投稿日 2022.11.20 更新日 2022.11.18

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遭難時、命を守るために|登山者とその家族・友人が知っておくべき3つのこと

新聞やテレビ、WEBでよく目にする山岳遭難のニュース。その中には無事に生還できた事例もあれば、行方不明や死亡となってしまった事例も少なからず存在しています。その命の分岐点はどこにあるのか? 重要なのは「情報共有」でした。この記事では「情報共有」の観点から遭難を考え、たどり着いた3つの大切なことをお伝えします。ぜひ、ご家族やご友人にもシェアしてください。

目次

年間3,000人が山で遭難。誰がどこで遭難しているのか?

突然ですが皆さんは、日本国内における年間の山岳遭難者数をご存知でしょうか?

2021年統計(※)によると、その数は3,075人。平成以降、年間の山岳遭難者数は増加傾向にあり、ここ10年は3,000人前後で高止まりしています。

「遭難」と聞いて、多くの方は自分には関係ないと思っていることでしょう。実際、YAMAPユーザーの方とお話ししていても「山岳遭難ってアルプスみたいな高い山で起こるものでしょう」といった声をよく伺います。しかし実は、2021年の山岳遭難理由1位(41.5%)は「道迷い」。木々が生い茂り、落ち葉や薮で登山道が見えにくくなる低山でこそ、遭難は発生しやすいのです。

また、遭難理由の2位・3位は「転倒(16.6%)」「滑落(16.1%)」と続きますが、足元の倒木につまづいて打撲・骨折をしてしまうケースや、わずか数mの崖から転落して動けなくなるケースも発生しており、これらも決して標高の高い山に限った話ではありません。

実際、検索サイトで「山岳遭難」と検索すると、1,000m以下の山での遭難ニュースも多く並んでいます。中には標高300mに満たない低山での遭難事故なども散見されます。

加えて、「自分は若いから大丈夫」と思っている方も過信は禁物。2021年における山岳遭難者数のうちの過半数(51.5%)は59歳以下。体力に自信があっても、遭難の危険性は常に身近に潜んでいるのです。

つまり、「山岳遭難は高い山に限った事故ではなく、身近な低山で誰にでも発生する」ということ。言葉を選ばずに言ってしまえば「あなたやあなたの家族・友人が明日遭難しても、不思議ではない」のです。

態様別山岳遭難者の割合(※)

遭難を警察に相談するのは家族かもしれない

「遭難とは、自分の力で下山することが難しい状況」です。体力があっても、怪我や疲労、道迷いで身動きが取れない、携帯電話の電波が繋がらないなど、登山者自身の力だけではどうにもならない状況こそが「遭難」なのです。

このとき、本人以外の誰かが遭難に気づき、早めに警察に相談することで救助確率は確実に上がります。そのためには「登山の予定や状況を家族・友人に共有する」ことが最も大切です。

遠く離れた場所からでも登山者のことを思い、その安否を気遣っている人がいる。その存在こそが、遭難発生時に登山者の命を救う大きな力になるのです。

では、「登山の予定や状況を家族・友人に共有する」には、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか? ここからは「登山前」「登山中」における情報の共有方法について、説明していきます。さらに、遭難が疑われる場合に家族・友人が取るべき行動についてもご紹介します。

① 登山前|山行予定を家族・友人と共有する

例えば、一人暮らしの会社員Aさんが誰にも知らせずに山へ登り、遭難した場合を想像してみてください。休日が終わってもAさんが出社しないことで、周囲の人は違和感を覚えることでしょう。でもそれが体調不良によるものなのか、行方不明なのか、はたまた遭難なのかを知ることはできません。

運よく会社の同僚が「登山が趣味だから山に行っているのかも」と気づいてくれたとしても、どこの山に登っているのか? が分からなければ、捜索すら開始できないのです。右往左往しているうちに数日が過ぎてしまってAさんは…。そんな不幸な結末は絶対に避けなければなりません。

そのためにも、登山者は次にあげる3つの情報を家族・友人に伝えて山に行くことを習慣づけるようにしてください。

事前共有すべき3つの情報
・どの山に行くのか?
・どのコースを通るのか?
・入山/下山予定は何時か?

たった3つの単純な情報ですが、事前に共有しておくことで遭難発生時の捜索精度が格段に向上します。

また、家族・友人の方は、登山者自身がこれらの情報を伝えないまま山に行こうとしている際には、積極的に情報を聞き出すようにしてください。遭難が発生した際、異常に気づき、警察に連絡を取って命を救うのは、他ならぬあなたなのです。

なお、YAMAPには、事前に登山計画をアプリ上で立案し、それを緊急連絡先として登録しているメールアドレスに共有する機能が備わっています。この機能を活用することで、事前に登山計画を家族や友人に共有できるので、ぜひ活用してください(登山計画の詳細はこちらから)。

② 登山中|「みまもり機能」で位置情報を家族や知人に伝える

前章では「3つの情報の事前共有」が遭難発生時の捜索精度を向上させることをお伝えしました。しかしながら、自然相手の登山においては、あらかじめ立てた計画を変更せざるを得ない状況も発生します。登山道が倒木や崖崩れによって塞がれていたり、時間的・体力的にショートカットを余儀なくされる場合があるためです。

そのような場合に備え、ぜひとも活用したいのが、登山中の位置情報を家族や友人に知らせることのできる、YAMAPの「みまもり機能」です。「みまもり機能」とは、簡単に言うとYAMAPを起動しているユーザーの位置情報を、あらかじめ登録してあるメールやLINEに対して通知する仕組み(LINEへの通知はYAMAPプレミアム限定機能)。

しかも、電波の届かないオフライン環境下の山中にあっても、すれ違ったユーザーのスマートフォンどうしが自動で「すれ違った位置情報」を交換。すれ違った誰かが、オンライン環境に移動すれば、本人に代わって、位置情報をYAMAPのサーバーに自動で送信してくれるのです。

これにより、帰りを待つ家族・友人は、登山者の位置情報を把握することができます。そして、万が一遭難が発生した際にも、位置特定の精度が上がり、救助側は登山道のどのあたりを探せば良いか絞り込むことができるため、迅速な救助に結びつくのです(みまもり機能の詳細はこちらから)。実際に、この機能のおかげで救助された事例は多数報告されています。

YAMAPユーザーがすれ違うと、その地点の位置情報を自動的に交換。さらにお互いがこれまでにすれ違ったユーザーの位置情報もまとめて交換する。誰かがオンライン環境に到達することでそれら情報はYAMAPサーバー経由で登録メールアドレス(LINE)に配信される

③ 遭難が疑われる場合|家族・友人は焦らず状況を整理して110番

家族や友人の方が遭難を疑うのは「共有されていた下山時刻を過ぎても登山者が帰ってこない」「みまもり機能の位置情報がずっと同じ位置で止まっている」といった場合でしょう。

このような状況において「多分、大丈夫」と楽観視することは禁物です。しかし一方で、本当は遭難していないのに、家族や友人が勘違いしてしまったために、現地の消防や警察などが出動してしまうといったケースも近年では増えています。誤った救助要請が連続してしまうと、結果的に山の安全が損なわれる事態を招いてしまうのです。

そのため、家族や友人に求められるのは「状況を整理し、適切な行動を取る」こと。日頃から遭難が疑われる際の対応を把握しておくことを強くお勧めします。具体的には、下記のフロー図を覚えておくことです。スマートフォンに保存したり、プリントアウトして持っておくのも有効でしょう。

遭難が疑われる場合に家族や友人が取るべき基本行動のフロー図。ただし、状況に応じて危険度が高いと判断した場合には、迷わず110番に電話をかけよう 

大切なのは「まずは登山者本人に連絡して安否確認をすること」、そして「日没や下山予定時刻を過ぎているか冷静に判断すること」の2点です。

登山道はスマートフォンの圏外であることも多く、連絡がつかないからといって必ずしも遭難しているとは限りません。登山中にスマートフォンのバッテリーが切れていることも考えられるでしょう。「連絡がつかない=遭難」とならないことは、くれぐれも認識しておきたいところです。

また、遭難の可能性が高いと判断した場合は、110番に電話を掛けましょう。少しでも多くの情報を入手したいとの思いから、山小屋などにも電話を掛けたくなりますが、複数ヶ所への連絡は指揮命令系統の混乱を招いてしまい、結果として捜索に悪影響を与える可能性があります。110番に電話を掛け、落ち着いて相手の質問に正確に答えることが、初動では何よりも重要なのです。

情報の共有が命の危機を救う

今回は、「情報共有」の側面から、遭難対応を考えてきました。もちろん遭難を未然に防ぎ、また発生時に迅速に救助を依頼するためには、これ以外にも様々な配慮が必要です。

でも、少なくとも「情報共有」さえしっかりと行っておけば、遭難発生時の捜索精度は格段に向上します。登山者自身の命を守るため、そしてその帰りを待つ家族・友人が悲しい思いをしないために、今回ご紹介した内容を決して忘れないようにしてください。ヤマップからのお願いです。

遭難時、命を守るために|登山者とその家族・友人が知っておくべき3つのこと

① 登山前|山行予定を家族・友人と共有する

② 登山中|「みまもり機能」で位置情報を家族や知人に伝える

③ 遭難が疑われる場合|家族・友人は焦らず状況を整理して110番

※統計データの出典:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和3年における山岳遭難の概況
TOP画像:ばりろく / PIXTA(ピクスタ)

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