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秋山登山はココに注意! 低山・日帰りでも注意したい3つの落とし穴とは?
秋は紅葉・紅葉狩りを目的に、低山歩きや日帰りトレッキングを楽しむ人も多いもの。そんなときに見落としがちなのが、秋の山ならではの注意点。たとえば下界では晴れて汗ばむ陽気があっても、秋の山は思っている以上に季節が進んでいる…というように、秋の山には意外にも危険なポイントがあるのです。登山ガイドの岩田京子さんに、秋山登山を安全・快適に楽しむための注意点を聞きました。
秋山登山を安全・快適に楽しむための注意点 #03/シリーズ一覧はこちら
目次
秋の山は天候が変わりやすいことを念頭に
「女心と秋の空」ということわざにもあるように、秋の空模様はとても変わりやすいことで知られています。さっきまで日が差していたと思ったら急に陰ったり、突然の霧で視界が遮られたり…。もともと山の天気は変わりやすいと言われていますが、秋こそこうした”変化”に気をつけたい季節です。
秋の山では、行動中はさほど寒さを感じなくても、ふとした瞬間に「気温の低さ」や「風の冷たさ」を感じるもの。途中、ほんの少しの時間でも休憩しているうちに、あっという間に体が冷えてしまうこともあります。
山での低体温症は命に直結します。冬山・雪山に登る場合は、誰しも寒さ対策を万全に行っている人がほとんどだと思います。でも、秋山となるとどうでしょうか? 「ちょっと紅葉を見に行くだけだから」「低山日帰りだから」と、どこか気持ちが緩んでいたり、防寒の必要性をさほど意識せずに出かけてしまうこともあるかもしれません。
そう、秋山での寒さ対策は意外に盲点なのです!
1日の天気(山行当日が晴れなのか曇りなのか雨なのか)を知っておくだけでなく、その日1日の天気の移り変わりも見ておくと安心です。風速や最低気温まで確認すれば、当日の服装や持ち物を決めやすくなると思います。
※秋山の服装・持ち物については以下の記事で詳しく解説しています。
秋の登山、服装選びに迷ったら? レイヤリングの基本と秋ならではの注意点
秋の登山の持ち物おすすめ! 道迷い・滑落予防&寒さ対策に使える4アイテム
日が短くなる秋山では注意! 分岐でコースタイムを測るべし
夏から秋に移行する初秋は特に、日没が早くなっていることに感覚が慣れていないものです。秋山での行動は夏山同様、午前中をメインにするのが基本ですが、同じ感覚でいるとあっという間に日が暮れて視界が暗くなります。足元や細部が見えにくくなるため、転倒や怪我をしやすくなるほか、道迷い、遭難のリスクも高まります。
そこで対策としてぜひともおすすめしたいのが、「事前シミュレーション」です。登山計画時に普段からやっているよ、という人もいるかもしれませんが、道迷いや山での予期せぬトラブルを防ぐためにはとても大切なことなので、あらためてお伝えさせてください。
分岐を通過するまでにどれくらいかかるのか?
これを事前に確認しておくだけで、登山の安全・安心は格段に上がります。おしゃべりに夢中になって知らぬ間に分岐を過ぎていた!…なんてことがあっても、分岐までのおおよその時間を把握していれば、早い段階で間違ったことに気がつき、リカバリーすることができます。
特に秋山では落ち葉が増えるほか、台風による倒木・落枝などで、コースの様子が違って見えることが多々あります。一度行ったことのあるコースだからと油断せず、しっかりと事前シミュレーションをしておきましょう。
そして、山行中はシミュレーションした内容が合っているかどうかをしっかり確認しながら歩くこと。これをぜひ、習慣づけてください。分岐や休憩時は、現在地やコースタイムの確認が基本です。
ケガや滑落に注意! 秋山の「落ち葉」は滑りやすい
上述したとおり、秋山では紅葉がきれいな反面、落ち葉が増えて地面に積もりやすくなります。そのため、夏山に比べると滑りやすくなるので注意が必要です。
急勾配や崖での滑落事故が命とりになるのは言うまでもありませんが、アップダウンの少ない山道でも、落ち葉があるだけで滑りやすくなり、思わぬケガの原因にもなります。
積もった落ち葉の下には、樹の根や石、折れた枝などが隠れていたりすることも。登山道の端や崩れている個所も落ち葉で見えにくくなっていることがあるので、足を置く場所にも慎重さが必要です。
山での基本の歩き方、足運びのコツを思い出して、慌てず一歩一歩進みましょう。
秋の山では3つの落とし穴に気をつけて!
秋山では季節を思い切り体感し、リフレッシュできる反面、下界との季節のギャップが感じられるものです。
秋山では、
① 天候が変わりやすい
② 日が短くなる
③ 落ち葉で滑りやすくなる
以上3つの注意点を念頭に、準備・行動することが大切です。安全・快適に秋の登山を楽しんでくださいね。
あわせて読みたい秋山登山「服装」「持ち物」のポイント
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登山ガイド
岩田 京子
1976年、横浜市生まれ。日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド。 MTB、スノーボード、キャンプ、フィッシング、マラソン、野外フェスなど、さまざまなアウトドアイベントの制作に携わり、外あそびの楽しさを広めてきた実績を持つ。現在はフリーランスで、国内では山のガイド、海外ではツアー登山やトレッキングの添乗をしている。海外添乗の仕事では高所登山にも携わり、キリマンジャロ、エルブルース、チンボラソなど。プライベートでは8000m峰のチョーオユー、マナスル、エベレスト、ローツェと4座の登頂。
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