学ぶ
岩場・鎖場の相棒に「キンカン」という選択肢。岩場の技術を学びながら試したその実力
登山者に緊張を強いる鎖場やハシゴ。長く続けば、腕や肩に力が入って、すっかり肩が凝ってしまうことも。そんなときこそ、『キンカン』の出番。 今回は、YAMAPユーザーふたりが経験豊富な国際山岳ガイド天野和明さんとともに、長〜い鎖場のある栃木県・古賀志山へ。岩場や鎖場の安全な歩行方法をレクチャーしてもらいながら、『キンカン』の実力を試してみました。
目次
『キンカン』を登山のお供に鎖場が連続する古賀志山へ出発
YAMAPユーザの植木勝久さんと牧谷桂子さんは、登山友達。おふたりとも神奈川県に住んでいることもあって、丹沢周辺をよく一緒に登っているのだそう。「鎖場は苦手ではないけど、通過すると疲れるよね。今回、岩場の歩行技術をレクチャーしてもらえると聞いて、とても楽しみにしてるんです」と、うれしそうな植木さん。牧谷さんも「岩場を通るときはやっぱり緊張します。どんなことに気をつけたらよいのか、しっかり学びたいです!」とのこと。
岩場の歩行技術を教えてくれるのは、国際山岳ガイドの天野和明さん。石井スポーツ登山学校の校長であり国際的なガイドの資格を持つエキスパート。さらに登山界で最も権威のあるピオレドール賞を受賞(2009年)され、ご自身も登山家としてジャンルを問わず精力的に活動されています。
出発前の身支度チェック。早速、靴紐について天野さんからアドバイスが。
「ちょうちょ結びの輪はここにしまっておくといいですよ」
靴紐の輪が伸びていると、木の枝や岩などに引っかけてほどけてしまうことも。狭い岩場では結び直すのが難しいので、登山口できちんと処理しておくと安心です。
バックパック周りについても同じで、できるだけスッキリさせておくことがポイント。ボトルホルダーやトレッキングポールなど、いろいろなものを外付けしていると、岩に引っかかって落としたり、ぶつけてバランスを崩したりすることも。サコッシュやショルダーポーチも引っかけやすいので要注意。岩場を通過するときはバックパック内にしまいましょう。
身支度を調えたら、登山のお供に持ってきてもらった『キンカン』と一緒にみんなで記念撮影。キンカンと言えば、虫さされの薬と思っている方が多いと思いますが、じつは腰痛や肩こりにも使えるんです。
「そうなんですか?!」とびっくりするのは牧谷さん。小さなときから虫さされの薬はキンカンを使ってきたそうですが、腰痛や肩こりに効くことは知らなかったと驚いています。植木さんは「効能に『肩こり』って書いてあるのは知ってたけど、あんまり使ったことはなかったな。鎖場は力を使って肩周りが凝るから、今日は活用してみます」と、キンカンの実力に期待しているようす。ぜひ、その実力を試してみましょう!
岩場の歩行技術 その①鎖に体を預けすぎないことが大事
今回登るのは栃木県宇都宮市の古賀志山(こがしやま)。標高583mの低山ですが、山頂付近は長い鎖場がたくさんあり、岩場の歩行を練習するのにちょうどよい山です。宇都宮市森林公園の駐車場から林道を15分ほど、体を慣らしながら歩いていきます。林道の脇から登山道に入り、緩やかに登っていくこと30分、さっそく長い鎖場が出てきました。
まずは鎖場を通過するときのポイントを教えてもらいます。
「まず、鎖に体を預けすぎないこと。鎖に全体重をかけてしまうのは危険です」と天野さん。
鎖にしがみついてぶら下がってしまうと、万が一、手が滑ったときに支えるものがなくなってしまいます。鎖はバランスを取るための補助として使い、足でしっかり立ちましょう。
「鎖を持つと余計な力が入ってしまったり、鎖が左右にぶれてしまったりする人は脇を締めましょう。鎖が暴れにくく、安定して使うことができますよ」。遠くの方を握りたいときは、腕を上げてまっすぐ上へ伸ばすこと。中途半端に脇を開いた状態だと、腕の力が変な風に伝わって、バランスを取りにくいので注意が必要です。
鎖場では、ある程度間隔を開けて通行するのが大事。間隔が短いと、何かあって足を滑らせたときに下にいる人が巻き込まれてしまう可能性があるからです。他の人が鎖を使っているときは、その鎖には触らないこと。ふたりで鎖を使うと、鎖が動いて使いにくいので要注意です。鎖場だけでなく、岩場は狭くて危険な場所です。スペースや順番を譲り合って、焦らず通過しましょう。
2箇所の鎖場を通過したあと、バックパックを置いてひと休み。植木さんが「早速使ってみようかな」と、バックパックからキンカンを取り出して、こわばった肩に塗ります。
キンカンの有効成分は「局所刺激」「冷感刺激」「温感刺激」を患部に与えるもの。これらの作用が合わさって、虫さされのかゆみや肩こり・腰痛等の痛みに効くんです。
塗った後のスーッとした冷感は、l-メントール等によるもの。そのあと、トウガラシチンキによるジンワリとした温感があります。症状に応じて、この「冷感刺激」と「温感刺激」は何度も繰り返すことが大事。1回だけ塗って終わりにするのではなく、時間を空けて塗ってはよく乾かしを繰り返して使うのがおすすめです。
※キンカンの用法用量/1日数回、患部に適量を塗布してください。
岩場の歩行技術 その②手元や足元をしっかり目視、確認すること
キンカンをしっかりと塗ったあと、バックパックを背負って再スタートです。
もうひとつ鎖場を通過すれば、ゴールの古賀志山の山頂。岩場をスムーズに通過するには、手でつかむ箇所や足を置く場所をきちんと見定めるのが大切とのこと。
「特に足元は、アウトソールが硬い靴だと感触がわかりにくいんです。だから足を置く直前まできちんと目視することが重要。これは鎖場にも言えることなので、ここで練習してみましょう」と、天野さん。
岩にしがみつくような姿勢は、手元や足元を確認しにくくなってしまうのでNG。ある程度、岩と距離を保つには、足場をきちんと選んでしっかり立つことが重要だそう。
「岩に立つときは、母指球(親指の付け根)あたりに力を込めます。すると、つま先立ちしていても足裏を水平に保ちやすくなり、ぐらつきにくくなります。手元はバランスを取るために使い、力が入りすぎないようにしましょう」
キンカンは痛みの伝わりを抑制する効果も
古賀志山に到着してお昼休憩を取っていたところ、牧谷さんがキンカンを取り出して「さっき軽くぶつけたんだよね…」と、ふくらはぎにキンカンを塗っています。「ぶつけたところが冷えて気持ちいい! わたし、キンカンの匂いとひんやりした感じが好きなんです〜」
キンカンの冷感はすばやく熱を奪ってくれるので、炎症を起こして火照った部分に塗ると心地よい清涼感を得られます。打撲やねんざなど、患部を冷やしたいときにぴったりで、冷感や温感といったさまざまな刺激は痛みの伝わりを抑制する効果もあるんです。
岩場の歩行技術 その③下りは足元を確認できる姿勢で慎重に
古賀志山の山頂から下山する途中で、鎖のかかっていない岩場が出てきました。
「岩場を背にして下ったほうが、足元が見えやすくて歩きやすいです。試しにやってみますね」と天野さん。どこに足を置いたらよいか、行く先を確認しながら、一歩ずつ慎重に下っていきます。
ただしこれは斜度が緩めのときの歩き方。「斜度があるときは、岩に腹側を向けて下ったほうがバランスを取りやすくなります。鎖場のときと同じで、岩にしがみつく姿勢はダメ。足元が見えにくくて、次の一歩が出せなくなってしまうんです」と天野さん。怖いときほど、足でしっかり立つのが大事。足元が定まっていれば、少し体を起こして次の一歩を確認できるからです。
岩場の歩行技術は練習で向上! もしものときに備えてキンカンを!
「岩の凸凹が小さいと足をかける場所がわかりにくいし、『こんな小さな出っ張りに立つのか!』と思うと、少し怖かったです」と振り返る牧谷さん。「ボルダリングなどで練習するのがおすすめです。小さな足場にも立てるようになると、無理な体勢で遠くの足場を求める癖も修正されるので、バランスを崩しにくくなります。岩場でスムーズに動けるようになりますよ。でもおふたりとも、十分上手に歩けていましたよ」と天野さん。植木さんは「登りごたえのある鎖場がいくつも出てきて、すごく楽しかったです!」と満足そう。
今回、登山のお供にしたキンカンにも話が広がり、天野さんは「いろいろ使えそうで、見ていてすごく興味が沸きました。ガイド業は荷物が多くて重量に敏感すぎるところがありますが、20mLサイズは持ち運びやすそうです。欲を言ってしまうと、もっと軽量化してくれるとうれしいですね」と、キンカン導入を検討したくなったそう。
牧谷さんは「独特の匂いが大好きだったんですが、塗るときの肌触りもいい感じ。ふかふかしてて気持ちいいんです」とキンカンの新たな魅力に惹かれているようすです。「肩こりに効くから、岩場や鎖場の相棒にいいですよね。打撲とか、登山にありがちなことに備えて、これはもう、持ち歩くしかないですね!」と植木さん。
みなさんもぜひ登山のお供にキンカンを。バックパックに1本入れて、登山を楽しみませんか?
【第2類医薬品】
(右から)
キンカン 100mL
キンカン 50mL
キンカン 20mL
※この医薬品の「使用上の注意」をよく読んでお使い下さい。
原稿:池田菜津美
撮影:宇佐美博之
取材協力:天野和明
モデル:植木勝久、牧谷桂子
協力:金冠堂
ライター
池田 菜津美
子供向けの自然科学の本や、図鑑の編集などを行う。子供の頃から外遊びが好きで、山菜採りや野鳥観察、雑草探しに興じていた。現在は自宅裏の神社で鳥&昆虫を愛でるのを日課とし、近所の自然公園へぶらりと植物探しに出かけることも。今も昔も相変わらず、生き物の暮らしや生態に感心しながら、それとのふれあいを楽しんでいる。著書に『飼育員さん教えて!みんなどきどき動物園』『飼育員さん教えて!みんなわくわく水族館』(新日本出版社)、『ときめくヤマノボリ図鑑』(山と溪谷社)など。
この筆者の記事をもっと読む公式SNSで山の情報を発信中
自然の中を歩く楽しさや安心して山で遊べるノウハウに関する記事・動画・音声などのコンテンツをお届けします。ぜひフォローしてください。