投稿日 2020.09.12 更新日 2020.10.05

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妙義山 | 初級者でも歩ける岩山横断コースと世界遺産・富岡製糸場

群馬を代表する山といえば妙義山を思い浮かべる方も多いのでは?ギザギザに尖った岩壁が立ち並び、日本三大奇景の一つとしても有名です。
稜線は滑落のリスクも高く上級者向けですが、ここでは初級者でも歩ける中間道コースと山麓観光スポットを紹介しましょう。

目次

群馬県西部・人口約5万人の富岡市。平成26(2014)年に、富岡製糸場などの施設が「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界文化遺産に登録されたのは記憶に新しいところ。市の北西にあるのが、上毛三山の一峰・妙義山です。

鋸歯状の岩峰を連ねる姿の通り難コースが大半の中、唯一困難を感じることなく歩けるのが、妙義神社(富岡市)から中之嶽神社(下仁田町)へとお社をつなぐ中間道(※2020年9月現在一部通行止め)。岩をくり抜いた道や石門、岩峰群の景観など、この山の魅力が詰まっています。富岡といえば郷土料理のおっきりこみうどんやB級グルメ・ホルモン揚げなど、グルメも外せません。

西上州のギザギザの岩峰。日本三大奇景・妙義山を歩く

奇岩を連ね、日本三大奇景となっている妙義山(右の建物は妙義ふるさと美術館)*

群馬県の山を代表する上毛三山の一座で(他は赤城山・榛名山)、日本三大奇景の一つ(他は香川・寒霞渓と大分・耶馬溪)といわれる妙義山は西上州エリアのシンボル的存在。中木川をはさんで表妙義と裏妙義に分かれ、いずれも垂直の岩峰が連なる近寄りがたい雰囲気を醸し出しています。その姿から想像できるようにどこから登っても登山は困難で、特に表妙義の稜線縦走は国内の一般コースとしては最も困難で危険な登山道のひとつです。

そんな妙義山で唯一、困難を感じることなく歩けるのが中間道(ちゅうかんどう)。妙義神社から中之嶽神社へとお社をつなぐ登山コースを紹介しましょう。

【妙義山・中間道】(標高約850m・第四石門)

第四石門から見る大砲岩とゆるぎ岩

DATA
グレード:初級 
日程:日帰り 
歩行時間:5時間45分 
歩行距離:7.7km
累積標高差:登り755m・下り759m 
登山適期:3月下旬~12月上旬
アクセス/JR信越本線松井田駅からタクシーで妙義神社(約10分)または中之嶽神社(約35分)へ。※上信電鉄上州富岡駅からタクシーでアクセスする方法もある。マイカーは上信越道松井田妙義I.C.から道の駅みょうぎそばの富岡市営駐車場(無料)を利用(約2.5km)。中之嶽神社(松井田妙義ICから約10km)にも無料の大駐車場がある。

【妙義山オススメ登山コース】険しい岩山を横断し“日暮らしの景”に感動の中間道


中間道は表妙義の山腹をトラバース(横断)するコース。ピークを踏むことはありませんが、コース途中の第一・第二見晴からは金洞山や金鶏山などの迫力ある岩峰が間近に迫り、コース終盤では妙義山随一の景観といわれる“日暮らしの景”が迎えてくれます。ところどころに現れる、大岩壁の下を通り抜ける箇所では岩山の山腹を横断していることが実感できることでしょう。

nm25さんの活動日記より/妙義神社参道の石段

妙義神社の鳥居をくぐり、参道と石階段を登って本殿へ。極彩色が施された本殿でお参りし、境内を左に抜ければ中間道コースの始まりです。途中、大の字からの道と合流するとすぐに第一見晴、続いて水量の少ない大黒の滝を過ぎれば、ほどなく第二見晴。どちらも金鶏山などの眺めが大きく広がりますが、絶壁上のため、転落に注意したいところです。

nm25さんの活動日記より/第二見晴付近から見た金鶏山

見晴からしばらく樹間の道を歩いて岩壁の下をくぐると“本読みの僧”と呼ばれる自然石があり、この少し先があずま屋。ここからは七曲りへと下る道が分岐していて、天気悪化などの際にはエスケープルートとして活用できる道です。

nm25さんの活動日記より/岩をへつった道をたどる

あずま屋から登りにひと汗かくと、狭く急な長い鉄階段が現れます。スリップに注意しつつ、登り切って大きな岩の庇をくぐれば、やがて第四石門に到着。ここから見おろす岩峰群は“日暮らしの景”と呼ばれ、紅葉の頃は得も言われぬ景観を見せてくれます。

nm25さんの活動日記から/絶景が広がる日暮しの景

第四石門からは、石門めぐりコースと、石門迂回コースに分かれます。石門めぐりコースは長いクサリ場があるので十分な注意が必要です。どちらのコースも途中で合流し、石門群入口に至ります。ここを右に行けば中之嶽神社、左へと道標に従って一本杉、七曲り、金鶏橋を経て下れば妙義神社に戻ることができます。
なお、アクセスにタクシーを利用する場合、中之嶽神社まで行って妙義神社に向かうコース取りをすれば、歩行距離が半分ですみ、道も下り傾向となって楽ちん。体力に不安のある人には中之嶽神社スタートがオススメです。

※2020年9月現在、落石や路面崩壊のため、中間道で歩けるのは妙義神社~あずま屋間のみとなっています(復旧未定)。通行禁止区間には入らないようお願いします。
また、妙義山一帯は昔からヤマビルが多いエリア。4~11月はヤマビル対策を忘れずに。もし吸い付かれたときは、消毒用エタノールや塩をかければ瞬時に離れます。

妙義山 | その他のコース

中間道のある表妙義の稜線縦走は、人によっては登山というより命を賭けた冒険になってしまうので、基本的には避けたほうが賢明。裏妙義の稜線縦走はいくぶん楽ですが、こちらも危険度の高いコースです。特に丁須の頭のクサリ場は危険度MAXです。

中間道以外に不安なく歩けるのは中之嶽神社~見晴台コース(往復約1時間)。通行が困難な箇所はなく、見晴台からは岩峰群の雄大な眺めが楽しめます。ただし、見晴台から上は険悪な岩場帯となるので、神社からの往復に留めておくのが無難でしょう。

妙義山のとっておきの観光情報 | 温泉・グルメ・文化・歴史

西上州といえばコンニャクや下仁田ネギのイメージが強いエリアですが、隠れたグルメや良質の温泉だけでなく、文化・歴史にも“とっておき”がいっぱい。

【温泉編】露天風呂にゆったり浸かり、妙義山麓の大自然を眺望

妙義を望む露天風呂。肌になめらかな湯は神経痛や筋肉痛などに効用がある*

■妙義ふれあいプラザ 妙義温泉「もみじの湯」
妙義山麓に湧く妙義温泉は、肌にやさしいすべすべとした湯が評判の日帰り温泉施設。露天風呂からは妙義の大自然と関東平野が一望でき、特に秋の紅葉が見事です。館内には地元の食材を活かしたメニューが並ぶ食事処があり、食事のみの利用もできます。

【グルメ編】その場で食べたいB級グルメ。富岡銘菓はおみやげに

ホルモン揚げは富岡のソウルフード*


ホルモン揚げを最初に売り出した老舗精肉店の岡重肉店*

■ホルモン揚げ
富岡市民に人気のB級グルメ、ホルモン揚げ。ホルモンといってもモツ(肉の内臓)ではなく、ちくわの串揚げで、市内の肉店やスーパーなどで買うことができます。縦に切ったちくわにパン粉をつけて揚げ、ソースに浸けたホルモン揚げは、油っぽくなく食べやすいのが特徴です。かつてはモツを揚げていたそうですが、モツの価格が上がり、代用品としてちくわを使うようになったとか。

熱湯で溶くだけでなめらかなくず湯のでき上がり*

■まゆ菓優 田島屋の銘菓「まゆこもり」
富岡製糸場のある富岡市の銘菓「まゆこもり」は、厳選された葛粉を繭の形に固めたもので、沸騰した湯を注いでかき混ぜれば絹のようになめらかで優しい甘みの「飲むくず湯」に。きな粉、コーヒー、ミルクなどを加えて「食べるくず湯」としても楽しめます。プレーンのほか、抹茶、桑の葉、桜葉パウダー入りなどさまざまな風味がそろっています。

【文化・歴史編】ぜひ訪れたい!妙義山信仰の妙義神社と世界遺産・富岡製糸場

きらびやかな彫刻が施された妙義神社本殿*

■妙義神社
妙義山の主峰・白雲山中腹に鎮座する妙義神社は妙義山信仰の中心で、創建は宣化天皇2(537)年。日本武尊をはじめ名だたる神々が祀られ、参道や境内に植えられた樹齢200年余りのしだれ桜の美しさでも知られています。鮮やかな朱色の総門と装飾が見事な唐門の奥に、黒漆塗り権現造りの豪華絢爛な本殿が立ち、拝殿には対をなす金色の上り龍と下り龍の彫刻が。総門、唐門、本殿は国指定重要文化財。

木の骨組みに煉瓦を積み重ねた造りの東置繭所(繭倉庫)*

■富岡製糸場
平成26(2014)年に世界遺産に登録された富岡製糸場は、明治政府が設立した模範器械製糸場。明治維新後、政府は産業や科学技術の近代化を進め、その資金集めとして生糸の輸出に力を注ぎ、生糸の品質改善・生産向上、技術指導者育成のために洋式の繰糸器械を備えた模範工場を設立したのです。昭和62(1987)年に操業を停止するまで蚕の優良品種の開発と普及を主導してきた富岡製糸場は、和洋技術を混合した工場建築の代表とされ、創業当時の主要な施設がほぼ現存しています。

【教えて、妙義山の魅力!】妙義案内人の中島清さんに聞く「妙義山の遊び方」

妙義神社門前の宿、東雲館のご主人・中島清さんは、表妙義稜線縦走のガイドも行う“妙義案内人”。遭難発生時には民間遭難救助隊のリーダーとしても活躍する中島さんに、妙義山とその山麓の魅力や登山中の注意点などを教えていただきました。

―妙義山の魅力を教えてください
中島:妙義山というと峻険な恐ろしい山というイメージがありますが、昔から「紅葉に映える妙義山」といわれるように美しい山です。一度、新緑や紅葉の時期に訪れてみてください。輝く黄緑、そして燃える紅黄葉が黒い岩肌と見せるコントラストはここでしか見られない絶景です。登るときには登山口にある妙義神社か中之嶽神社に、帰り道には南麓にある菅原神社(富岡市妙義町菅原)に立ち寄ってほしいですね。ここは菅原道真が祭神の神社で、道真が幼少のころ育ったという伝説があります。石に彫られた足跡や自ら彫った木像があります。大規模な社ではないし有名でもありませんが、興味がありましたらぜひ。

やまっちさんの活動日記より/あざやかな妙義山の紅葉

―登山の際の注意点は
中島:季節ごとに格別な美しさを見せる妙義山ですが、ひと目でわかるとおり険しい岩山です。稜線の縦走では豊富な経験と強い体力が要求されるのはもちろんのこと、中間道コースであってもヘルメットを装着し、石門群のクサリ場では登山用の薄手の皮グローブを付けるなど十分な準備をしてください。雨の時は危険が倍増するので入山しないことが原則です。

nm25さんの活動日記より/石門めぐりコースのクサリ場

険しい山ですから遭難も少なくありません。事故や道に迷った際は、その場所から110番や119番に電話してください。ある範囲で位置確認ができます。どんな日でも雨具やヘッドランプ(懐中電灯)、携帯電話は忘れずに、どのコースでもけっして油断せずに歩いてもらえたらうれしいです。

―今後の山への取り組みは
中島:妙義山はずっと私のそばにいてくれた山。これからもやりたいことがいっぱいです。まずは道標をきれいに整備し、同時に、稜線上のどのピークでもいいので、ちょっとしたスリルだけで登れる新コースを作りたいですね。また、ずっと登山禁止になっていた金鶏山を整備し、ガイド同行原則で月に1回でもいいから登れる日を設定したいと考えています。ここからの表妙義の眺めは最高です。それと自分の旅館のことになってしまいますが、宿の前で朝、お弁当や地図、登山用手袋などを販売したいと思っています。せっかく参道に面しているので、情報交流の場にできたらいいですね。

*画像提供:「ググっとぐんま」(群馬県観光物産国際協会)
協力:群馬県観光物産国際協会

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