投稿日 2019.02.18 更新日 2024.08.16Sponsored

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2019年注目の新アウトドアブランド「ZANE ARTS(ゼインアーツ)」。藝術性と機能性を高次元で追求する独自のモノづくりとは?

目次

「機能的でスタイリッシュなテント、タープ」「次世代を担うアウトドアブランドの誕生」……。2019年4月の製品発売を前に、そんな賞賛と期待の声を以て注目を集めているブランドがある。その名は「ZANE ARTS(ゼインアーツ)」。2018年8月に長野県松本市で産声を上げたばかりの、新進気鋭のアウトドアブランドだ。

創業者の小杉敬(こすぎ・けい)さんは、某・大手アウトドアメーカーの開発担当として、これまで数々のアウトドアギアを世に送り出してきた人。今回のブランド立ち上げでは「製品を藝術の域まで高められるよう、時間をかけて丁寧に設計した」と言う。ゼインアーツの目指す”藝術”とはいったいどんなものなのだろうか。ブランドコンセプトやモノづくりへの想い、今後の展望などを伺った。

アウトドアギアに求められるのは、美しい景観に溶け込む佇まい。「自然と人間の調和をもたらす道具」であってほしい。

—「ゼインアーツ」というブランド名は、社名でもあるんですね。どんな由来や想いがあるのでしょうか。

小杉「座して半畳、寝て一畳」という言葉からきています。これ、僕の座右の銘なんです。座(ざ)と寝(ね)をとって「ZANE(ゼイン)」。お客様が「これだよね」って選んでくれるような、本当に必要とされるものを生み出すために、 ”シンプルさ” や ”実用性” を追求していきたい。そんな想いを込めました。

ロゴはZANEの「Z」と「N」をくっつけたものですが、Zは座っている人(「座して半畳」の座)、Nは寝ている人(「寝て一畳」の寝)の形になるようデザインしました。Z(座っている人)をコロンと横に寝転がらせると、N(寝ている人)になるんです。

—たしかに色合いもシルエットも本当に綺麗ですよね。しかもコンパクトで機能的でもある。

小杉:そうなんですよ、って、僕が言うのは変ですよね(笑)。とにかく納得いく製品をこだわって作っています。

—そこをお聞きしたかったんです。公式Webサイト内のNEWS欄では、ゼインアーツのモノづくりは「機能性と藝術性を同時に高次元で考えていく手法」と表明されていますよね。いわゆる世間一般の機能美とは何が違うのですか?

小杉通常、機能美と言うと “機能を追求した先にある造形の美しさ”を指しますけど、僕が作りたいのは”機能性と藝術性を同時に、同格で追求した結果の美しさ”なんです。

言い換えるなら、”自然との調和”でしょうか。アウトドアの道具って、自然の中で使うものじゃないですか。だから、自然そのものの美しさや景観を壊すのではなく、その景色の中にしっくり溶け込んでくれるモノであってほしいというか。自然という”場”の中での、道具の美しさ、佇まいみたいなものを大事にしたいと思っていて。じつはZANE ARTSの「ARTS(アーツ)」も「藝術」を意味する「art(アート)」からとっています。”自然との調和”を意識して付けました。

ー自然と調和する道具。ああ、なるほど。その感覚は写真からも十分伝わってきます。それを実現するのが、機能性と藝術性を共存させる作り方というわけですね。ところで「芸術」ではなく旧漢字の「藝術」を使っているのはどうしてですか?

小杉:話は藝術の語源に遡るのですが。藝術という言葉は西洋からart(芸術)という単語が伝来した際に生まれたもので、藝術の「藝」は、人が木を植えている格好からきているといわれています。西洋では、art(芸術)はnature(自然)の対義語であり、「芸術とは自然に手を加えていく行為」と認識されていたそうなのですが、日本人は真逆の発想で捉えたんですね。自然と人の調和を可能にするのが藝術だ、と。自然と人間の営みを調和させる手段としての藝術。そんな観点でもチャレンジしていきたいと思っています。

ただ単に美しいものを見に行く。そういう自然との付き合い方があってもいいと思うんです。

—ご自身も登山やキャンプ、釣りといった「自然の中のアクティビティ」に親しまれていますが、自然との調和を大切にしたいという思想は、やはりその過程で生まれたものでしょうか?

小杉:10年ほど前に冬の八ヶ岳を登っていて、爆裂火口を目にしたときですかね。あまりの神々しさに涙が出てしまって。「なんだこの世界は!」って感動するのと同時に、自分の登山スタイルに対する違和感を覚えたんです。それまではわりとスピード重視派だったんですけど、もっと純粋に自然の美しさを感じるスタイルの方が、よりナチュラルなんじゃないかと思ったんですよね。今回のブランド立ち上げにあたって山や自然との向き合い方を再考したんですが、八ヶ岳で見た光景がフラッシュバックみたいに蘇ってきて。

登山っていろんな価値観があるじゃないですか。高い山、危険な山に登るのを楽しむ人もいれば、高山植物を愛でるのに喜びを感じる人もいるし、トレイルランナーのように速さを求める人もいる。でもみんな、本質的には自然と向き合い、自然の美しさにハッとする瞬間、心震える経験をしているはずで。

冬の五竜岳にて。夏山、冬山、沢登り、クライミング、バックカントリーと、幅広く外遊びを楽しんでいる小杉さん(写真提供:小杉敬)
こちらは明星山での一枚(写真提供:小杉敬)

小杉:自然と向き合い、その美しさに感動することは、生きている奇跡への感謝に近いというか、人間の動物としての本能に近い感覚だと思うんですよね。食の恵みはすべて自然からですし、その自然の循環の中に私たち人間の生命も連なっている。登山やアウトドアなどの自然経験を通じて、自然と人間の適切な距離、バランスを知ることができる。それが登山・アウトドアの価値でもあると思います。

山の中の美しい世界をもっといろんな人に知ってもらいたいし、プロダクトを通して、そういったものに触れたいと思っている人たちをサポートしていきたいですね。

コンパクトさ、軽快さを大事にした道具の選び方もあるんじゃないかな、と。

—製品の発売は2019年4月からということですが、第一弾のラインナップを4つに絞った背景について教えてください。

小杉軽快にactiveに楽しむことを目的とした「ミニマルキャンプ」を軸にラインナップを揃えました。過度に荷物を用意したり、ラグジュアリー色のあるグランピングとは違う形で、キャンプの楽しみ方を提案したいと思ったからです。ソロやデュオ向けの小型のものから、ファミリー、オートキャンプまで各ニーズをおさえつつ、「快適」「シンプル」「コンパクト」を重視して作りました。

PS-003 / ZEKU-M(ゼクーM)
MIDDLE SIZE
ONE POLE SHELTER
PS-011 / GIGI-1(ギギ1)
SMALL SIZE
ONE POLE SHELTER
DT-004 / ROGA-4(ロガ4)
COMPACT
TWO ROOM TENT
TP-003 / GEU(ゲウ)
ALL WEATHER
FOUR WING TARP

—製品名の独特の響きが素敵ですね。すべて濁音が入っていますが、何かこだわりが?

小杉:製品名はすべて日本語です。ZEKU(ゼクー)は色即是空の「是空」、GIGI(ギギ)は「巍々」、ROGA(ロガ)は「露岩」、GEU(ゲウ)は「夏雨」。日本の自然の中で生み出されるプロダクトなので、やはり日本語が良いなと思い、それぞれの読み仮名からとりました。

—キャンプでの使用がメインでしょうか?

小杉:そうですね。基本はキャンプを想定していますが、「ROGA-4」は登山シーンでの使用も可能なスペックです。もちろんこれで縦走は無理ですけど、立山とか涸沢なら十分持っていけます。耐風性も意識して作っているので、ベースキャンプとして使えます。僕自身も登山大好きなので、将来的に余力が出てきたらですが、いつか山岳テントの製品化にもトライしてみたいです。

—そういえばカタログを作っていないんですね。

小杉:ええ、コスト削減で。カタログは作らないですね、一生(笑)。というのは冗談ですけど、製品を安くするために何をして何をやらないのかをとにかくとことん考えるようにしています。

今のキャンプ用品って、めちゃくちゃ高いじゃないですか。テント一つとってもそう。僕は超庶民派なので、遊びの道具に10万、20万円という大金をポンっと出すのを見ていると、「よく買うなみんな」って思うんですよね。なので、とにかくいいモノを安く提供して、多くの人たちにアウトドアを楽しんでもらいたいと強く思っています。

—その想いが今回の独立・起業に繋がったのでしょうか?

小杉:そうですね。近年のキャンプ人気によって、せっかくアウトドア人口は増えてるのに、それを提供する側が皆の望むような価格設定にできていない。今のアウトドア業界はメーカー数と市場規模のバランスが悪くて、メーカーは潤っていますが、固定費が上がっている分、製品の定価も上がっていて……。ユーザーにとって不利な状況になってると思います。こんなの健全じゃないですよね。

より多くの人たちに、いいモノを安く提供する。これを愚直にやっていきたいです。

—ここ最近のガレージブランドの潮流をどう思いますか?

小杉:すごくいい傾向だと思います。今までは大手だけが製品を生み出せたという状況に対して、個人からでもそういうアプローチができるようになったというのは、使い手としては選択肢が増えて嬉しいことですから。メーカーは平均的なものしか出せないけれど、ガレージブランドはニッチなものを出せる。

ただ僕は、より多くの人たちに貢献したいという気持ちが強いので、ある程度の数を供給できる会社にしたいと思っています。

—拠点を松本に決めたのは、やはり自然を身近に感じたいから?

小杉:そうですね。松本は山が近くて、キャンプ場もたくさんある。フィールドが仕事場になる最高の環境でありながら、東京や名古屋、関西にも近く物流拠点としても機能する便利な場所だと感じています。アウトドアの天国で物作りをすること自体がブランディングにもなると思いますし。

—最後に、2年後3年後のビジョンを聞かせてください。

小杉:テントに限らず、ファニチャーやクッキングギアなど、開発する製品を見極めながらラインナップを徐々に整えたいです。それと、起業したからには雇用を生みたい。ただ、健全にモノづくりができる規模が大事なので、急ぎすぎず地に足をつけて、開発・会社経営を進めていきたいと思っています。それと、松本のオフィスも、ゆくゆくはハブのような場所にしたいですね。お店ではなくラウンジ、旅する人の中継地点のような場所に。

製品情報

会社情報

株式会社ゼインアーツ

〒390-0851 
長野県松本市島内7168-13
TEL:0263-87-2955(代表) FAX:0263-87-2966
https://zanearts.com/