20:38
27.8 km
2135 m
赤谷山 飛越 春の宴遊会3
剱岳 (富山)
2024.04.18(木) 2 DAYS
飛越 春の宴遊会 五日目 いよいよ今回の遠征のメイン山行 北方稜線の一角、残雪期の赤谷山に臨む ツヨツヨ富山ローカルなら12時間くらいでOne day であろうが、我々はのろまなヘタレなのでバッファを見てツェルト泊装備を担ぐ あんまギリギリBoyzでもゆっくり山を堪能できないし何かあったらヤバいしね 早朝、山ちゃん小屋を出立し、馬場島に向かう 伊折ゲートやはり閉まっている(TT) 淡い期待は氷の如く打ち砕かれる まあ歩こう 馬場島まで6km+取水堰堤まで3km合計9kmのロードなので長靴で歩く 荷物クソ重いロードクソ長いうーんうーんツラい 18.5kgを担いで三時間歩き、やっと取水堰堤 ここからもうガッツリ雪がある 渡渉までのコンクリ道も雪や土砂が斜めに埋まり嫌なトラバースを強いられる 渡渉も雪解けで水量が多く長靴でなんとか突破 すぐに高巻き これは去年の暮れから誰も入ってないなぁ ローカルが入る前に一番乗りだぜ 巻きは最初と最後が悪い 倒木や崩落や半端な残雪で荒れており一般道とは言えぬ様相 巻きの途中の岩場で冬履アイゼンに履き替え長靴は岩室にデポ 巻きを抜ければあとは本流沿いの雪原をひたすら遡上 天気も良く大変気持ちが良い 中流くらいからは水流が雪渓に埋まり伏流しているが、所々、雪渓が崩落して水流が覗いている 落ちたら命はないので本流沿いにはあまり近づかないように進む ブナクラ峠が見えてくる 完全に雪渓で埋まっている その右に目指す赤谷山も見えてくる 急峻な赤谷尾根とその脇を走る渓筋は幾筋ものデブリ痕が流れ、雪崩の巣であることが見て取れる 赤谷尾根を詰める者もいるようだが、とても登れるようには見えない 徐々に斜度が増し、いよいよブナクラの雪渓に取り付く まだ雪が締まって登りやすいので良かった 中盤からかなりの斜度になり息が切れる ジグを切ってゆっくり登る 空は晴れていたのにあっという間にガスが湧き、真っ白で視界が効かなくなる ブナクラ峠まで登り上げる 重荷と急斜度で疲弊した 大休止をして相談 まだ時間はある 可能な限り先へ進みビバークしようと しかし夏道の感じでは薮と細尾根で平坦な場所などなさそう ダメなら引き返し、峠でビバークすることに 左側は細い雪稜と雪庇、右側は薮 その境界のシュルンドを四苦八苦しながらジワジワと進む いくつかの小ピークを越えて嫌らしい細尾根が終わり、山体への取り付き手前に適地を発見 薮との境界の雪を均しツェルトを張り、食事を摂って酒を呑み寝る 夜半、雨が降り出す 勘弁してくれ 夜中、時折強風が吹き荒れる ツェルトが吹き飛ばされそうに波を打つ 薮と雪稜の合間で良かった 飛越 春の宴遊会 六日目 朝四時過ぎ起き 夜半に降り出した雨は上がったと思ったが雪がパラついている ごく僅かだし雨よりは良い 風が強い ドン曇り 湯を沸かし温かい飯を食い、仕度して出発 寒い 泊まり装備や不要なものはデポして軽荷でゆく 念の為、ロープ、ガチャ、ハーネスは積んでいく 山体に取り付く 手前の小ピークへの登り上げが今回一番の難所だ 夏道は急峻な尾根筋を信州側に巻いて迂回して登り、尾根に合流するのだが、巻道も完全に埋まり、いきなり嫌な急斜面のトラバース そこを抜けると登り上げだが、夏道の岩が積み重なったロープ場も完全に埋まって壁の様な雪面 左に進路を取りダガーで登攀開始 しかしこちらは登ると上部が立ってきて、見えていなかった後半部分が出現し、さらに倍近くの距離を登る羽目になった 休む場所がない長い登攀 ピッケルに体重を預け、壁に張り付いたままパンプした脚を休める なんとか登り切り、上部の藪を無理矢理突き抜けるとあっさり稜線の夏道に出た ここからは富山側が切れ落ちた稜線の急登 道が崩落した箇所は脇の藪を進み、雪で埋まっている箇所はダガーで登る やがて山頂に到着 こんもり広がった雪原状の頂上 真っ白で大半が見えない 奥に進み、お地蔵様を探すが雪に埋没して見つけられず 記念撮影だけ済ませてそそくさと降る ここからの眼前いっぱいに迫り来る剱が楽しみで来たのだがなぁ 予報通りには行かなかった まあ仕方ない 白萩山、赤ハゲ、白ハゲのエゲツない岩陵バキバキの稜線は拝めた 来た道を戻り、小ピークからの下降、さてどうするか 行きに登った斜面は斜度もキツいし長過ぎる 下りに使うのは嫌だ 乗り上げた箇所よりさらに夏道で下に降り、埋まったロープ場付近を降りることに 下方に見える草付きに右寄りに軽くトラバースしながら降りて、草付きの際に取り付き、草付き沿いを降りた これが一番楽だ 行きもここを通ればよかった 一番立った雪壁は降りた 次はトラバース ここも落ちたらアウトなので、斜度が緩む下のカールの方へ降りてしまう そこからカールの底をトラバース 上をトラバースするよりは幾分歩きやすいが、頭上に雪庇があり、一箇所大崩落して巨大なデブリが流れた痕がある まだ午前で雪がギリギリ締まっていて良かった 神経を張り詰めながらなるべく素早く抜ける デブリ群を越え、崩落跡の巨大なクレバスを迂回して稜線に登り上げ、復帰すると目の前がビバーク地だった 昼飯を食らいツェルトを撤収して下山 急速に天候が回復、瞬く間に青空が出て強い陽射しに照り付けられ暑くなる 昨日はガスで全く視界が利かなかったが晴れて地形がよく分かるのでサクサク降りる ブナクラ峠からの下降もグリセードでガンガン降りる 雪が緩んでグザグザに腐れ、それが良い感じに制動になり急斜面を秒で降りる 本流沿いの雪原もガシガシ歩く 途中で雪渓の端から水を取り、順調に進む 嫌な巻きもこなし、デポした長靴も回収し、渡渉もアイゼンを履いたまま(高下駄替わりで嵩が増して良い)渡り、あっという間に取水堰堤に着いた そこでアイゼンを脱ぎザックにマウント 荷の重さに閉口 ここからまた長い長いロード歩きである これが本当にツラい泣きたい 這々の体でゲートまで戻ると、何とゲートがオープンしていた むむむむむーーなんとなくそんな気はしたんだよな 去年も19日オープンだったしな むむむー重荷を馬場島にデポして軽快に歩き、車で回収しに来れば良かった だが、知らぬこと故、後の祭りである