投稿日 2020.07.10 更新日 2020.07.10

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登山で膝が痛くなる原因と対策は? 歩き方・トレーニング・道具で膝痛を解消

登山において最も負荷がかかる場所、それは膝。実際、膝痛に悩む方も多いのではないでしょうか? 今まさに膝痛に悩んでいる方はもとより「痛くはないけど、長距離を歩くとちょっと違和感がある」なんて方も多いと思います。でも、その兆候、放っておくと取り返しがつかないことになるかも。今回は、膝痛の原因や改善法、膝痛を和らげる道具についてお伝えします。末長く登山を楽しむためにも、自分の膝をメンテナンスしませんか?

目次

膝が痛くなる原因は?

登山中に膝に痛みを感じる原因はさまざまありますが、この記事では筋肉の疲労を原因とするケースを中心にご紹介したいと思います。人によっては関節の故障や、過去の怪我による後遺症による症例もあると思いますが、実は膝の痛みの多くはこの筋肉疲労が原因だと言われているのです。
膝と大腿四頭筋の位置関係

膝の痛みの主な原因として挙げられるのが、「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」の疲労。大腿四頭筋とは太腿の上部、ちょうど手をふとももの上に置いた場所にあります。膝関節を伸展し、登りで体を持ち上げる力と下りで体重を支える役割を果す、登山においても貢献度の大きい筋肉です。この大腿四頭筋が疲労することにより、筋肉がつながっている膝の周辺に痛みが発生してしまうのです。

ではなぜこの大腿四頭筋が、膝が痛くなるほどまでに疲労してしまうのか。それは登山にともなう「運動の負荷の大きさ」が背景にあります。

登山中、脚部にかかる負荷は日常生活と比べてとても大きくなります。体重50kgで荷物が10kgだとしても、60kgもの負荷が片方の脚にかかります。体の動きによる衝撃も加わるので実際はさらに大きな負荷が…。ちなみに、下りは登りよりもさらに大きな負担がかかるのだそうです。

登山においては、重いバックパックを背負い、1日に数千歩〜数万歩も歩き、標高差も千メートルを超えることもあるでしょう。日常にはない高い負荷が膝にかかることで脚部の筋肉が疲労し、膝に痛みを感じるケースが多くなるんです。

不安定な場所を長時間に渡って歩く登山は、いわずもがな膝への負担も大きい

大腿四頭筋の疲労以外にも、太ももの外側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)の疲労は膝横の痛み、鵞足(がそく)と呼ばれる膝まわりの筋肉の腱と膝の靭帯の疲労は膝の内側の痛み、膝の動きをサポートする膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)の硬化は膝下の痛みにつながることが多いようです。つまり、人によって痛みを感じる理由はさまざま。自分はどのケースだろう?と心配な方は専門家(主に整形外科等)に診てもらうことを推奨します。

でも、ちょっとした工夫で膝の痛みを軽減できることも。ここでは「3つの原因」と「その解決法」 を紹介したいと思います。

原因その1:歩き方が悪い

まず、歩き方に問題があるケース。前述のように、登山では脚部への負荷が大きくなります。日常生活と同じような歩き方や脚の使い方をしてしまうと、筋肉や関節が負荷に耐えられず痛みを発してしまうことも。

例えば「大股で一歩ごとの負荷が大きくなるような歩き方」や「飛び下りるように片足に体重がかかるような歩き方」。これらの歩き方は筋肉を疲労させ、痛みを発生させる原因にもなってしまいます。

とくに痛みが発生しやすいのは下り。下りは登りに比べて心肺にかかる負荷が少なく、息切れもしにくいのが特徴です。登りは息が荒くなったり、汗をかいたりするように、エネルギー消費が大きく、無意識のうちにゆっくり歩いているケースが多いですよね。一方、下りでは早いペースで歩いてしまうことが多いんです。しかしここが注意です。下りでは脚にかかる負荷が登りよりも大きいことをお忘れなく。筋肉も下りの衝撃に対応するように動かさなければいけないため、 歩き方が悪いとあっという間に、筋肉は疲労してしまいます。

下りではついついスピードを出しがち。無意識のうちに大股になってしまうことが多い

対策その1:正しい歩き方をマスターしよう!

対策はもちろん、正しい歩き方の習得。特に有効なのは、ゆっくり歩いたり、歩幅を狭くしたり、膝を曲げてクッションのようにしたりと、筋肉への負荷を減らす歩行技術です。

山を歩いているとき、ドンドンと足音がしていませんか? 足音が大きいとそれは負荷の大きい歩き方になっている証拠。一歩あたりの歩幅を小さく、優しく接地するように歩いてみましょう。一歩ごとの衝撃を減らすことができれば、筋肉の疲労を抑えることができます。

衝撃を減らす歩き方に加えて「膝の向き」にも注意するとベター。脚部の「ねじれ」は関節に与えるダメージが大きくなりやすいため、膝をまっすぐにして歩く「正しい歩き方」を身につけておくといいでしょう。

前に出した足が大きく外側や内側にねじれていると、膝にも大きな負担がかかってしまう

正面から見て、膝を曲げたときに内側や外側に向いていませんか? このラインが真っ直ぐになっていないと膝に変な力がかかってしまい、筋肉が余計な動きをしてしまいます。このことにより筋肉の疲労や関節の痛みが発生します。歩いている時、ちゃんと真っ直ぐになっているかな? とたまに思い出して意識して歩いてみてください。

まっすぐに足を出すと、膝への負担は少ない

真っ直ぐになっていればかける力も無駄がなく地面に伝わり、膝の痛みが出にくいだけでなく、楽に登り下りができるようになります。

ほかにもバックパックの荷物を軽くする、傾斜の緩いコースを選ぶなど、脚部の負荷=痛みの原因を削ってみてください。もし登山中に膝が痛くなってしまったら、歩幅を狭くしてみましょう。そうすることで歩数は増えますが、一歩あたりの衝撃を小さくすることができ、疲労軽減につながりますよ。

原因その2:筋力が足りない


登山では、登り下りといった動きに加え、長距離・長時間に渡って歩くこともあるでしょう。当然のことながら、日常生活以上に脚部の筋肉を酷使することになります。その運動に耐えられる筋力を備えているかどうか。頻繁に登山をしていたり、普段からトレーニングをしていたりしない限り、どうしても「筋力不足」で山を登ることになってしまうのです。

そのため「登りが辛い…」「下りが疲れる…」というのはある意味当然のこと。「登山では普段以上に筋肉を酷使している」ということを理解し、普段からトレーニングを行なって基礎筋力をアップしたり、自分の体力に合ったルート設定やペース配分をしたりと対策をしていただきたいと思います。

トレイルランニングの選手は、りっぱな太ももの筋肉をしていますよね。長時間、しかも整地されていない山道を走るという負荷の大きい行動を可能にしている理由は、ズバリ「強い筋肉が支えているから」に他ならないのです。

対策その2:家でもできる「膝痛改善トレーニング」

膝の痛みの原因である脚部の筋力不足はトレーニングで解消できます。トレーニングは大きく分けて「筋力の向上」と「筋持久力の向上」の2つ。筋力の向上は登り下りのための力で、筋持久力は長時間登山をしてもへこたれないスタミナです。この2つを意識してトレーニングをしましょう。ここでは、代表的なトレーニングを2つほど紹介したいと思います。

「スクワット」で脚力アップ!
ひとつめは「スクワット」。脚を少し開き、ゆっくりと屈伸しましょう。膝関節が90度くらいまで曲がればOK(お尻を地面につける必要はありません)。慣れてきて楽に感じたら、バックパックを背負って行ってみるといいでしょう。体重とバックパックの重みを脚部でしっかり支えながら曲げ伸ばしすることで負荷がかかり、筋力がアップします。

10回を1セットとして、セット数を増やしたり荷物を重くしたり、自分なりにカスタマイズしてみてください。はじめは負荷をかけることを意識して筋力アップ、慣れてきたら回数を増やして筋持久力をアップ!

「かかと上げ」でバランスと足裏感覚アップ!
もうひとつは「かかと上げ」。バランスをとりながら爪先立ちを繰り返してみましょう。低い台を利用するのがオススメです。登山道は平面ではないため、足裏の筋力によるバランス感覚が大切。爪先立ちを繰り返すことで筋力がアップし、不安定な登山道でも安定して歩くことができるようになります。そうすることで不整地での安定感が増し、脚部への負荷を軽減できるのです。

日常生活ではなかなか足裏に力を入れる機会がありませんが、「かかと上げ」は電車の中やバスを待っているときなど、いつでも気軽にできるトレーニング。日常生活にぜひ取り入れてください。こちらもバックパックを背負ったり、片足だけで行ってみたりと、自分の状態に合わせてカスタマイズしてみると良いでしょう。

他にも、荷物を背負って階段を登り降りするのも効果的。慣れてきたら、一段飛ばしで負荷をかける、荷物量を重くする、往復回数を増やすといった工夫をしてみましょう。

ざっくりした言い方ではありますが、「膝の痛みの原因」は「日々の運動不足」によるものが大半。山で膝が痛くなって楽しい山行ができないのは避けたいですし、「下山できずに命の危険が…」という可能性もゼロとは言えません。日頃から自分の脚力や体力の維持や把握に努めておきましょう。トレーニングは地味なものですが、山歩きでは多いに役立ちます。痛みのない膝と強い足腰があれば登れる山も、見える景色もきっと変わってくるはずです。

原因その3:道具が合っていない/必要な道具を使っていない

原因1と2は、主に脚部の筋肉の疲労が原因ですが、道具も膝の痛みに関わる要素です。たとえばシューズ。登山では歩くごとに脚に体重と荷物の重み、そして衝撃が加わります。歩行時に脚部の筋肉がクッションの役割を果たしてくれるのですが、その役割をサポートしてくれるのがシューズなのです。

シューズにはミッドソールと呼ばれるフォーム素材などで構成されるクッションが設けられていて、衝撃を和らげる効果があります。でも、ソールのクッション性が弱かったり、そもそも足に合っていなかったりすると効果がないばかりか、余計な負担になっている可能性すらあるのです。

シューズ内のインソールもチェックしておきたいポイントです。登山靴には基本的にインソールが付属していますが、足に合わない場合も。インソールはシューズ内で足裏にかかる体重を分散させ、シューズ内での足裏を正しい位置に収めてくれる役割があります。足裏サポートやパフォーマンスを向上してくれるものもあるので、違和感がある場合は、変えてみるのもオススメです。また、インソールは使用と共にクッション性能が劣化する場合も。へたれている場合は交換をお勧めします。

下りで膝が痛くなるようなケースでは、脚への負荷を軽減してくれるトレッキングポールも効果があります。トレッキングポールを使うことで脚にかかる負荷を腕に分散し、不整地などでは、歩行時のバランスを取ることもできます。結果として、下半身の負担を大いに軽減できるのです。

対策その3:膝の悩みに試してみたい、YAMAP STOREの登山アイテム6選

ここからは、YAMAP STOREで取り扱っている、靴下や登山靴、トレッキングポールなどをご紹介していきます。自分に合った道具を見つけることも、膝の悩み対策のひとつ。ぜひご覧ください。

<クッション性に優れた靴下やインソールで膝への負担を軽減!>

YAMAP(ヤマップ)/中川政七商店コラボ 5本指の山を登るくつした

日本各地の工芸品や雑貨のセレクトショップとしてセンスに定評のある中川政七商店、日本屈指の靴下産地奈良県の老舗メーカー、そしてYAMAPの3社で、「山を登ること」を考えて作った5本指の靴下。

クッション性が高いため、登山靴の硬さを感じさせず、足裏にかかる負担を柔らかく保護してくれます。また、5本指構造により足指のすべてを自由に動かすことができるのもポイント。地面をつかむ感覚で、一歩一歩を力強く踏み出すことが可能になるだけでなく、指先までフィットしてくれるので、ズレを生みづらい作りになっているのです。

DARN TOUGH(ダーンタフ)/ハイカーブーツソックフルクッション


ハイカットの登山靴に合わせて使えるブーツ丈のウールソックス。長期縦走にぴったりな、少し厚めの3シーズンモデルです。高品質なニュージーランド産メリノウールを使用し、通気性、速乾性を確保。さらに耐久性やフィット感にも定評のあるモデル。特徴は21.5ミクロンという細い糸を使用し、肌に当たる面は非常に高い密度でびっしりとリング状に編み込んであること。

非常に高いクッション性を生み出し、地面からの衝撃や、シューズとの接触を和らげて、疲労や靴ずれを防止してくれます。サポートタイツなどのアンダーや、パンツの下に重ねてもすっきり着用できます。

YAMAP(ヤマップ)/BMZコラボインソール


各界のプロスポーツ選手も愛用するインソールメーカーBMZとYAMAPがコラボレーションした登山向けのインソール。インソールは登山靴にもともと入っているパーツですが、アップデートすることで、痛みやズレなどのトラブルの解決、パフォーマンスの向上を狙うことができます。

YAMAPオリジナルインソールは、土踏まず部分に「盛り上がり」を作らず、土踏まず本来の機能を引き出す構造になっているため、着地衝撃の伝達が「かかと→膝・腰」から「つま先→足首→膝→腰」というように変化。この変化により、長時間の歩行における、膝と腰への衝撃を和らげてくれます。

<痛みの原因が「シューズ」にあることも。負担の少ない軽量さと正しい歩き方を支える本格モデルを>

スポルティバ(LA SPORTIVA)/TX5 GTX


スポルティバのTXシリーズのラインナップのなかでも軽量性を備えたハイキングブーツとして人気を集めているモデル。足入れ部のネオプレーンカフやシューレースシステム、足首をしっかりとホールドする「3D フレックスシステム」を採用し、登山時の快適性や安全性を確保。アウトソールにはラバー素材の最高峰ともいわれるビブラム社製のメガグリップソールを使用し、不安定な登山道であってもしっかりと地面を捉えてくれます。無雪期のアルプスなど、2000メートル級のアルプス縦走でも活躍してくれる本格仕様。

<荷重を分散し、脚部への負荷をサポートしてくれる「トレッキングポール」>

GRIPWELL(グリップウェル)/ジェム・カーボン


トレッキングポールは、足腰の負担を軽減し、バランスをサポートし、登りの推進力にもなる、特に長い距離を歩くときや荷物の重いときなどには欠かせない道具。「ジェム・カーボン」は、もっとも構造がシンプルな、スクリューロック式の伸縮タイプ。軽さと丈夫さ、扱いやすさ、それに価格を加えた抜群のバランス感を備えています。ポール部分に軽量で丈夫なカーボン素材を採用しながらも、1万円台という価格に抑えているのも魅力。膝が痛くなるという方、とくに下りではトレッキングポールが役立ちます。

GRIPWELL(グリップウェル)/カーボンスーパーライト


わずか192g(1本)という超軽量を達成したトレッキングポール。収納サイズは、3段伸縮タイプとしてはコンパクトな58㎝。こちらのモデルもスクリュータイプの伸縮システムを採用。レバーロックタイプのように出っ張りがないので、バックパックのサイドポケットやギアループにつけやすく携行性も良好です。長時間持ち歩くトレッキングポールでは、軽さはもっとも重視すべきポイント。体力に自信のない方、「装備は少しでも軽くしたい」という全ての方にオススメできるアイテムです。

原因1〜対策その2までの参考文献:『登山の運動生理学とトレーニング学』(発行:東京新聞 山本正嘉:著)

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