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「静岡釜揚しらす缶詰」駿河湾の宝石! 純白のしらすを味わう贅沢山ごはん
全宇宙に名を馳せる缶詰界の孤高の鉄人「缶詰博士」こと黒川勇人氏。YAMAP MAGAZINEでも「缶詰博士が推薦する激ウマ缶動・缶たん! 山ごはん」の連載で大好評を博してきました。そんな黒川氏が手がける新連載「超絶美味な山ごはん! 缶詰博士が教える珠玉の缶たんレシピ講座」が今回からスタート! 前回までの連載と何が違うかって? 前回までは2種の缶詰を使った2種のレシピを紹介していたのですが、今回からは1種の缶詰を使った2種のレシピを紹介するのです。「微妙な変更だな…」なんて言わないで! 毎回、缶詰博士が「これぞ!」という珠玉の缶詰を厳選。その美味しさを徹底的に語ります。
超絶美味な山ごはん! 缶詰博士が教える珠玉の缶たんレシピ講座 #01/連載一覧はこちら
目次
どうも缶にちは! コンプレッションバッグの圧縮用ヒモがいつも絡まる缶詰博士・黒川勇人です。
今号から新連載「超絶美味な山ごはん! 缶詰博士が教える珠玉の缶たんレシピ講座」がスタート。第1回は「“静岡釜揚しらす缶詰” 駿河湾の宝石! 純白のしらすを味わう贅沢山ごはん」であります。あの白くてふわふわした釜揚しらすが、何と缶詰になっているんですぞ!
この缶詰は家で食べても美味しいのはもちろん、“むしろ”山で食べるとさらにウマい。なぜって、海の幸を山の上で食べるなんて、とても贅沢だから。とくにごはんが大好きな人には、この缶詰で作る「釜揚しらす丼」がオススメであります。
しらすよ白く輝け! 開発陣の前に立ちふさがる変色問題!
山梨罐詰「静岡釜揚しらす缶詰」40g 6缶2,500円(税込)
富士山の伏流水や南アルプスの樹木のミネラルが川となって注ぐ駿河湾。その名産のひとつが釜揚しらすだ。現地で茹でたてを食べると最高なんだけど、持ち帰るなら冷蔵か冷凍になる。保冷剤が必要になるので、お土産に買うにはちょっとハードルが高い。
そこで、静岡にある缶詰メーカー・山梨罐詰の商品開発陣は考えた。
「釜揚しらすを缶詰化すれば持ち帰りも簡単。新たな静岡名物になるかもしれぬ!」
うん、それは確かにそうだ。でも、なぜ静岡にあるのに“山梨”罐詰なのか? その答えはいずれ解き明かすとして、今は先を急ぎたい。
身が透き通るような白さがウリ
釜揚しらす缶の開発は困難を極めた。通常の工程で製造すると、しらすが茶色くなってしまう。
缶詰は、食品を詰めて密封した後、必ず缶ごと高温加熱する(加熱殺菌のため)。その熱でしらすが焦げるのだ。
そこで開発陣は、加熱温度を下げたり、加熱時間を短くしたりと調整を行った。しかし殺菌のためには最低限の温度・時間がある。加熱が足りなければ殺菌が不十分となり、時間の経過とともに食品が傷んでしまう。
条件を変えて何度も挑んだが、どうしてもうまくいかない。途方に暮れる開発者たち(N◯Kプロフェッショナルの流儀風に読んでください)。
一度は開発を断念したが、地元・静岡の人々から「ぜひ商品化を!」と望む声があがってきた。そこで、原料や製造工程を始めからすべて見直し、実験と検証を繰り返した結果・・・とうとう白く輝く釜揚しらす缶を誕生させたのだ。
釜揚しらす丼が山で食べられる幸せ! 海も山もつながっているんだ!
ということで、この絶品缶詰を食べるためだけにわざわざやって来たのは、静岡県富士宮市にある長者ヶ岳。この辺りの地下水も駿河湾に注いでいるのかと思うと、実に感慨深いものであります。
そして、これが釜揚しらす丼の材料。左手前から、生卵1コ(白い容器に入ってる)、海苔(ラップで巻いている)、釜揚しらす缶、粉末しょう油(垂れないからすごくいい)、アルファ化米の白ごはんと、アルファ化米を戻すための水。
まずは湯を沸かして、アルファ化米を戻して器に盛りつける。
ごはんの上に千切った海苔を敷いて、釜揚しらす缶を開缶!
海苔の上に釜揚しらすをどーん! 1缶分ぜんぶ乗せたけど、2人で分けてもいい量だ。
真ん中をくぼませて卵の黄身をどーん! 上から粉末しょう油をぱらり。あっという間に釜揚しらす丼の缶成〜!
しらすはふわふわ&しっとり食感で、かむとしっかりした塩気がある。しらす本来のうま味も口いっぱいに広がってくる。そこに加わる卵黄のこってりと海苔の香ばしさよ。ごはんがわっしわし進む。
なお、残った卵の白身も、ごはんにかけて美味しくいただきました。
しらすのオリーブオイル漬と白ワインでスペイン気分!
しらすのオリーブオイル漬け 白ワインにも良く合う
次は釜揚しらす缶を使ったおつまみ「しらすのオリーブオイル漬け」を紹介したい。小さく白いしらすを眺めていたら、スペインで食べたうなぎの稚魚のアヒージョを思い出したのだ。
スペインの市場で食べたうなぎの稚魚のアヒージョ。この店はバゲット乗せだった
うなぎとしらすじゃ魚種が違うが(しらすはいわしの稚魚だ)、しらすにはしらすなりのうま味がある。きっとうまいはず。そう考え、長者ヶ岳下山後のキャンプ場でおつまみを作ることにした。
本来のアヒージョは食材をオリーブオイルでくつくつ煮るけど、今回はあえて加熱しないで作ってみた。さらに秘密兵器も加えた。それは日本橋菓房という会社から出ている「NIHONBASHI BAR」というおつまみだ。
NIHONBASHI BARシリーズの一部。大きく分けてビーンズとナッツの2種がある
上の画像がNIHONBASHI BARシリーズの一部。左側がナッツを使ったシリーズで、右側はビーンズ(豆)を使ったシリーズ。どちらもおつまみとして開発されているんだけど、塩気が利いていて、行動食にすごくいいのだ(食塩不使用の商品もアリ)。
塩大豆&黒大豆&チーズ 31g 220円(税込)
今回はこの「塩大豆&黒大豆&チーズ」をチョイス。乾燥させたチーズ(白くて四角いやつ)が入っており、かむとチーズのコクが口いっぱいに広がる。
しらすのオリーブオイル漬けの材料と白ワイン
しらすのオリーブオイル漬けの材料はたったの3つ。左から塩大豆&黒大豆&チーズ、釜揚しらす缶、エクストラバージン・オリーブオイル(ナルゲンの食品用広口丸形ボトルに入れた)の3つのみ。右後ろで見切れているのは、プラティパスのワイン専用容器に入れた白ワインなり。
釜揚しらす缶の中身をシェラカップにあける。エクストラバージン・オリーブオイルを30ml入れて軽く混ぜる。
塩大豆&黒大豆&チーズを混ぜれば缶成! 混ぜるだけで出来てしまう速攻おつまみであります。
オリーブオイルが沁みたしらすはまさにアヒージョチック。ていうか、アヒージョって冷たいままでも美味しいんですね。知らなかった。同じくオリーブオイルの沁みた大豆はちょっと柔らかくなってしっとりウマウマ。合間にチーズの濃いうま味が顔を出して、白ワインが誠に美味しい。
…ところで、冒頭で触れた「静岡にあるのに山梨罐詰」という謎だけど、実は山梨罐詰の社長のお名前が山梨さんなのだった。最後まで引っ張るほどの話じゃなかった。
さて、次回の缶詰セレクションは「缶バーグ」が登場。果たしてどんな缶詰なのか、乞うご期待!
缶詰情報
山梨缶詰「静岡釜揚しらす缶詰」40g 6缶2,500円(税込)
同社直販サイトで購入可
日本橋菓房「NIHONBASHI BAR 塩大豆&黒大豆&チーズ」31g 220円(税込)
通販サイトROJIで購入可
缶詰博士
黒川 勇人
1966年福島県福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。 缶詰だけでなく、それにまつわる文化や経済、人間模様も発信している。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。著書に〈缶詰博士が選ぶ「レジェンド缶詰」究極の逸品36〉〈日本全国「ローカル缶詰」驚きの逸品36〉(ともに講談社)など多数。ネット新聞〈みんなの缶詰新聞〉缶修。〈マイナビニュース〉〈BESTTIMES〉に缶詰エッセイ連載中。
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