投稿日 2021.06.30 更新日 2021.07.14

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縦走登山を満喫!屋久島編|登山ガイド厳選の定番&穴場コース

「屋久島エリアで夏山縦走を楽しむならどのコース?」という視点で、定番&穴場コースを厳選。屋久島ガイドの経験を持ち、現在は八ヶ岳を拠点に各地でガイド業を営む比留間雄太さんに、屋久島のおすすめ縦走コースとその見どころ、留意すべき事柄などを教えてもらいました。まだまだ新型コロナウイルスの影響は収まりませんが、夏山の登山計画は自宅で考えるだけでも楽しいもの。自分の登山レベルならどんな縦走登山が楽しめるのか、いまから想像を膨らませ、準備しておいてはいかがでしょう。

目次

屋久島の魅力、歩く醍醐味は?

はじめまして。2013年まで5年ほど屋久島で山と川のカヤックガイドをしていました比留間雄太です。現在は八ヶ岳の麓で暮らしながら自然ガイドをしています。冬はガチ登山ではなく、自然観察しながらのバックカントリースキーが好きです。

自然の変化を楽しめるのは屋久島の醍醐味

いちばんの魅力は屋久島でしか見ることができない自然の姿です。台風や豪雪、豪雨など、気候の変化が激しい中で成長してきた樹木たちや花崗岩の風化は日本の他のエリアでは見られないものであり、1日の中で気候の変化が激しいのも屋久島ならではといえます。ルートタイムにとらわれずに、谷から沸き立つ霧や豪雨の後の太陽に照らされた苔につく雫など、その瞬間の自然の変化をぜひ楽しんでもらいたいですね。

花崗岩の露出した荒々しい山頂から、これほど海を間近に見下ろせる環境は他にはないと思います。双眼鏡や接写カメラを持って歩くのもおすすめです。歩いてきた道を振り返って楽しむくらいの体力的な余裕も欲しいところです。

屋久島で縦走登山するならまずはここ!おすすめの定番コース

①宮之浦岳・縄文杉コース

■ルート
淀川登山口〜宮之浦岳〜縄文杉〜荒川登山口

■縦走レベル
中級者以上推奨

■所要日数と行動時間
所要日数:2日間(ガイド送迎車付き)or3日間(公共交通機関利用時)
行動時間:1日目/9時間(淀川登山口〜新高塚小屋)、2日目/6時間(新高塚小屋〜荒川登山口)

■参考になる活動日記リンク


■見どころ・おすすめする理由
屋久島といえば、百名山の宮之浦岳と巨木で有名な縄文杉。それを一度に味わえる大定番のコースがこのルートです。途中、花の江河という高層湿原やスギの巨木が立ち並ぶ原生林(世界遺産)の中を通ります。

■思い出深いエピソード
屋久島は豪雨で有名です。それも楽しもう!と意気込んでお客様を案内するのですが、流石に寒冷前線通過の豪雨を稜線で迎えるのは心身に堪えます。ただ、そうした状況では、ご褒美のような美しい風景に高確率で出合えるのも事実。雨が止み、霧が晴れ、雲が抜けた瞬間、スカッと展望が開ける喜びは経験した人にしかわからないものです。屋久島は雨と晴れのメリハリがあります。これを味わってしまうと少々の雨予報でもまた屋久島の山に登りたくなります。運が良ければ、ブロッケン現象やこれまで見たことがないような鮮明な虹を見ることもできます。一方、森の中では太陽に照らされた雫が光る様が見えたりして、それも最高の瞬間です。

■注意点
体力をしっかりつけて臨んでください。宮之浦岳から新高塚小屋までの後半は疲れも出てきますし、見どころを終えた後であるため、距離や時間も長く感じます。モチベーションを落とさないように注意して歩いてください。山小屋付近には可愛いヤクシカがいます。ただ、登山客の残飯の味を知って狙っている個体ですので、夜に食料を外に出しておくと瞬く間に食べられてしまいます。小屋ではネズミも食料を狙っていますので、地面に置かないようにしてください。ある先輩ガイドは夜中にザックを齧られ、朝起きたら穴が空いていました。また、山小屋は他の団体ツアーの登山客が多いと利用でいない可能性がありますので、テント泊の装備があると安心です。縄文杉から大株歩道入り口までは登ってくる登山客と多くすれ違いますので、譲り合って。ルート最後のトロッコ道は長く退屈です。また、足をくじきやすい場所なので最後まで集中して歩いてください。

②宮之浦岳〜永田岳コース

■ルート
淀川登山口〜宮之浦岳〜永田岳〜花山歩道

■縦走レベル
中級者以上推奨

■所要日数と行動時間
所要日数:2日間(ガイと送迎車付き)or 3日間(公共交通機関利用時)
行動時間:1日目/9時間(淀川登山口〜鹿の沢小屋)、2日目/6時間(鹿の沢小屋〜花山歩道入口)
※花山歩道入口にはタクシーかガイドツアーで車を手配する必要あり。あるいは大川林道入口まで追加で徒歩2時間。

■参考になる活動日記リンク

■見どころ・おすすめする理由
屋久島らしい花崗岩の山の景色や屋久杉の森を味わうならこのルートです。永田岳は、遠くからの景色も山頂からも景色も格別。花山歩道の途中の花山広場周辺には、屋久杉の巨木が立ち並びます。これほどまで豊かな屋久杉原生林を見られるのは屋久島内でもここだけ。ただ、基本的な体力がないと歩けません。ある程度の山の経験者のみが目指すルートであることから、鹿の沢小屋は、メジャールートである高塚小屋や新高塚小屋のように人で溢れているということは少ないでしょう。

■思い出深いエピソード
鹿の沢小屋から永田岳までは1時間なので、朝日や夕日を眺めるために暗闇の中ヘッドライトを使ってチャレンジすることができます。早起きは辛いですが、寒さに耐えながら、澄み切った秋晴れの日に海から朝日が昇る景色を参加者の皆さんと見ることができたときには、言葉にならないくらい感動します。

■注意点
登山客も多くはないルートであることから、体力に自信のない人は安易に計画を立てないこと。途中、道迷いしやすいポイントもあります。GPSや地図、高度計をしっかり使って行動してください。ガイド付きであれば問題ありませんが、登山口への車の手配が必要です。(あるいは自力で林道、車道を2時間程度歩く)

③屋久島大縦走、海から海へ

■ルート
永田〜宮之浦岳〜尾之間

■縦走レベル
中級者以上推奨、最上級コース。

■所要日数と行動時間
所要日数:3日間
行動時間:1日目/11時間(永田〜鹿の沢小屋)、2日目/6時間(鹿の沢小屋〜淀川小屋)、3日目/8時間(淀川小屋〜尾之間)

■参考になる活動日記リンク

■見どころ・おすすめする理由
丸い屋久島を南北に海から海へとぶっちぎるコース。やり切った者しか味わえない充実したコース。最後は尾之間温泉かJRホテルの温泉に入って大縦走の余韻に浸かるのがよいでしょう。「洋上のアルプス」と呼ばれる屋久島の原生林の森が、暖かな海によって作られたことを実感できるルートだと思います。

■思い出深いエピソード
実は紹介している僕自身もまだ挑戦していません。体力と目の輝きのある若者は是非挑戦してください。人生が変わる(?)はず。

■注意点
尾之間歩道に渡渉点があり、大雨の場合は渡れません。天気の良い時にチャレンジしてください。永田歩道は急登でとても大変です。

ビギナーも楽しめる大パノラマや、冒険的要素が満載のコースも。

④一泊二日の黒味岳コース

■ルート
淀川登山口〜石塚小屋〜黒味岳〜淀川登山口

■縦走レベル
ビギナーでも可。

■所要日数と行動時間
所要日数:2日間
行動時間:1日目/4時間(淀川登山口〜石塚小屋)、2日目/●時間(石塚小屋〜黒味岳〜淀川登山口)

■参考になる活動日記リンク

■見どころ・おすすめする理由
「体力には自信がないけれど、山の中に泊まって山頂を目指したい!」という方にはおすすめ。個人的に黒味岳山頂からの景色は宮之浦岳よりも好きです。僕と同じように思うガイドも多いようです。「宮之浦岳や縄文杉をどうしても目指したい!」という方には無理におすすめしませんが、十分、屋久島の自然を堪能できます。石塚小屋は利用客も少なく、高塚小屋や新高塚小屋よりも静かでゆっくりした時間を過ごせます。

■思い出深いエピソード
屋久島の冬は雪が降ります。大雪になれば登ることは難しいですが、ある程度の雪であれば雪山のチャレンジも行います。

■注意点
路線バスで行く場合には淀川登山口から紀元杉の間は徒歩です。レンタカーやガイド付き登山であれば、淀川登山口が登山開始場所になります。黒味岳山頂は高所感がありますので、高所が苦手な方は山頂の岩の手前まで。石塚小屋は利用客がゼロの場合もありますので、心の準備を。

⑤湯泊歩道からの宮之浦岳縦走

■ルート
湯泊歩道車止めゲート〜七五岳〜石塚小屋〜新高塚小屋〜白谷雲水峡

■縦走レベル
中級者以上推奨

■所要日数と行動時間
所要日数:3日間
行動時間:1日目/9時間(湯泊歩道車止めゲート〜七五岳〜石塚小屋)、2日目/6時間(石塚小屋〜新高塚小屋)、3日目/7時間(新高塚小屋〜白谷雲水峡)

■参考になる活動日記リンク

■見どころ・おすすめする理由
屋久島の南西をドライブしていると尖った七五岳が目立ちます。登ってみたくなる山。なかなか観光ではチャレンジすることないルートですが、山の経験がたくさんある方であれば、ビバークの用意をしてチャレンジするのも冒険的で面白いと思います。初日はヒルも多く、人にも会わないので孤独との戦いです。3日目は「宮之浦岳・縄文杉」定番コースに「白谷雲水峡」を追加しました。荒川登山口に下山するルートよりも一つ峠を越えるので、体力がある人向けです。湯泊歩道を選ぶ人であれば、体力がある方でしょうから問題ないとは思いますが。

■思い出深いエピソード
私は大雨で増水した沢の上でハンモックとタープで夜を明かしたことがあります。意外と夜は快適でしたが、梅雨時期だったので「ヤマビル」に何箇所も血を吸われました。この時は単独だったため孤独との戦いでしたが、逆に日常を離れ、冒険心に火がつく縦走でした。そして、定番コースのルート上の「花の江河」に到着すると登山客の会えて、とても嬉しい気持ちになります。ヒルにやられても、塩をかけたり屋久島名物いも焼酎「三岳」をかけたりして、何が効くか試すのも面白かった記憶があります。結局なんでもヒル退治には効きますが、血は止まりません。

■注意点
誰も歩いておらず、なかなか整備もされないルートです。道迷いへの注意やさまざまな判断ができる方向けルートといえます。ヒルが非常に多いです。

トップ画像:clutsh_tさんの活動日記より

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