最高すぎるじゃないですか!」

(左)風が気持ちいい爽やかな夏 (右)色鮮やかで美しい秋

気軽に行ける! 癒される木道と林間遊歩道

(岩)「落ち着いたかい?」

(ユ)「ハアハア…、ちょっと興奮しすぎました。危うくメルヘン死するところでした。でもやっぱり、そんな自然豊かな素敵なところ、行くまでには結構な山道を登っていかないといけないですよね? 僕、アウトドアライターのくせに驚くほど体力ないんですよ」

(岩)「いや。車から降りて2分でもう別世界に到達ですよ」

(ユ)「気軽ッ! 玄関開けたら2分でご飯と変わらない気軽さじゃないですか!」

(岩)「そうなんだよ。しかもその駐車場からの150mの間には白樺林があって、最初は湿原が見えないのね。白樺キレイだなーって散策していたら、いきなり湿原がドンと広がるわけですよ」

(ユ)「なんですか、そのニクい演出…。しかもその時、湿原の中にあの素敵な木道が出てくるんですよね? まさに岐阜の尾瀬ですね」

岐阜の尾瀬の名に恥じぬ素敵な木道

(岩)「木道は歩くだけで心が癒されますよ。しかも車椅子でも大丈夫なように整備されているから、身体の不自由な方や赤ちゃん連れの方まで、誰でも気軽に散策を楽しめるんだよ。さらに湿原だけじゃなく、森歩きを楽しめる林間遊歩道も魅力的。白樺はもちろん、湿地生植物じゃないお花との出会いも楽しめますよ」

(左)木道は車椅子やベビーカーでも安心 (右)森林浴が気持ちいい林間遊歩道

(ユ)「それは嬉しい。お花のこととかあまり詳しくないんで色々聞きたいんですが、ガイドツアーとかはやってますか?」

(岩)「もちろんやってますよ。『北ひだの森を歩こう』というホームページから、森の案内人によるガイドを頼めます。私も案内人として登録してるし、他にも魅力的な森の案内人がたくさんいるよ」

『北飛騨の森を歩こう』HPはこちら

池ヶ原湿原本来の植生を取り戻せ!

(ユ)「まだ現地に行ってないけど、すっかり池ヶ原湿原のファンになってしまいました。こんな素敵な場所があったとは…。早く行きたいです!」

(岩)「いい所でしょ? 木道の整備とか、地元の方たちが本当に努力してくれたからね。でもこの素敵な湿原の環境も、人の手を入れて、ようやくここまで回復してきたんだ。50年以上前はもっと植生も豊かだったんだよ。だから池ヶ原湿原の本来の植生を取り戻すべく、長年保全活動にも力を入れているんだ」

(ユ)「そうなんですか!? これだけの湿原の回復・維持ともなると大変そうですね…。なぜそれほど湿原の環境が変わっちゃったんですか?」

(岩)「周囲の森林環境が変わったことで、山に保水された水が湿原にうまく流れ込まなくなってしまったんだよ。そうなると湿原内の水が滞留して、そこに栄養が溜まりすぎちゃうんだ。その栄養を吸った“ヨシ”が大量に繁茂して、僕らが活動をし始めた頃には4mくらいの背丈に成長していたのさ。そのせいでヨシが湿原の水を吸い上げちゃうから、乾いてもともとあった植物はみることができなくなってしまったんだ」

(ユ)「4mって…全然良しじゃないですね。恐るべしヨシの繁殖力」

(岩)「湿原の本来の植生を取り戻したくて、毎年8月末ごろまでに2回、ボランティアやシルバー人材センターの人たちと一緒にヨシの刈り取りや、スコップで根切り作業を行ってるんだけど、これがまた大変で、特に刈り取ったヨシを運び出すのがひと苦労。あとは、湿原内の水の流れをスムーズにするために、水の道を作ったりとかもしてるんだ」

(左)平成22年のヨシ。木道が歩けない… (右)地道なヨシ刈り作業の様子

(ユ)「聞いているだけで頭が下がる思いです。その苦労があって、今の素敵な環境が維持されているんですね。これはもう黙っていられないですよ…。自然を愛するYAMAPユーザーたちよ! いざ! であえッ! であえぃーッ!」

ヤマップユーザー限定! 7月にヨシ刈りツアー開催!

ということで、YAMAPが飛騨市とタッグを組み、ユーザー対象の『ヨシ刈りを手伝って湿原維持に貢献しよう!』というスペシャルツアーを企画しました。もちろん、ただの環境保全ボランティア活動ではないよ。池ヶ原湿原の魅力に触れるだけじゃなく、飛騨の人との交流あり、美味しいものあり、ディープな町歩きありの1泊2日の贅沢ツアーだ。さあ、我こそはというYAMAPユーザーたちよ、いざ立ち上がれぃ!

<ヨシ刈りを手伝って湿原維持に貢献しよう! ツアー概要> 
日 程:2022年7月16日(土)~17日(日) 1泊2日
定 員:10名 ※YAMAPユーザー限定
集合場所:飛騨市役所 岐阜県飛騨市古川町本町2-22 ※現地集合現地解散
行 程:1日目 午前:ヨシ刈り作業 昼:森のコンサート 午後:フィールド勉強会 夜:飛騨牛BBQ
2日目 地元案内人と飛騨古川の町探検・解散
宿 泊:ナチュールみやがわ(コテージ泊)
移 動:マイクロバス
料 金:2万円程度 ※参加希望者には後日、旅行社より旅行代金、行程等を連絡し、その後参加の最終確定となります。

※ツアーを取材し、YAMAP MAGAZINEにて8月に記事化を予定しています。参加者の皆さんの様子も掲載されますので、あらかじめご了承の上、お申し込みください。
※飛騨市では湿原保全に携わる『地域おこし協力隊』も募集してます。詳しくはこのページ最下部をご覧ください。

池ヶ原湿原近隣の魅力スポットもご紹介!

池ヶ原湿原だけでも十分魅力的だったが、他にもさまざまな顔を持つのが飛騨市の素晴らしいところ。ここからは季節ごとに何度も足を運んでみたくなる、おすすめのスポットをいくつかご紹介していこう。

・樹木と花の楽園! 『天生(あもう)県立自然公園』
池ヶ原湿原と並ぶ三湿原回廊のひとつ『天生湿原』。飛騨の自然好きな人に「イチオシの場所は?」と聞くと、多くの人がここの名を挙げる。高山植物群、高層湿原、ブナ原生林、深淵な渓谷など雄大な自然が体感でき、6月〜9月にかけてはミズバショウ、ニリンソウ、サンカヨウ、ニッコウキスゲ、10月上旬からは、ブナ、ナナカマド、カエデ、ウルシ類などが様々な色彩で色づいて息を呑むほど美しい紅葉を楽しむことができる。

ブナやカツラの大木が林立する天生の原生林

所在地:天生峠(岐阜県飛騨市河合町天生)
※冬期閉鎖あり(11月中旬~5月末頃)
駐車場&トイレ:あり
問合せ:0577-73-2111(飛騨市役所まちづくり観光課)
『北飛騨の森を歩こう』ホームページ天生県立自然公園

・池ヶ原湿原とあわせて登ろう! 飛騨の名山・天蓋山、猪臥山、安峰山
飛騨市には日帰りで登れる展望抜群な山がいくつもある。中でも人気なのがこの3山。天蓋山(てんがいざん・1,527m)の山頂からは、立山連峰、白山、御嶽といった3,000m級の山々の大パノラマが広がり、麓の山之村は『にほんの里百選』に選ばれていて散策にも最適。猪臥山(いぶしやま・1,519m)は、朝には季節を問わず霧海がたちこめる絶景を拝めることで知られており、早起きしてご来光を見にいく人が多い。登山口駐車場から往復2時間半で展望台に行ける安峰山(あんぼうさん・1,053m)は、気軽に絶景に出会えるスポット。御嶽、白山連峰、飛騨古川の町の眺めだけでなく、9〜11月の晴れた朝には朝霧が出ることが多く、幻想的なひとときを味わうことができると人気だ。

(左)天蓋山からのパノラマ展望 (右)にほんの里百選の山之村


(左)霧海の名所である猪臥山 (右)安峰山からの幻想的な眺め

YAMAP<天蓋山>ページ
YAMAP<猪臥山>ページ
YAMAP<安峰山>ページ

問合せ:0577-73-2111(飛騨市役所まちづくり観光課)

・情緒あふれる古い町並み散策『飛騨古川の町並み』
飛騨古川の象徴的ともいえる石造りの瀬戸川沿いを歩き、白壁土蔵街や『水呼びの亀』が守る円光寺を見ながらのんびりと散策できる。瀬戸川を悠々と泳ぐ1,000匹の鯉にえさをあげるのも楽しい。飛騨古川まつり会館や和ろうそく店で伝統文化に触れたり、飛騨に伝わる薬草文化に触れられるショップもある。もちろん飛騨牛ステーキから漬物ステーキ(これがまた美味い!)まで、さまざまな飛騨グルメを楽しむことができるぞ。

(左)瀬戸川と白壁土蔵街 (右)飛騨古川まつり会館

(左)三嶋和ろうそく店 (右)薬草体験施設『ひだ森のめぐみ』

所在地:岐阜県飛騨市古川町壱之町
アクセス:JR高山本線飛騨古川駅から徒歩5分
問合せ:0577-73-2111 (飛騨市商工観光部観光課)
飛騨市公式観光サイト『飛騨の旅』王道!3時間で巡る飛騨古川町並み散策

・レールマウンテンバイクGattan Go!!
マウンテンバイクと廃線後の鉄路を組み合わせた新感覚アクティビティ。奥飛騨温泉口駅から神岡鉱山前駅までの往復約6kmの『まちなかコース』と、木漏れ日の中で美しい川沿いをスリル満点で漕ぎ抜ける『渓谷コース』の2コースがある。自然と一体になった爽快感は、家族やカップルに大人気。

(左)開放感のある渓谷コース (右)様々なタイプのガッタンゴーがある

所在地:
岐阜県飛騨市神岡町東雲1327-2(まちなかコース)・P40台
岐阜県飛騨市神岡町西漆山142(渓谷コース)・P16台
問合せ:090-7020-5852(9:00〜17:00・定休日を除く)
レールマウンテンバイクGattan Go!!ホームページ

まとめ

なんで今まで知らなかったんだ! と、思わず叫んでしまった池ヶ原湿原。遠くて尾瀬まで行けない人にとって…、いや、尾瀬に行ったことある人にとっても非常に魅力的な場所だと感じた。7月のヨシ刈りツアーも今から楽しみだ。これから我が物顔で伸び伸びしようとしてるヨシたちよ、首根っこ洗って待ってるがいい!

映画『君の名は。』の名言の一つに、「確かなことがある。私たちは絶対、会えばすぐに分かる!」というものがある。最初はその湿原の名前すら知らなかった僕だが、きっと直接会えばきっとさらにその素敵さに気づいてしまうだろう。そう、そんな君の、名前は──

『池ヶ原湿原!』

お後がよろしいようで! また7月のツアーでお会いしましょう!

・飛騨市地域おこし協力隊の隊員募集中!
今回紹介したヨシ刈りツアーとは別に、飛騨市では池ヶ原湿原の保全をはじめ、さまざまな業務を担ってくれる地域おこし協力隊を募集中。気になったらまずは気軽にお問い合わせを!

【地域おこし協力隊募集について飛騨市スタッフからのコメント】
飛騨市まちづくり観光課長の齋藤です。飛騨市は面積の93%が森林。豊かな自然を守り、未来へどう繋いでいくか? まちづくり観光課では池ヶ原湿原をはじめ、深洞湿原、天蓋山、北ノ俣など様々な自然フィールドの保全と活用を進めています。

今後、重点事業として取組むにあたり、一緒に頑張ってくれるバディを探しています。自然が好きで、地域と繋がり、情熱的に働いてくれる方いませんか? まずは、地域おこし協力隊での採用を考えています。(任期3年 報酬240万円/年 活動費200万円/年 副業可)。少しでも興味があるという方、まずはご連絡ください。なお、飛騨にお越しいただければ、私、齋藤が自然フィールドをご案内しますよ!
■飛騨市役所まちづくり観光課 0577-73-7463

飛騨市へのアクセス情報はこちら

文:ユーコンカワイ
協力:飛騨市・池ヶ原湿原自然保護センター