厳冬期尾瀬BC&2024year peak初登頂
尾瀬・燧ヶ岳
(福島, 群馬, 栃木)
2024.02.10(土)
日帰り
冬、始まりました!今シーズン初のBCは、密かに今年初登頂を目論んでいた、今年の標高2024m峰(荷鞍山)を擁する尾瀬。素晴らしい快晴の下、誰もいない尾瀬を堪能することができました。
【ルート概要】
荷鞍山は『山スキー百山2』で東面のルートが紹介されていますが、大清水は冬季通行止めなのでスノーパーク尾瀬片倉を起点に景色の良さそうなアヤメ平を絡めつつ、冬季の記録が極めて乏しいルートを、スキーの機動力を活かして構築しました。
今回はBC初挑戦のYAMAP仲間と一緒ですが、除雪のされた林道や緩斜面など、BC初めての方でも行けると思いアタック。渡渉部以外は想定通りでしたが、冬路沢だけは悪路でした。
◇アプローチ◇
スノーパーク尾瀬戸倉は嬉しい駐車場無料。スキー場なのでトイレも完備なのが嬉しいですね。
◇スノーパーク尾瀬戸倉~中原山◇
スキー場から富士見峠までは林道が延びており、昨年からキャットツアーのコースになったようでなんと圧雪されています。途中つづら折り部分はショートカットしつつ、ずっと林道も味気ないので中原山南尾根に乗り換えてダイレクトに山頂へ。
当初は富士見峠まで林道のつもりでしたが、道中問題なさそうだったのでルート開拓してみました。地形図通り広い尾根で、特に問題個所はありません。山頂部に崖マークがありますが、アヤメ平-中原山のコルは問題ありません。ただ、アヤメ平~富士見峠にかけては若干雪庇が発達しているので突破は無理だと思います。
中原山の道標は雪の中。ただ、雪原の向こうの至仏山が見事でした。
◇中原山~白尾山◇
アヤメ平一帯はだだっ広いのでガス時は道がわからなくなると思います。晴れてれば天空の雪原なんですけどね。それから、富士見峠に至るまで、南面は雪庇なのでガス時は特に注意です。アヤメ平の登山道(埋まってますが)からは尾瀬ヶ原は見えませんが、少しだけ降りると景鶴山~東電小屋あたりを望むことができるのでおススメです。
富士見田代までは木が多く若干道が分かりづらいですが、やがて富士見峠への林道が見えてくるので眼下に見下ろしながら、沿うように高度を落とし林道に合流。1956点のアンテナ近くまでキャットの跡がありました。そこから白尾山は、樹林帯を高度を保ちながらトラバース。白尾山付近もたまに視界が開けるので楽しいです。特に白尾山はちょっとだけ尾瀬沼側に下ると展望良好なのでおススメ。
◇白尾山~荷鞍山◇
白尾山南西の微高地から荷鞍山へ続く尾根に乗り換えます。木が多く若干下降点が分かりづらいので、GPSを頼りましょう。少し降りれば、地形が見えてくるのであとは尾根を辿るだけです。
荷鞍山の直下までスキーで移動可能でしたが、最後の登りは樹林帯のやや急な登りでスキーでは分が悪いのでツボ足。基本すね丈ラッセルですが、たまに腰まで埋まることもあります。高度差100mだけだったので助かったと同時に、スキーじゃなかったらずっとこれなんだな~と改めてスキーの機動力に納得。
◇荷鞍山~スノーパーク尾瀬戸倉◇
白尾山南西の尾根が斜度緩く、現地で見た感じでも滑走可能そうだったので、登り返してドロップ。雪質は若干モナカ雪でしたが、急ブレーキを掛けなければ問題なく降りれます。だだっ広い尾根なので方向がかなり分かりづらく、YAMAPを都度見ながら下降。
懸念事項は冬路沢がちゃんと埋まっているか。スキー場付近でも渡渉できそうな水量だったのでとりあえず突っ込んでみました。結果、残念ながら無情にも行く手を阻む沢。冬路沢というくらいだから、林道ができるまでは先人たちが歩いていたのかなと若干期待していたのですが、温暖化のせいなのか、元々そんなことはなかったのか。いずれにしても、厳冬期でそれなりに高度もあったのですが、スキーを一旦抜いて、スノーブリッジっぽくなっているラインから渡渉敢行。やはり水流は少ないので渡渉自体は大したことありませんが、登り返しの雪壁は慎重に雪を固める必要がありました。その後適当に登り返して林道へ。
上りの林道はかなり緩く感じたので、歩きも覚悟していたのですが、思ったよりちゃんと滑れてあっという間にスキー場へ。なかなか楽しい周回でした。
【荷鞍山】
2024mの山として物好きくらいが知っている山かなと思ってましたが、『山スキー百山2』で紹介もあったように、BCで登っている人はいるようですね。とはいえ、大清水の車道が開通する前提ですが。大清水が断たれた今、その山頂を目指す人はいないようで、YAMAPでもヤマレコでも今年の登山記録は0。トレースもなかったですし、声高く「2024m峰2024年初登頂者」を宣言したいと思います笑
燧ヶ岳は火山ですが、荷鞍山も160万年前の古い火山のようです。侵食は進んでいますが、言われてみれば、横田代-白尾山-荷鞍山でぐるっとカルデラのようになってますし、内側は急角度、外側は緩斜面と火山地形を示していますね。山塊では一番高い標高なので、「南尾瀬最高峰」ということにしておきましょう。南尾瀬なんて聞いたことないですが、荷鞍山初登頂同様言ったもの勝ちということで笑
ということで、元々行ってみたかった冬の尾瀬を、year peak初登頂という豪華特典付きで楽しむことができました。同行頂いた方にも喜んでいただき嬉しい限りです(初のBC山として、ルート選定は渋かったかもしれませんが…笑 理論上の登山を実現するのが山スキーの楽しみの一つということで)。キャットルートはやや味気がなかったですが、楽でしたし良いでしょう。ちなみにこのツアー、最低でも2.5万円するそうです…笑。そう考えると、やはり山スキーの機動力は値千金ですね。
厳冬期至仏山の記録もたまに見ますが、味気ない車道往復をするくらいなら、鳩待峠から中原山まで登り返して、そこからドロップするのも悪くは無さそうです。あんまり真似する人も少なそうですが、年間数人くらいは渋登山マニアの方の参考になりそうな記録を残すことができて、そういった点でも満足な山行でした。