🎯日本国境突破マニュアル  個人(所属組織や旅行会社などのサポートなし)として海外に出て、日本に帰ってくる渡航者のために、実体験に基づくマニュアルを作った。  2022年6月10日現在の日本政府の水際対策(≒外国人差別政策)の行方次第では、改訂があり得る。  質問があれば、コメントまたはDMでお寄せ下さい。  📖重要ポイント  ①ファストトラック(入国前WEB検疫手続き)は必須(事実上の義務)  ②陰性証明書の「書式」に注意  ③海外旅行保険も推奨  📖流れ  ①PCR検査  渡航先の医療機関で、出国前72時間以内の陰性証明書を取得しなければ、日本には入国できない。  重要なのは、それが厚労省指定の検査方法と書式に沿っているかどうか。  しかし、然るべき証明書をどこで得られるのか説明するサービス精神も意思も能力も、厚労省という役所にはない。  その悪評を知る各国の日本大使館(外務省)は「〇〇へ行けば、厚労省に通用する証明書を得られます」と、お役立ち情報を独自に発信している(こともある)。今回滞在した英国や来月出かけるスイスの日本大使館も同様で、助けられた。   英国では、ロンドン・ヒースロー空港ターミナルの医療機関で、検査を受けた。  厚労省指定用紙を印刷して持参しても、当然ここでは記入してもらえない。医師のサイン欄があるのだが、PCR検査会場なんかに医師が常駐しているわけないじゃん。  検査方法はマッチしていたため、この医療機関が発行する証明書は厚労省に通用する旨、日本大使館のサイトに明記してあった。  予約と支払い、結果の受け取り(医師のサインつき)はオンラインで済み、英語で複雑なコミュニケーションをする必要は全くなかった。各国の医療機関のサイトが日本語に対応している可能性はゼロに近いので、最低限の語学力は要る。   検査のメニューには、4時間で結果が出るタイプから、翌日中に出るタイプまであった。速いほど高い。  今回は、一番安いタイプ(早期予約なら約1万円)を選んだ。混み具合によるだろうが、翌日正午ごろ結果がメールで送られてきた。  欧米の国際空港はパンデミック前の混雑に戻っていて、ヒースロー空港の検査会場には行列が出来ていた。いずれにしても、出発当日の検査は避けたほうがよさそうだ。  この医療機関スタッフは全員マスクを着けていたが、「客」のほうは大半がノーマスクだったw ←法的着用義務はない  ちなみに、6月12日から、ついにアメリカ入国時の陰性証明書も不要になった(インフルエンザと同じく、感染していても入国OK)。  今後は検査のニーズと会場が減り、検査が必要な渡航者にとっては不便になっていくはずだ。  余談だが、厚労省指定の用紙には、医療機関の「印影」欄がある。このデジタル時代に、しかも海外の医療機関に「ハンコ」は存在するのだろうか。恥ずかしいので、やめてほしい。  ②ファストトラック  アプリ「MySOS」を使って、入国前WEB検疫手続きを済ませておけば、出発空港でのチェックインがスムーズになる。日本到着後も、平時並みに空港から解放される。  利用は任意だが、強く推奨されている。実際、これを使わないと、不利&不便になる。  アプリでは、画面の指示に従って、質問票、ワクチン接種証明書、陰性証明書などを登録していく。スマホで撮ったワクチン接種証明書、医療機関からメールで送られてきた陰性証明書とも、そのまま添付できた。  登録が終わると、検疫が審査し、画面が緑色または青色に変わったらOK。不備があると、赤色になる。今回は、日本時間の夜中に登録したが、1時間ほどでOKが出た。  総じて面倒臭いが、初めてでも操作方法が分からなくて立ち往生することはなかった。  ③チェックイン  ロンドン・ヒースロー空港のJALチェックイン・カウンターが出発3時間前に開くと同時に、列に並んだ。  日本の難解な入国規制のため、乗客1人あたりの応対時間が長くなっていたものの、現在の日本発着路線の乗客は少ない(半分ほどは空席)ため、あまり待たされなかった。  カウンターのJAL現地社員は全員外国人のようだったが、さすがに日本の規制に詳しく、「MySOSの画面を見せて下さい」とチャキチャキ手続きを進めてくれた。  JALやANA以外では、どのような対応がなされるのか不明。規制に絡むトラブルを抑えたいなら、日系航空会社を選ぶのが無難かもしれないが、値段は高い。   チェックインの時点で、MySOSの画面が緑色(または青色)になっていなくても、またはアプリをインストールしていなくても、厚労省に通用する陰性証明書さえ提示できれば、問題はない。通用しないと判断されると、搭乗を拒否される。  チェックインの時点で、MySOSへの登録(さらに審査)が終わっていれば話が早いし、航空会社もそれを推奨している。平時並みのスムーズさで搭乗券を受け取れるはずだ。  MySOS(ファストトラック)の利用は事実上、義務と捉えたほうがいい。  ④日本入国  閑散とした羽田空港国際線ターミナル。乗客より検疫スタッフのほうが多いんじゃね?という、不必要に物々しい雰囲気だった。  スタッフは総じて若く、全国の厚労省の出先機関から若手をかき集めているのか、派遣スタッフやアルバイトで済ませているのか、とにかくそういう感じだった。  6月1日から到着時検査がなくなったため(出発国やワクチン接種の有無による例外あり)、特記事項はない。  前述の通り、ファストトラックの審査に通っていれば、その画面とパスポートを何回か見せるだけで、すんなり通過できた。  ファストトラックを利用しない場合、質問票や陰性証明書の提出と審査がその場で行われ、相応の時間を食うはずだ(詳細は不明)。  付言すると、COCOAとかいうアプリもインストールしないと入国できないと理解していたが、チェックは一切なかった。  なお、出発前に検査を受けたばかりの乗客に対し、到着時にも検査を繰り返し、長々と待たせていた先月までの日本政府は、良識ある国際社会では極めて特異な存在だったという事実を指摘しておく。  ついでに、検査を受けたばかりの安全な外国人観光客に対し、「個人行動を許すと何を仕出かすか分からないから、監視員付きの集団行動なら入国を認める」という6月10日からの措置。こんなの「インバウンド開国」でも何でもなく、相変わらずの鎖国(差別)じゃねーかと、改めて叫んでおく。  日本人として出掛けた先の外国政府に同じことを言われたら、どんな気持ちになるか。想像するのは、めためた簡単である。  📖追記:海外旅行保険の勧め  現在の日本政府の入国規制の下では、海外渡航の最大のリスクは、渡航先で陽性の結果を食らって(または有効な陰性証明書と認められずに)フライトに乗れなくなり、陰性に戻るまで(有効なものを取り直すまで)滞在を強いられるケースである。  特に無症状の場合、想定外の陽性の結果を食らった時の精神的ダメージは大きいと思われる。  海外旅行保険に加入していれば、追加の滞在・検査費用、代わりのフライト代まで支払ってもらえる可能性が高い。  毎回利用している損保ジャパンの商品「off!」は、かなりの部分をカバーしてくれるらしいが、クレカ付帯保険がそこまでやってくれるかどうかは要確認。  なお、ワクチンと治療薬が充実している主要国では、covid-19はインフルエンザと同じ扱いになりつつあり、もはや感染していても入国できるようになっている旨、しつこく付記しておく。  構築されつつある国際標準に抗うには、相応の事実と論理が求められる。

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