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冬の山で美味しい「棒ラーメン」のレシピコンテスト|山麺王の栄誉は誰の手に
寒い季節に山で食べるラーメンは、何より美味しい登山のご褒美です。登りきった達成感に包まれながら食べる温かな麺。山頂の景色と開放感が最高のスパイス!
誰もが手軽に楽しめる山ラーメンですが、実は追求すればするほど奥深い世界が広がっています。重さを考えた材料選び、ギアの取捨選択、そして、味付けや調理方法…。そう、山ラーメンのレシピは登山者の数だけ存在するのです。
2025年11月、そんな山ラーメンの頂点を決める「初代山麺王決定戦」の戦いが、佐賀県天山(標高1,046m)で繰り広げられました。その名も「マルタイpresents 初代山麺王 頂上決戦 in 天山」。登山者にも大人気の「マルタイ棒ラーメン」を使った山ラーメンのレシピを競う、初の試みです。
目次
佐賀県天山に集いし9名の挑戦者

天山は佐賀県に位置する九州百名山のひとつ。比較的登りやすいながらも山頂は360度の眺望が素晴らしく、地元の登山者に愛される山です。
そんな美しい景色の中、コンテスト参加者に与えられた調理時間はわずか15分! 限られた山の環境で、どこまで創意工夫を凝らせるか? 妥協なき真剣勝負に参加したのは、予選の書類審査を勝ち抜いた9名の挑戦者です。
使用されるのは「マルタイ 棒ラーメン」
使用される棒ラーメン。ご当地シリーズや季節の商品などもあり、常時約30種類を販売!
今回のコンテストで使用されるのは、1959年の発売以来、愛され続けるマルタイの棒ラーメン。その最大の魅力は油で揚げない独自製法にあります。
一般的なインスタントラーメンは油で揚げて乾燥させますが、マルタイの棒ラーメンはちょっと違う。小麦粉に水と塩などを加えて練り、ストレート状に成形した後、揚げたり蒸したりせず、じっくり乾燥させる。この「ノンフライ・ノンスチーム製法」により、小麦本来の風味が損なわれず、生麺に近い香りと味わいを生み出しているのです。
油で揚げていないから、カロリーも控えめ(1食280kcal・あっさりしょうゆ味)。あっさりとした後味で、背徳感なく最後の一滴まで飲み干せる。茹で時間は約3分、必要な水は450mlと少量で済むので、山での調理にもぴったり。しかも賞味期限が1年あり、そうめんのように熟成で麺の食感が変わっていくことも隠れた魅力です。
棒状の細長い形状も登山者に人気の秘密。バックパックの隙間にすっぽり収まるので、カップ麺や四角い袋麺より場所を取りません。お湯に入れればすぐに曲がり始めるから、小型のクッカーでも調理可能です。
今回のコンテストでは、そんなシンプルイズベストな棒ラーメンに、新たな可能性が爆誕するのです!
コンテスト会場となる天山山頂を目指す一行。異彩を放つラーメンザックの中身はもちろん棒ラーメン
4名の辛口審査員

挑戦者のレシピを採点するのは、4名の厳しい審査員たち。左から、西部ガスグループ SGインキュベート猪部さん、マルタイの杉元さんと森本さん、YAMAPひげ隊長という、ラーメンにはちょっとうるさい九州出身の面々です。
審査基準は「味」「独創性」「ビジュアル」「登山との相性」「製品の個性を生かしているか?」の5項目。各審査員が25点を持ち点とし、4名の合計100点満点で競われます。
絶品の参加者レシピ9品を全公開!
それでは、熱きバトルに登場した9つのレシピを早速ご紹介していきましょう。審査結果は後ほど発表するので、どのレシピが栄冠を手にしたのか、予想しながらお楽しみください!

天山尽くし酒粕和風サンラータン
YAMAPネーム: ふくおかさん
<材料>
・水 450ml
・天山酒造酒粕:大さじ2
・棒ラーメン(あっさりしょうゆ味):1束
・生卵:1個
・赤酢(天山酒造の酒粕使用):大さじ1
・ボイルした鶏ささみ(コンビニのサラダチキンでも可):スライス2-3枚
・三つ葉・黒七味:お好み
<レシピ>
❶水を沸かし、50mlを別の器に取り分ける。
❷400mlのお湯で麺を茹で、50mlのお湯に酒粕を溶かす。
❸酒粕を溶かしたお湯を、麺を茹でているお湯に投入。
❹卵を溶かし入れ、付属の粉末スープ・調味油・赤酢を加える。
❺ボイルした鶏ささみ・三つ葉をトッピングし、黒七味をかける。
<参加者コメント>
天山が会場ということで、佐賀県小城市にある天山酒造の酒粕と赤酢でラーメンを作りました。地産地消です。特に関係者というわけではなく、ただの天山酒造ファンです(笑)。
佐賀県産の具だくさんあったか豆乳坦々ラーメン
YAMAPネーム:GreeNさん
<材料>
・ほうれん草・ゆで卵・水で戻した干したけのこ・トウモロコシ:適
・豚肉:100g
・青ネギ・長ネギ:適
・ごま油:適
・食べるラー油・ネギ油・コチジャン:適
・豆乳:400ml
・水:50ml
・練りゴマ白:大さじ3
・鶏がらスープ:少々
・マルタイ棒ラーメン(あっさりしょうゆ味):1束
※今回は佐賀県産の食材を中心に使用
<レシピ>
❶ほうれん草・ゆで卵・水で戻した干したけのこ・トウモロコシは自宅で火を通して保冷持参する。
❷豚肉、青ネギ、長ネギをごま油で炒め、食べるラー油、ネギ油、コチュジャンで味をつける。
❸メスティンに豆乳、水を入れ沸騰させないように温め、練りゴマ、付属の粉末スープ、鶏がらスープ、麺を入れてお好みの硬さまで茹でる。
❹(1)を盛り付けて出来上がり。
<参加者コメント>
夏場には、冷たいラーメンにアレンジすることもできます。その際は、オクラやトマトなどの夏野菜をトッピングして、スープは冷やして持参するのがオススメです!
爆誕! マルタイ棒ラーメンとマッシュポテトのふわとろ山オムレツ
YAMAPネーム:つよっぺさん
<材料>
・水 300ml
・棒ラーメン(屋台とんこつ味):1束
・インスタントマッシュポテト:大さじ4
・卵:2個
・油:小さじ1
・粉チーズ:適量
・黒こしょう:適量
<レシピ>
❶フライパンで水を沸かし、棒ラーメンを折って加える。アルミホイルで蓋をして2分茹でる(やや水分が残っていてもOK)。
❷火を止め、付属の粉末スープ・インスタントマッシュポテトを加えて、よく混ぜる(とろみが出るまで)。
❸溶いた卵を回しかけ、弱火にしてアルミホイルで蓋をし、3〜4分蒸し焼きに。
❹片面に焼き色がついたら裏返す(焦げ付かないように適時油を使う)。
❺粉チーズ・黒こしょうを振りかけて完成。
<参加者コメント>
激しい山登りの際にエネルギー補給できるように、マッシュポテトを使いました。お腹にしっかり貯まるレシピです。
カリモチ新食感!パエリア風・棒ラーメン
YAMAPネーム: はしこRさん
<材料>
・棒ラーメン(あっさり醤油味):1束
・水:150ml
・オリーブオイル:大さじ1/2
・タマネギ:1/4個
・ニンニク:1かけ
・ウインナーソーセージ:2本
・ミニトマト:3個
・ズッキーニ:1/4本
・ブラックペッパー:少々
・スライスしたレモン:3枚
<レシピ>
❶麺を商品袋の中で、1〜2cmの長さに折る。
❷シェラカップに付属の粉末スープ1/2袋・調味油・水を入れて混ぜておく。
❸フライパンにオリーブオイルを引いて、みじん切りにしたタマネギ・ニンニクを炒める。
❹タマネギが透明になったら麺を入れ、少し炒める。
❺(2)を入れ、強火で加熱し、煮立ったら中火にする。
❻刻んだソーセージ・ミニトマト・ズッキーニを乗せ、アルミホイルで蓋をして蒸し焼きに。
❼適時、具合を確認して、水分がなくなってきたら強火にして底におこげをつくる。
❽ブラックペッパーを振り、スライスレモンを散らして完成。
<参加者コメント>
マルタイさんには申し訳ないですが、オリジナリティあるメニューということで、麺を粉々に折らせて頂きました。味付けは付属の粉末スープと調味油、ブラックペッパーのみ。これだけで十分美味しく出来上がります。
マル・タイラーメン カオソーイテイスト
YAMAPネーム: ichiro♤さん
<材料>
・水:450ml
・タイカレーペースト:小さじ1
・棒ラーメン(あっさり醤油味):1束
・フライドチキン(コンビニで購入):1個
・ナンプラー:適量
・ココナッツミルク:大さじ3
・パクチー:適量
・お好みで高菜・ライム・紫玉ねぎ:適量
<レシピ>
❶水を沸かし、50mlを取り分けてタイカレーペーストと付属の粉末スープ半分を溶かし濃縮スープをつくる(香りが飛ぶので煮立たせないように)。
❷棒ラーメンを茹でつつ、もうひとつのバーナーでフライドチキンを炙る。
❸棒ラーメンが茹で上がったら(1)とナンプラー・ココナッツミルクを加える。
❹お好みでパクチーを添え、別皿で高菜・ライム・紫玉ねぎを用意して完成。
<参加者コメント>
料理が好きで、中でもタイの麺料理「カオソーイ」が大好きです。わざわざ本場のチェンマイで料理教室に通って勉強しました。この大会に合わせて棒ラーメンで作ってみたら、驚きの美味しさで出場を決意! 使用する水は、アルカリ性の硬水を使うと、スープがどろっとならないので、おすすめです。
とんぺい焼き焼き棒ラーメン
YAMAPネーム: tomatoさん
<材料>
・豚バラ:60g
・ピーマン:1/2個
・玉ねぎ:1/4個
・キャベツ:50g
・塩胡椒:少々
・水:200ml
・棒ラーメン(あっさり醤油味):1束
・サラダ油:大さじ1
・卵:1個
・天かす:5g
・お好み焼きソース・青のり:適量
・紅生姜:お好み
<レシピ>
❶自宅で、豚バラは3cm幅、ピーマンは細切り、玉ねぎは薄切り、キャベツは粗めの細切りにしておく。
❷フライパンで豚バラを炒め、脂が出てきたらピーマン・玉ねぎを加え、火が通ったらキャベツを加えてさっと炒め、軽く塩胡椒をふる。
❸鍋で水を沸かし、棒ラーメンを入れて固めに茹でる(1分半程度)。水分を蒸発させつつ、底に水が溜まっているようなら取り出し、付属の粉末スープ(半分程度)と調味油を加える。
❹(3)に(2)を入れてあえ、器に移す。
❺フライパンにサラダ油をひき、天かすを混ぜた溶き卵を流し入れ、薄焼き卵を作る。
❻(4)の上に薄焼き卵を載せて、お好み焼きソース・青のりをかける。お好みで紅生姜を添える。
<参加者コメント>
スープを飲みきれない場合があるので、焼きラーメンをイメージしてレシピを考えました。味付けは付属の粉末スープと調味油、塩胡椒だけなので、お手軽です。お好み焼きソースが食欲をそそります。
絶景・濃厚・山担々麺
YAMAPネーム:じゅんさん
<材料>
・刻み白ネギ:適量
・豚挽肉:100g
・ごま油・にんにくチューブ・しょうがチューブ:適量
・甜面醤・醤油・豆板醤・ほりにし:適量
・パックで販売されているコーン:50g程度
・水:340ml
・マルタイ棒ラーメン(あっさりしょうゆ味):1束
・練り胡麻:適量
・無調整豆乳:100ml
・すり胡麻・ラー油・花椒(ホアジャオ):適量
<レシピ>
❶自宅で刻み白ネギと豚挽肉をラップで包む。豚肉は冷凍しておく。
❷バーナーにフライパンをセットし、ごま油・にんにく・しょうがを熱し、香りが立ってきたら豚挽肉を投入。
❸肉に火が通ったら甜面醤・醤油・豆板醤を入れてさらに炒め、「ほりにし」を振りかけて肉みその完成。肉みそを寄せてコーンも同じフライパンで温めておく。
❹鍋に水を入れて沸騰させ、棒ラーメンを茹でる。
❺お椀に練り胡麻を入れ、豆乳で少しづつ伸ばして溶かす。付属の粉末スープ半分と調味油を入れ、スープたれの完成。
❻(4)が茹で上がったら(5)に加えて、混ぜ合わせる。
❼(3)を上に載せ、白ネギをトッピング。すり胡麻・ラー油・花椒を好きなだけかけて完成。
<参加者コメント>
付属の粉末スープを半分しか使っていませんが、胡麻と豆乳の濃厚さ、肉みそとコーンで、美味しく完飲できるスープになります。辛さと痺れが疲れた頭と体を目覚めさせてくれるので、登山にぴったりです! 冷凍した豚肉は、野菜の保冷剤代わりにもなります。
麻棒(マーボー)ラーメン
YAMAPネーム:たかモンさん
<材料>
・水:600ml
・高野豆腐(一口タイプ):お好みで6個位
・棒ラーメン(あっさり醤油味):1束
・麻婆豆腐の素(山椒パウダー付・ひき肉入りタイプ 2〜3人用):1袋
・乾燥ネギ:少々
<レシピ>
❶水350mlを沸かして付属の粉末スープ半分を溶かし、器に移す。
❷高野豆腐を(1)に入れ、戻す。
❸付属の調味油を鍋に入れて加熱。麻婆豆腐の素を半分程度入れて炒める。乾燥ネギもあわせて炒める。
❹炒め終わったら鍋に水を250ml注ぎ入れる。
❺戻した高野豆腐を鍋に入れる(高野豆腐に吸収されず器に残った水は、後ほど味を見ながら鍋に追加する)。
❻付属の粉末スープの残り半分を入れ、味を見ながら水を追加。味が薄い場合は、残りの麻婆豆腐の素を追加投入する。
❼(6)に棒ラーメンを入れて2分煮込む。仕上げに山椒パウダーをふりかけて完成。
<参加者コメント>
登山のレシピということで、軽量化や腐敗防止を意識しました。そのため、軽くて水気のない高野豆腐や常温保存ができる麻婆豆腐の素を使っています。
簡単トマト煮込みラーメン
YAMAPネーム:マサノリさん
<材料>
・オリーブオイル:適量
・ベーコン・小松菜:適量
・ニンニク:適量
・トマトジュース(無塩):450ml
・棒ラーメン(あっさり醤油味):1束
・鶏ガラ・塩胡椒:適量
・粉チーズ
<レシピ>
❶オリーブオイルを入れた鍋でベーコン・小松菜を炒め、別の器に取り分けておく(自宅で事前に調理済みの物でも可)。
❷鍋に刻んだニンニクを入れ、オリーブオイルで炒める。
❸(2)にトマトジュース(無塩)を加えて、麺を茹でる。
❹付属の粉末スープを半分入れ、鶏ガラ、塩コショウで味を整える。
❺茹で上がったら(1)をトッピングし、好みで粉チーズを散らす。
<参加者コメント>
YAMAPスタッフですが、今日は棒ラーメン愛が溢れすぎて参加者として来ています! 普通のラーメンは、お店や家庭でも楽しめるので、普段食べない味にあえて挑戦しました。山に持っていくことを想定し、材料もレシピもシンプルに仕上げました。
いよいよ結果発表!栄えある初代山麺王は…?
9名の力作が出揃ったところで、いよいよ審査結果が発表されます。果たして、初代山麺王の称号(金賞)と、審査員特別賞は誰の手に渡るのでしょうか!? 見事受賞した4作を見ていきましょう。
【SGインキュベート賞】
天山尽くし酒粕和風サンラータン(ふくおかさん)

<審査員コメント(SGインキュベート 猪部さん)>
酒粕を使ったという部分が斬新。「天山への愛」「地元食材へのこだわり」を大切にしながらも、新しいことにも挑戦する姿勢に気概を感じました!
【YAMAP賞】
パエリア風・棒ラーメン(はしこRさん)

<審査員コメント(YAMAPひげ隊長)>
麺を砕いて使うという発想が面白かった。チャレンジ精神を持った、大暴挙に敬意を表します。本当に美味しかったです!
【マルタイ賞】
とんぺい焼き焼き棒ラーメン(tomatoさん)

<審査員コメント(マルタイ 杉元さん)>
お好み焼きソースと、付属の粉末スープを使った下味が相まって、風味豊かでした。豚肉の旨味が全体をまとめていて、とても調和の取れた味です。
【初代山麺王・金賞】
マル・タイラーメン カオソーイテイスト(ichiro♤さん)

<審査員コメント(マルタイ 森本さん)>
本当にうちの商品を使ってるのかと疑ってしまうくらい(笑)、麺もスープも進化していて美味しかったです。『マルタイ太麺皿うどん』を上に載せると、揚げ麺を添えた、現地のカオソーイを再現できますね!
タイカレーペーストとココナッツミルクを使った本格的なカオソーイ風アレンジに脱帽です。

見事、初代山麺王に輝いたichiro♤さんは、驚きの様子で「山麺王!ただただ、嬉しいです!」と喜びを噛み締めていました。ちなみにichiro♤さんには下山後、マルタイさんより、賞品としてマルタイ棒ラーメン1年分とオリジナルシェラカップが贈呈されました。
山で広がる、棒ラーメンの可能性
天山の山頂で繰り広げられた「初代山麺王決定戦」。9名の参加者が生み出したレシピは、どれも棒ラーメンの持つポテンシャルを最大限に引き出したものばかりでした。
初代山麺王に輝いたichiro♤さんのレシピをはじめ、今回紹介した9つのレシピは、どれも山でチャレンジする価値のある力作ばかり。わずか15分という制限時間の中で、これだけ多彩な料理が生まれることに、棒ラーメンの可能性を感じずにはいられません。
登山者の数だけ存在する、最高・最上の頂上ラーメン。次はあなたが自分だけのレシピを見つける番です。
それでは、おつかれ山!

※肉や野菜などの食材を山に持って行く際には、保存温度・環境に留意し、ご自身の判断で適切に管理してください。
デザイナー
村上智一
東京で広告や雑誌の制作に携わった後、福岡を拠点に活動。写真を撮りながら、ゆっくり、のんびり、歩く旅が好き。
https://inthefield.work/
公式SNSで山の情報を発信中
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