燕岳 ~日帰りで登る北アルプスの女王~

2023.06.24(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
9 時間 2
休憩時間
1 時間 44
距離
12.4 km
のぼり / くだり
1571 / 1569 m
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活動詳細

すべて見る

2023年6月24日、北アルプスの燕岳(つばくろだけ・標高2763m・日本二百名山)に登りました。登山口となる中房温泉にある無料駐車場へ車を停め、中房温泉から「北アルプス三大急登」に数えられる「合戦尾根」を登ります。山頂までの標高差は1400mほどあり、往復のコースタイム7時間の長いコースですが、危険箇所もなく、健脚な方なら日帰りも可能な北アルプス入門最適コースです。 また、稜線上にある「燕山荘」は山小屋としてはホスピタリティが高く、山小屋デビューに最適です。燕山荘に一泊して稜線からのご来光や槍ヶ岳のモルゲンロートを楽しんだり、そのまま表銀座を縦走して常念岳や槍ヶ岳を目指したりと、色々な楽しみ方ができる山です。 【お知らせ】 登山道の様子やルート詳細の解説動画を公開しました。ぜひご覧ください。 ★【ルート解説】燕岳 ~日帰りで登る北アルプスの女王~ 合戦尾根往復コース https://youtu.be/xRzaZ5MRXR8 ★ひとり登山チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCMIE12AHq1elXrToA88tqAg 【登山口までのアクセス】 長野自動車道「安曇野IC」を下り、県道306号線か国道147号線を15分ほど北上します。「JR安曇追分駅」付近で有明山通りへ左折。きれいな台形の有明山を正面に見ながら10分ほど直進します。やがて突き当る県道327号線を右折し、山間の道を30分近く進むと中房温泉に到着します。かなり細くカーブのきつい山道は場所によってはすれ違いが困難で、なかなか緊張を強いられる道。さらに猿やシカが路上にいることが多いので注意が必要です。中房温泉付近の駐車場は大人気で、到着時間が遅いと満車になります。満車になると麓まで山道を戻ることになるので、早い時刻の到着をお勧めします。 【駐車場情報】 ①安曇野市営第1~第3駐車場 合わせて約140台駐車可。無料。夏季のみ仮設トイレあり(清潔さを求める場合は登山口のトイレがおすすめ)水道なし。登山口まで車道を少し歩く。第1が最も登山口に近く、第3が最も遠い。全て満車になることも多い。(参考までに6月中旬の土曜、第1駐車場は前日の夜11時台には満車になっていました。また、第2、第3も「朝7時満車」の看板が出ていました) ②上が満車の場合 周辺道路の路上駐車禁止。有明荘のから少し戻った辺りの路肩に数台分駐車できそうなスペースが点在しているが、停めていいかどうか不明。基本的には麓まで山道を戻り、穂高駐車場、温泉公園北口、有明山神社駐車場、安曇野の里などに車を停めて、シャトルバスで中房温泉に向かう必要あり。 【ルート概要】 ①中房温泉~合戦小屋(CT:3時間) 立派なトイレがある中房温泉登山口を出発すると、樹林帯の中をつづら折りに登り続ける急登が始まります。かなりの急登が続きますが、手入れが行き届き歩きやすい登山道です。標高差250mほどの急傾斜を登り続けるとベンチの置かれた広い場所に飛び出します。ここが「第一ベンチ」という休憩スポットです。第一ベンチにはこのルート唯一の水場があります。 第一ベンチを過ぎてもひたすら急登が続きますが、第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチと、約30分ごとにベンチが設置された休憩スポットが現れるので、初心者の方でも登山ペースが作りやすいルートです。また、この区間は樹林帯の中を歩く道ですが、木の切れ目から背後にそびえる有明山や遠くに八ヶ岳や南アルプスの山々が見え、富士見ベンチ付近からは富士山が遠望できます。 富士見ベンチからさらに30分登ると、店先にたくさんのベンチが置かれた「合戦小屋」に到着します。合戦小屋は食事やトイレなどが充実している施設で、地元産の甘くておいしいスイカや肉うどんが名物です。第二ベンチ付近で下をくぐった荷物用のケーブルは合戦小屋まで荷物を揚げるためのものです。 ②合戦小屋~燕山荘(CT:1時間) 合戦小屋を過ぎて少し登ると展望が開けてきます。尾根上のピーク「合戦沢の頭」へ乗り上げると、前方の稜線上に燕山荘や燕岳、遥か北には針ノ木岳が見えます。また、左手には常念山脈の稜線越しに槍ヶ岳の穂先が見えてきます。 合戦沢の頭から先は比較的なだらかで明るい尾根道となります。徐々に木々の背が低くなり、左右の展望を楽しみながら歩ける道になります。足元には白い花崗岩が目立ち始めます。やがてコース中唯一の鎖場が出てきます。鎖は設置されていますが、高度感のない岩場の斜面をトラバースするように進むだけで、危険はありません。 鎖場を過ぎた辺り、燕山荘のテント場に向けて山腹を横切るルートにロープが張られており、尾根上を直登するルートに導かれます。頭上に見える燕山荘向け急な階段を登り続けていくと、燕山荘のヘリポート脇に到着します。 常念岳方面に続く「常念山脈」や槍ヶ岳へ続く「表銀座縦走路」へ至る稜線上に建てられた燕山荘。目の前には槍ヶ岳、三俣蓮華岳、野口五郎岳など北アルプスの名峰が連なります。そして、北に目をやると「北アルプスの女王」ともよばれる、美しい燕岳の姿が見えます。白い花崗岩とハイマツのコントラストが美しい、芸術的な山容です。 燕山荘は、宿泊はもちろん、ケーキやコーヒー、生ビールなど、山小屋とは思えないほど、サービスが充実しています。山小屋としては大規模で設備も充実しているので山小屋デビューにもってこいです。 ③燕山荘~燕岳山頂(CT:30分) 燕山荘前から燕岳までは贅沢な稜線歩きを体験できます。花崗岩の白い砂礫に咲き誇るコマクサや、イルカ岩、メガネ岩などの奇岩、鳴き交わすイワヒバリの歌声などを楽しみながら進むと燕岳山頂(2792m)に到着します。山頂には三角点があり、晴れていれば360度の絶景が楽しめます。北を見ると稜線の先に「北燕岳」や「餓鬼岳」、その先に「立山」や「針ノ木岳」も見ることができます。 ④おまけ:燕岳山頂~北燕岳(CT:往復30分) 時間に余裕があれば、燕岳から稜線をさらに北上し、北燕岳へ寄り道することもできます。絶景の稜線歩きと高山植物をもっと楽しみたい場合は足を延ばすことをおすすめします。北燕岳付近は高山植物の宝庫。北燕岳直下のトラバース道のミヤマキンバイやハクサンイチゲ、サクラソウなどが咲き乱れる花畑は必見です。 ⑤燕岳山頂~中房温泉(CT:3時間30分) 燕岳山頂からは来た道を戻ります。午後になっても登ってくる方が多いため、すれ違いに気を遣う下山となります。登り優先の原則を守り、気持ちにゆとりを持って下りたいものです。 【感想】 このコースは北アルプス入門の代表的なコースです。北アルプス三大急登を制覇した達成感、槍ヶ岳を始めとする北アルプスの山々の絶景、登山道の脇に咲き乱れる高山植物、イワヒバリや雷鳥。夏の高山の楽しみがギュッと詰まった素晴らしい山です。北アルプスでビューに、山小屋泊デビューにおすすめの山です。 朝のうち眺めの良かった合戦尾根も、昼前には完全にガスに包まれてしまいました。これは夏山の典型的な天気パターンです。夏山で眺望を楽しみたい場合は早い時刻の行動が大切です。

常念岳・大天井岳・燕岳 朝の安曇野市営第1駐車場。前日の23時台には満車になっていた。
朝の安曇野市営第1駐車場。前日の23時台には満車になっていた。
常念岳・大天井岳・燕岳 駐車場から少し歩き、登山口の中房温泉へ。トイレ、水、売店などあり。
駐車場から少し歩き、登山口の中房温泉へ。トイレ、水、売店などあり。
常念岳・大天井岳・燕岳 さすが北アルプス三大急登。いきなり急登が始まる。
さすが北アルプス三大急登。いきなり急登が始まる。
常念岳・大天井岳・燕岳 木々の切れ目から周囲の山々が見える
木々の切れ目から周囲の山々が見える
常念岳・大天井岳・燕岳 第1ベンチ到着。約30分おきにベンチがあり、ペースが作りやすい。
第1ベンチ到着。約30分おきにベンチがあり、ペースが作りやすい。
常念岳・大天井岳・燕岳 コメツガの森を行く。時々なだらかな場所もある
コメツガの森を行く。時々なだらかな場所もある
常念岳・大天井岳・燕岳 常念岳方面の稜線が見える
常念岳方面の稜線が見える
常念岳・大天井岳・燕岳 イワカガミが群生していた
イワカガミが群生していた
常念岳・大天井岳・燕岳 富士見ベンチ付近より眺める富士山。八ヶ岳や南アルプスも見えた
富士見ベンチ付近より眺める富士山。八ヶ岳や南アルプスも見えた
常念岳・大天井岳・燕岳 大天井岳の巨体が見え始める。左側には大天荘が見えている
大天井岳の巨体が見え始める。左側には大天荘が見えている
常念岳・大天井岳・燕岳 合戦小屋到着。この時間、まだ営業していなかった。
合戦小屋到着。この時間、まだ営業していなかった。
常念岳・大天井岳・燕岳 合戦小屋から眺める浅間山。噴火警戒レベル2だけあって、噴煙が多い
合戦小屋から眺める浅間山。噴火警戒レベル2だけあって、噴煙が多い
常念岳・大天井岳・燕岳 稜線から突然槍ヶ岳の穂先が飛び出した
稜線から突然槍ヶ岳の穂先が飛び出した
常念岳・大天井岳・燕岳 合戦沢の頭に到着。目の前の稜線上に燕山荘や燕岳が見える。ここから比較的なだらかな道が続く
合戦沢の頭に到着。目の前の稜線上に燕山荘や燕岳が見える。ここから比較的なだらかな道が続く
常念岳・大天井岳・燕岳 合戦沢の頭から眺める針ノ木岳。遠く離れていても目を引く異様な姿だ
合戦沢の頭から眺める針ノ木岳。遠く離れていても目を引く異様な姿だ
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳(左のピーク)から餓鬼岳方面に伸びる稜線
燕岳(左のピーク)から餓鬼岳方面に伸びる稜線
常念岳・大天井岳・燕岳 穂高の山々も見えてきた。右よりのピーク上には北穂高小屋が見える
穂高の山々も見えてきた。右よりのピーク上には北穂高小屋が見える
常念岳・大天井岳・燕岳 天空のホテル「燕山荘」に向けて尾根を直登する。尾根の右側のトラバース道はロープで規制されていた。
天空のホテル「燕山荘」に向けて尾根を直登する。尾根の右側のトラバース道はロープで規制されていた。
常念岳・大天井岳・燕岳 燕山荘到着
燕山荘到着
常念岳・大天井岳・燕岳 燕山荘前に置かれている「山男」の像。その奥には燕岳の優美な姿が
燕山荘前に置かれている「山男」の像。その奥には燕岳の優美な姿が
常念岳・大天井岳・燕岳 燕山荘前から眺める槍ヶ岳。右から北鎌尾根や小槍がせり上がっている
燕山荘前から眺める槍ヶ岳。右から北鎌尾根や小槍がせり上がっている
常念岳・大天井岳・燕岳 北アルプスの女王、燕岳。ハイマツの緑と花崗岩の白のコントラストが絶妙
北アルプスの女王、燕岳。ハイマツの緑と花崗岩の白のコントラストが絶妙
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳の奥には立山が顔をのぞかせている
燕岳の奥には立山が顔をのぞかせている
常念岳・大天井岳・燕岳 北アルプス主稜線の山々が一望できる。写真のピークは水晶岳
北アルプス主稜線の山々が一望できる。写真のピークは水晶岳
常念岳・大天井岳・燕岳 奇岩の間の白砂の道を進む
奇岩の間の白砂の道を進む
常念岳・大天井岳・燕岳 有名な奇岩「メガネ岩」後ろには槍ヶ岳
有名な奇岩「メガネ岩」後ろには槍ヶ岳
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳登頂。その先に続く稜線を眺める
燕岳登頂。その先に続く稜線を眺める
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳山頂より北を見る。遥か先に、針ノ木岳の姿が。
燕岳山頂より北を見る。遥か先に、針ノ木岳の姿が。
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳から北燕岳方面を眺める。少し迷ったが、北燕岳まで往復することに
燕岳から北燕岳方面を眺める。少し迷ったが、北燕岳まで往復することに
常念岳・大天井岳・燕岳 北アルプス主稜線を見ながらの、天国のような縦走路を行く
北アルプス主稜線を見ながらの、天国のような縦走路を行く
常念岳・大天井岳・燕岳 北燕岳登頂
北燕岳登頂
常念岳・大天井岳・燕岳 餓鬼岳に続く、荒々しい岩稜
餓鬼岳に続く、荒々しい岩稜
常念岳・大天井岳・燕岳 北燕岳山頂より燕岳方面を振り返る。稜線の東側だけガスが溜まっている
北燕岳山頂より燕岳方面を振り返る。稜線の東側だけガスが溜まっている
常念岳・大天井岳・燕岳 北燕岳山頂直下のお花畑。上に見える岩が北燕岳山頂
北燕岳山頂直下のお花畑。上に見える岩が北燕岳山頂
常念岳・大天井岳・燕岳 ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ
常念岳・大天井岳・燕岳 咲き乱れるシナノキンバイ
咲き乱れるシナノキンバイ
常念岳・大天井岳・燕岳 登山道脇に咲くハクサンイチゲ
登山道脇に咲くハクサンイチゲ
常念岳・大天井岳・燕岳 高山植物の女王「コマクサ」はシーズン直前。ほとんどがつぼみだった
高山植物の女王「コマクサ」はシーズン直前。ほとんどがつぼみだった
常念岳・大天井岳・燕岳 岩陰に咲くイワウメ
岩陰に咲くイワウメ
常念岳・大天井岳・燕岳 花崗岩の白砂に咲くハクサンイチゲ。
花崗岩の白砂に咲くハクサンイチゲ。
常念岳・大天井岳・燕岳 燕岳より燕山荘方面を眺める。いつか、どこまでも続く表銀座を縦走したい。
燕岳より燕山荘方面を眺める。いつか、どこまでも続く表銀座を縦走したい。
常念岳・大天井岳・燕岳 人で賑わう燕山荘へ戻る。
人で賑わう燕山荘へ戻る。
常念岳・大天井岳・燕岳 ミヤマキンバイと燕岳
ミヤマキンバイと燕岳
常念岳・大天井岳・燕岳 奇岩の間を戻る
奇岩の間を戻る
常念岳・大天井岳・燕岳 鳴き交わしながら岩の上で遊びまわるイワヒバリ
鳴き交わしながら岩の上で遊びまわるイワヒバリ
常念岳・大天井岳・燕岳 イルカ岩
イルカ岩
常念岳・大天井岳・燕岳 最後に燕岳を振り返る。夢のような稜線時間だった。
最後に燕岳を振り返る。夢のような稜線時間だった。
常念岳・大天井岳・燕岳 合戦尾根はガスに包まれていた
合戦尾根はガスに包まれていた
常念岳・大天井岳・燕岳 苔むした登山道をひたすら下る。想像以上に長く感じる下りだった
苔むした登山道をひたすら下る。想像以上に長く感じる下りだった
常念岳・大天井岳・燕岳 第1駐車場帰着。朝には第1から第3まで全て満車になったようだが、この時刻はポツポツ空きがあった
第1駐車場帰着。朝には第1から第3まで全て満車になったようだが、この時刻はポツポツ空きがあった

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