投稿日 2020.12.01 更新日 2023.05.23Sponsored

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新潟・佐渡島の最高峰・金北山へ! 登山と観光を楽しむ2泊3日の欲張り山旅

新潟県・佐渡島の「金北山(きんぽくさん)」は、花の百名山にも選ばれている離島の名山。その魅力は気持ちの良い稜線歩きと山頂から周囲の海が見渡せる大展望です。また、佐渡といえばグルメや観光も見逃せません。離島ならではのとっておきの2泊3日の山旅を紹介します。

目次

新潟港からのフェリーの旅も楽しい! 佐渡の玄関口・両津港に到着

日本海側で一番大きな島、新潟・佐渡島。最高峰の金北山(きんぽくさん・1,172m)は花の百名山に選ばれ、イワカガミの群生をはじめ、カタクリやシラネアオイなど、春から初夏にかけて咲き乱れる花々で有名な山です。
今回訪れたのは暑さが残る9月中旬。金北山の縦走をメインに、佐渡のグルメや観光を詰め込んだ、2泊3日の欲張りな山旅を計画しました。

新潟港からカーフェリーに揺られること2時間半、佐渡の玄関口・両津港に到着。港には大きな売店があり、佐渡の地酒や海産物、お菓子などのお土産がたくさん。食事をする場所や、おしゃれなカフェ「maSanicoffee(マサニコーヒー)」もあるので、一日中、観光客や登山客で賑わっています。

佐渡島が見えてきた! 日本海に浮かぶ寒さが厳しい島…というイメージですが、暖かい海流が巡っているので、本土よりも積雪が少なくて暖かいそう


本土と佐渡を往復するのは、立派なカーフェリー。中には食堂や客室があって、豪華客船さながらの船旅です

両津港に着いてまずは地元の人おすすめの「おにCafe」でのんびり

明日の登山に備えて、初日は港から徒歩5分の「おにCafe」でのんびり過ごすことに。

かわいい鬼太鼓の絵。店内には鬼太鼓の写真もたくさん貼ってありました。ご主人の鬼太鼓愛が伝わってきます!

地元の人おすすめのカフェで、名前の由来は佐渡の祭り「鬼太鼓」にちなんだもの。太鼓の拍子に合わせて鬼が舞う祭りなのですが、「鬼の数だけ踊りがある」と言われ、しっとり優雅な舞や、鬼が激しく掛け合う舞など、集落ごとにスタイルが全く異なります。4月は島の各地で春のお祭りがあり多くの観光客が見物に訪れます。

おにCafeおすすめのメニューは餃子ライス。ぽってりとした形の餃子には、ジューシーな肉汁がたっぷり。食後は店主こだわりのクロモジという樹木の皮をブレンドしたさわやかな香りのコーヒーでほっと一息。他にも佐渡の野草を使ったスパイシーなクラフトコーラなど、めずらしい&おいしい&体に優しいメニューがたくさんあって、目移りしちゃいました。

餃子ライスは750円。地元の人やサラリーマンに大人気のランチメニュー


季節の野菜を使ったグリーンカレー。マイルドな辛さで、とっても優しい味!


オリジナルのドリンクメニューがズラリ。ハーブや番茶、牛乳など、できるだけ佐渡で採れたものを使っているのだそう

縦走の買い出しは佐渡市民熱愛のコンビニで!

初日は両津港の宿に宿泊。お風呂は泉質の良い温泉で大満足でした。明けて2日目。早朝にチェックアウトを済ませて地元のコンビニ「ハーティ・ウッズ」で買い出しを。店内には、裏の厨房で作ったお弁当やサンドイッチなどが所狭しと並んでいます。中でも人気なのは、鮭やすじこ、おかかなど、10種類以上のおにぎり。どれも、びっくりするほど具だくさんで大満足。登山のお供にぴったりです。

両津港から徒歩10分。朝6時のオープンから地元の人がひっきりなしに訪れる人気のコンビニ


揚げ物は一瞬でなくなる人気メニュー。冷えてもサクサクでおいしい


ハーティ・ウッズのオリジナル商品の他、地元のパン屋や弁当屋から仕入れているものも。種類がとっても多いので、めちゃくちゃ悩みます

ドンデン山荘から金北山縦走スタート!


登山のスタート地点は、標高890mに建つドンデン高原ロッジ(ドンデン山荘)。縦走登山の宿泊地としてはもちろん、夏場には高原散策や山野草ハイキングの拠点として、登山者だけでなく観光客も多く訪れる場所です。展望デッキからは両津港や国中平野を見渡せ、天気がよければ本州の北アルプスまで望めるのだそう。日帰りの利用も可能なので、お風呂で汗を流したり、軽食をいただいたり、下山後に立ち寄るのもおすすめです。

開けた斜面にあるドンデン山荘。景色を楽しんで身支を調えたら、登山スタート!


20分ほど林道を歩き、金北縦走路入口の道標から登山道に入ります


1時間ほど、樹林の中を進んでいく。樹木の幹が曲がりくねっているのは、冬の降雪で真っ直ぐ育てないため


標高937mのマトネに到着。しばらく登りが続いたのでひと休み。ここからは、お待ちかねの展望の稜線歩き!

佐渡島の稜線歩きは展望抜群!

右奥に見えるのが金北山。まだまだ遠いけどがんばるぞ!

佐渡島は、カタカナの「エ」を左に少し回転させたような形をしていて、北側の大佐渡山地と南側の小佐渡山地を、中央の国中平野がつなぐような地形になっています。ドンデン高原ロッジは大佐渡山地の中央あたりに位置し、金北山へは稜線を南下するように向かいます。ゴールの白雲台までは約13kmの道のり。スタート地点からの標高差は250mほどですが、小さなピークをいくつも越えるのでなかなかハード。

稜線は終始、左手に国中平野を、右手に海府南部の海岸線を見渡す大展望が続き、島の山ならではの縦走気分をしっかり味わえます。

稜線の右側はザレ場や草地が多い。冬の風雪が厳しく、植物が育ちにくいそう


稜線の左側は国中平野が広がる絶景! 見えているのは牡蠣の養殖で有名な加茂湖


ダイモンジソウ


ツリガネニンジン

花の百名山とあって、晩夏でもいろいろな高山植物&山野草に出会いました。本州では標高2,000m前後の亜高山帯で見られる植物が、さほど高くない佐渡の山で見られるのは強い海風のせい。風が吹きつける稜線は気温が低くなりやすく、そもそも水が豊富ではないので、厳しい環境でも生きられる高山植物が生き残っているのだそう。

最高のお天気! でも稜線は吹きさらしなので、風が強いとかなり寒く感じることも。防寒着を用意しておくと安心

緑色のザレは佐渡の歴史を語る

稜線を歩いていると、ところどころ、緑色の岩石が露出しているのが目立ちます。このあと出てくる「真砂の芝生」の写真でも、斜面のザレが青っぽくなっているのがわかるはず。この岩石はグリーンタフといい、溶岩や火砕流が変質したもの。現在の佐渡に火山はありませんが、かつての佐渡は大陸の一部で、激しい火山活動が起こっていた場所でした。大陸が割れたとき、佐渡はいったん日本海に沈みますが、地殻変動によって隆起します。そのときにできたのが大佐渡山地と小佐渡山地で、それぞれから流れ出た土砂などが積もって国中平野ができました。ちなみに、金銀鉱床はマグマと熱水の産物なので、佐渡の金山も火山活動の賜だそうです。

縦走路きっての雄大な景色が広がる「真砂の芝生」。右手斜面が青っぽいのが気になりませんか…?


歩いてきた縦走路を背に。奥に見えるのはドンデン高原より北にある金剛山や雪畑山、和木山方面。周辺には有名な石名天然杉を巡る遊歩道があり、金北山に並んで人気のエリア

佐渡の最高峰・金北山山頂へ

天狗の休場という小ピークを越えると縦走も終盤へ。今までの展望&ザレの稜線と打って変わって、ミズナラやカエデが低く生い茂る樹林や、鏡池・あやめ池といった湿地など、みずみずしい佐渡の自然にふれあうことができます。

金北山の最後の登りの前に、鏡池で小休憩。その名の通り、波紋一つない鏡のような静寂な池で、神秘的な場所

金北山山頂には本日一番の大展望が広がっていました。南東側が開けていて、小佐渡山地の峰々や、国中平野のパッチワークのような水田、曲がりくねった川筋など、佐渡のジオラマを見ているようです。地図を片手に楽しむもよし、記念撮影をするもよし、存分にその景色を楽しみましょう。

金北山山頂からの眺めは最高! 水田が広がる国中平野、その奥に見える小佐渡山地、そして日本海と島の山ならではの絶景がばっちり見られます


両津港と加茂湖。次に佐渡に来るときは、加茂湖のサイクリングロードや遊歩道でお散歩もしたいなぁ。牡蠣料理が食べられる牡蠣小屋も点在しているらしい…!


金北山神社の鳥居を抜けると、防衛省が管理する車道に出ます。ゴールの白雲台へは1時間20分ほど


交流センター白雲台に到着。展望デッキで、生乳ソフトクリームをいただきながら、タクシーを待ちました


館内は売店になっていて、地酒やジャム、佃煮、調味料など、佐渡の特産品を購入できます。登山後なのでたくさん買っちゃいそう

情緒溢れる佐渡の観光スポット・宿根木集落の散策を楽しむ

最終日は、小佐渡の南端にある宿根木集落を散策。

宿根木集落は小木海岸に面した谷にある。潮風から建物を守るため、外装に縦板を張った造りになっています

江戸時代から明治時代にかけて廻船業で栄えた集落で、船頭や船乗りだけでなく、船大工などの造船業に携わる人も多く住んでいました。現在の町並みが形成されたのはその頃で、海に向かって延びる路地や、集落の入り口に広がる荷揚げのための広場など、海を中心とした暮らしが集落の形に残っています。そして、何よりも驚くのは人家の密集っぷりです。海に面した狭い谷間は1ヘクタール(100メートル四方)ほど。その中に、110棟の家や蔵がひしめくように建っているのだから、当時の繁栄ぶりをうかがい知ることができます。

敷地の形状に合わせて三角形に建てられているため「三角家」と呼ばれています。15年ほど前まで実際に使われていましたが、現在は公開民家として室内を開放しています


1892年に建てられた「伊三郎家」は、軒下の飾りが特徴的。現在は一日一組限定の宿(素泊まりのみ)になっています


集落には細い路地が巡らされています。限られた敷地にできるだけ広く居住空間を得るため、ほとんどの家が縦に細長い二階建てになっています


瓦葺きの屋根に交じって、石を置いた板葺きの屋根も点在しています。歴史ある景観を保存するため、 1991年から国の重要伝統的建造物保存地区に指定されています

小木港でフェリーを待ちながらカフェ「日和山」でひと休み

旅の締めくくりは、宿根木集落から車で10分、小木港の側にあるカフェ「日和山」へ。スリッパに履き替えて店内に入ると、手ぬぐいやTシャツ、文具など、佐渡をモチーフとした雑貨がズラリ。奥には、こだわりの書店コーナーもあり、時間が経つのも忘れてのんびりしてしまいそうです。

築110年の町屋古民家を改装したカフェ。レトロな木製の引き戸を開けて店内へ

ランチメニューは、日替わりのパスタやスパイスチキンカレー、サンドイッチなど。どれも地元の新鮮な野菜や海産物を使ったもので、佐渡の味を楽しむことができます。このときのスイーツメニューは「おけさ柿」と自家製バニラアイスのミニパルフェ。おけさ柿は佐渡のブランド柿で、とろりとした果肉とまったりとした甘さが特徴。バニラアイスのミルキーな味に溶け込んで、最高においしい一品でした。

書店コーナー「南書房」。新潟市にある「北書店」の姉妹店で、店長が毎月書籍をセレクトして佐渡まで運んでくれているのだそう。小説から民俗学、図鑑まで、多岐に渡ったジャンルが楽しい!


香り高いコーヒーは、佐渡の山間部にあるコーヒー焙煎所「オケサドコーヒー」のもの。焙煎豆をお土産にしても。食事やドリンクはテイクアウトもOK


トマトの酸味が絶妙なスパイスチキンカレーと、挽肉がジューシーなタコライスが合わさったハーフ&ハーフ


おけさ柿と自家製バニラアイスのミニパルフェ。桃や洋梨など、佐渡のフルーツを使ったスイーツが季節ごとに登場します


ゆっくりとした時間が流れる店内。コーヒーをいただきながら、旅の写真を見返してみたり、お土産選びを楽しんだり、のんびり過ごせました!

2泊3日の佐渡の旅は、グルメに登山に観光に、盛りだくさんの内容でしたが、まだまだ巡っていないところがたくさん。今度は花の時期に。いや、やっぱり鬼太鼓に合わせて。いえいえ、加茂湖で牡蠣三昧でしょ! …と、佐渡の魅力に後ろ髪引かれながら、カーフェリーに乗り込んだのでした。

帰りの船は小木港から。新潟の直江津行きで、1日に2本出ています。佐渡の見どころはまだまだたくさん。また絶対遊びに来るぞ!

記事で紹介したスポット

おにCafe
新潟県佐渡市両津湊110
0259-27-2420

ハーティ・ウッズ
新潟県佐渡市両津夷300
0259-23-2697

ドンデン高原ロッジ
新潟県佐渡市椿697
0259-23-2161

交流センター白雲台
新潟県佐渡市中興乙3534-158
0259-61-1172

日和山
新潟県佐渡市小木町232
0259-86-3550

佐渡ではこんな取り組みも…ワーケーションに参加してみよう!

ワーケーションとは、仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせたもので、リモートワークをしながら観光地などに滞在する過ごし方のこと。佐渡でもワーケーションを広める取り組みが進められていて、連泊すると割引になるサービスや、アウトドア体験を盛り込んだプログラムなどが増えています。

2020年9月中旬に佐渡観光交流機構が提供したワーケーションプランは、たらい舟や、カヤック、バーベキューなどのアクティビティが盛り込まれ、仕事の合間に佐渡の自然やグルメを満喫するのにぴったり。今後もこうした企画があるそうなので、興味がある方はお問い合わせを。

佐渡の登山・観光・ワーケーションに関するお問い合わせは

(一社)佐渡観光交流機構
新潟県佐渡市両津夷384-11

登山に関するお問い合わせは
佐渡トレッキング協議会(佐渡観光交流機構内)
0259-23-4472

観光全般に関するお問い合わせは
佐渡観光情報案内所
0259-27-5000

ワーケーションに関するお問い合わせは
佐渡観光交流機構 マーケティング事業部
0259-23-5230

取材・原稿:池田菜津美
撮影:星野秀樹
協力:環境省・佐渡観光交流機構