活動データ
タイム
09:36
距離
6.3km
のぼり
982m
くだり
982m
活動詳細
すべて見るヴィーナス ベルトに包まれた大山へ 地球の大気圏の中で暮らす我々は太陽の光やそれによる空気層での乱反射、水蒸気や微粒子の拡散などによって見事な朝や夕方の風景に出会う事があります 山で向かえる朝方や夕暮れの美しさには皆さんも感動された事が何度もあると思います そんな美しい一日の始まりと終わりの景色を期待して冬の大山避難小屋に泊まる事にしました 「薄明(はくめい)と薄暮(はくぼ)」 一年の内、ある期間だけ太陽が出る前や沈んだ後に薄明るい時間が長い日があります 私は海運関係の仕事をしていましたが、大型船の接岸作業や離岸作業、備讃瀬戸の航行は水先人の規定によって日の出後と日没前と決められています しかし、この薄明、薄暮の日だけは特別に延長されるので「薄明・薄暮カレンダー」が水先人会から配布されていました 「市民薄明(薄暮)」は太陽が地平線から6度程下にある時までの薄明、薄暮でこの期間は皆様もお馴染みの照明がなくても登山などの野外活動が出来る明るさです 市民薄明と言う文言は訳語と思われますが、生活薄明とか行動薄明とかの方がしっくりきます 「航海薄明(薄暮)」は太陽が水平線から12度程下にある時までの薄明るい期間で、肉眼で水平線が確認する事が出来るまでの薄明かりです 「天文薄明(薄暮)」は太陽が水平線から18度程下にある時まで薄明るい期間で、肉眼で6等星の星がまだ見えない明るさと規定されています 「マジックアワー」 「太陽が出る前や、太陽が沈んだ後が最も美しい」何て良く言われますが、この時間帯の事を「マジックアワー」と呼ばれています 先に述べた薄明や薄暮の時は特に長い時間この天体マジックショーを楽しむ事が出来る事になります これは太陽が地平線の下側にあるので「影」が出来ない為に淡く幻想的な色合いとなります 「ヴィーナスベルト」 いよいよ本題のヴィーナスベルトの話です 空気が澄んだ(冬が多い)マジックアワー時、太陽の反対側に美しいピンクの帯が現われ、その下側に深い青色の層が出来ます これがヴィーナスベルトと呼ばれています 何でも上空の青い空と夕焼けの赤い色が混ざってピンク色になるらしいです そのピンクの下側に現われる濃い青は、太陽の光が届いていないず~~と遠くの地球の影=夜の世界だと言われています 2月16日は強風で天気が悪く、山頂付近は寒くてホワイトアウトになっていました それが夕方に近づくにつれて高気圧が日本海から張り出して天気が回復してきました 避難小屋に逃げ込んで寝床の準備をしている内に雲海が現われて山頂へ行き、関西から来られていたバックカントリースキーヤーとその喜びを分かち合います 他の登山者は余りの天気の悪さに途中で引き返したり、何も見えませんでしたと引き上げて誰も残っていません 夕方まで時間があるので16時頃から昼食兼夕食を食べていると、広島から写真家の人がやって来ました この人は早めに撮影に出かけましたが、こちらは夕焼けを眺めに再び山頂へ向かいます 雲海に沈む夕日も素晴らしかったのですが、主役は夕陽が沈んだ後のマジックアワーでした 東の空にヴィーナスベルトが現われ写真家の方も興奮気味です 一応礼儀で踏み跡の無い「三角点へ行って良いですか?」と言うと「今、ヴィーナスベルトを撮影しているのでもう少し待って下さい」と言われました 暫くして彼が私に声をかけた後、三脚とカメラを抱えて三角点へ走る様に行ってしまいました それを確かめて、私も三角点へ行きヴィーナスベルトの続きを一緒に撮影しました 避難小屋は平日で天気が悪い予報の為このカメラマンと滋賀から来られた男性と三組だけでした 下山は元谷コースの途中から常行尾根へ 翌2月17日は晴天の土曜日と言う事もあって夜中の02時頃から登山者が来始めて寝られません 04時過ぎから山頂へ行き星空を眺めて日の出待機です ご来光の時点で弥山の東端は登山者で溢れていました 下山中、大勢の登山者が登って来られるので静かな行者谷コースへ下ります 途中、尾根分岐から行者谷・元谷へは下らずトレースの無い「常行尾根?」へと直進します この尾根は夏山登山道の東側にある「常行谷」と更に東の「元谷」との間にある支尾根で地形図には尾根の名前もありません(仮に常行尾根と呼ばさせて頂きます) この尾根は車を駐車している元谷Pまで続いているので徹頭徹尾尾根を歩いてみました 後半は天然杉等が生えたワイルドな細尾根になりますが、駐車場のすぐ近くまで歩く事が出来ました 若者の様に夜中に登山口を出発して明け方までに山頂へ行くなんて荒行はもう出来ません 荷物は12kgと重くなりますが避難小屋泊まりなら片道の我慢で済み、おまけに素敵な大山を満喫する事が出来ました この歳まで歩ける体に産んでくれた両親やご先祖様、比較的自由に山へ行かせてくれる在宅山の神と、大山の山の神に感謝です エントツ山
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