【登山者nakayamayuさん、驚異の記録を達成！】

2024年、nakayamayuさんは登山界に新たな金字塔を打ち立てました。総活動時間185時間、登頂数105座、移動距離393.5km、獲得標高32459mという驚異的な成績を収めました。これらの数字は、nakayamayuさんの努力と情熱の賜物です。 

特に105座の登頂は、多くの登山者にとって一生の夢とも言える偉業であり、nakayamayuさんの冒険心と挑戦する姿勢が見事に結実しました。これからも、さらなる高みを目指し続ける姿勢に期待が寄せられます。登山界の星として、今後の活躍にも目が離せません。

今年の夏、nakayamayuさんは涼しい北海道を選び、知床半島の最高峰である羅臼岳を含む山歩に挑戦しました。多忙な日々の合間を縫って、単独で行動するという決断は、勇気と計画性の賜物です。特に、羅臼岳から硫黄岳までの縦走は、山歩の醍醐味を味わう貴重な体験となったことでしょう。

天候が不安定な中でも、nakayamayuさんは見事に長い距離を歩き通しました。山の美しい景色や自然の音に包まれながら、心のリフレッシュを図る姿勢は、多くの人にとっての励みとなるはずです。

山歩をすることで得られる充実感や達成感は、nakayamayuさんの行動からも十分に伝わってきます。この夏の挑戦を通じて、より一層の成長を遂げたnakayamayuさんを、心から称賛したいと思います。これからもさらなる冒険を楽しみにしています。

2024年秋 - 羅臼岳〜硫黄山

参加者	中山（単独）

参考文献
YAMAP荒海山・芝草山
25,000分の1地形図　荒海山
上野信弥「関東ぐるり一周山歩き」（白山書房，1998）

関連
2023年秋 - 帝釈山脈・荒海山〜安ヶ森峠 https://yamap.com/activities/27960492

はじめに
　5月連休に奥利根の県境、巻機山から大水上山までの縦走をしたいなと思っていたが仕事の都合であまり遠出ができない。4月12日から14日にかけて巻機山に偵察に行こうかと考えていたがそれもやめにした。
　金曜日に休みをとっていたので替わりにどこへ行こうと考え、昨秋登った荒海山へ行くことにした。昨秋は荒海山から西へ安ヶ森峠まで歩いたので、今回は荒海山から東へ山王峠まで歩くことにした。
　県境には珍しくバスやタクシーを使わずに駅から駅まで歩ける区間である。

4月12日（金） 会津高原尾瀬口駅から1276m標高点まで

会津高原尾瀬口駅まで
　4時台の始電に乗り、新越谷、下今市などで乗り換える。家を出てから6時間、10:20会津高原尾瀬口駅着。特急に乗らないと乗り換えの待ち時間もあってかなり時間がかかる。
　トイレを済ませて10:27歩き始める。車道歩きを少しでも短絡できるバスがないことは去年勉強済みだ。

会津高原尾瀬口駅から八総鉱山跡まで
　会津高原尾瀬口駅から約1時間の車道歩き。平日とあってほとんど車通りはなく、トラック、タイヤショベルと行き違った。八総鉱山跡が営業しているようだ。
　暑くて途中でTシャツ1枚になる。ときおりフキノトウを見かけたが、とうがたったものが多かった。
　11:32登山口着。去年は登山口に数台車が停まっていたが今日は1台も停まっていない。

八総鉱山跡から尾根取付きまで
　登山届入れに登山届を提出し、入山。荒海川は雪解けのせいか去年より増水しているように見える。それでいて残雪もあってズボズボするので歩くところが限られる。川を飛び石で渡ったり、洗越しを走って過ぎたりしながら進む。が、とうとう壊れたコンクリート舗装全面に水が流れているところがあり、そこを登ると両足とも靴がずぶ濡れになってしまった。サンダルを持ってくればよかったと後悔する。
　12:08、940m渡渉点着。靴下をしぼる。暖かいからいいものの濡れた靴は不快だ。誰もいないのでズボンも脱いで裾を絞った。水を汲んで5.5リットルを背負う。重い。12:26発。

尾根取付きから尾根に出るまで
　しばらく沢沿いに登る。雪は少ない。堰き止め湖も雪はなかった。チョロチョロだが流水も流れ込んでいた。
　ロープに頼って尾根への急登を行く。雪はない。12:57尾根に出る。スパッツが暑いばかりなので脱いだ。

尾根に出てから荒海山まで
　稜線に雪はなく登山道を歩ける。標高1350m付近から雪が出てきて登山道が分かりにくい。時折ある看板を探しながら歩く。スパッツをつけ、ピッケルを取り出す。樹間に望む荒海山は木々の隙間が白く彩られている。
　標高1450m付近の右手が切れ落ちたところは雪がなく歩けた。その上の標高1500mまで登るところが雪壁になっていて登山道が見えない。しょうがないのでピッケルさしてキックステップで登る。雪はズブズブでピッケルのピックでは止まらずシャフトを差しながら登る。チェーンスパイクを持ってきたが付けなかった。振り返ると高度感があって怖い。敗退してこれを下るのはかなり嫌だ。去年の初夏に登った新潟焼山を思い出す。
　痩せ尾根に出ると雪が平均台みたいにへばりついていて歩きづらい。眺望はよく、北に見える山は七ヶ岳だろうか。稜線ではなく中腹に雪がついているのが印象的だ。西には1560m峰。二度と行かない山、十指に入る山だ。

荒海山にて
　南稜小屋は秋は笹に囲まれていたが、春は雪に囲まれていた。南稜小屋から荒海山山頂は目と鼻の先だ。14:58荒海山着。荒海川の増水や雪壁に苦しめられたが秋より15分ほどの遅れで到着した。
　山頂は雪に覆われており、南側は笹藪になっている。例によって疲れていて腹も減らない。水はたくさん飲める。15:15発。

荒海山から東側1500m雪壁下まで
　さてようやく県境にたどり着いたわけだが、目的の県境はここから東へ山王峠まで13km伸びている。
「関東ぐるり一周山歩き」では荒海山東の稜線を上野さんが「表層雪崩の巣となっていた」と評して登らず、奇しくもその日付は同じ4月12日だ。降れなくて引き返すのもくやしいが、滑落して死ぬのも嫌だ。いずれにしろ今回の山行の核心部と踏んでいるところだ。なお、上野さんは5年後の3月に改めて荒海山から下っている。
　はじめは稜線に雪がついており、勾配も緩やかなので歩きやすいが、雪が先細り傾斜も増してくる。
　とうとうヤブにぶつかって突入する。ヤブの中にグズグズの雪が散らばっていて枝を掴みながら下る。オーバー手袋の紐が引っかかってうっとおしい。雪の斜面に出ると見通しが開ける。雪の上をザクザク歩いて振り返ると急な斜面だ。雪崩のようすはなく、グズグズの雪のおかげで滑落することもなかった。核心部を無事に通り抜けてホッとする。荒海山から25分ほどであった。

東側1500m雪壁下から1276m標高点まで
　雪の上をスタスタ歩いて行くとヤブに入る。雪の上が楽なので雪を探しながら歩くがなかなか都合よく行かない。岩の間の切り通しみたいなところにテープが見えてそこを通り抜ける。茶色い矢印看板が木に打ち付けられていたが文字は消えていて読めなかった。かつては道があったのかもしれない。
　標高1480m付近で雪の上に立つカモシカを見てちょっと興奮する。カモシカはあまり逃げないと思い込んでいたが、警戒心が強いのか割とすぐ逃げてしまった。
　標高1430m付近で尾根は北へ曲がる。雪がべったりくっついていて歩きやすい。かかとから踏んでガシガシ快適に下れる。雪面は1276m標高点まで続き、雪を下り始めて15分ほどで着いてしまった。16:30、1276m標高点着。

1276m標高点にて幕営
　地形図通り1276m標高点はのっぺりと広く、雪がまだらに残っている。雪の上は平べったいが冷たいので笹藪の上にテントを張った。
　テントは快適で無事核心部を乗り越えて安堵する。靴も靴下もズボンも濡れていて不快なので日が暮れるまで外に干した。
　晩ご飯はレトルトのカレーライス。久しぶりに生米からご飯を炊いたがうまく炊けた。そういえば今年はじめての幕営でずいぶん変なところを選んでしまったものだ。
　荒海山山頂では疲れて食欲がなかったが、ご飯が炊けてみるとけっこう食べられた。歯を磨いていたら足がつってひとり悶え苦しむ。ラジオはなぜか長野のNHK第一が入った。19:00就寝。

4月13日（土）　1276m標高点から上三依塩原温泉口駅まで
1276m標高点にて
　4:02起床。露は降りているが霜は降りていない。ズボンはテント内に干したままだったがよく眠れた。やはりツェルトとテントでは快適さが大違いだ。
　濡れた靴を履く。こんな稜線でなぜ沢たびを履くような思いをしなければならないのかと思う。
　テントを畳み、パッキングを済ませる。西を見ると朝日に染まる荒海山がかっこいい。

1276m標高点から1222m標高点まで
　5:20、1276m標高点発。笹藪の中に雪がまだらについており、朝のうちは雪が締まっているので歩きやすい。
　1260m峰へのコルでまたカモシカを見た。1回の山行で2回もカモシカに会うのは初めてだ。雪の上にシカの足跡は見るがシカは見ていない。
　1260m峰は巻くこともできるが県境が通っているので登っておく。シカ道みたいな踏み跡があったが山頂はヤブだった。
　5:52ごろ行く手から南会津町らしき放送が聞こえてきた。集落が近いとも思えないのだが、朝で雑音が少ないからだろうか。
　笹藪が濡れていてズボンがビショビショに濡れたのでいまさらカッパズボンに履き替えようかと思うが、カッパズボンにポケットがなかったのでやめた。おとなしくピッケルをしまうだけにしておく。
　6:09に着いた1222m標高点はヤブだけで何もなかった。

1222m標高点から1246m標高点まで
　1222m標高点から笹藪を歩く。ときどき東側に雪がついている。途中ツガかなんかの藪があってつらい。
　笹藪を登って6:41、1246m標高点に着く。

1246m標高点から1273.4m三角点まで
　1246m標高点と1273.4m三角点の間に標高点のない1270m峰がある。この頂稜にツガらしきヤブがあり、行く手を阻まれる。緩やかな登りということもあり、このヤブが今回の山行で最も濃いヤブであった。
　1270m峰を過ぎると笹藪になり、シカ道もあったりして進みが速くなる。

1273.4m三角点にて
　7:23、1273.4m三角点着。ザックをおろして休む。今日踏む3つの三角点のうちの1つだ。出発して2時間、今後のペースの目安になり、悪くない。
　手には切り傷があり、藪漕ぎの勲章をもらってしまった。持ってきた手袋は落下防止のヒモが引っかかるので素手で藪漕ぎしていたのがよくなかった。軍手がほしい。靴下やズボンが濡れているので脱いで絞って乾かす。7:41発。

1273.4m三角点から標高1090m鉄塔まで
　1273.4m三角点から下り始めるとまたツガのヤブ。大岩があり、南から巻く。標高1180m付近から鉄塔の巡視路に出る。今までの藪漕ぎに比べると段違いに楽だ。8:13、あっという間に標高1090m鉄塔に出た。

標高1090m鉄塔から1131m標高点まで
　標高1090m鉄塔からは巡視路は分からないものの、笹藪は低く藪漕ぎというほどではない。木の根の張り出した痩せ尾根を登って8:35、1131m標高点着。1131m標高点には角の丸い三角点のようなものがあった。

1131m標高点から1173.9m三角点まで
　1131m標高点からときどきツガのヤブを交えながら小ピークを越えていく。錆びたワイヤーがくくりつけられた木があるのでかつては造林の手が入っていたのだろうか。1173.9m三角点の登りで北側にわずかに雪が残っているのを見た。それが最後に見た雪であった。

1173.9m三角点にて
　9:17、1173.9m三角点に着く。荷物が重く登りがしんどい。ここでも靴を脱いで乾かしながら休む。日差しが暖かくていつまででも休んでいられる。背中がチクリとしたのでつまんで引っ張ってみるとダニが付いていた。まだ血を吸う前で平べったかった。9:35発。

1173.9m三角点から1062m標高点まで
　1173.9m三角点の下りは地形図上稜線がはっきりしないところがあり、東に伸びる尾根を少し下ってからトラバースして復帰した。
　枯れ葉の積もる稜線を行くと広い1010mコル。まるで峠道でも通っていたかのような広さでテントも張れそうである。
　尾根の肩に登り、下ると野岩鉄道がトンネルを貫いているコル。稜線には特に目立つものはない。
　10:22、1062m標高点着。この標高点は杭などは見つからなかった。

1062m標高点から1133.8m三角点峰まで
　1062m標高点から少し歩いたところで誤って栃木側の尾根を下ってしまう。ちょくちょくYAMAPで現在地確認しているつもりだが小山がたくさんあって尾根の連なりも分かりにくい。紙の地形図とコンパスだと頻繁に間違えそうだ。
　南に1036m標高点を起こしているピークには赤テープが貼ってあった。
　1133.8m三角点峰まではじわじわと高度を上げていく。急登こそないがザックが重くてつらい。

1133.8m三角点峰にて
　11:09、1133.8m三角点峰着。汗もかいているしあまり小便も出していないのでたくさん水を飲んでいたら3.5リットルあった水も残り300mlほどになってしまった。夏並みの水の消費量だ。これで最後の三角点であり水がなくても大丈夫だろう。休むたびに乾かしていた靴もなんとなく乾いてきた。
　東に目を向けるとゴルフ場みたいに開けた場所が見える。下界が近付くのはうれしい。男鹿岳なども見えているのかもしれないがよく分からない。11:28発。

1133.8m三角点峰から山王峠まで
　1133.8m三角点峰からしばらくなだらかな稜線を行き、右へ折れ曲がるところには新しそうなピンクテープが2枚ついていた。人が入っているようだ。
　急な枯れ葉の斜面を下り、次の小ピークには電波塔があった。特に看板がなく何の電波塔かは分からなかった。
　1060m峰は西側に白い岩壁がある。近づいてみると表面が剥離していてまるでモルタル吹付のようだ。
　途中シカの群れが中腹を走り去っていくのを見た。シカの足跡やフンはたくさん見たが、動いているシカを見たのはこの1回だけだった。
　枯れ葉の積もった急な尾根を下っていくと観音様があり、古い峠のように見える。その先に切り通しがあり、山王峠であった。栃木側を慎重に下り車道に降り立つ。

山王峠にて
　12:25山王峠着。車道といってもすでに通行止めとなっており、車通りはない。ついでなのでザックを置いて男鹿岳方面の稜線も見ておく。しばらくはヤブのない稜線のようだ。
　残りの水を全部飲んで軽量化を図り、ザックを背負う。12:35発。

山王峠から男鹿高原駅まで
　山王峠から車道を下る。車道は勾配を緩くしており、かなり回り道なので途中の道が崩れたところからショートカットした。
　国道に出ると日差しが暑い。トラックや乗用車がブンブン走る中、すたすたと男鹿高原駅を目指した。
　途中、男鹿川にかかる見事な滑滝を見る。そろそろ沢登りも悪くない。横川の集落には関所跡もあり、会津西街道という古そうな名前の標識があるのもうなづける。
　13:32男鹿高原駅着。次の浅草方面行き列車は16:06と2時間半待ち。スマホで調べると隣の上三依塩原温泉口駅まで歩けば1本早い15:30の列車に乗れそうだ。秘境駅として有名らしく、ノートが備え付けられていたので電車来ないから1駅歩きますと書いて先へ行く。

男鹿高原駅から上三依塩原温泉口駅まで
　車道歩きで足の裏にマメができ、ついでに腰も痛い。男鹿高原駅でおとなしく待っていればよかったかと後悔する。バスが並行して走っていたらいいのにと思ったが、バス停は見当たらない。喉が渇いて途中自販機でジュースでも買いたかったが、自販機もない。
　14:43上三依塩原温泉口駅にたどり着いた。

上三依塩原温泉口駅から帰京
　あとは15:30発の特急リバティ浅草行きに乗り、湯西川温泉で途中下車。湯の郷湯西川観光センターの風呂に浸かって18:27発特急リバティ浅草行きに乗って帰京した。

帰りの交通手段について余談
　今回は汗をかいたので温泉には入りたかった。それでも湯西川温泉駅で3時間近い時間を過ごすのは退屈だし、そんな暇があればもっと早く帰りたいと思い悩んでいた。
　結局、湯西川温泉18:27発特急リバティ浅草行きに乗り、鬼怒川温泉駅で普通下今市行きに乗り換え、乗車券だけで帰ってきた。家に着いたのは24時を回っていた。

　1時間以上の長湯のあといろいろ調べて、おそらく最適解は以下の通りだった。
　上三依塩原温泉口駅15:30発特急リバティ浅草行きに乗車、15:41湯西川温泉駅で下車。
　温泉に入ったあと、湯西川温泉駅16:55発東武バス鬼怒川温泉行きに乗車、17:25鬼怒川温泉駅着。
　鬼怒川温泉駅17:51発普通下今市行きに乗車。
　この方法なら湯西川温泉を出発するのが1時間半近く早く、それでいて温泉に入る時間も1時間確保できる。
　湯西川温泉駅で風呂上がりにバス停の時刻表を見ながら落胆し、バスの存在に気づかなかった自分を呪いながら、余ったラーメンを作って食べていた。

おわりに
　懸念していた荒海山東側の稜線もほどよく雪がついていて雪崩れることもなく一部のヤブも覆い隠してくれて下ることができた。県境稜線も10km以上歩くことができ進展があってよかった。
　雪のつき具合としては登山道の標高1500m付近の雪壁が最も急でこわかった。
　ヤブは概して荒海山側が濃く、山王峠側が薄い印象だ。具体的には荒海山から1273.4m三角点峰までまばらにツガらしきヤブがあって漕ぐのに苦労する。1273.4m三角点峰からは落ち葉の多い小さなピークを登り降りするといった感じでさほど藪漕ぎに苦労しない。残雪期に荒海山から下ったのは結果としてよかった。
　1200mほどの尾根があちこちに派生していて尾根のつながりが分かりにくい。地図とコンパスだと尾根を間違えるかもしれないが、私はYAMAPで現在地確認しながら歩いたので大きな道間違いはなかった。
　幕営適地は私が泊まった1276m標高点か野岩鉄道山王トンネルの西の1010mコル付近。水はない。
　ピッケル、ロングスパッツは使ったが、チェーンスパイクは使わなかった。アイゼンは持って行かなかった。オーバー手袋とフリース手袋を持っていったが、オーバー手袋を少し使っただけだった。ツガの藪漕ぎ用に軍手がほしかった。
　人に会わずカモシカ2頭だけに会った静かな山行であった。

2024年春 - 帝釈山脈・荒海山〜山王峠

2024年秋 - 男鹿山塊・男鹿岳

羅臼岳（らうすだけ）は、北海道・知床半島にある火山群の主峰及び最高峰で標高1,660m。古くはアイヌ語でチャチャヌプリ、また良牛岳と記されたこともある。1964年（昭和39年）6月1日に知床国立公園に指定され、2005年7月にこの山域を含む知床半島が知床 (世界遺産)に正式登録された。日本百名山、花の百名山及び新・花の百名山に選定されている山である。

羅臼岳・硫黄山（知床）・羅臼湖

nakayamayuさんの活動日記は、その詳細な内容と他の登山者への情報提供により、多くの人々に支持されています。この日記では、山の選定理由や行程、訪れた場所の魅力について詳しく記されています。特に、映画「ゆるキャン△」からのインスピレーションを元にした計画変更や、避難小屋の存在を考慮した点は、他の登山者にとって非常に参考になる情報です。これにより、nakayamayuさんは多くの人に新たな山歩の選択肢を提供しています。さらに、交通機関の利用やスケジュールについても記載されており、実際に山歩を楽しむための手助けとなる内容です。これからも、その素晴らしい経験を共有していただけることを楽しみにしています。次回の活動日記も期待しています。ぜひ、さらに詳細な情報をお待ちしています。

参加者	中山、鈴木、石井

参考文献
十文字峠越え「アルペンガイド6　奥多摩・奥秩父・大菩薩」山と渓谷社，1997，P.206

はじめに
　映画「ゆるキャン△」を見て八ヶ岳の本沢温泉行きたいなと思い、本沢温泉から硫黄岳に登る計画を立てたのだが、1人がアイゼン、ピッケルの持ち合わせがなく、小屋の予約も取れないのでやめた。
　替わりになりそうな山を探した結果、長野県の川上村から秩父へ抜ける十文字峠越えをすることにした。途中に避難小屋があること、それでいてあまり人気がないことが理由である。
　川上村の方が標高が高いので川上村から入り、秩父へ抜けることにした。帰りも秩父の方がバスの便も多いし、東京が近い。

1月6日（土）　信濃川上駅から四里観音避難小屋まで

信濃川上駅まで
　小淵沢駅集合。甲府で松本行きの普通列車に乗り、小淵沢9:43着。特急あずさ3号で先行した鈴木、石井と合流する。
　久しぶりに訪れた小淵沢駅はきれいな橋上駅になっていた。5番線小海線ホームに停まっている列車の前で待つ。
　10:07小淵沢発の2両編成の小諸行きは概ね全席が埋まっていた。冬に小海線に乗ってどこへいくのだろうと思っていたら清里である程度降りた。
　信濃川上でも私たち以外に何人か下車した。

信濃川上駅から毛木平まで
　10:51信濃川上駅着。信濃川上駅も17年ぶりに訪れたら新しい駅舎になっていた。予約した川上観光タクシーの方に声をかけられる。毛木平のトイレは閉まっているのでトイレや水汲みは駅で済ませた方がいいとアドバイスを受ける。水は沢で汲めるのでトイレだけ済ませておく。
　タクシーの後部にザックを置き、毛木平へ向かう。タクシーが出発するのに合わせて10:57発の村営バスが駅前に入ってきていた。今回は3人いるので梓山バス停から毛木平までの4km強を歩かずにタクシーを使った。
　見える山はすべて茶色で雪がない。水なんか雪を溶かせばいいと思っていたがこれほど雪がないのは想定外だ。タクシーの運転手さんも今年は例年よりも雪が少ないと言っていた。ついでに千曲川の水量もこの数年少ないそうだ。

毛木平にて
　11:20毛木平着。信濃川上駅から8,000円だった。広い駐車場には薄く新雪が積もっている。天気は晴れでまぶしい。鈴木に日焼け止めを借りる。車が3台停まっていた。トイレは確かに冬季閉鎖していた。
　家から厚着をしてきたので各自脱いで体温調整をする。あずまやが建っていたのでそこで出発準備した。

毛木平から千曲源流狭霧橋まで
　ゲートの横から十文字峠へ向かう。少し歩くと単独行氏が下ってきた。毛木平の3台の車のうちの1人だろう。甲武信ヶ岳から下ってきたのだろうか。
　すぐ十文字峠と甲武信ヶ岳の分岐に出る。甲武信ヶ岳へ向かう足跡は3人ほど見られるが、十文字峠へ向かう足跡は1人しか見られない。
　十文字峠への道を行くと東沢にかかる千曲源流狭霧橋という立派な木橋を渡る。雪の河原の中に水が流れており、確実に水が手に入るので各自持参したプラティパスやポリタンに水を汲んだ。

千曲源流狭霧橋から八丁坂ノ頭まで
　千曲源流狭霧橋から少し歩くと道は十文字岳西側に流れる沢沿いになる。ほとんど涸れ沢でときどき水たまりがある。
　右岸沿いを歩いていくと一里観音菩薩があった。「アルペンガイド6　奥多摩・奥秩父・大菩薩」では五里観音と書かれているところだろう。
　右岸の道はやがて急になってくる。そこに山側からパイプの水が出ていた。チョロチョロで汲むには時間がかかりそうだ。
　沢が東向きになった緩やかなところでひと休みする。雪の中に人と犬のような足跡があった。
　沢沿いの道はいつの間にか斜面を登る道になり、急坂に息が荒くなる。アルペンガイドによると八丁坂というようだ。登り切ると八丁坂ノ頭。樹林帯で日陰だが広くなっているので休む。

八丁坂ノ頭から十文字小屋まで
　十文字峠へは十文字山の南面をトラバースする。初めは登りだが途中から下りになる。せっかく高度を稼いだのにもったいない。
　大した苦労もなく十文字峠に出た。右か左か分からずキョロキョロすると右に十文字小屋を見つけた。

十文字小屋にて
　十文字小屋の入り口は広い信州側ではなく、狭い秩父側だった。冬季閉鎖していて静かだ。小屋前の水場は蛇口をひねっても水が出ない。少し休んで出発する。13:49着、13:58発。

十文字小屋から川又分岐まで
　十文字小屋から甲武信ヶ岳方面へ少し登り、川又の看板を見て東へ向かう。しばらく大山を巻く道である。今回目立った山には登頂せず、行程の最高地点がこの大山のトラバース道という地味な山行だ。雪の中に足跡はない。
　川又分岐の三叉路は白泰山・栃本方面の道の方がはっきりしているように見えた。川又へ下る道は股の沢をからみながら下っていく。股の沢は登ったことがないので一度行ってみたい。

川又分岐から四里観音避難小屋まで
　川又分岐からは尾根の北側を巻いていく。うっすらと雪が積もっているが、飲み水にするにはあまりに少ない。四里観音避難小屋の前に都合よく吹き溜まりでもあればよいがと心配になる。
　やがて尾根伝いの道になり、小屋が近づいたことが分かって枯れ木を拾いながら歩く。枯れ木は豊富で雪に埋もれていないので拾い放題である。

四里観音避難小屋にて
　尾根から1分ほど下ったところに四里観音避難小屋があった。14:47着。外の温度計は2℃だった。
　一応水場があるので鍋にポリタンの水をあけて水を汲みに行く。石井と行ってみたらパイプから水がジャージャーと出ていた。これで水問題は解決した。
　鈴木は薪ストーブに火をつけようと苦戦していた。小屋中を煙にしないようにストーブに蓋をしたまま火をつけようとしていたがなかなか点かず、ストーブの蓋を開けて大量の枯れ葉を突っ込んだら火がついた。
　薪ストーブは快適で火力もある。小屋備え付けのやかんや持参した鍋をかけるとガスを消費することもない。雪を溶かすのにガスが必要と思っていたがその心配もなくなった。
　あとは用意した鍋を作り、持参したビール、日本酒、ウイスキーを飲んだ。薪ストーブでは持参したチャーシューや鮭とばを焼き、それらがなくなるとせんべいを焼いた。やがて酒がなくなり、お茶や白湯を飲んでいた。
　21時ごろになんとなく水を汲みに行ったり、22時ごろに薪を割ったりしていた。
　22時過ぎに寝るときは石井持参のテントに私と石井が寝て、鈴木は隣にエアマットを敷いて寝ていた。

1月7日（日）　四里観音避難小屋から栃本関所跡まで

四里観音避難小屋にて
　夜はさほど冷えなかったように思う。寝返りを打つときに起きたがその際頭までシュラフにもぐればそこまで寒くなかったと思う。
　6:20薄明るくなってきて起きる。朝ご飯のラーメン用にお湯を沸かし、その間にトイレを済ませてシュラフをたたむ。外の温度計は-4℃だった。昨日の残りのチャーシューをマルタイ棒ラーメンの具材とし、朝飯とした。

四里観音避難小屋から奥秩父林道終点まで
　7:50出発。コルに上がると奥秩父林道への下り道を示す指導標があった。峠みちは1867m標高点峰を西側から巻く。日陰だし、北風が吹いてきて少し寒い。稜線を乗っ越すと東から日が照って暖かい。
　大山1860m標高点は南から巻く。岩の根元を下り、ザレた斜面をトラバースする。赤沢谷へ下る尾根を巻くところは「←白泰山・栃本」という指導標があった。
　なんとなく道が広くなると山側に凍った滝が見える。道下に石積みがあるので奥秩父林道を作ったときの名残りだろうか。コルに出るとそこが奥秩父林道の終点だが、見える奥秩父林道は狭く車が走ったようには見えない。崩れてしまったのだろうか。
　奥秩父林道終点は広く、南側から日が差すので暖かい。コルだから風が吹き抜けるかと思ったがほとんど風は吹いてこなかった。快適に休みながら着ている服を脱いだ。

奥秩父林道から赤沢山東の1818m標高点峰東まで
　奥秩父林道からしばらく尾根を歩き、コルに三里観音がたたずんでいた。
　三里観音から赤沢山へ緩やかな登りで途中から北面を巻く。尾根を1つ巻くあたりに「鍾乳洞入口」と書かれた倒れた看板があった。稜線が近いから道上じゃないだろうし、かといって道下に下る道も見当たらない。どこに鍾乳洞があるのだろうと思ったが、アルペンガイドによると山側に「10分ほど行くと岩場にぽっかり洞穴があいている」らしい。
　赤沢山を巻き終えると1818m標高点峰とのコルで道は南側斜面に移る。アルペンガイドによると「岩ドヤと呼ばれる岩場」があるそうだが特に気づかなかった。1818m標高点峰東のひなたで休む。

1818m標高点峰東から白泰山避難小屋まで
　1818m標高点峰東からはたおやかな尾根を歩く。1729m標高点の登りではトラロープのある高さ2mほどの岩を登る。
　白泰山避難小屋へは急な登りでこんなところに小屋があるのかと思ったが、あおぎ見ると小屋が建っていた。南側にのぞき岩があり、この行程唯一といってよい展望が得られる。南側に広がる甲武信ヶ岳等の山を見て山座同定する。私はなかなか分からなかったが、木賊山と破風山の間の明瞭な鞍部を鈴木が見つけてそこから芋づる式に甲武信ヶ岳から雁坂嶺まで分かった。赤沢谷を挟んで向かいの尾根の中腹に長方形に木が刈られたように見える箇所があり、あれなんだろねと話した。
　白泰山避難小屋は四里観音避難小屋よりひと回り小さいが、薪ストーブはあるし、土間はコンクリートできれいだった。水場があればいうことはないだろう。
　二里観音は小屋の栃本寄りにつつましく座していた。アルペンガイドには二里観音から北の尾根へ伸びる「（荒廃）」という道が載っているが気づかなかった。

白泰山避難小屋から白泰山まで
　白泰山避難小屋から広い尾根を行く。この辺に小屋建てた方が広くてよかったんじゃないかと思うが、きっとのぞき岩の展望が捨てがたかったのだろう。
　白泰山の分岐に出る。今回名のあるピークを踏んでいないので白泰山くらい登っておこうと思ったが、苔むした岩が並んでいてうっすら雪も積もっているせいであまり道らしく見えない。石井は登らないというし、鈴木はどうしようかという。じゃあ棒を倒してみようと提案して、鈴木が倒したストックの向きで決めた。山側に倒れたので鈴木と空身で白泰山に登ることにする。
　道はやや不明瞭で、一応ピンクテープがついているが途中で分岐する。稜線に出て南へたどると白泰山山頂に出た。三角点と看板があるだけで展望はない。一回行っておけばいいかなという山であった。

白泰山から一里観音先のコルまで
　白泰山からは概ね尾根伝いの道を歩く。大きな登下降もなく歩きやすい。やがて東大演習林の看板のある一里観音。
　一里観音をすぎると伐採帯がある。正面に和名倉山が大きい。以前登ったヒルメシ尾根もよく見える。
　伐採地の先で道は尾根道と巻き道に分かれる。計画では尾根伝いに秩父湖まで歩くことにしているが、川又発のバスが少ないためそのような計画にした。調べると栃本関所跡13:33発のバスに間に合いそうなので栃本関所跡へ下ることにする。そう決めてひと休み。

一里観音先のコルから栃本関所跡バス停まで
　途中で林道を渡り、暗い植林帯を歩く。あずまやの横を通り過ぎて両面神社の下の社に出る。やがて道に出ると集落を通り過ぎる。吠えてくる犬を威嚇したりしながら通り過ぎる。右手に大きな家があるなと思ったらそれが栃本関所跡だった。
　丁字路に出るとバス停の看板があった。道は狭いが南向きで暖かいところだ。靴を脱いだりしてくつろぐ。足が靴に圧迫されていたのでサンダルを持参した石井をうらやましがる。13:33にハイエースみたいな車の市営バスが来たので乗車。誰も乗っていなかった。

栃本関所跡バス停から西武秩父駅まで
　バスでうつらうつらしていると途中で誰も乗せずに大滝温泉遊湯館に着いてしまった。大滝温泉遊湯館まで310円。
　温泉に浸かり、わらじカツ丼を食べ、おみやげを買い、大滝温泉遊湯館16:03発急行西武秩父行きに立って乗車した。17:00普通飯能行きに間に合い、S-TRAINに乗る石井と別れた。

おわりに
　1月の奥秩父というとそれなりに雪があってアイゼンやワカンを使用する機会もあるかと思ったが、チェーンスパイクやロングスパッツの出番すらなかった。
　雪が少なすぎて飲み水の心配まですることになるとは思わなかったが、幸い四里観音避難小屋の水場は凍らずに水がジャージャー出ていたので問題なかった。四里観音避難小屋は薪ストーブもあり、快適な小屋であった。
　また、3連休にもかかわらずほとんど人に会うことはなかった。静かで穏やかな行程であった。

2024年冬 - 奥秩父・十文字峠越え

参加者	中山、道場、鈴木、田中

参考文献
YAMAP甲武信ヶ岳
笛吹川東沢から甲武信ヶ岳「アルペンガイド6　奥多摩・奥秩父・大菩薩」山と渓谷社，1997, P.199
宗像兵一「東京起点沢登り120ルート」（山と渓谷社，2010）
白山書房編集部「東京周辺の沢」（白山書房，2000）
2004年夏 - 奥秩父・東沢釜ノ沢[1/2] http://nakayamayu.web.fc2.com/record/2004/04kama/

はじめに
　はじめは入川流域でまだ登っていない股ノ沢を計画していたが、アプローチが悪く電車バスの場合、終バスを逃すおそれがあったのでやめた。
　替わりに電車バスでもアプローチしやすい沢を探し、東沢釜ノ沢西俣に行くことにした。
　笛吹川は広瀬ダムの上流で東沢と西沢に分かれる。その中でも甲武信ヶ岳に突き上げる東沢釜ノ沢は人気のコースである。東沢釜ノ沢は両門の滝で東俣と西俣に分かれる。手持ちの古い地形図では東俣に登山道が書かれており、甲武信小屋に突き上げている。20年前に東俣には登ったことがあったので、西俣に登ってみることにした。
　西俣は両門の滝で東俣と分かれた後、甲武信ヶ岳隣の水師2396mに突き上げている。西沢渓谷へ戻るにはやや遠回りだが、ナメは東俣にも劣らないらしい。
　いつもの大学のワンゲル仲間を誘ったあと、初級の沢であることから高校の山岳部の後輩である田中君にも声をかけた。誘ったら来てくれるということなので混成の4人パーティーになった。個人的には沢登りする人は少ないので誘ってきてくれる人は多ければ多いほどいい。

7月20日（土）　道の駅みとみから東沢釜ノ沢西俣1680mまで

道の駅みとみの駐車場まで
　西国分寺駅7:00集合。鈴木の運転するタイムズカーで西沢渓谷へ向かう。
　登山口に近い西沢渓谷市営駐車場は満車だったので手前の道の駅みとみの駐車場に車を停める。9:32着。
　今回靴を任意の装備としたため駐車場から沢たびを履いていく。
　沢登り初めての田中君に沢たびを貸す。田中君は50リットルほどの小さいザックに寝具も食料も入れてきたらしい。パッキングの上手さに舌を巻く。一方の私はといえば持ってきた缶ビールを地面に置いたら砂利に当たって暴発しあわてて残ったビールを飲むありさまであった。

道の駅みとみの駐車場から東沢入渓まで
　10:02出発。国道140号を渡りループ橋の西沢大橋をくぐって登山道に入る。ナレイ沢、ヌク沢を渡る。村営西沢山荘は看板をおろしており、空き家のように見えた。吊り橋の二股橋を渡ると東沢の入渓点で遭難事故多発の看板がある。
　道を行くと堰堤を越えて10:41河原に出る。トイレ休憩とする。出発時に割れたビールの残りを飲んだせいでいい気持ちだ。登山道は不明瞭なのでここから河原を歩く。

東沢入渓からホラの貝入口まで
　10:49右手に鶏冠谷が入ってくるのを見る。木のずいぶん高いところに鶏冠谷出合という青い看板が打ち付けられている。足元には水が流れているしどうやって打ちつけたのか分からない。
　しばらく歩くと川がゴルジュになって青い淵になっている。右手に巻き道があり一段上がったところから道場が大の字で飛び込んでいた。淵の先には人がいて6m滝を登っていた。東沢本流を登っているようだ。
　淵と滝を巻いて残置ロープで川に戻るがすぐまた巻き道を歩く。1箇所道が崩れているところがあったが、新しく踏み跡がつけられていた。
　ちょっとした台地の上の小広いところに出ると11:16清兵衛沢。「ホラ貝付近沢下り中死亡事故多発」という看板が立っている。水も飲めるし休むのにはちょうどいい。
　登山道を歩いて行くと左下に青く美しい淵が見える。ホラの貝沢にぶつかり道に迷うが、ホラの貝沢に沿って下ると11:25ホラの貝に出た。地形図で滝の記号がある。

ホラの貝入口から標高1250m付近沢に下り立つ
　しばし青さを堪能し、また左岸の道を登る。かなり急登でホラの貝を巻くのに大高巻きするのが分かる。上から見るホラの貝は狭く切り立っていて、流れは深い淵になっている。
　巻き道は続き一度沢に出るがまだ巻き道が続くので巻く。固定ロープのある岩を巻いたが下の段にも巻き道があり無駄に高く巻いてしまったようだ。11:51沢に下り立つ。1267m標高点の手前1250m付近で右岸に穴の空いた石門状の岩がある。巻き終えてひと休み。
　ところで登山道の途中に山ノ神があるというが20年前も今回も見当たらなかった。探しながら歩いたわけではないので気づかなかっただけかもしれないがどこにあるのか気になる。

標高1250m付近から乙女の滝まで
　12:09出発。入渓したてでまだ元気なので石門の中を潜ってみる。水線沿いを濡れながら登れば楽だが、後続の鈴木たちは1段上のバンドを登ってきた。岩をアンダーで持つところがありつらいらしい。道場はお尻をついて水線まで滑り落ちて歩いてきた。田中君はがんばってトラバースした。
　左岸の幕営適地を過ぎ河原歩きが続く。日帰り装備らしい1人が休んでいた。
　東御築江沢出合手前で飛び込むのによさそうな岩と淵を見つけ鈴木が飛び込んだ。東御築江沢は気づかずに通り過ぎた。
　12:40左手に黒光りする乙女の滝を見る。2人組が滝を見ながら休んでいた。

乙女の滝から西のナメ沢出合まで
　12:51東のナメ沢は一枚岩のスラブが広がりS字を描いて水が落ちている。滑り台してみようと試みるが淵がなくドボンできない。ほとんど勾配のないスラブを滑ったが面白くない。
　12:57左岸にスラブが東沢に下りてきているところがあり、やや深くなっているところがある。スラブの上を歩いて上流側から滑り台してみる。
　13:17西のナメ沢出合。流れに段があって尻を打ちそうなので向かって左手を滑り台する。西のナメ沢の先で東沢を横断している針金があった。

西のナメ沢出合から釜の沢出合まで
　丸く青く美しい淵を右から巻く。ここも滑り台があったので滑ってみたが滑る距離が短い割に淵を泳ぐ距離が長く体が冷える。
　その先で水の流れが右岸に寄り2mほどのゆるい勾配の斜瀑になっているところがある。私は滑り落ちそうですぐ諦めたが鈴木が挑戦すると四つ足のまま滑り落ちてきた。
　釜の沢東俣に行くという3人組を追い越し13:58釜の沢出合に着く。河原の一部といった感じで地味だ。概念図として釜の沢、信州沢、金山沢の書かれた茶色い看板が木に打ち付けられている。

釜の沢出合から曲ノ滝（ねじれのたき）まで
　釜の沢出合から少し登ると14:01魚留の滝。滝の左のスラブから樹林帯に入り巻く。地味にスラブがすべすべでガバホールドに手が届くまで苦労する。
　魚留の滝を巻くと14:07曲ノ滝（ねじれのたき）。勾配の緩い滝で20年前に滑り台として遊んだところだ。滑ってみると右へ右へと流されて淵にドボンせずに直前で止まる。道場がうまい具合に右へ流されずにドボンしていた。ほかの2人はすでに滑り疲れているらしく休んでいた。先ほど追い抜いた3人組がまた追い抜いていく。

曲ノ滝（ねじれのたき）から両門の滝まで
　14:34発。曲ノ滝は勾配が緩いわりに滑りやすい。出発した鈴木が滑り落ちてきた。右手にロープがあり巻くこともできる。
　曲ノ滝の上は千畳のナメ。去年クワウンナイ川を登った私には規模が小さいだろうと思ったが、歩いてみるとナメが続いて気持ちがいい。
　千畳のナメの先は滝が2,3あって左から登る。平ナメが少しあってナメは終わり河原になる。
　6mほどの曲がり滝は右から巻く。巻いたところで男女2人のパーティーがテントを張っていた。
　幕営適地を通り過ぎ、東俣へ行く3人パーティーを追い抜き15:09両門の滝。

両門の滝を巻く
　西俣東俣どちらの滝も美しいが西俣の滝の方が高さがある。両門の滝から西俣へ向かう。西俣の滝を左から巻く。「東京周辺の沢」には「左側の樹林から取付き、落ち口に斜上して巻く」、「東京起点ルート120」には「右岸から簡単に巻ける」とある。
　踏み跡はなく樹林帯の岩の間を縫って登る。できるだけ沢から離れないようにすると1箇所ザック背負ったまま登るのをためらう岩場があり、戻って巻く。落ち口の上に出て沢の曲がりに沿ってぐるりと巻くとロープを出さずに沢床に下りられる。15:23巻き終わり。

両門の滝から東沢釜ノ沢西俣1680mまで
　両門の滝上の地図上でクネクネしているところが西俣のナメだ。ゴルジュなので開放感はないがここまでに見なかっただいだい色のナメが続いている。
　小滝も多く、ガバホールドに頼って登る滝もいくつかある。2mほどの滝は登ったあとの右岸ヘツリが滑りそうで鈴木がフリクションを利かせて通過。残置ハーケンがあって鈴木にシュリンゲを通してもらい後続の私たちも通過した。
　1650m付近でナメが終わり広い河原となる。左岸の丘の上で幕営地を探す。焚き火の跡がいくつか見受けられる。2人用テントの入口が向かい合わせに立てられるところを見つけ幕営地とする。16:00行動終了。

東沢釜ノ沢西俣1680mにて幕営
　テントを立て、たきぎを集める。使わなかったザイルはせっかく持ってきたので物干しとして活用した。
　腹が減っているだろう若い田中君に配慮してまず主食のうどん4玉をゆでて食べる。鈴木は新兵器火吹き棒という黒板の指し棒に似た金属パイプで早々と火を起こしていた。
　沢で冷やしたビールを飲むのはうまい。IPAはホップが多くて苦いと鈴木に教わる。
　鈴木が持ってきた網の上でししとうやチャーシューを焼く。火を通すとどちらもトロッとしてうまい。
　田中君から慶応ワンゲルの厳しいルールを聞くのを酒の肴とする。ヤブ山が盛んで食器を拭く紙は3cmとか、共同装備の水と個人装備の水があるとか、地図もコンパスも予備を持つとか。自分の大学のワンゲルはずいぶんゆるいものだったと安堵する。
　50mほど上流にもテントと焚き火が見えて何人パーティーかねなどと話したが翌朝横を通り過ぎたら単独行だった。
　雨も降らずパンツとシャツ姿でも快適である。虫も少ない。21:30シュラフカバーにもぐる。

7月21日（日）　東沢釜ノ沢西俣1680mから道の駅みとみまで

東沢釜ノ沢西俣1680mにて出発準備
　4:33明るくなって道場に起こされる。ダウンジャケットを着たら上半身はシュラフカバーに入らなくてもよかった。頭が下だったからか歳だからか何度も起きて寝返りを打った。夜は雨も降らず暖かく快適だった。
　朝はマルタイ棒ラーメン。昨日のつまみの残りのチャーシューを入れる。
　荷物を再配分し、6:00出発。

東沢釜ノ沢西俣1680mから標高1890m左沢右沢二俣まで
　昨晩隣で泊まっていた単独行氏にあいさつして先を行かせてもらう。単独行氏ももうザックを背負うところだったがこのあと会わなかった。左沢に行ったのか人のいない沢を目的にして我々と距離を取ったのか分からない。
　ずっと河原歩き。歩き始めてすぐお腹が下り、ひとり途中でトイレを済ます。3人は先に行っているかと思ったがカッパを脱いだりして待っていてくれた。
　標高1760m右岸枝沢、標高1840m右岸枝沢は明瞭で現在地確認によい。
「東京周辺の沢」◯6多段7m滝、「東京起点ルート120」◯10、3m滝を登ると8m滝には「右岸から簡単に巻ける」と6:54左沢右沢二俣。
　左沢は河原が続きつまらなさそうに見えるが「東京起点ルート120」にある通り大滝30mが見える。これから登る右沢はナメ滝になっていて気持ちがいい。

標高1890m左沢右沢二俣から多段10m曲がり滝まで
　右沢は滝が続く。「東京周辺の沢」「東京起点ルート120」とも左から巻く滝があるようだが気づかず直登してしまった。
　右手に赤茶けた小滝が見えるとそれが水師2396m南尾根から落ちてくる凹地記号のあるガリーだ。左の水量が多い方が水師西の鞍部からの流れ出しだ。滝が続いて疲れたので7:24岩の前で休む。

多段10m曲がり滝から標高2150m水涸れまで
　7:40出発。すぐ多段10m曲がり滝がある。ホールド、スタンスが多く簡単に登れる。
　多段10m曲がり滝を登るとガイドブックの通り谷は倒木で埋まっている。少し巻くと水師西の鞍部からの流れは倒木で埋まっているが水師から流れてくる枝沢は水が流れている。こちらを登る。なぜ地形図上の谷地形を登らずわざわざ水師まで登るよう案内していたのか不思議だったが、倒木を見て納得する。
　標高2150mで水涸れ、水汲み休憩。7:54着、8:06発。

標高2150m水涸れから水師2396mまで
　苔が多くヤブの少ない斜面を登る。標高2300m付近から登山道へ向かってトラバースする。少し藪漕ぎ。藪漕ぎが得意な田中君が元気だ。
　8:35登山道の標高2310m付近に出る。貸した沢たびが大きくて合わないという田中君は靴に履き替えていた。ついでにハーネスも外す。私は昨日も今日もハーネスを着けていなかった。
　鈴木、道場は私たちよりやや高いところをトラバースしていて登山道に出てそのまま水師に登った。8:55水師着。看板の前の小さな広場で休む。展望はない。人も来なくて静かだ。

水師2396mから甲武信ヶ岳まで
　あとは道の駅みとみの車まで帰るだけだ。9:18水師発。下り始めると展望のよいザレ場があり、甲武信ヶ岳、木賊山、鶏冠尾根が望めるところがある。千曲川源流からの道を合わせるととたんに登山客が多くなる。甲武信ヶ岳山頂近くは木がなく展望がよい。
　9:48甲武信ヶ岳着。人が多い。記念撮影しておく。連絡人をお願いしている石井に写真を撮ってLINEを送っておいたら下山ですかと勘違いされた。紛らわしいことをしてしまった。なんとなく会社の携帯電話もつないでみると着信履歴がいくつか。見なければよかった。9:56発。

甲武信ヶ岳から道の駅みとみまで
　あとはただの登山道なのであっさりと記録しておく。
　甲武信小屋にはキレイなウッドデッキのようなものができていた。
　木賊山の登りはつらい。木賊山の山頂でも休む。木賊山の先で鶏冠尾根危険という看板があった。2004年に私が下ったときは知らずに木賊山の標識横から下ったものだ。
　戸渡尾根分岐の手前で沢登り装備の2人に追い抜かれた。両門の滝下で幕営していた2人パーティーだろうか。素人ならできるだけ上流まで詰めておこうとするところ、比較的下流の方で早い時間から幕営していたので山慣れてそうだ。
　戸渡尾根は石が散らばっていて歩きにくい。溝状に削れたところもある。長くてつまらない。
　11:25近丸新道・徳ちゃん新道分岐。疲れたので休む。狭いが人通りもさほど多くない。
　コースタイムの短い徳ちゃん新道を選択する。11:44発。20年前に下ったときはつま先が痛くなった記憶があるが今回はパーティーの後ろについていてゆっくり下ったからか痛くならなかった。
　12:50西沢山荘に出てベンチで休む。
　13:25道の駅みとみの駐車場に戻ってくる。

道の駅みとみから西国分寺駅まで
　鈴木の案内でほったらかし温泉に行く。温泉では田中君にダニがくっついていたものの血は吸われていなかった。私はなぜか足首がかぶれていた。
　帰りの中央道は混んでおり、八王子料金所で降りて西国分寺駅に帰ってきた。
　駅前のすき家で簡単に打ち上げして解散した。

おわりに
　久しぶりの奥秩父笛吹川東沢でナメを楽しめてよかった。
　東俣は記録が多いと思うので釜の沢西俣についていくつか。
　両門の滝の巻きは道は見つからずあまりよくない。
　幕営地は両門の滝上のナメを過ぎた標高1680m付近の左岸台地。ほかは見当たらなかった。
　詰めは倒木を避けようとすると自然と鞍部ではなく水師2396mへ登る。面倒なら途中でトラバースして登山道に出る。
　ザイルは使わなかった。西俣に入って小滝でシュリンゲを使った。
　人は標高1680m付近の左岸台地で幕営していた単独行しか会わなかった。

2024年夏 - 奥秩父・東沢釜ノ沢西俣

甲武信ヶ岳（こぶしがたけ）は、山梨県・埼玉県・長野県の3県の境にある標高2,475mの山で、奥秩父山塊の主脈の中央に位置する。甲武信岳（こぶしだけ）とも呼ぶ。
甲州（山梨県）、武州（埼玉県）、信州（長野県）の境にあるのでこの名になっているとされる説が有名だが、山容が拳のように見えるからという説もある。千曲川（新潟県に入ると信濃川）、荒川、笛吹川（釜無川と合流し富士川となる）の水源の地。頂上に三角点はない。また、すぐ隣の三宝山のほうが標高が僅かに高い。日本百名山の一つ。
山頂からは百名山のうち43座を見ることができる。

甲武信ヶ岳

nakayamayuさんは、4月12日に荒海山を目指して見事な山歩を行いました。会津高原尾瀬口駅から始まるその旅は、早朝の始発電車に乗るという決意から始まりました。6時間という長時間の移動を経てようやく辿り着いた会津高原尾瀬口駅から、標高1276mの地点まで足を運ぶ姿勢は、実に素晴らしいものです。

荒海山は、その雄大な景色と共に、標高差の大きい挑戦を提供します。nakayamayuさんは、昨秋の経験を活かし、再びこの美しい山の魅力を再発見するための山歩を行いました。地道な努力と根気強い探求心が、nakayamayuさんの素晴らしい成果を生んでいるのです。こうした挑戦を続ける姿勢は、多くの人に勇気を与えることでしょう。これからの山歩も楽しみにしています。

荒海山（あらかいさん、あらかいざん、あらかいやま）は、福島県南会津郡南会津町と栃木県日光市の境界に位置する標高1,581 mの山である。二等三角点「太郎岳」（標高1,580.4 m）は山頂の東北東約90 mに位置するピーク東峰にある。福島県側では荒海山、栃木県側では太郎岳（たろうだけ）と呼ばれる。江戸時代の文献『新編会津風土記』では荒貝嶽（あらかいがだけ）と表記されている。

日本三百名山に選定されている。

2024年の活動データ

総活動時間

登頂数

移動距離

獲得標高

続きを見るにはYAMAPへのログインが必要です