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小笠原諸島・父島の『洲崎村民の森』再生を目指して
東京

小笠原諸島・父島の『洲崎村民の森』再生を目指して

支援プロジェクトのオーナーのロゴ
Team Wood Recycle事務局
支援総額
1,015,950
目標金額 770,000円
131%
支援者
16,294
残り
終了

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  • 概要

このプロジェクトの概要

  • 植生の90%が外来種に置き換わってしまった父島「洲崎村民の森」に、固有種・在来種を植樹し、小笠原らしい豊かな森を取り戻す自然再生活動を行います
  • 伐採した外来種の樹木資源を100%利活用する取り組みを、木工体験等を通して行います
  • クレジットカード(一口:300円〜)または5,000 DOMO でプロジェクトを支援できます
  • 小笠原グリーン株式会社とNPO法人小笠原野生生物研究会が「Team Wood Recycle」を主催し、「洲崎村民の森」への植樹や木材資源の利活用を行いつつ、人々が集い、賑わいを創出する場をつくります

活動報告

ご支援のお礼と、今後の活動について

2023.6.13

生物多様性が低下した洲崎村民の森を、小笠原らしい豊かな森に戻し、人々が集う場とするために

父島・傘山(かさやま)から、境浦(さかいうら)海岸(中央下)と二見湾(右手奥)、「ボニンブルー」とよばれる紺碧の海を望む。©小笠原村観光局

東京都心からはるか南、距離にして約1,000kmの太平洋上に浮かぶ、小笠原諸島。

行政区域は東京都小笠原村に属し、沖縄とほぼ同じ緯度に位置する小笠原諸島の気候は温暖で、冬季でも平均気温は約18℃(都心の冬季平均気温は約6℃)と、一年中南国の空気を感じることができます。

火山活動による海底隆起で誕生した大小30あまりの島々は、過去に一度も他の大陸と陸続きになったことがありません。そのため、風や海流、渡り鳥によって他の大陸や島々から運ばれてきた動植物は、長い時間をかけて島の環境に適応した種のみが生き残り、独自の進化を遂げました。

それぞれの島に多くの固有種や在来種の動植物が存在する特異な生態系は世界的にも貴重で、小笠原諸島は2011年に世界自然遺産に登録(*)されました。

* 世界遺産の区域となっているのは、聟(むこ)島列島、父島列島、母島列島、北硫黄島、南硫黄島、西之島で、総面積は約7,900ha。有人島の父島、母島では、集落を除いた区域と周辺の海域の一部が世界遺産の区域となっています。

シダ植物(ワラビやゼンマイの仲間)でありながら、幹が樹木状になり、樹高5〜10mに巨大化する独自の進化を遂げた、小笠原固有種のマルハチ。 (画像引用元:Kenji)
小笠原諸島唯一の猛禽類であり、国の天然記念物に指定されている固有亜種「オガサワラノスリ」。現在、絶滅危惧種に指定されています。
国の天然記念物に指定されている、固有種「オガサワラオカモノアラガイ」。天敵のいない環境下で、殻を退化させる独自の進化を遂げてきました。©小笠原村観光局
衣服についた外来植物の種子や、靴底についたプラナリア類が「森林生態系保護地域」に持ち込まれないよう、コロコロ(粘着テープクリーナー)と食酢スプレーを使って対策を行っている方々の様子。©小笠原村観光局

美しい自然が残る小笠原諸島は、実は200年ほど前から人々が移住し、今では欧米系島民の子孫と日本人が共存して暮らす、日本国内では稀有な文化が育まれてきた場所でもあります。

人々が住まう地域(主に父島と母島の一部)は、江戸〜明治時代に日本の国策として進められてきた移住開拓、日本軍による要塞化などにより、太平洋戦争終戦までの約150年間に多くの自然改変がなされてきました。

今回のプロジェクト対象地となる父島の「洲崎」も例外ではありません。

洲崎には開墾に適した土地が広がり、多様な生物が生息する美しい干潟があったため、人々の生活を支える最良の立地として、移住者が最初に定住したエリアでした。

森林にあったさまざまな樹木(固有種・在来種)は、生活に必要な燃料を得るために、薪炭林(*)に適した外来種(アカギ等)に置き換えられ、太平洋戦争時代には、砲台や軍事用の施設の目隠しとなる外来種(ギンネム)が植えられ、干潟のあった洲崎の海岸部は、日本軍の飛行場用地とするために埋め立てられてしまいました。

* 薪炭林とは、薪や炭の原料となる木材を生産するための森林のこと。

洲崎に繁茂する、成長の早い外来種「シマグワ」。養蚕のために植えられたとされています。

父島の中で最も大きく自然環境が改変された洲崎は、現在では植生の90%が外来種に置き換わってしまったため、固有種オガサワラオオコウモリをはじめとする動物相(*)の餌(固有種・在来種の木の実)が減り、生息数が減少。小笠原らしい生物多様性が低下する要因のひとつとなっています。

* 動物相とは、特定の地域・水域にすむ全種類の動物のこと。

小笠原諸島唯一の固有哺乳類である、オガサワラオオコウモリ。主に固有種のタコノキや在来種モモタマナの実を餌としています。

洲崎本来の姿である、固有種や在来種の草木が広がり、それらを棲み家とし、餌とする鳥や動物たちが戻ってこれる森とするために。また、島内外の人々が自然の中で遊び、学び、憩いの場となる環境をつくっていく自然再生活動を行うために。

2022年、小笠原グリーン株式会社(*1)とNPO法人小笠原野生生物研究会(*2)は、林野庁から、国有林に指定されている森林部分の一部・約31,000平方メートル(東京ドーム0.7個分)を借り受け、植樹や木材資源の利活用を行いつつ、人々が集い、賑わいを創出する場所にしていくための協定を締結しました。

この協定締結をきっかけに、小笠原グリーン株式会社とNPO法人小笠原野生生物研究会が主催する、Team Wood Recycle(以後TWRと表記)が発足。

TWRは、外来樹種に被覆された「洲崎村民の森」を、固有種・在来種を植樹することで小笠原らしい豊かな森に戻すこと、伐採した外来種等の樹木資源を利活用していく住民参加型の活動を始めています。

*1 小笠原グリーン株式会社は「地域課題の解決策」を事業化していくことをビジネスモデルに、1973年から地域に根差した様々な事業を展開する会社です。世界自然遺産小笠原諸島の魅力向上を支える地域DMOを目指しつつ、「自然環境や生態系の保全」「森林や緑地の維持管理」等の事業を行っています。
*2 NPO法人小笠原野生生物研究会は、小笠原の野生生物及び自然環境の保全に寄与することを目的に、野生生物の調査・研究を行うと共に絶滅危惧に瀕している野生生物の保護保全に関するボランティア活動を行っています。

2022年12月にTWRが開催した親子参加型環境学習イベントにて、洲崎に在来種・ハスノハギリの中型苗を植樹しました。
伐採した外来樹木・モクマオウを製材する作業の様子。

本プロジェクトでは、TWRが「洲崎村民の森」で開催する、親子参加型の環境学習イベントに必要な固有種・在来種の苗木や、木材資源を利活用するための木工機材の購入費、そして専門性の高い森づくりの技術者や講師を誘致する費用を皆さまにご支援いただきたいと考えています。

洲崎村民の森を小笠原らしい森にしていくこと、また、木材資源を無駄にしない取り組みを行うことで、洲崎をより良い自然環境に整えていくためのTWRの活動支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

洲崎村民の森の再生計画と、木材資源循環の取り組みについて

在来種のテリハボク巨木と、ハスノハギリが生い茂る、父島・小港海岸付近の小道。TWRは、洲崎村民の森を、このような小笠原らしい森に戻していきたいと考えています。

TWRは現在、活動拠点である洲崎村民の森の自然再生を促すために、外来樹種の伐採や固有種・在来種の植樹を行いつつ、樹木資源(主に伐採した外来樹種)の利活用に関するさまざまな取り組みを進めています。

その一つとして、洲崎村民の森を約300平方メートルに区切り、毎年少しずつ自然再生させていく活動計画(外来種の伐採や植樹する苗決め)を、小笠原小学校の子どもたちと一緒に考える授業を行っています。

小笠原小学校の授業の中で、4年生の子どもたちが考えた洲崎村民の森の自然再生計画案。
TWR事務局を担う小笠原グリーン株式会社のスタッフが、子どもたちへの授業をサポートしています。
2023年度に取り組む、洲崎村民の森内の約300平方メートルの区画(標識ロープの奥側)。

また、森づくり活動を進める上で発生した外来樹種などの樹木資源などは、無駄にすることなく、島民参加型のリサイクル活動や楽器、ペンや食器などを制作することで、木材資源100%の利活用を目指しています。

≫ 【TWR】木材資源の農業活用:YouTube

外来種のアカギを使って制作されたウクレレ。アカギ材は京都大学の研究により、高級木材マホガニー(材の密度が高く、硬い)に似ていることがわかり、その性質を活かすため、ギターやリコーダー、カスタネットなどの商品化を行なってきました。
小さな端材やおが屑は堆肥化した後、森に戻したり、公園の植栽土や農業用堆肥として活用したりしています。

TWRが開催する、親子参加型環境学習イベントについて

TWRが開催する親子参加型環境学習イベントに参加した、島民のみなさんとTWRのスタッフ。
島の子どもたちに大人気の、木工体験の様子。現在機材が不足しており、十分な作業ができていない状況となっています。
2022年12月に実施した親子参加型環境学習イベントにて、在来種・モモタマナを植樹しました。

TWRでは、親子参加型環境学習イベントに参加する島の子どもたちが「また行きたい!」と思ってもらえるようなワクワクする体験や人生を豊かにする森をつくり、次の世代につながる長期的な活動にしていきたいと考えています。

温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

≫ 【TWR】2022年12月に実施した、親子参加型環境学習イベント:YouTube

支援金の使い道

【目標金額:77万円】

  • ・固有種、在来種苗木100株(小型苗)…250,000円
  • ・親子参加型環境学習イベントの講師料…100,000円
  • ・ランダムオービットサンダー10台…150,000円
  • ・ベルトサンダー2台…40,000円
  • ・木工旋盤2台…160,000円
  • ・YAMAP FUNDING運営費…70,000円

目標金額を超えるご支援をいただいた場合には、TWR活動のカーボンニュートラルを目指すために、ポータブルバッテリー&ソーラーパネルを導入する費用、洲崎村民の森の遊歩道整備や階段の設置にかかる資材費などに使わせていただきたいと思います。 

TWR事務局・小笠原グリーン株式会社が管理する、育苗施設の様子。洲崎村民の森に植樹する固有種や在来種をこの施設で育苗しています。

支援の流れ

  • プロジェクトを支援する(DOMO支援は1回限り)

    クレジットカードによる現金支援(複数回支援可)、または5,000 DOMO(1回限り)にて、「小笠原諸島・父島の『洲崎村民の森』再生を目指して」を支援することができます。

    支援金は、親子参加型環境学習イベントで行う植樹活動に必要な固有種・在来種の苗木購入費、伐採した外来樹種を利活用するために必要な木工機材の追加購入、専門性の高い森づくりの技術者や講師を誘致する費用に充てられます。

  • プロジェクトの活動開始

    2023年4月より、「小笠原諸島・父島の『洲崎村民の森』再生を目指して」がスタートします。

  • 活動報告のお知らせ

    プロジェクトの進捗報告や調査結果を、公式アカウントとYAMAPのダイレクトメッセージにてお知らせします。