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缶詰博士絶賛の山ごはん! ちょい足しで居酒屋レベルの缶詰おつまみ
晴れの日も雨の日も、もちろん年末年始も缶詰を食べ続けること幾星霜。ありとあらゆる缶詰を食し、世界一の缶詰通として著書も多数、実は山好きでもある「缶詰博士」こと黒川勇人氏がお届けする本企画。第4回のテーマは「絶品缶詰おつまみ」です。テン泊の際に、しっぽりと杯を傾けるのが楽しみという方も多いことでしょう。今回ご紹介するのは、缶詰にちょっとひと工夫でお酒もすすむ居酒屋顔負けのメニュー2品です。 めくるめく缶詰の世界をとくとご賞味あれ!!
缶詰博士が推薦する激ウマ「缶動・缶たん!山ごはん」 #04/連載一覧はこちら
目次
心に染みる山酒のおともは断然缶詰なのだ!
どうも缶にちは! 山道で人一倍クモの巣を引っかける缶詰博士・黒川勇人です。
今回はいよいよ缶詰おつまみであります。テン泊登山といえば早朝にスタートし、午後早い時間には安全のために行動終了するのがお約束。何となれば、寝るまでの時間はわりとヒマで、日暮れ前からちびちび杯を傾けるなんてことも可能なのだ(節度は大事だけど)。
缶詰はそのままでもおつまみになるけど、別の食材をちょいと足せば、まるで居酒屋で食べるような料理にアップグレード。レシピも缶たんなので、ぜひお試しあれ!
ツナ缶に豆腐&黒ごまを混ぜるだけで作れる白黒和え。Wタンパク質の筋肉増強効果で鎖場もバッチリ!?
缶詰は伊藤食品「鮪ライトツナフレーク油漬(金)」70g 税別196円
まずこの金色のツナ缶、伊藤食品「鮪ライトツナフレーク油漬(金)」について紹介申し上げたい。缶詰のパッケージである“缶”は、製缶会社が缶詰メーカーから注文を受けて造る。この缶も、伊藤食品がデザインを考えて製缶会社にオーダーしたものだけど、その様子がまことに面白いのだ。
伊藤食品「今度のツナ缶は金色にしたい」
製缶会社「金色といっても様々。どんな色にしましょうか?」
伊藤食品「ガンダム百式の金色で」
製缶会社「承知しました」
担当者同士が熱烈なガンダムファンで、ガンダムの機体名を言っただけですべて通じたという、ウソのようなホントの話。こんな、表には出ない面白い話が缶界にはたくさんあるんですぞ。
1人分の材料はツナ缶(フレーク油漬け)1缶、黒すりごま大さじ1(白い容器に入ってる)、豆腐1/2丁。なお、ツナ缶はフレークの油漬けタイプならどのメーカーでもよし。
紙パックに入った豆腐を半分に切ってシェラカップにIn。これは森永「絹とうふ」という常温保存できる豆腐。冷蔵品じゃないから山にも気軽に持って行けるのだ。豆腐大好き人間(僕のこと)には嬉しい商品であります。
ツナを油ごと加え、豆腐を崩しながら混ぜて。
黒すりごまを加えてさらに混ぜる。
かくのごとし。開けて混ぜただけという速攻メニューだ。味付けはツナの塩味だけで、ほかは一切必要なし。黒ごまの香りが食欲を引き立て、さらにツナの魚臭さを緩和してくれる。ツナと豆腐は、どちらも筋肉の材料になるタンパク質を豊富に含んでいる。ゆえに、筋力を使う鎖場の前日なんかにオススメであります!
港町・呉の居酒屋名物を山で味わう酔狂メニュー。豆腐を加えてボリューム増し増し!
缶詰はヤマトフーズ「広島呉名物 鶏皮みそ煮」130g 税別300円
お次は広島・ヤマトフーズの「呉名物 鶏皮みそ煮」缶を使った熱々の煮込み料理。鶏皮みそ煮(みそ炊きともいう)は、戦後の荒廃から立ち上がった呉の焼き鳥店が、再建にあたって「新しいオリジナルメニューを作ろう」と思い立ち、鶏皮をとろとろになるまでみそで煮込んだ一品であります(諸説あり)。
それを缶詰で再現したのが「鶏皮みそ煮」缶なのだけど、そのまま食べても芸がないので豆腐を加えることにする。1人分の材料は、鶏皮みそ煮1缶、七味唐辛子(赤い容器に入ってる)適量、乾燥ねぎ(白い容器に入ってる)適量、豆腐1/2丁。
豆腐1/2をシェラカップに入れ、食べよい大きさにカットする。
鶏皮みそ煮を投入。ゼラチン質が冷えて固まっているが、じわじわと甘じょっぱい匂いが立ち昇り、鼻腔から脳へ攻め入ってくる。そのまま食べたいのを我慢し、調理を続けることにする。
乾燥ねぎを加えて弱火にかける。弱火と言っても底が薄いシェラカップだから、すぐに底面が加熱されてパチパチと音を立てる。全体をやさしく混ぜながら(豆腐があまり崩れないように)温めよう。
七味唐辛子を振りかければ缶成! 見ただけでどんな味か分かっちゃうという、極めて明瞭・素朴な料理であります。熱いうちにいただいちゃってください。
なお、この料理に合う酒は菊水酒造「生原酒 ふなぐち菊水一番しぼり」で間違いなし。なぜなら缶入り清酒だから! でもそれだけじゃない。中身は非加熱の生原酒という、かなりぶっ飛んだお酒でもある。
まだ日のあるうちに呑める幸せ! 鶏皮みそ煮にはこんにゃくも入っていて、噛んだときの弾力が楽しい。一方、アレンジで加えた豆腐には味がまったく沁みていない。でも、他者を容易に受け入れないその潔癖な味もまた、いい。
ツナの白黒和えは、味としてはかなりあっさりしてるけど、ツナ缶に入ってた油のおかげでコクがある。油漬けタイプのツナじゃないと出来ない料理なのだ。
ウイスキーと清酒をちゃんぽんし、いい缶じに酔いました。あとは歯磨きして寝るだけ!
缶詰情報
・伊藤食品「鮪ライトツナフレーク油漬(金)」70g 税別196円
・ヤマトフーズ「呉名物 鶏皮みそ煮」130g 税別300円
ともに同社の直販サイトで購入可
※野外での火器使用は山火事や公共のベンチ・テーブルの破損に十分注意して実施してください。また、使用が禁止されているエリアでの火器使用はくれぐれも実施しない様にしましょう。
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缶詰博士
黒川 勇人
1966年福島県福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。 缶詰だけでなく、それにまつわる文化や経済、人間模様も発信している。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。著書に〈缶詰博士が選ぶ「レジェンド缶詰」究極の逸品36〉〈日本全国「ローカル缶詰」驚きの逸品36〉(ともに講談社)など多数。ネット新聞〈みんなの缶詰新聞〉缶修。〈マイナビニュース〉〈BESTTIMES〉に缶詰エッセイ連載中。
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